FC2ブログ

『ルイズは悪友(とも)を呼ぶ! After』その2

珍しく連続更新。とはいえ、スランプは継続中で、リライトのみですが。

『るいとも *Aの2』

 さて、サイトがルイズの使い魔になってから初めての虚無の日。
 サイトとルイズのふたりは、KSRに仲良くタンデムして王都トリスタニアに向かっている最中だった。
 「えっ、いきなりそこ!?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれないが、考えてもみてほしい。
 このサイトとルイズは、もともと知り合い……というか幼馴染で親友で恋人(事実上の婚約者)と言う、固い絆で結ばれた間柄なのである。
 いまさら使い魔契約のひとつやふたつでふたりの関係が変わるはずもない。
 また、現代日本に異様に(ある意味、間違った方向で)適応しているルイズほどではないにせよ、サイトもハルケギニアのことについては、ルイズから散々話は聞いている。
 しかも、このサイト、長年日本でヲタク系女子なルイズのフォローをしてきたせいか、エアリード能力が原作よりも格段に高いのだ。
 "違いのわかる男"ならぬ"空気の読める男"なのである。
 というか、そもそも使い魔として学院にいる時間自体、虚無の日以外は、放課後から夕食時までのあいだのみと、非常に短いのだ。
 これでは、そうそう厄介事など起こるはずがない。
 一応、ルイズのこちらでの友人──メイドのシエスタや、同級生のモンモン、ギーシュと言った面々と顔合わせぐらいはしたが、反応は極めて淡泊だった。
 サイトは「ヴァリエール家と姻戚になった、東方の非常に富裕な平民」ということになっているため、トリステイン貴族ふたりのそっけなさは仕方なかろう。
 もっとも、より正確に表現するなら「ルイズの次姉の夫の弟で、かつ長姉の婚約者の従弟」だから、ヴァリエール家との因縁は非常に深いのだが。
 シエスタに至っては、そもそも男性に興味がない。まあ、「単なるお友達」としては、それなりの友好関係は築けた様子なので無問題だろう。
 ともあれ、ルイズとサイトの日常はほとんど変化することなく、この一週間が過ぎていたワケだ。
 今日は「せっかく大っぴらにこっちに来れるようになったんだから、街の様子なんかも見てみたい」というサイトのリクエストに応えて、ルイズがトリスタニアを案内することになったのである。
 「?」
 そうこうしてるうちに、トリスタニアに着き、街の入り口の馬屋にバイクを預けて、ふたりは街中へと出て来たのだが、なぜかサイトは首を傾げている。
 「どうかしたの?」
 「いや、大したことじゃない」
 (妙にKSRの調子がいい気がすんだよなぁ。ま、不調じゃなきゃ別にいいか)
 気をとり直して、トリスタニア観光にいそしむサイト。
 「うーん、地球(むこう)のヨーロッパの中進国の町中って、こういう感じなのかもな」
 物珍しげにあたりを見回すサイトだが、見かけほど隙だらけではないようだ。
 その証拠に、さっきぶつかってきた男の手をヒネりあげて、スラれた財布を取り返している。
 実は、このサイト、単なる格闘技マニアというわけでなく、母方の祖父からたまに"簡単な手ほどき(手足の皮がずる剥けて血豆が潰れるほどの稽古をそう呼べるなら、だが)"を受けている。
 達人と言うにはほど遠いが、段位にして剣道二段・合気道初段くらいの実力は備えているのだ。
 付け加えると、段位合計十段の母の折檻(しつけ)を幼いころから受けて育ったため、耐久力と危険察知能力に関しては、すでにプロレスラーや職業軍人に匹敵すると言ってよいだろう。
 あからさまに接触してくる怪しい人間をとっ捕まえてボコることくらいは、チョチョイのパッパである。
 「誰が粗暴な天体戦士か、誰が」
 「? どうしたのよ、サイト、唐突に」
 「い、いや、何かこう、理不尽な紹介をされたような気がして……」
 そんなことを言いながら、ルイズの案内で下町の武器屋に入るふたり。
 「貴族の奥様、ウチは……」
 「客よ。あとセールストークは不要ね。勝手に見て回るから」
 「……」
 無慈悲なルイズの一言で、出番とセリフの大半を削られる店主が哀れだ。
 「おお、さすがはファンタジーの世界、日本じゃお目にかかれない珍しい武器がたくさんあるなぁ」
 「とは言っても、トリステインは"剣と魔法"じゃなくて"魔法偏重"の国だから、たぶん大半はナマクラよ」
 店主が抗議の声をあげてるようだが、ふたりは華麗にスルーする。
 「うーん、確かに肉厚な鉄塊の迫力はあるけど、見たところ切れ味は悪そうだよな」
 「ま、元々、西洋剣は"切る"と言うより"叩き斬る"のが目的らしいし。"世界最強の刃物"と言われる日本刀なんかと比べるのは酷かもね」
 ゲームやラノベで仕入れたウンチクで好き勝手言っている。いや、サイトの場合は、祖父の家で居合用の真剣を見たこともあるし、決して的外れなワケでもないのだが。
 すっかりスネてしまった店主を尻目に、ゴソゴソ店内を物色するふたり。
 「わはは、こんな坊ちゃん嬢ちゃんに見破られてちゃ、ザマぁねぇな、オヤジ!」
 と、もちろんここで、待望のデルフリンガーイベントが発生。
 一連のやりとりの末、デルフはめでたくサイトの佩剣に収まったわけだが。
 「──おめぇ、使い手……じゃねぇな。けど、その同類か?」
 「ッ! これは……」
 一瞬顔色を変えたサイトだが、すぐに平静を装って、ルイズを促し、代金の100エキュー払って、店を出る。
 「どうしたの、サイト、何か慌ててるみたいだけど」
 「うーむ、厄介なもん、手にいれちまったかもなぁ」
 通りの向こうから駆けてくるタバサとキュルケを視界に入れながら、サイトは手の中のデルフリンガー(強制沈黙モード)を、ためつすがめつ眺めているのだった。
-----------------------------------------
以上。デルフ関連の話は駆け足で。いまさらですが、そろそろ原作との乖離が大きくなってきます。
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

KCA(嵐山之鬼子)

Author:KCA(嵐山之鬼子)
Pixiv、なろう、カクヨムなど色々書いてます。感想などもらえると大変うれしいです。
mail:kcrcm@tkm.att.ne.jp

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード