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『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』その06

本日は更新のみ。
「……俺、無事更新が終わったら、出社前にひと眠りするんだ」
『るいとも *Aの6』

 ──それは、実に不運な巡り合わせだった。

 「天敵」という言葉がある。
 ハブにマングース。ネズミにネコ。サンゴにオニヒトデ。木造建築にシロアリ。クッパにマリオ。ペガサスナイトにシューター。金ぴか王に錬鉄の英雄。
 イメージが先行していたり、じつは言われるほど勝率が一方的ではない実例も存在するが、それでも「AがBに対して圧倒的に有利に戦える」組み合わせを指してAをBの「天敵」と称するのだ。

 ここトリステイン魔法学院に、期待のニューフェイス……というにはちょいとトウが立ってる気もするが、最近入った教職員で人気を集めている人物がいる。
 オスマン学院長の秘書を務めることとなった、ミス・ロングビルと呼ばれる緑色の髪をなびかせた女性である。
 メガネのよく似合う知的な雰囲気と温和な表情、大人の色気を兼ね備えた、20代半ばくらいの美人で、よほどのロリ・貧乳好きでもない限り、男なら誰でも「お、いい女!」と思うだろう。
 貴族の地位を剥奪された没落メイジでありながら、不自然に媚びず威張らず、「まさに淑女の鑑だ!」と貴族平民問わず高評価を受けている女性だ。
 性格も(一部のエロジジィの前を除けば)温厚で優しく、男性だけでなく女性陣からも人気は高い。
 実際、図書館その他で、彼女から適切なアドバイスを受けた女子学生も多いのだ。ミス・ロングビルいわく「わたくしにも同い年くらいの妹がいますから、ついお節介を」ということらしいが。
 ルイズの陰謀(淫謀?)により、姉萌え属性を植え付けられつつあるシエスタなど、折にふれて「あぁ、おねえさま~」とイケナイ妄想をしているくらいだ。
 しかしながら、読者諸氏はよくご存じのとおり、彼女、ミス・ロングビルには、裏の顔がある。
 その名も「土くれのフーケ」。巨大ゴーレムを操る盗賊で、貴族を専門に狙い、必ず犯行声明を残すことで、トリステイン中にその名を轟かせている。
 そのフーケが、何故仮初の顔をもって魔法学院に潜り込んでいるかと言えば、無論この学院の宝物庫に用があるからだ。
 トリステイン王宮に匹敵する珍品・貴重品が眠っていると言われる学院の宝物庫だが、彼女の狙いはただひとつ。
 オスマン学院長が若い頃から大事にしていると言われる「破壊の杖」だ。
 ワイバーンを一撃で屠る強力な魔法が込められているというそれは、闇ルートを通じて好事家に売ればいかほどの値段がつくことか。
 とは言え、未だに盗む算段がついてないのも事実だった。

 本作のルイズは、サイトとは幼馴染兼恋人、キュルケとも親友(マブダチ)な仲だ。系統魔法の失敗についてもある程度見切りをつけ、すでに「爆破」の精密性や規模のコントロールに着手して久しい。
 そうなると、当然、「本来の歴史」のような「ルイズの誤爆で宝物庫の壁にヒビが!」などという都合のよいアクシデントも起こらないワケで……。
 度重なるオスマンのセクハラについに業を煮やした彼女が、「手の部分だけ鉄塊にした巨大ゴーレムで宝物庫の壁を打つべし打つべし」という事態も起こりうるわけだ。
 ハルケギニアの魔法は、"虚無"をはじめ感情にその威力を左右される比重が大きい。
 とは言え、当初は「無理ぽ」とあきらめていた壁の固定化を、力づくでブチ抜くほどの威力をフーケのゴーレムが持ったあたり、彼女にどれだけストレスが溜まっていたのかは推して知るべし。
 多少時間がかかったとは言え、破壊した壁の穴から宝物庫に侵入、目当ての「破壊の杖」を携えて、意気揚揚と彼女は学院から引き上げた。

 この段階で、彼女に大きなミスはなかった。
 バッドガールズ3人&サイトに、偶然犯行現場を見られたりもしたが、ここのルイズは無謀な突撃をかますほど精神的に切羽詰まってはいない。
 むしろ、「こんな時、ヴァリエール家に代々伝わる最後の戦法。それは……」「それは?」「逃げることよ!」などと小芝居をかますくらいの余裕があった……それでいいのか、正ヒロイン?
 それはともかく、さしたる妨害も受けず、ひと仕事終えたフーケは悠々と脱走することができた。
 その時点で、彼女は変な欲をかかずに適当な故買屋にでも「破壊の杖」を売っ払ってしまえばよかったのだ。

