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『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ!』11

今回も、ルイズが好き放題やってます。


『るいとも *その11 ほんとうのたからもの』

 長いようで短かった夏期休暇が最終日に差し掛かり、(たとえその本性がヲタクまっしぐらだとしても)表面的には「名門ヴァリエール家のご令嬢」ということになっているルイズは、夏休みが終わる前日に学院に戻った。
 その際、ちゃっかり女子寮に固定してある世界扉を利用し、本来は丸一日以上かかるはずの実家からの行程を、わずか1分に短縮するというズルをしてたりするのが、いかにもルイズらしいが。
 ヴァリエール家→(臨時扉経由)→平賀家→(常設扉経由)→魔法学院
 ……という寸法だ。
 もっとも、そのせいで、ちょうどルイズの部屋を掃除していたシエスタを死ぬほどビックリさせたりもしたが。
 「実はちょっと前に帰ってたけど、シエスタを驚かそうと思って、タンスに隠れてたの、てへ」と、語尾にハートマークをつけてアピールすることで、なんとか誤魔化すことには成功した。
 おかげでシエスタの百合化ゲージがさらに上がったりもしたが、この場合、背に腹は代えられまい。
 シエスタの悲鳴を聞きつけて、すでに寮に帰っていたキュルケやタバサもやって来たので、ちょうどよいとばかりに、スポーツバッグに詰めた日本からのお土産を、彼女たちに渡すことにする。
 「まずは、これ、タバサに。たぶん、こーいうの好きだと思うし」
 タバサは濫読家であり、基本的に大概の本を読むが、ルイズが貸した本の中では、王道系少年漫画がとくに好みなようだ。
 ブックオフで見つけた文庫版の「ダイの大冒険」と「うしおととら」の全巻セットを進呈する。また、勇者という言葉に弱いみたいなので「ロードス島戦記」もひと揃え買って来た。
 「小説の方は、続編もあるみたいだけど……まぁ、機会があれば手に入れてみるわ」
 冬休みには、「ワンピース」や「ARMS」、「はじめの一歩」などを買ってこようかと考える。
 「ありがとう……代金は?」
 「ん? 別にいいわよ、おみやげなんだし」
 「でも、東方からの希少本だから、高価なはず」
 あ~、そういえばそういう建前だっけ、と考え込むルイズ。
 この夏休みは、貿易商でもあるイノー卿に同行し、彼やサイトの故郷へ行って来たというフレコミなのだ。
 全巻セットだから安くはないが、古本だし、夏コミのフィギュア代や売り子をしたぶんの臨時収入も入ったので、さほどの痛手でもないのだが。
 とは言え、確かに「ハルケギニアでは滅多に手に入らない東方の書」だ。無料では気が咎めるというタバサの気持ちもわからないでもない。
 「じゃあ、体で払ってもらうわ……そこ! ヘンな妄想抱かない!」
 鼻血を吹きそうなシエスタとドン引きしてるキュルケをニラみつける。
 「今度、私が”絵”を製作する時のモデルに、何回かなってもらうだけよ。あ、もちろん、裸婦画じゃなくて着衣の絵だから安心して」(ニヤリ)
 じつは、この時、ルイズの頭によからぬアイデアが浮かんでいたのだが、その詳細については別の機会に譲ろう。
 「で、こっちがキュルたんへのお土産」
 「だから、キュルたんって呼ぶのはヤメなさいって! ……あら、これ化粧品?」
 「そ。あっちで今流行ってる口紅とオー・ド・トワレよ。キュルりんの場合、そういうののほうが嬉しいでしょ」
 「ヘンなあだ名で呼ぶのはヤメてってば。ま、それはそれとして……うん、いい色ね。香りの方も上品だし、いいセンスしてる。ありがと」
 「どーいたしまして。報酬はモデル1回でいいわよ」
 半ば冗談だったのだが、キュルケも「ま、それぐらいならいいわ」と頷く。
 (ラッキー! これで、バリエーションが増えるわね)
 "悪だくみ"がさらに充実することを内心喜びつつ、最後にお茶の用意をしてくれているシエスタに呼びかける。
 「それから、これをシエスタに」
 「ええっ!? いいんですか、わたしみたいな者にまで」
 「いいも何も、最初からそれはシエスタ用に買ったものだからネ。
  ただし! 人に見られると結構ヤバいから、自分の部屋でこっそり読んでちょうだい」
 わざわざルイズがこう念を押してから渡したのは、紙袋に入った何冊かの薄っぺらい本──夏コミで買った同人誌だ。
 それも、シエスタのシュミを考慮して「神無月の巫女」や「ストライクウィッチーズ」、「おとボク」といったそれ系ジャンル(最後のは微妙だが)の作品を集めてあるうえ、正直年齢指定級のものも混じっている。
 感激してペコペコ頭を下げるシエスタに、鷹揚にうなずくルイズ。
 (まぁ、これでシエスタの"嗜好"が「年上のお姉様萌え」になってくれれば、私の身は安全だしネ)
 ……意外と黒いコトを考えていたようだが。

