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『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ!』こぼれ話集

 というワケで、いささか蛇足的な番外編です。元々が小ネタな話のさらに、ショートショートって……。しかも、あいかわらず、ネタに走り過ぎてる傾向大。まぁ、この作品に関しては、自重はする気はありませんが(笑)。


『るいとも*Extra-S』

<その1.ガッツ>

「何度言われても同じ。わたしは、向こうには戻るつもりはない」
 …………
「ええ、自分勝手かもしれない。でも、わたしだって自分で道を選ぶ権利はあるはず」
 …………
「確かに貴女を連れて来なかったのは悪いとは思っている。でも、貴女はこちらでは幸せになれない」
 …………
「こちらに貴女の同族はひとりもいない。少なくとも一般にはいないものとされている」
 …………
「空を舞うことも、それどころか自由に正体をさらすことさえ満足にできない」
 …………
「貴女にとっては至極住みにくい世界だと思う」
 …………
「こちらでのわたしは、貴族でも王族でもメイジでさえもない、ただの一般人。この国の法律では未成年ですらある。あなたを守っていく力はなきに等しい」
 …………
「そして何より──お金がない! むしろ借金だらけ」
 …………
「貴女は大食らいすぎる。その食費は決して馬鹿にならない」
 …………
「わたしはまだ学生。学ぶべきことは多く、アルバイトする時間は少ない」
 …………
「お母様の内職の収入では、親子ふたりつつましい生活をしていくのが精一杯」
 …………
「これ以上の扶養家族は、正直、無理ぽ」
 …………
「そう、ここまで言っても……ならば、貴女も覚悟を決めて」
 …………
「貴女のその体で……稼いでもらう」

 ──その後、都内各地の工事現場で、「ゆるめのタンクトップにブルマー」というレアな格好で現場作業にいそしむ謎の美少女の姿が目撃されるようになる。
 気立てがよく素直(お子様でバカなだけ?)、しかも男も敵わぬ力持ち(まぁ竜だし)で、さらに健康的な魅力たっぷり(本来は裸でも気にしない)とあって、現場では、たちまち大人気だったと言う。
 「この(どんぶり飯)いっぱいのために生きているのね、きゅいきゅい!」
 もっとも、色気に目がくらんで近づく男達も、彼女の尋常でない食欲を見ると一様にヤる気を失くしたので、意外と"そういう"問題は起こらなかったらしい。
 「おじさん、A定食お代わり! なのね」

 * * * 

<その2.関西ローカル>

 「やって来ました大阪へ! って言っても研修旅行だけど」
 「おーい、ルイズ、この近くに忠志さんの実家……薫叔母さん家があるんだけど、午後の自由行動で寄ってみるか?」
 「うーん、行きたいのは山々だけど……昨日の晩、お好み焼き食べちゃったのよねー。お昼は焼きそばだったし」
 「? それが、どーした?」
 「え? だって、大阪では、客が来たときのおもてなしに、お好み焼きか焼きそば、さもなければタコ焼きを出すんでしょ?」
 「ヲイヲイ……どーゆー大阪人に対する偏見なんだよ」
 しかしながら、忠志の実家では、東京から来た彼らに気を使ったのか、わざわざ"焼き型"を出してまで自家製のたこ焼きを作り、ふるまってくれたのだった。
 「……すまん、まさか各家庭に"型"があるとまでは思ってなかった」
 「や、ま、美味しいし、見ておもしろかったから別にいーんだけどね。
 それにしても、日本人って、ご飯と主食を一緒に食べるの好きよねぇ。「AIR」でおなじみラーメンセットとか」
 「餃子とか焼売も中国じゃ"麺"の一種で主食扱いらしいしな。でも、お好み焼きやたこ焼きをおかずにご飯食べるのは、関西人だけだと思うぞ。
 まぁ、実際に食べてみたら案外悪くない取り合わせだったけど」
 「でもアレって、一般にはゲテモノ扱いされてなかったっけ? ホラ、「Fate」の……」
 「──藤ねぇのお好み焼き丼か!? コアなネタほじってくんなよ!!」

