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『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ!』 06

学園ルイズのつづき、短めです。


『るいとも *その6 魔法の国のルイズ(下)』

 午後の授業が終わると、学生たちは思い思いに放課後を過ごそうと教室を出ていく。
 「ねー、ギーシュ、こないだ頼んでおいた例の品物は、もうできたかしら?」
 手早く勉強道具をまとめたルイズが、錬金の得意な同級生に声をかける。
 「ああ、ルイズか。うん、先週頼まれたぶんはもう終わってるよ。昨日追加で頼まれたのは、さすがにまだだけどね」
 「それで十分よ。私の部屋に"報酬"が用意してあるから、10個とも運んでくれる? レビテーション使えば重くもないでしょ」
 ちゃっかり、運搬の手間も省く、抜け目のないルイズ。
 「ちょっと、ルイズ、何のこと?」
 彼氏のことだけに気になるのか、モンモランシーが探りを入れてくる。
 「別に心配しなくてもいいわよ、モンモン。ほら、ギーシュの錬金ってなかなか器用じゃない? だから、小さめの青銅像制作を仕事として頼んだだけだから」
 ルイズがアッサリそう答えると、モンモランシーはあからさまに安堵した様子だったが、ルイズやキュルケの生暖かい視線に、我に返る。
 「べ、別にルイズにギーシュを取られるとか、そーいうことを心配したわけじゃないんだからね!」
 お約束なモンモランシーの台詞に、さらに生ぬるい笑顔になるルイズたち。
 (いやぁ~、あまりにストレートなツンデレっぷりが、いっそ気持ちいいわね)
 (──ツンデレの基本にして王道。男の子ならイチコロ)
 (ルイズ、タバサ、その"ツンデレ"って何よ? ……いえ、いいわ。モンモン見てたら大体わかったような気がするし)
 額を突き合わせて人の悪い笑みを浮かべつつ、そんな囁きを交わすバッドガールズ。
 「……何だかバカにされてるような気がするんだけど?」
 さすがにこうまであからさまだと、モンモンもそれとなく空気を察し、不機嫌になる。
 「アハハ、ごめんごめん。それにしても、モンモンも大変ねぇ、ああいうナンパ男が恋人だと」
 「う……い、いいじゃない。恋人がいないルイズに言われたくないわよ!」
 開き直ったモンモランシーの言葉にきょとんとした顔をするルイズ。
 「へ? 私? 私は一応恋人いるけど」
 「「「な、なんだってーーーーっ!」」」
 キュルケやモンモンだけでなく、その場にいたクラスメイトたちまでが、あまりにも意外なルイズの言葉に異口同音に叫んでしまう。
 「あれ? 言ってなかったっけ……?」
 「は、は、初耳よーーッ! 相手は誰っ?」
 密かにルイズの親友を自認していた(無論、正面きってそんなことは言わないが)キュルケが、彼女らしくない慌てぶりを示す。
 「それらしい人がいることは、聞いた」
 ちなみに、タバサは、何度か少年漫画を借りてるときに、親しい男友達の存在を聞いていたため、さして驚かなかった様子。
 「えっと、断っておくけど、この学院の生徒じゃないわよ」
 ルイズのその言葉を聞いて、女生徒の何人かが安心した素振りを見せる。
 多少変わり者とはいえ、彼女は顔よし&家柄よし、おまけに頭よしで、性格だって決して悪くはないのだ。学院での出会いを夢見る女の子からすれば、手強いライバルが減ってくれて、バンバンザイといったところか。
 いつまでも教室前でたむろしているのも体裁が悪いので、女子寮の方へとルイズ達は歩きだした。
 「んーと、確かキュルケとタバサには、ウチのエレオノール姉様の婚約者が、東方出身のゲルマニア貴族だって話はしたわよね?」
 コクコクと頷くふたり。
 「近々義兄になるその人──イノー卿には、私と同い年の従弟がいるの。卿とは月に一回くらいお会いするんだけど、その時にはたいてい彼、サイト・ヒラガーも同席しているのよ」
 「つまり、その従弟の方がルイズの恋人ってこと?」
 「うん、そんな感じ」
 ルイズは決して嘘は言っていない。
 月に一度くらいの割合で姉の婚約者、伊能忠志を日本に連れ帰っているのは事実だし、向こうでの"扉"の開け先は才人の部屋なのだから、大概向こうで才人と顔を合わせることになる。
 もっとも、実際には忠志から才人を知ったわけでなく、才人の従兄ということで、彼とエレオノールの縁ができたわけではあるが、正確に説明するのはいささか面倒くさい。
 「なるほどねぇ。あ! じゃあ、ルイズがよく使ってる"東方の珍品"って……」
 「ご明察。イノー卿の故郷から、ツテで仕入れてもらったものよ」
