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『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』その10

 続いてアフター編の続き。第一部から数えると、劇中で一年あまりが過ぎてる計算になりますね。


『るいとも *Aの10』

 「今年の夏はハルケギニアをのんびりバイクでふたり旅でもしましょうか?」
 「お、いいな、ソレ。けど……それって普通、運転する側の俺が言うべき台詞じゃね?」
 魔法学院とサイトの通う学校がそろそろ夏休みに入るので、夏の予定を立てているルイズたち。
 すかさず、キュルケ(+タバサ)が、「そーゆーおもしろそうな話には、あたしたちも混ぜなさいよ」と、乱入してくる。
 「おいおい、俺のバイクは、さすがにシルフィードよりは遅いぞ?」
 「いいじゃない。この4人での旅行なんて、学院にいる内くらいしか機会ないでしょ。それとも、お・ジャ・マ?」
 「ん~、別に私は気にしないけどネ。でも、本当にブラブラするだけだから、そんなに刺激的でおもしろいコトはないと思うけど……」
 などと言いつつも、やはり学生時代に気の合った仲間と旅するのは、それだけでワクワクするものだ。
 ルイズもサイトも結構楽しみにしていたのだが、ここで突然、王宮から呼び出しが来る。
 もちろん、こういうKYな真似をするのは、アンアン王女と相場が決まっていた。

 「あの~、何なんですか、姫さん、いきなり」
 しまった、あと2日早く出発しとけばよかった……と思いつつも、テーブルの向いに腰かけて優雅にカップを傾ける王女に問いかけるサイト。
 ちなみに、ヘソを曲げたルイズは隣りで、出された黙って紅茶をすすっている。
 「おいそがしいところすみません。ですが、今回ばかりは、是非おふたりのお力を貸していただきたいのです」
 「今回ばかりは」って、俺達何度も手伝いしてきたはずだけどなー、とサイトは内心でボヤく。
 「──ルイズ、そしてサイトさん。これからするわたくしのお願いに"はい"か"イエス"でお返事してください」
 ブゥッ!
 ルイズが勢いよく口に含んだ紅茶を噴き出す。かろうじて、正面の王女の顔にブッかけないという配慮は残っていたらしいが、おかげでとばっちりを受けたサイトはいい迷惑だ。
 「サイト~、姫様に「ナイトウィザード」観せたの?」
 「むぅ、そう言えば、こないだルイズが俺の部屋に連れて来たとき、DVD流しっぱにしてたような気も」
 あの時は、女の子ふたりしてもっぱらマンガに夢中だったみたいだから、別段気にもとめなかったのだが……。「テニスの王子様」を読みながら、しっかりテレビの方も観てたらしい。
 そう言えば、珍しく暗紫色のドレスなんて着てると思ったら……"第八世界の守護者"の真似か。
 「はぁ……要するに俺達に拒否権はない、と?」
 「いえいえ、これはあくまで"お願い"ですから♪」
 ニッコリ笑顔を向けられても、さすがに言葉どおりにとる気にはならない。
 (おい、ルイズ、アンリエッタ王女、なんだか微妙に性格悪くなってねぇか?)
 (何言ってるのサイト。この人は昔からこんな感じよ。まぁ、サイトの前では多少猫かぶってたのかもしれないけど)
 猫かぶる必要がないと判断されたとしたら、それは親しい友人となったからなのか、あるいは使える部下(げぼく)として認められたからなのか。
 後者だとしたら、全力で遠慮させていただきたい。
 「そんなに嫌そうな顔、しないでくださいまし。お願いの内容自体は大したことではありませんわ。アルビオンでウェールズ…もとい、ウェンディ様のご様子を確認して来ていただきたいだけですから」
 ちなみに、アレからすぐに、アルビオン王国軍は、某巴里華撃団風の衣裳に身を包んだ"王女"(?)に率いられて反乱軍討伐に赴き、大勝利を納めている。
 聞けば、"ウェンディ"殿下及び、その直属の部下として抜擢された腕利きメイジの女性騎士5人を旗頭として、王国軍の士気がかつてないほどに高まったおかげだとか。
 "ウェンディ王女"についても、「美人だし、萌えるから、いんじゃネ?」という結論に達し、公けにその存在が認められたらしい。一応、表向きは王子の異母妹ということにはなってはいるが……大丈夫なのか、白の大陸?
 「あ~、皆まで言わずともOK。A国華撃団の雄姿をカメラに納めて来いってコトっすね」
 王女&女性騎士の6人は、いまやアルビオンではちょっとしたアイドル、いやスターらしい。貴族平民・男女問わず人気が高く、絵姿の類いも売り出されているとか。
 その反作用で、一大勢力を築きつつあった某十字軍的宗教団体の人集めがはかどらず、無能王とその腹心が苦い顔をしていることまでは、サイト達の想定外だったが……。
 「ま、まぁ、ヅカとかブームになって人気が出るとスゴいらしいからな」
 「そ、そうよね。王族が国民に人気があるのは、いいことよね、ウン」
 この一件に少なからず関与した形になったサイトとルイズは、自分に言い訳している。
 ──国民に人気があるが、本人はダメダメ子ちゃんな王族の実例が、目の前にいるワケですが、何か?
 脳裏に浮かんできたそんな言葉をあえて無視し、ルイズはアンリエッタに向き直る。
 「とにかく了解しました。ただちにアルビオンに行って、ウエンディ殿下とその側近の方々に面会し、お話を聞いてきます。それでわッ!」
 これ以上厄介事を押しつけられぬうちにと譲歩して、さっさと王宮から逃げ出すふたりであった。
 「あっ……困りましたわ。せっかく新シリーズを書き上げたから、ウェンディ殿下に届けてもらいたかったのに」
 ──まだ懲りてなかったのか。自重しろ、腐れ王女。
 「大丈夫です! 今回は、ノーマルカプ物ですから!!
 王位継承権の都合で生まれた時から女性として育てられた男の"姫君"が、政略結婚で他国に嫁がされるのですが、その国の王子は、実は凛々しい男装の麗人だったと言う驚愕。
 自分より背が高くたくましい"王子"の腕に抱かれて"姫君"は女の幸せを感じ、思い切り淫らに乱れるのです……ウフフフ」 ジュル~リ……
 いや、確かに男×女(いや女×男もの?)ではあるが、コレを指して"ノーマル"と言いきってよいものだろうか?
 と言うか、仮にも一国の王女様が、妄想でヨダレを垂らすのはいかがなものか。
 「「ウィニア、今日から君は、プロヴァン皇太子たる僕の妻なのだ」 「はい、アーノルド様。お慕い申し上げております。アッ、そこは……」なんちゃって、きゃあ!」
 ──聞いちゃいねぇ。

