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『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ!』09

いろいろあって、すっかりご無沙汰してしまいました。反省。


『るいとも *その9 軽井沢しんどろ~む』

 ガタンゴトン、ガタンゴトン……
 「さて、ルイズさんや。あのプールに行った翌々日、親がひと足先に行って待っている軽井沢の別荘目指して、俺達6人は電車に乗ってるわけだけど……」
  ──エリーさん、こっちやで~、荷物貸しぃ
  ──あ、ありがとうタダシ
 「何気に説明口調ね、才人」
  ──わぁ、何これ、はやーーい!
  ──これでも新幹線よりはだいぶ遅いんやけどな
 「そこんトコは突っ込まないのが紳士淑女のたしなみだゼ、ベイベー」
 「おk、了解した」
  ──ふわぁ……アレって全部タンボ? 畑とは少し違うのよね?
  ──まぁ、「日本人はお米族」とも言うさかい
 「一昨日から思ってたんだけどさ、なぁ、ルイズ、エレオノールさんって……」
  ──え~お弁当にお茶、ジュースはいかがでしょうか~
  ──あ! タダシ、タダシ! 外で売ってるアレが「エキベン」ってやつね?
  ──ああ、そや。にしても、今どきホームの駅弁販売ってのも珍しいなぁ
 「……言わないで。私も、初めて知ったんだから」
  ──エキベン、買いましょ、エキベン!!
  ──あの、お姉様、車内で「駅弁」と連呼されるのは、嫁入り前のレディとして、ちょっと……
  ──はは、穿ち過ぎですよ、カトレアさん。それに、エレオノールさんなら、すでにもらってくれる人が決まってるじゃないですか
 「なんつーか、その……遠足とか行く時、前日の夜からワクワクして眠れないタイプ?」
  ──へ~、中はこんなになってるのねー
  ──エリーさん、フォークやのぅて大丈夫か?
  ──ハシのこと? 心配しなくても、最近だいぶ練習したんだから
 「そーらしいわね。で、行きのバスの中でもテンションMAXではしゃいで、いざ目的地に着くと、疲れきってるタイプかも」
 不器用な手つきで箸を握り、駅弁と悪戦苦闘している長姉の姿に溜息をつくルイズ。
 確かに、10数回の破談の末やっと見つけた「運命の人」の前では、姉が少なからず女らしく可愛くなることは、先のプールなどから理解はしていた。
 ヴァリエール家の長女として厳格に振る舞うかつてのエレオノールの姿しか知らなかったルイズとしては、ひとりの「女」として婚約者に甘える姉の姿は新鮮であり、素直に「よかったね、お姉様」と言えるのだが……。
 いくら浮かれているからって、「女」から「女の子」、それも「ょぅt゛ょ」に近いレベルまで退行するのはいかがなものか。
 ほっぺについたご飯粒(とゆーか、どうやればあんなところに米粒がつくのだろう?)を忠志に取ってもらい、そのままパクリと食べられて真っ赤になってる姉の姿に、呆れを通り越して感動さえ覚えるルイズだった。

 ともあれ、列車が目的地につき、タクシーで平賀家の別荘まで向かう一行。
 別荘にはカリーヌと平賀ママこと那美が待っており、子供たちが無事についたことを喜んでくれた。
 ……ただ、別荘の中庭にこしらえられたテニスコートが、まるで台風に直撃されたかのようにボロボロになってたことだけは、少々(というか大いに)気になったが。
 「なぁ、ルイズ。アレって……」
 「見なかった! 私たちは何も見なかったのよ、才人!!」
 よく見れば、カリーヌや那美の体にも絆創膏や痣のあとが見受けられるのだが、追及するのは恐いので断念する。
 烈風カリンは言うに及ばず、穏やかな外見に似合わず才人の母も、薙刀と合気道を合わせて十段の猛者である。いったい、どのような"死合"がくり広げられたのだろう。
 自家製コートがそういう状況なので、仕方なく近くの貸コートまで出かける6人。
 その際、スコートの短さにエレオノールがもぢもぢと恥ずかしそうに身をよじったり、それを見てルイズと忠志が顔を見合わせて「グッ!」とサムズアップしたりしたのはお約束。
 豪奢な金髪を長く伸ばし、パッと見性格がキツそうに見える(そして実際キツい)エレオノールがテニスウェアを着てると、まさに「お蝶夫人」といった趣きなのだが、その印象に似合わぬ恥じらいぶりが「ギャップ萌え」を醸し出すのだ。
 ちなみに、当のルイズは最初から短パンを履いており、才人が「裏切ったな、ボクの気持ちを裏切ったんだ!」とorzな姿勢をとったとか。
 まぁ、半分以上はネタだし、「今度、家でブルマ&体操服のコスプレをしたげるから」とルイズが耳元で囁くことで、アッサリ立ち直ったワケだが。
 健康になったとはいえ、カトレアはやはり体力がないし、アカデミー勤めのエレオノールや、ヲタ娘のルイズも似たようなものだ。
 どの道素人のお遊びなのだし、男性陣とペアを組んで、試合というほど厳しくはないラリー合戦を、交代で楽しむこととなった。
 意外にも、いちばん上手だったのが礼人・カトレア夫妻。高校時代、卓球部だった礼人は無論のこと、カトレアも気配り上手なその性格故かコート全体を見渡して冷静に先読みするのが巧いのだ。
 忠志・エレオノールペアの場合、体育会系の忠志はともかく、普段運動とは無縁のエレオノールが、さらにスコートの裾を気にしているのでロクに戦力になっていない。
 才人&ルイズ組はさすがに若いだけあって体力はそこそこあるのだが、ヲタクの性故か、「竜巻サーブ!」「クインビーダイナマイト!」「ヒロミスペシャル!」「スパイダーガッデム!」などとネタに走ってしまい、結局自爆してしまい、最下位となった。
 (さすがに「「必殺! ツイン・ビーム!」」をやろうとした時は礼人に「危ない」と怒られた)
 ほどよく汗を流したところで、別荘に戻って休憩。ふたりの母親の合作だと言うお昼ご飯を皆でパクつく。
 那美はともかくカリーヌに料理ができるのか、と思うかもしれないが、彼女はもともと下級貴族の出身であり、また若いころ軍隊にいたため、それなりの心得はある(あくまで「男の手料理」に近いレベルの"それなり"だが)。
 もっとも、今日の昼食は、わざわざ飯盒で炊いたご飯と大鍋のカレー、あとはザク切りレタスサラダだったから、それでも問題はなかった。
 ちなみに、エレオノールが辛いのが苦手でミルクと蜂蜜を足さないとカレーを食べられないと知った時、ルイズが「アンタ、お子様か!? 私を萌え殺す気ですか、お姉様」とこっそり呟いていたことは、両者の名誉のために伏せておこう。

 昼食のあとはいったん解散して、それぞれのカップルごとに思い思いに過ごす。
 エレオノールと忠志は商店街に散策に、カトレアと礼人は渓流釣りに、そしてルイズと才人と言えば……。
 シパパパパパパパパパーーーン!
 「いやぁ、大自然の中で、SIG 556を思い切りブッ放すってのも、気分いーわねー」
 「まさか、長物持ってくるとは思わんかったぞ、ヲイ」
 こんなところまで来てモデルガンの射撃練習をしていた。
 「バクテリアが分解して土に返るエコBB弾だから、拾う手間も必要ないし」
 「わざわざそんなものまで買ったのかよ!?」
 「さぁ、才人、模擬戦しましょ、模擬戦。才人にはこちらのウージー貸してあげるから」
 「そんなモンまで持って来たんかい!」
 ──ま、まぁ、彼らなりに軽井沢の"自然"を堪能していた模様。

 その晩。
 近所の花火大会に6人で出かけ(母親ふたりはサシで飲んでいた)、女性3人の浴衣姿を男性陣が褒めちぎったり……。
 夜道で蛍の群れを見て珍しくカトレアが興奮して喜んだり……。
 人ゴミの中でエレオノールの下駄の鼻緒が切れて、忠志に背負われて帰ることになったり……。
 花火の打ち上げ時に、「たーまやー」「かーぎーやー」「はっぱやー」「きょくげー」「はちがつー」とヲなやりとりをルイズと才人が繰り広げたりしたのは、まぁ、お約束の範疇であろう。
 「で、それはいいとして、才人、コレはどーいうこと?」
 ねじりハチマキしておもむろに机に向かう才人を、半眼でニラむルイズ。
 花火大会から戻り、別荘の自室に入ったのち、ふたりで朝まで耐久古龍連続狩りマラソンを企んでいたのでアテが外れたのだ。
 「たしか、夏コミ用の原稿は一週間前にあげて印刷所に持って行ったんじゃなかったっけ?」
 「おう、今回は奮発して500部刷ったかんな! ルイズもコスプレしての売り子頼むぜ?」
 「うん、サークルチケットくれるんなら協力してもいいけど……で、ソレは何なのよ?」
 白いケント紙に金属製定規と2Bの鉛筆というのは、才人がマンガの下書きをする際の定番スタイルだ。
 「いやぁ、どーせなら、コミケ限定のコピー本も出そうかと。「なのは」の第三期も始まったし、クロノ×フェイトで義兄妹イチャイチャ物でも」
 「ん~、個人的には、「StS」は、イマイチ好きじゃないわ。ちょっとキャラ多すぎ」
 「でも、夏コミでキャロのコスプレはしてくれるんだよな? すんげェ似合いそうだし、楽しみにしてるぜ」
 「それで、メインの売り物が「ハルヒ」本、コピーのほうもクロフェイって、サークルとして、どーかと思うけどね」
 文句を言いながらも、お茶を入れてくれる(PETボトルの、だが)あたり、同人活動に理解のある恋人っていいなぁ、と思う才人であった。
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以上。もちろん、次回は夏コミ(けっせん)のお話です。
ちなみに、両家のパパンは、お仕事が忙しくてお休みが取れず、おいてけぼり。
多少無理すれば合流できそうな明人はともかく、どんなにあがいても「無理ぽ」な公爵様は、こっそり涙で枕を濡らしてます。
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