 ただ、いくらツテがあるって言っても、無料ってワケにはいかないから、私の方でも色々こっちの品を向こうで売ってもらってるのよ……と、締めくくる。
 「へぇ、つまりギーシュの錬金の産物を東方で売るわけね。でも、わたしが言うのも何だけど、ドットメイジのギーシュなんかの作品が売り物になるの?」
 なりゆきで3人に同行していたモンモランシーが疑問を呈する。
 「ああ、そのヘンは平気よ。東方の品がこっちで珍しいのと同様、あっちでもこちらの物は貴重だからね。それに、ギーシュのブロンズ像って、意外に評判いいみたいよ」
 ちなみに、大方のご想像どおりルイズの普段の販路はネットオークションだ。ただ、今回大量発注した分は、才人が夏コミで出展するブースに委託するためだったりするが。
 「おお、ちょうどよかった。ルイズ、頼まれた分を持ってきたから、部屋に入れてくれないかい?」
 話しながら歩いていたせいか、一度自室に戻ったギーシュとは、ルイズの部屋の前で鉢合せすることとなった。
 「ん。いーわよ」
 年頃の淑女らしからぬ潔さで、あっさりギーシュを部屋に招き入れるルイズ。
 これまた年頃の淑女らしからぬ、あまりに雑然とした彼女の部屋に、初めて足を踏み入れたギーシュとモンモランシーは驚きを隠せない。
 ベッドとタンス、机がひとつに、イスとチェストがふたつずつ。
 ここまでは、学院の女生徒としてはごく標準的だが、それに加えて安っぽいつくりの棚(日曜センターで買ってきたカラーボックス)に、所狭しと見慣れぬ小さな人形(トレーディングフィギュア)が飾られている。
 また、部屋の壁もエキゾチックな筆使いで少女達が描かれたタペストリー(主にアニメイトで購入)の数々で埋め尽くされている。
 今は慣れたが、キュルケやタバサも初めて見たときは驚いたものだ。
 「こ、これも東方のお土産、なの?」
 「んー、まぁね……」
 モンモンランシーの疑問に生返事しつつ、ルイズは、ギーシュが運んできたブロンズ像を一個ずつ検分している。
 「それにしても、ルイズ、この鎧を着た亜人みたいな像は何なんだい?」
 ギーシュはお手本にするようにと渡された見本の像(実はガレージキットなわけだが)について尋ねる。
 「えーと、それはアレね。確か東方のとある都を15体の異形の化け物たちから護り抜いた3体の守護神よ」
 無論、「都」とは第三新東京であり、「異形」とは使徒のことだ。
 「こっちの不思議なデザインのドレスを着た女性像は?」
 「ああ、それは向こうの女神様よ。"時"を司る3姉妹の次女で、"現在"を司ってるんじゃなかったかしら」
 確かベルダンディーとか言う名前だったと思うけど……と続けて、ギーシュがコピーした方のブロンズ像を見る。
 「む。僅かにモールドの甘い部分もあるけど、こちらのベルダンディー像の方がエヴァよりデキがいいわね。さすがはギーシュ」
 「フッ、僕は薔薇を愛する者だからね。やはり女性の美を表すことにこそ本領発揮できると言うものさ」
 もっとも、その女神像は我ながら会心の出来映えだと思うが、と付け加えるギーシュ。
 この時の会話が頭に残っていたせいか、2年生進級時の使い魔召喚で、彼は己れの使い魔(♀)によく似た名前をつけるわけだが、まあそれは別の話である。
 「ん~~、ま、大方こちらの予想通りの出来ね。ありがと。じゃあ、これはお礼」
 紙袋に包んだ何かの書物らしきものをルイズはギーシュに差し出す。
 「おっと! ギーシュ、流石に女子寮に長居するのはマズいと思うわよ。用が済んだら男子寮に帰ったほうがいいんじゃない?」
 ホクホク顔で包みを開けようとするギーシュを制止し、チラッとモンモンに視線を走らせる。
 ハッと我に返ったギーシュは挨拶もそこそこにそそくさと帰っていった。
 「……ねぇ、ルイズ、さっきギーシュに渡したのって、何?」
 モンモランシーも一緒に出て行ったのをみはからって、キュルケが尋ねる。
 確かに、ギーシュは器用だし錬金を得意としているが、高さ30サントとは言え、精密な青銅像を10個も作るのは、それなりに骨が折れるはずだ。
 それだけの労を厭わないのだから、当然あの書物は彼にとって相応に価値があるものなのだろうが……。
 「大したモンじゃないわ。ホラ、これよ」
 チェストからルイズが取り出したのは、この部屋のタペストリとよく似た手法・タッチで少女たちの姿が描かれた絵が多数載っている本だった。
 ブッちゃけて言うと、萌え系エロゲーのイラスト集。ゲーマーズやらとらのあなやらで3000円程度で売ってるアレだ。
 「手に入れるのは、ちょっと苦労したんだからね」
 主にルイズの羞恥心的に、と言う意味での話だが。

