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『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』その11

あけましておめでとうございます。
今年は、体調と仕事の関係で、ブログの更新がこれまで以上に不定期になるかもしれませんが、できる限りがんばりますので、時々覗いてやってください。

それでは、予告通り「るいとも」アフター編11話。
今回は、このSSらしくもなく、ちょっぴりシリアスめな展開です。


『るいとも *Aの11』

 ──あ…ありのまま 今 起こった事を話すわ!
 「夏休みが終って、新学期の学院でまったりしてたと思ったら、
 いつの間にかトリステインが宣戦布告され、私はエルフに襲われていた」
 妄想だとか超展開とかじゃ、断じてない。
 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったわ……と言うか、現在ライブでピンチよ!

 「……この期に及んで余裕あるなぁ、ヲイ!」
 「こここ、こーゆー時こそ落ち着くのよ。KOOLになりなさい、平賀才人!」
 「……そーでもないか。お前こそ落ち着け、ルイズ」
 サイトに喝を入れられたルイズは、どうしてこんなコトになったのかと、過去に思いを馳せていた。

 あの旅行の時、ウェストウッド村でタバサが言った「ルイズとティファニアは"虚無"の使い手かもしれない」という言葉は、一同の心を大きく揺さぶった。
 無論、当初はほぼ全員が「まさか~」という信じられない気持ちでいっぱいだったが、タバサの説明を聞くにつれ、その疑念が少しずつ解かされていったのだ。

 ルイズもティファニアも王家の血を引いていること(テファの素性は、先刻、マチルダが説明していた)。
 ふたりとも、優秀なメイジの血筋にもかかわらず通常の系統魔法が使えず、しかしながらコモンスペルは一応使えること。
 反面、前代未聞のオリジナルな魔法が使用できること。
 また、ルイズの使い魔となったサイトは、かつての始祖の使い魔のひとり、ミョズニトニルンのルーンと能力を持つこと。
 そして……。

 「実は、もうひとり"虚無"の使い手らしき人物に、心当たりがある」
 その人物の名前はジョゼフ1世。ガリアの無能王として知られる、その名のとおり魔法能力が極めて劣った人物だ。
 しかしながら、彼の姪であるタバサによれば、ジョゼフもまた、彼にしか使えぬ不気味な魔法を使えるらしい。当然、王家の血筋、というか王そのものだし、また、サイト同様に"人間"の使い魔を従えているらしいのだ。
 「貴方がバンダナを愛用しているように、彼女も常に両手を手袋で隠している。幻獣を従えている様子はないし、動作に異様に隙がない点から見て……たぶん、彼女がガンダールヴ」
 「うへぇ、そいつは厄介だなぁ。魔物使いっぽいヴィンダールヴならともかく、戦士とアイテム士じゃまともに戦ったら勝ち目ねーぞ」
 顔をしかめるサイト。
 「お父様、お母様の仇だから言うわけじゃないけど……彼は要注意人物。無能に見せているのは絶対に擬態で、何かしらよからぬ事を企んでいる風がある」
 彼の王の人となりを知るタバサの言葉には重みがあった。
 「──で、青髪のお嬢ちゃんは、あたしたちにどーしろって言うんだい?」
 マチルダが低い声で問う。
 「ルイズとテファが虚無の使い手……あるいはその可能性があると知られたら、ジョゼフ王は何がしかの手を打ってくると思う。ならば、それまでにわたしたちはできるだけ力を蓄えておくべき」
 最悪、日本に逃げると言う手もあるが、それは最後の手段だろう。
 「力って言ってもねぇ……」
 マチルダ、キュルケ、タバサの3人ともトライアングルとしては極めて優秀だし、ルイズの"爆発"の有効性もラインメイジを軽く超えている。
 とはいえ、さすがに同数のスクウェアには及ばないし、そもそも"国家"の元首が相手とあっては、正面からでは数の暴力に屈せられるのがオチだろう。
 「その第一歩として、ルイズとテファが互いの"虚無"の呪文を使えないか試してみてはどうかと思う」

 しかしながら、そんなタバサの提案は、一同の意表をついた。
 ──そして、結論から言うと、彼女の提案はそれなりにの実りをもたらした。
 ルイズはテファの"イリュージョン"を、テファはルイズの"世界扉"を一応ではあるが、習得することができたのだ。
 とは言え、同じ虚無の使い手とは言え、やはり得手不得手はあるのだろうか。ルイズは動かない大雑把な幻を出すのがせいぜいだったし、テファにしても直径30サントほどの小さな"扉"を開いたはよいが、それがどこに繋がっているのかすらわからない始末。
 後者については、テファを日本に連れてくれば、とりあえず繋げる先は解決するかもしれないが、それにしてもこんな小さな穴では人ひとり通るのも難しいだろう。持続時間も30秒ほどだし。
 「でも、習得できることはできるのよね。あとはちょっとずつ練習して慣れていくしかないか」
 ルイズが、コキコキと肩を鳴らしながら言う。
 とりあえず、当面は互いに気をつけて、時々連絡を取る……といった事を約束して、ルイズ達は学院に帰ってきたのだ。