 * * * 

<その3.人生の先達>

 「……ってコトなんですけど、マスター、何ぞいい考えあります?」
 「ふむ。それは、やはりその少年がハッキリするべきだろうね。態度だけでなく、言葉で、そのお幼馴染の娘に引導を渡すべきだと思う」
 「ただ、アイツは「彼女とはただの幼馴染で、何とも思っていない」って主張するんですわ」
 「ならば、その事を彼の口から、その娘に言わせるべきだな……でないと、そのもうひとりの娘さんも可哀想だよ。彼の方はそちらの子が好きなんだろう?
 「ええ、それは、オレから見ても確かなんやけど」
 「幼馴染だとか家族だとか、ずっと身近にいる関係だからって、気持ちが伝わっているとは限らないからね……手遅れになる前に、正直に気持ちをぶつけた方がいい」
 この店のマスターらしき壮年の男性の言葉には、人生の辛酸を舐めた人間ならでは苦みと重みがあった。
 野球帽をかぶった少年は彼の言葉に感じ入るところがあったようで、何がしかの決意を固めたらしい。
 「すんません、マスター。コーヒー1杯で、相談に乗ってもろて。けど、おかげで、オレも動くふんぎりがつきました!」
 晴れやかな顔で会計を済ませると、少年は店を出て行った。
 「……何か言いたいことがあるのかね、末広くん?」
 「いいえ、何でもありませんわ、マスター」
 シンプルな白のブラウスと膝丈のタイトスカート、その上に店名の入ったエプロンという、いかにも「田舎町のウェイトレス」といった格好をした女性が、微笑を堪えるような顔をして答える。
 シャープな顔立ちの20代後半の美人だが、そういう表情をしていると印象がやわらかくなり、親しみが増すようだ。
「ふん。確かに、"無能王"と呼ばれ、実の弟や義妹にまで手をかけた余が、学生相手の恋愛相談など、はたから見れば滑稽極まりない話かもしれんがな」
 鼻を鳴らすマスターの言葉にも、女性は動じない。
 「それでも、あの少年は心底マスターに感謝してました。
 それに、マスターも相談を受けるのが決して苦痛ではないようでしたが?」
 「……まぁ、ロクな事件など何も起こらんド田舎だからな。退屈凌ぎにはなる」
 拗ねたような、そしてどこか照れたような表情を一瞬だけ覗かせた店主は、再び目を伏せ、カウンターの後ろで洗ったカップを拭く作業に戻った。

 ──カラーーン♪
 「ジョゼフさーん、ぶれんど、いっぱい、ヌルめでおねがい」
 顔馴染みになりつつある客に向かって、店主はわずかに呆れたようなに声を投げる。
 「──古手川さん、また編集さんから逃げて来たんですか?」
 「だ~いじょ~ぶ、締切は明日だから」
 どうやらこの客、作家かマンガ家の類いのようだ。
 「で、あと何枚残ってるんです?」
 「んんー、40枚くらい……かな。いやぁ巧いまとめ方が思いつかなくて。ちょっとアイデア貸してよ」
 古手川と呼ばれた客は、早くも4人掛けテーブルのひとつを占領して、持ってきたノーパソを起動する。いつも通り、しばらくココで粘る気だろう。
 「私なんて、たいしたアドバイスができるとは思えませんが」
 そう言いつつ、その常連客の好みの温度でコーヒーを注いでやるマスター。
 「末広くん。これ、4番さんに頼んだよ」
 「はい、マスター(我が主)」

 * * * 

<その4.新世界の神?>

「素晴らしい! 素晴らしいよ、モンモランシー!」
 熱に浮かされたような声で、恋人が食い入るように自分を見ているのを肌で感じ、少女の心臓は早鐘のように鼓動を刻む。
「そのきらめくような金髪と縦ロール、そしてそれを飾る蒼いリボン!
 華奢な肩から二の腕のラインを引き立てる赤い上着!
 健康的な君の脚線美をあますことなく見せつける短めのスカートと、
 それでいてふしだらではなく清楚な色気を感じさせる黒のスパッツ!
 嗚呼、トレビアンだ! ワンダホー&ビュリホーだ!!」
 恋人の臆面もないストレートな賛辞が、恥ずかしくも心地よい。
 下級生ケティとの三角関係はいまだ完全には解消されていないものの、これほどあけすけに自分を賛美し、熱愛してくれているのだ。
 学生時代に「小娘」に頼られてつい甘い顔を見せることぐらい大目に見てやってもいいのではないか。
 実際、あの"決闘"以降、ギーシュの無節操な女好きはピタリと納まり、自分一筋……なら良いのだが、実際にはケティも含めた二筋になっている。あっちこっちにフラフラしていた時にくらべれば100倍マシである。
 現在の状況だって、自分たちふたりを本気で深く愛しているからこそ、どちらかに決められず、ギーシュ本人も悩んでいるのだろう。

 「いい女ってのはね、モンモン。男を夢中にさせつつも、適度に寛大な顔を見せるものなのよ」
 ゲルマニアから来た同級生の忠告を思い浮かべる。
 「もちろん、無限に甘い顔を見せちゃダメ。でも、基本的には厳しく叱りつつ、どこかの一線で「仕方ないわね」と"赦し"を与えるのは、非常に効果的ね。
 この女性なら自分のことをわかってくれる! そう思わせたならチョロイもんよ」
 男性経験豊富な彼女の言葉には、確かに頷ける部分もある。