 * * * 

 「──と言うワケで、今回の旅行先は、急きょアルビオンに決定よ!」
 「ま、いいけどね。あたしもタバサもあの国には、まだ行ったことなかったから」
 ルイズの説明(姫様から私的任務が来ちゃった)に呆れつつも納得するキュルケと、コクコクと頷くタバサ。
 「あ~、ゴメンな、ふたりとも。最初にロンデニウムで用件をすませたら、その後は気楽にアルビオン各地を色々見て回ろうぜ」
 サイトが申し訳なさそうに言うが、ふたりともさほどは気にしていない。
 ルイズに言ったとおり、かの国に行ったことがないというのは事実だし、知らない国を気心の知れた仲間と旅すると言うのはそれだけで楽しいものだろう。
 しかも、ルイズの"どこでもドア"を使えば、フネの代金もロハで済むのだ!
 ……密入国? 何それ、おいしーの?
 ともあれ、多少の紆余曲折はあったものの、4人の楽しい夏休み旅行が始まったのだ!

 旅の一日目にアルビオン王宮を訪ねたルイズとサイトは、今回はアポ取りをしてなかったにも関わらず、大歓迎で"王女"の元まで案内された(ちなみにキュルケたちはロンデニウム観光に出かけた)。
 「──なぁ、ルイズ、案内してくれてるこのメイドさん達の格好って、もしかして「サクラ大戦3」のメルとシーか?」
 宮殿内を歩きつつ、案内のミニスカメイドの制服(の太腿)を見ながら、傍らのルイズの小声でささやくサイト。
 「でしょうね。こないだ来た時、ここの女官はもっと普通の服装してたと思うし」
 「しかし、いったいまた何で……」
 「ドキッ!」
 「そう言えば、例の荷物送るとき、ルイズ、何か入れてたな」
 「ギクッ!」
 「わざとらしい擬音を口で言うくらいなら、サッサと吐いて楽になったらどうだ、んん~?」
 「か、隠すつもりはなかったのよ。ただ、せっかく「サクラ3」のコスするんだからと思って……昔集めた「サクラ大戦」トレカの余(ダブ)りを30枚ほど適当に入れて送っちゃった」
 テヘッ! と不二家のペコちゃんよろしく余所見して舌を出すルイズ。
 「成程、だからこんな事になってるのか」と、サイトは嘆息する。
 活発そうな茶髪の女騎士ケイトは真紅のシスター服、黒髪ボブのおとなしそうな女騎士マリンは黒のツーピース、やや年かさ銀髪の女騎士パーシィは緑の外套&黒タイツと、私服まで巴里花組の衣装に合わせているとは……。
 いや、彼女達にとってはコレこそが勤務用の制服なのかもしれない。言うまでもなく、その"主"の趣味だろう。
 (そうなると、金髪のウェンディ殿下は、ブルーメール家令嬢グリシーヌあたりの格好かな。まぁ、妥当な配置かも)
 ……とアタリをつけていた才人の予想は見事に外れる。
 「よく来てくださいましたね、ミス・ヴァリエール、ミスタ・ヒラガー。その節はお世話になりました」
 ニコッと思わず男性であることを忘れてしまうような魅力的な笑顔を向けてくるウェンディ王女殿下の服装は、空色のスーツ&タイトスカートという組み合わせ。
 「紐育のラチェット隊長かよ!?」
 どうやら、トレカに「5」の絵柄も混じってたらしい。
 ──ちなみに、しばしの歓談の後、王女&近衛騎士達は、自分たちも後でその"肖像画"を何枚かもらうことを条件に、快く撮影に応じてくれた。
 「なんで、ハルケギニアに来てるのに、コスプレ撮影の腕が上がってるんだろーな、俺?」
 美女&美少女(約1名除く)たちの写真を好きなだけ撮れるという、カメコなら狂喜しそうなシチュエーションなのに、サイトは浮かない顔だ。
 「いいじゃない。もうじき冬コミ用にウチのサークルでも私たちの写真集作るんだし。あ、どうせなら、この写真も"お友達のコスプレです"ってブログにアップしてみる?」
 筋金入りのヲタ娘・ルイズは既に完全に開き直っているようだった。

 * * * 

 当初のグダグダななりゆきにも関わらず、その後のアルビオンの旅は極めて順調だった。
 高度が高いせいかこの国は夏でも涼しく、絶好の避暑地になっている。
 ちなみに、サイトのバイクのガソリン補給については、保管用ガソリン缶詰を使用しているので、ガス欠の心配はないし、数日毎に平賀家に戻っているため、着替え・非常食その他の荷物も最小限で済んでいる。
 夜に野宿先で平賀家に繋がる小さめな"どこでもドア"を開いて固定化、その晩は日本でまったり過ごしてから、翌朝同じ"ドア"で元の場所へと帰り、固定化を解くのだ。
 つくづく、ルイズの魔法"世界扉"は反則技だった。
 しかしながら、旅を始めて10日あまりが過ぎたころ、ルイズたち一行は思いがけない出会いと再会を経験することになる。