 さて、そんな出来事があったとは言え、残りの夏休みについては、ルイズとサイトは例年どおり日本で過ごした。
 昨年同様、コミケにも参加し、今度はついに1000部の大台の完売も達成することができたのだ。

 そんな風に、ルイズたちの"ともだちの輪"に、テファ(とマチルダ)が加わった以外これといった変化もなく、あまりにいつも通りの暮らしが続いていたので、全員油断していたのかもしれない。
 夏休みが終わり、今日から新学期が始まる……という日になって、突如、トリステインにガリアの軍隊が侵攻してきたのだ。
 名目は、国境沿いの些細な領域侵犯だが、無論それは口実だ。
 言うまでもなくトリステインの首脳陣は泡を食い、和平派、反撃派にわかれて議論が紛糾したが、意外にもアンリエッタ王女がコレを一喝。
 徹底抗戦の構えで臨むこととなり、ルイズの父・ヴァリエール公爵もこれを全面支持した。
 実は、ガリア王がきなくさいことは、サイト自らが将来の義父に伝えており、公爵も手の者の報告から戦争は時間の問題とニラんでいたのだ。
 本来はすでに軍務を退いた身だが、長女とその娘婿というリッパな後継者がいる以上、もはや後顧の憂いはない。
 公爵は、生ける伝説ともいえる妻とともに、対ガリア戦に参戦し、めざましい戦果をあげている。
 また、アルビオンとの同盟も、トリステイン貴族にとって心理的な支えとなった。
 いまやハルケギニア中にその名を知られる「アルビオン華撃団」と彼女らが率いる精鋭部隊の支援もあり、5倍近い兵力差ながらも互角に近い戦いをトリステインは繰り広げていた。
 もっとも、これは防衛戦でかつ短期間だからこそ、かろうじて均衡を保てているのだ。第二次大戦時の日本とアメリカを例にとるまでもなく、国力と生産力の違いは長期戦になれば覿面に効果を表す。

 開戦から3日が過ぎ、そんな情勢の中、魔法学院でも男子学生の志願者が、戦線の後方部隊として出征するという話が持ち上がっている。
 さすがのルイズも、こりゃウカウカしてられないか……と考えていたところに、いきなりの襲撃である。
 ちなみに、サイトは開戦と同時にルイズのそばにピッタリ離れず、警戒を続けており、そのお蔭で最初の襲撃をしのぐことができた。
 非常事態だからとルイズの部屋に仕掛けた赤外線警報装置に、透明な人影の侵入が感知されたのだ。
 とっさにルイズが"爆発"の呪文を放つことで、そのエルフ──ビダーシャルを窓から吹き飛ばすことはできた。
 「その力……シャイタンが"エクスプロージョン"と呼ぶ魔法か。もっとも、随分、弱いようだが」
 「エルフが私に何の用かしら?」
 「我が氏族としては特段用はない。しかし、我らと盟約を交わせし者からの依頼でな……娘、我とともに来てもらうぞ」
 「「だが、断る!」」
 ふたり同時に返事するとともに、ルイズが「イリュージョン」を唱えてビダーシャルの視界を塞ぎ、サーモビジョンを装備したサイトがデルフリンガーを抜いて切りかかった。
 ガキン!
 「ほぅ、狙いは悪くないが……この"反射"は破れまい」
 デルフリンガーがビダーシャルの背中に食い込む寸前で宙で止められていた。
 「ぐぉ、魔法障壁かよ……おい、デルフ、お前の魔法吸収で何とかなんねーの?」
 「やってるさ、相棒! でも、こいつのまとってる力が桁違いで……」
 スラリとふるわれるエルフの剣をかろうじて転がってかわすサイト。
 デルフリンガーの"魔剣"としての能力を"視"て、最適な太刀筋を再現しているとはいえ、彼自身は生身の人間、基礎能力に違いがありすぎる。
 もし彼が、別の世界のサイトのごとく、ロクに運動もケンカも心得のない一介の高校生だったら、10秒ともたずに倒されていただろう(とは言え、原作ではガンダールヴのイカサマな身体強化能力を得ていたわけだが)。
 多少なりとも剣術と武術のイロハを叩き込んでくれた祖父には感謝するが、このままでジリ貧だ。そもそも、こちらの攻撃は相手に届かないのだから。
 もっとも、防戦一方のサイトに、攻撃に気を回す余裕などかけらもなかったが。
 「"バーストロンド"!」
 ルイズの声から一拍遅れて、目の前の地面が爆発し、ふたりは吹き飛ばされる。
 その呪文名でルイズの意図を察したサイトの方は身構えてダメージを最小限に押さえられていたが、さすがに0とはいかない。
 「ぐぉっ、ムチャしやがって」
 とは言え、距離をとって仕切り直しにできたのは有難い。
 それに、あの"爆発"で多少なりともダメージを受けててくれれば……。
 「って、やっぱそんなにうまいことはいかねーか」
 吹き飛ばされた体勢のまま、緩やかに宙に浮かぶ(風の精霊とやらの助けを借りてるのかもしれない)ビダーシャルは、何らダメージを受けた様子もなく、超然とした顔でふたりを見下ろしている。
 「無駄だ。山ひとつ吹き飛ばすほどの威力があれば別だが、お前程度の"エクスプロージョン"では、我が"反射"の守りは越えられぬ」
 「へぇ、そう……」
 平静を装いつつ、ルイズは必死に頭を回転させる。
 (う~、考えろ、考えろ、私。絶対魔法防御を持つ敵を打ち破る方法……アニメでもRPGでもラノベでもいいから、そういうボスの攻略法があるはずよ~)
 もっとも、思い出したからと言って、それをルイズたちが実行できるとは限らないわけだが。
 「──ルイズ! カーズだッ! ジョジョ第二部!!」
 サイトの叫びで、ハッと気づく。
 (できるかしら……ううん、やるしかない!)
 素早く"爆発"の呪文を紡ぎ、ふたたびビダーシャルの体をその"反射"の障壁ごと宙に舞い上げる。
 「なるほど、確かに貴様らが"虚無"と呼ぶ魔法の発動までは防げぬ。しかし、この程度で傷つくことはないと言ったばかりだが?
 それとも助けが来るまでの時間稼ぎか? あいにく、系統魔法の使い手が何人揃ったとて……」
 言いかけてふとビダーシャルは気付く。
 ルイズが、先ほどとは異なる呪文を唱えていることに。
 ──そして、自分の体が徐々に後ろに浮かんでいくことに。
 「レビテーション? バカな、それも無効化されるはず」
 いや、この感覚は持ち上げられると言うより、引っ張られているような……。
 背後を振り返ったエルフの戦士は見た。
 何もないはずの夜空に、確かにポッカリと開いた裂け目のようなものを。
 「な、なんだ、これは……」
 そしてその裂け目に、恐ろしいほどの勢いで、周囲の空気ごと自分が吸い込まれていくことに。
 「こ、こんなバカな!」
 ──それが、ビダーシャルのハルケギニアにおける最後の言葉となった。