 さて、そんなこんなで夜。
 とりあえず明日の授業の予習を済ませたルイズは、チェストの中から先週末日本で買っておいたフ●ミ通を取り出して、ベッドに寝転がってページをめくる。
 「うーん、コチラにいる間は据え置き機ができないのが難よねぇ」
 ちなみに、DSとPSPは、大量の乾電池&アダプターと一緒にしっかりチェストに入ってたりする。
 「ノーパソ買ってもいいんだけど、一週間もバッテリーが保つとは思えないし」
 最近のバッテリーはそこそこ性能は上がってはいるが、さすがにそれは無理だろう。手元にあったら彼女は絶対毎日数時間使うだろうし。
 この際だから、発電機でも買っちゃおうかしら……と考えていると、コンコンと扉がノックされた。
 「どうぞー」
 「失礼します、ミス・ヴァリエール」
 恐縮しつつ部屋に入ってきたのは黒髪のメイド、シエスタだった。
 「あの、よろしければお茶をと思いまして……」
 「あら、気が利くわねー、ありがと、いただくわ」
 シエスタの持ってきたトレイに載っているのは、ハルケギニアの人々には見慣れぬ形をしたティーポットとコップ──急須と湯呑だ。
 「相変わらずシエスタは緑茶を入れるのが上手ねぇ……ね、ウチのヨメにならない?」
 「い、いえ、そんな……で、でもわたし、ミス・ヴァリエールならお姉様と呼んでも……」
 ルイズの冗談にクネクネと体をよじって過剰反応するシエスタ。
 (し、しまった。この娘には、先週から「マリみて」と「ストパニ」貸してたんだっけ)
 実は、この学院で東方語(と称する日本語)を読み書きできる人間は、ルイズとタバサ以外にもうひとりいて、それがこのメイド、シエスタだったりする。
 何でも祖父からひらがなとカタカナを習っていたそうで、小学生用の辞書を渡したら、マンガ程度は簡単に読めるようになっていたのだ。
 身近に同好の士がいるというのはやはり嬉しいため、ルイズも彼女の日本語読解力を上げるべく、コミックやラノベの類いを色々貸してみたのだが……どうやら、「そっち」系に染まりつつあるようだ。
 妙に熱っぽく頬を赤らめるシエスタの視線に、ひきつるルイズ。とりあえず新しく「らきすた」と「落花流水」を貸して、ていよく追い払ったのだが、もしかして貸す本のチョイスを間違ったかも、と思い当たるルイズであった。
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以上。奇行と言うか、ルイズさん、学院をヲタ色に染めすぎという気もします。
ちなみに、コルベール先生にも、ヨカラヌことを頼んでいたりいなかったり……。
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テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

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