 「それは"乳房"というにはあまりにも大きすぎた。大きくやわらかく重くそしてエロすぎた。それは正に乳塊だった……」
 ──スパーン!
 「何失礼なコト言ってるんだ、この貧乳娘が!」
 新たな友人のバストを見つめて熱に浮かされたような戯言を呟くルイズの頭を、サイトがハリ倒す。
 「ごめんね、テファちゃん。マチルダさんも、このアホの子には、よく言ってきかせますんで」
 「は、はい……」
 「え、ええ、それなら……」
 ペコペコとコメツキバッタのごとく平謝りするサイトに気圧されたのか、あいまいに頷くふたり。
 実は、偶然通りがかった森で、たまたまオークに襲われていたティファニアを、ルイズ達一行が助けることとなったのだ。
 言うまでもないことだが、オーク鬼の2匹くらい、この一団にかかっては明らかにオーバーキルである。
 極めて短い詠唱でも発動する(そのぶん威力は下がるが)ルイズの「爆発」で足止めし、その間にキュルケとタバサがトライアングルスペルを詠唱して、あっさり撃破。
 ティファニアの身柄は、デルフを抜いたサイトがちゃっかり保護している。さすがはフラグゲッター。
 まあ、その際、テファが自分に掛けている幻覚(イリュージョン)の魔法が解け、とがった耳を見られた彼女が慌てて泣きそうになる……といった一幕もあったのだが。
 しかしながら、ルイズ一行は、彼女がエルフ(正確にはハーフエルフだが)と知っても「ふーん」「へぇ」「……」の一言で済ます豪胆さを持っていた。
 ──約1名、「え、エルフ耳、萌え~」と目をハートマークにしてフラフラ近づきかけるダメダメな娘もいたりしたが、少女の恋人が責任をもって取り押さえたので大事には至らず。
 そんなこんなでサイト達を信用したティファニアは、孤児院を兼ねた自宅に招待したのだが……。
 そこには、トリスタニアの監獄から脱獄してきた"土くれのフーケ"ことマチルダ・オブ・サウスゴータの姿があったわけで(どうやら隠し持っていた杖を1本だけ見つからずにすみ、隙を見て逃亡したようだ)。
 自分の正体を知ってると推察される連中とは言え、顔見知りの相手であり、マチルダとしてもとくに恨みはない(彼女は自分が捕まった経緯の詳細を知らないのだ)。
 むしろ、ミス・ロングビル時代は、ルイズたちのことはいい意味で「貴族らしくない貴族」として好感を抱いていたくらいなのだ。
 また、話を聞けば妹分の命の恩人でもあるらしい。
 葛藤するマチルダだったが、サイトが「あれぇ、ミス・ロングビル、学院を退職して郷里に帰られたという話でしたが、ここが貴女の実家なんですか?」と間の抜けた声をかけてきた。
 パチッと下手なウィンクしているところを見ると、どうやら話を合わせろと言うことなのだろう。マチルダとしても願ってもないことなので、「え、ええ、そうなんです」と答える。
 事情を知らないティファニアには、これまでトリステイン魔法学院の学院長の秘書をしていたこと、"ロングビル"というのが学院で使っていた偽名であること、給料はよかったが学院長のセクハラに耐えかねて退職したこと……などを説明する。
 実際、これらはほとんどすべて事実だ。ただ、彼女が実は盗賊だったことを言ってないだけで。
 無論、テファや孤児院の子供たちが見てない場所で、マチルダとルイズ達の密談があったわけだが、ルイズとしても、彼女にさほど悪感情を抱いているわけではない。
 原作のように直接フーケとしての彼女と対峙したわけでもないので、心の中では「優しいお姉さんのミス・ロングビル」としての印象の方が鮮明に残っているのだ。
 "破壊の杖"も無事学院に戻ったことだし、少なくともまた彼女が"フーケ"として盗みを働かないなら、ルイズ側としてはあくまで「友人であるテファのお姉さんのマチルダさん」として接する……と、ルイズ達は宣言した。
 それを信用するかはマチルダの気持ち次第だったが、彼女としても、せっかくできた妹の友人(しかも、テファがエルフと知っても態度が変わらない!)をなくしたくはない。完全とは言えぬまでも、ルイズ達のことを信用することにした。

 さて、その夜は、なかなか印象的な一夜となった。
 サイトが"東方"の珍しい料理(と言っても、昼に飯ごう炊飯しようと思って持って来たカレーだが)を作って、子供たちにふるまう。
 元々4人分の予定だったので、米が少ないのが少々残念だが、ナン代わりのパンと組み合わせて、なかなかの好評を博した。
 食後は、みんなにルイズが手品(使い魔披露会の時のを自分でもできるよう練習した)を見せてウケをとる。
 また、小さな子たちにはタバサが絵本を読んで聞かせてやった。以前と異なり、無口ではあるが柔らかな印象を抱かせるようになったタバサは、子供受けも悪くなかった。
 キュルケはマチルダと差しで飲み交わし、「イイ男について」の議論を交わしているようだ。
 「サイトは確かに割とイイ男だと思うけど、ルイズにベッタリだしねぇ」
 「仕方ないよ。あの危なっかしい嬢ちゃんには、あれくらい苦労性の男が見ててやらないと」
 「かと言って魔法学院のボンクラどもは、軟弱で退屈なだけだし。あの二股気障男のギーシュが、まだしもマシな部類に入るって言うんだから」
 「アタシもそろそろ未婚だとキツい年頃だし、テファを任せられる男が早くみつからないものかねぇ」
 グラマー美人といえど、悩みはつきぬものらしい。

 しかし、子供たちが寝静まったころ、居間で談笑していた彼女たちに、タバサがひとつの爆弾を落としたのだ。
 「ルイズとティフアニアは"虚無"の使い手なのではないか」と。
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以上。次回は若干シリアス(?)な話になります。乞うご期待。
それでは、皆さん、よいお年を!
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Author:KCA(嵐山之鬼子)
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