 だったら、このあたりが落とし所かしら……と考える彼女は知らない。
 ギーシュが彼女にプレゼントし、着せて鑑賞している服が、"東方(ということになっている)"のとある物語に登場する高飛車お嬢様の服装であることを。
 (嗚呼、神月かりん様萌え~! ぜひとも踏んでいただきたい!)
 口に出さなくなった分成長した(嫌な成長だ)ギーシュが、彼女にキャラを重ねて妄想し、恍惚としていたことを。

 「そんな……わたし、ギーシュ様のためなら、どんな格好だってできますっ!」
 そして後日、対抗意識を燃やしたケティが、ギーシュの秘蔵本に載っていた日野森あずさのコスプレ(アイドルタイプ)をしてギーシュに迫ることを。
 さらに、そのことを知った彼女自身も引っ込みがつかなくなって、以後ギーシュの望むままにコスプレモデルを務めるハメになるという顛末を……。

 ──最終的に、彼ら3人のグダグダな関係は、ギーシュたちが卒業する直前まで続いたという。
 また、ギーシュは後年「アルカイリエ・フロイライン」シリーズと呼ばれる、独創的な女性像作りの名手として、世に広く知られるようになる。
 軍人としては大成しなかったものの、銅像作家として少なからぬ収入と知名度を得られるようになったので、コレはコレで幸せなのかもしれない。

 * * * 

<その5.風王結界>

 デルフです。全編通して、敵にまともに効いたためしのないデルフです。
 デルフです。セリフも数回しかありませんでした。
 デルフです。今は相棒ン家の床の間に飾られてます。
 デルフです。せめて素振りくらいはしてほしいデルフです。
 デルフです。こないだ五月人形と一緒に押し入れにしまわれたとです。
 デルフです…デルフです……。

────────────────────────

 デルフは犠牲になったのだ! チートミョズの犠牲と、な。

 ……2回目だけど、デルフ、まじでゴメン。きっとルイズと才人の子供が厨二病を発症したころに、押し入れから引っ張りだしてくれるよ、ウン。
 ちなみに、その3の野球帽の少年は、コレを書いた当時放映していた「タ」で始まるアニメの脇役。主人公の煮え切らない態度を心配して相談に来た……という脳内設定があったりなかったり。
 後日談としてはもうひとつ、中編とも言うべき番外編があるのですが、そちらは私の他の「ゼロ魔」SS(「桃色の髪の少女」)とのクロスオーバーになってますので割愛。クロス元をこのブログで掲載したら、コッソリ載せときます。

※これ以外にも「宰相の憂鬱」という作品もあるのですが、多少シビアで鬱気味なので封印。
 (それでも見たいという物好きな方は、「るいともファイナル番外編希望」と書いてメールください。テキストを送信させていただきます)
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テーマ : 自作小説(二次創作)
ジャンル : 小説・文学

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No title

こぼれ話集の内容に触れたかったので、こちらに書かせていただきました。
ルイズママのネタを探していたら何故か漂着しまして、通して読みましたが、楽しかったです!
ウェールズ様がらみはこ れ は ひ ど い 、と思いましたが、原作的な別れになるくらいなら、いろいろ倒錯していても現実で幸せになったほうが良いじゃん、と言うのを見せてもらうのは本当に心が温まりました。
喫茶店のとあるマスターとウェイトレス、そしてタバサの母が内職が出来るまでに回復している、そんな小さな幸せがとても嬉しいです。もちろん現場作業員のシルフィードも欠かせませんwww
楽しませていただきました、もしKCA様の気が向くことがありましたら、るいともの続きでもゼロ魔の別の話でも、また読んでみたいです!

Re: No title

貴重な「ゼロ魔」SSへの感想、ありがとうございます。
楽しんでいただけたなら幸いです。

> ウェールズ様がらみはこ れ は ひ ど い 、と思いましたが、原作的な別れになるくらいなら、いろいろ倒錯していても現実で幸せになったほうが良いじゃん、と言うのを見せてもらうのは本当に心が温まりました。
まぁ……この作品で王子様、ワリを喰ってしまったかも。でも、割れ鍋にとじ蓋というか、結果的にいいカップルかな、と(笑)。男装の腐女子姫×女装美青年王子ェ……

> 楽しませていただきました、もしKCA様の気が向くことがありましたら、るいともの続きでもゼロ魔の別の話でも、また読んでみたいです!

ウチの別のゼロ魔タイトル(http://kcrcm.blog85.fc2.com/blog-entry-105.htmlから辿れるモノ)は
見ていただけましたか?
『それだからおそらくは平穏な日々』『桃色の髪の乙女』あたりはご希望に添えるかもしれません。
プロフィール

KCA(嵐山之鬼子)

Author:KCA(嵐山之鬼子)
Pixiv、なろう、カクヨムなど色々書いてます。感想などもらえると大変うれしいです。
mail:kcrcm@tkm.att.ne.jp

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