 しかしながら、使い方がわからないと高値で売れないと考え、ミス・ロングビルとして学院に戻って来たことが仇となった。
 沈痛な表情で教師たちが集まっている学院長室に顔を出し、フーケに対する偽情報を報告した途端、居合わせたメイジ数人の攻撃を受けて取り押さえられたのだ。
 巨大ゴーレムを作れない建物の中、また懐に杖をしまっていたという状態では、さしものトライアングルメイジ、フーケにも為すすべはない。
 彼女の属性が「風」や「火」であったなら、まだやりようもあったのだろうが、室内における土メイジは、いささか戦法が限られるのだ。

 さて、種を明かせば、彼女の失態は「サイトに自分の作ったゴーレムを見られたこと」そして「そのあと無警戒に戻って来たこと」の2点に尽きる。
 その意味で、まさにサイトはフーケにとっては"天敵"だった。
 "神の頭脳"ミョズニトニルンであるこのサイトは、魔法のアイテムを間近で見ただけでその詳細が"視える"のだ……そう、性能・用途から使用法、由来、製作者に至るまで。
 ゴーレムとて暫定的とはいえ魔法で作り出されたアイテムには違いない。
 あっさりその作り手がわかったサイトは、ルイズ達とともにオスマン及びコルベールに会って秘密裏にそれを報告。
 半信半疑ながらも、彼女が犯人である可能性を認めたオスマンと、彼が(能力的に)評価する数名のメイジの待つベアトラップと化した学院長室に、ロングビルはノコノコ足を踏み入れたワケだ。
(冷静に考えればロングビルの"報告"が実にデタラメで怪しいものかは、読者諸氏にもおわかりであろう)

 無論、フーケことミス・ロングビルが再び学院に戻るかはある種賭けではあったのだが、サイトはその可能性が高いと判断していた。
 なぜなら、あの「破壊の杖」の詳細はハルケギニアの人間には、絶対わかるまいという確信があったからだ。
 それを知りたければ、持ち主であるオスマンかその側近から情報を聞き出すしかない。もっとも、実際には学院長も詳しいことは知らなかったのだが。

 「しかし……"破壊の杖"とやらが、まさか四式二〇糎噴進砲だとはなぁ」
 郊外の小屋から回収された「破壊の杖」──全長2メートルで重さ200キロを超える鋼の塊りを見て、苦笑するサイト。
 ちなみに、この知識はミョズニトニルンの能力を用いるまでもなく、ミリタリーファンとして持っていたものだ。
 「それって、第二次大戦時の骨董品よね? そんなに威力あるの?」
 サイトの影響で多少はその辺の知識があるルイズが、胡散臭そうに尋ねる。
 「うーん、一応、発射する弾に関しては海軍の重巡洋艦用主砲弾を流用してたらしいから、現代でもそれなりの効果はあると思うぞ。
 ただ、こんなデカブツ、発射台もなしに個人で担いで使用するのは無理だな。使い勝手の点では、口径は小さくても陸自の84ミリ無反動砲とかの方がずっと上だろうぜ」
 もちろん、この「破壊の杖」は再び宝物庫に大事に保管されることとなったのであった。
 「いや、だって、ミリオタとは言え日本の1高校生が、ロケット砲の実物渡されても、扱いに困るし」(才人・談)

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以上。マチルダ姐さん、いいとこなし。ま、冒頭にある通り、相性の問題と、ココのルイズ&才人がクレバーなせいです。

ちなみに、本作では、虚無の使い魔の能力については「誰が使い魔になるかによって、微妙に能力も変化する」と解釈しています。
たとえば、このサイト(ミ)は、原作のシェフィールド(ミ)より分析面で優れてるうえ、地球の機械も操作対象にできますが、反面複数のアイテムの同時操作の面では劣りますし、操作の加減を間違うとすぐ対象を壊してしまいます。
逆に、シェフィールド(ガ)は、原作のサイト(ガ)に比べて、通常モードでの体機能の底上げ度合は上ですが、ハイテンションモード時のマックス増幅度では劣る……といった具合です。
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テーマ : 自作小説(二次創作)
ジャンル : 小説・文学

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