 「……終わったわ、サイト」
 自分の開いた"どこでもドア"に、名も知らぬエルフが完全に飲み込まれた瞬間、ルイズはその"ドア"を閉じた
 「あ、ああ。ルイズ。さっきのゲートは、どこに……」
 開いたんだと言いかけて、サイトは、ルイズが震えていることに気付いた。
 「! そうか……」
 先ほど、サイトがカーズの名を出したのは、「勝てない相手ならバシルーラのごとく吹き飛ばしちまえ!」と思いついたからに他ならない。
 だが、ルイズの"世界扉"はその名のとおり"扉"を開くだけで、本来、近くのものを吸い込んだりはしない。
 しかしながら、先ほどのエルフは、恐ろしいほどの勢いで"扉"に引き込まれていった。まるで冥界からの死神の手につかまれた犠牲者のように。それはなぜか?
 「もしかして、あのゲートを繋げた先って……」
 「ええ。"どこでもドア"は、私が知っている場所、直接目にしたことのある場所にしか開けない。
 逆にいえば、見たことのある場所になら開けるわ。
 そう、たとえそれが夜空に浮かぶ月であっても」
 サイトの言葉でルイズがイメージしたのは、まさに宇宙だった。そこから連鎖的に月へと飛ばすことを思いついたのだ。
 あの吸い込むような風の流れは、真空にほぼ近い月面との空気圧の差から生じたものなのだろう。
 「──私、間違いなく、人を殺しちゃったね……」
 たとえ、誘拐未遂犯であろうと、人間と半ば敵対するエルフであろうと、ルイズがその魔法でひとりの"人"を死に(それも事故や偶然などではなく)至らしめたことは事実だ。
 泣き笑いのような表情のルイズをサイトは力一杯抱きしめる。
 「仕方ない、なんて言わねーよ。でも、お前は精一杯できることをやったんだ。そのことは俺が一番よく知ってる」
 だから、もう泣くな……とも、今だけは泣いていいとも言えず、サイトはただただ彼女を抱きしめ続ける。
 駆け付けたタバサとキュルケも、ふたりを見守ることしかできなかった。

-つづく-
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以上です。
お、おもい……これまでの作風に反するかのシリアスな雰囲気に、読者もドン引きされてるかも(とは言え、この展開は一応当初からの予定通りなんですが)。
さらに言うと、実は12話も、これに近い雰囲気のまま進みます。
やってるコトはちょいマヌケ。でも、結果はシリアス。
ちなみに、キュルケたちは、正門のほうで学院に攻めてきた傭兵部隊(陽動?)に立ち向かってました。盲目の焼殺狂はいなかったようで、コッパゲ先生の助力もあって無事撃退し、とって返してきたところで、ふたりの抱擁を目にしてます。
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Author:KCA(嵐山之鬼子)
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