2012年03月29日

第一章 魔女狩り編 その11     裏

〜side 民衆A〜







いうなれば、それらは常識だった。
いつからかは分からないが、決まった常識。

猫を飼ってはいけない。
少しでも奇妙な事をしてはいけない。
冗談も殆ど言ってはいけない。

コレをやぶれば、魔女と見られてしまい、そのまま火炙りだ。

だからオレ等は猫なんかは近付けば蹴り飛ばし、他人との接触を恐れた。
他人の目を気にして、普通の事だけを普通にこなしていくように努めた。


そして捕まった魔女の最後は火炙り。

オレは無実だ。
私は何もやっていない。
悪魔はお前らだ。
呪い殺してやる。

そんな魔女達の戯言を聞きながら行われるお祭り。

それが、オレ達の日常だった。


だから、彼を見た時は愕然としたよ。

普通とは思えない異形の黒の服に。
何かを考え込んでいるかの様に立ち止まり、独り言をつぶやく、その様子に。
目も髪も黒く、とても幼く見える彼の容姿に。

大馬鹿者なのか、それとも器がデカイのかは分からないが
あまりに堂々と、好きなように生きている彼が少し羨ましく見えた。

何かは分からない。
何かは分からないが、彼にある"なにか"がオレ達を止めさせた。

魔女が現れたと知らせを受け、集まったオレ達を止め、そして戸惑わせる"なにか"。
コレが、魔女の力なのだろうか?

そのあたりは分からなかったが
いい加減捕獲し、教会へと渡さなければ魔女をかばったとして、オレ達が魔女とされる。

だから、オレ達は彼を囲み、そして言うのだった。

「おい、そこの魔女め!!!」

「いやいやいや、オレのどこが魔女っぽいよ??」

またもや、唖然とさせられた。
何人もの魔女を捕まえてきたが、必死に自分が魔女ではないと訴えてくるのみで、この子の様に逆に尋ねられるのは初めてだ。
だが、しっかりとした証拠がある事には変わりなく。

「全身黒ずくめ、しかも目元に悪魔の印がはっきりとあるではないか!!!」

コレ以上の証拠はないだろう。
後は何も反論させずに、捕まえてしまえば全てが終

「くくくく
ははっははっははっははっは

ばれてしまったか、そうだオレがお前達の言う魔女という奴だ」

唐突に口調が変わった。
それと同じ様に雰囲気を変わり、その圧倒的な存在感にオレは怯えた。
勇ましさからではなく怯えから武器を構えるのだが、身体が痺れてしまいコレ以上動きそうにもない。

「この様なモノで、オレを捕えようなど笑わせてくれる!!!」

言いながら、彼の目の前に構えていたオレの武器を掴むと、オレは尻もちをついた。
強い力で突き飛ばされた様な感覚ではなかった。
彼もそれほど強い力を使っていた様にも見えなかった。

抗える事の出来ない"力"によって自分から転んだような感覚だ。

抵抗の出来ない"力"を使う者。
怖ろしくて身体が震えが止まらなくなり、歯もガチガチと情けない音を出す。

コイツは魔女なんかじゃない。
今まで魔女達は殆ど抵抗など出来なかった。
コイツは魔女なんかではなく、もっと恐ろしい存在。


コイツは、コイツは、コイツは

「ば、化け物だ!!!!」

ギリギリしぼれ出せた、かすれたオレの声が響いた。


posted by まどろみ at 06:19| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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