 それからしばらくは、お茶を飲みながら夏休み中の思い出を語り合う。
 とはいえ、タバサは自分のことを殆ど話したがらないし、キュルケもあまり実家にいい思いを抱いていない。
 自然とルイズが中心になって、東方(と称する、日本)のことを脚色翻案を交えて語ることとなった。
 「へー、東方じゃあ、そんなに風にマジックアイテムが発達してるのね」
 「わたしたち使用人の仕事も随分楽になってるんですねぇ」
 キュルケや(半ば強引に誘って同席させた)シエスタは、単純に感心してるだけだが、タバサは何事か考え込んでいるようだ。
 「不治の病で余命いくばくもないと言われたルイズの姉上を完治させた、東方の医療技術。大変興味深い。(それがあれば、あるいは……)」
 「ん? タバサぁ、誰か身内に病人でもいるの?」
 「──いえ、ちょっと。それより、あちらには、そんなに大きな書店があるの?」
 「そーなのよ! この学院の宝物庫に匹敵、いえ下手したら上回るくらいの大きさの建物が丸ごと本屋になってるの。便利よね~」
 その時のルイズが脳裏に思い描いているのは、秋葉原のとらのあなやアニメイトだったりするわけだが。せめて書泉にしとけ。
 「電化製品(マジックアイテム)の質や値段もピンキリでね。庶…平民でも買えるようなものから、「こんなのよっぽどの金持ちしか買えないわよ!」ってものまで様々なの」
 無論、ハルケギニア(こちら)の東方──ロバ・アル・カイリエは、実際には違うのだろうが、何、どの道そうそう東方へ行く機会などないのだ。バレる心配はまずない。
 ルイズの(肝心なところをボカした)東方見聞録を友人たちは興味深々で聞くのだった。

 さて、その日の夜。
 夕食もとっくに済み、学院内の大多数が眠りについたであろうその時間帯に、ルイズはタンスの奥から平賀家に赴く。
 「んーー、誰だよ、こんな夜中に……ってルイズか」
 才人はすでに寝ていたようだが、引出から飛び出す際の物音で目が覚めたようだ。パジャマ姿でベッドの上に眠そうに身を起している。
 「ああ、ゴメン、ゴメン。ちょっとヤボ用があるだけだから、才人は寝てていーわよ」
 こちらも寝巻(ネグリジェ)姿だが、カケラも気にする風がないルイズ。
 十年間も幼馴染をやってるうえ、身体まで許した今となっては、もはや遠慮や恥じらいとは、ほとんど無縁の境地にあるらしい。
 「ふわぁ……いーよ。お前が帰るのくらい見送る」
 その点、男の見栄故か、まだ才人のほうが多少の気遣いが見られた。
 「そ。じゃあ手早くすませるわ」
 ルイズは深呼吸すると、いつもの「世界扉」のスペルを使用してみた。
 微かな手ごたえとともに、直径30サントくらいの小さな"穴"が開く。
 「むぅ、仮眠はとったんだけど、半日じゃあ、やっぱこれが限界か。まぁ、いいわ。目的の場所にはつながってるみたいだし」
 そう呟くと、ルイズは穴の向こうに呼びかける。
 「姫様! ひーめーさーまー!」
 押し殺したような声だったが、すぐに応えはあった。
 「待ってたわ、ルイズ! 今日は何のご用なのかしら」
 ひょっこりと穴の向こうから、ルイズに負けず劣らずの美少女の顔が覗く。
 トリステイン唯一の王女にして第一王位継承者たるアンリエッタだ。
 じつは、先日、彼女宛てに、「今日の深夜に"どこでもドア"を使って連絡する」と手紙を出しておいたのだ。
 「ご承知のとおり、あまり時間がないので、要件だけ。この荷物をお受け取りください。こちらの"聖地"で入手した、姫様ご所望の逸品ですから」
 「ああ……まさか、ひょっとして……アレ?」
 「ええ、ソレ、です」
 「しかもこんなにたくさん! 感謝します、ルイズ。お礼に何を差し上げたらよいものやら」
 「や、別にいーですよ。姫様はお友達ですし。今度、今回みたくハンパな形じゃなくお会いしに行きますから、その時には美味しいお菓子でも食べさせていただければ」
 「ありがとう、ルイズ。直接お会いできるのがたのし……」
 感激する王女の言葉の途中で、フッ! と穴が消える。
 「なるほろ。夏コミで、めぼしいやおい本買い漁ってたから、てっきり(腐)に目覚めたのかと心配したが、そーいうワケか」
 「そ。安心した? じゃあね、才人、グンニャイ!!」
 チュッと才人のほっぺに軽くキスをすると、ルイズは学院の自室に帰っていった。
 「ははっ、いい夢見られそうだ。おやすみ、ルイズ」
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以上。本作のルイズと才人の(肉体含む)男女関係は、たがみよしひさや陸乃家鴨の漫画の恋人同士のごとくあっけらかんとした感じを想定してます。
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テーマ : 新世紀エヴァンゲリオン
ジャンル : アニメ・コミック

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