2012年03月29日

第一章 魔女狩り編 その16     裏

〜side 民衆A〜







「てめえが黙れ。」

あの方の声がしたと思うと

「なっ、吸け、ぶはっ」

唐突に飛んできた男に神父が潰された。

慌てて神父を起こそうとするが、あの方が起こした奇跡を見て固まってしまった。

あの方が少女から指に刺さっている釘を抜くと、黒い煙が出たのだ。
恐らく、悪しき者を少女の中から取りはらっているのだろう。

ココからでは良く分かなかったが、二人は少し喋ると
次は、残りの釘を全て抜いて行った。

抜いて行くたびに、黒い煙が出ていき、そして全て抜き終わると
何を思ったのか少女は左目に刺さっていた釘も全て抜いたのだ。

普通であったら、痛みの叫び声を出したりするのであろうが
少女は、軽いうめき声をあげただけであった。

それだけで、目は開かぬがなんともない様子。
先ほどの指も、血は付いていたが普通に動かしている様子からして、治ってしまったようだ。


まさに神の奇跡。

この御方が何をしにココへ舞い降りたのかは分からないが、この御方は天から使われた者だという事は間違いない。




〜side エヴァンジェリン〜




「ふむ、やはり目は開かんか」

おそらく、あの釘に一応とはいえ魔除けがかけられていたのだろう。
もしくは、材質が銀だったりしたのかもしれぬが。
指の方は簡単に治ったので、こちらもすぐに治るとは思うのだが
目は、指と比べて繊細で細かいため時間がかかるようだ。

どうでもいい事を考えていたおかげか、多少は落ち着く事が出来た。

血を拭いながら、前を見ると笑っていた男の顔は、痛みを堪えるかのように歪んでいた。
痛みを堪えているのは私だというのに。

呆れながらも、やはり嬉しかったのだ。

普通の人の、普通の反応。
それが、吸血鬼である私にでも同様に反応してくれるその様子が。

まったく、いい歳だというのに、本当に呆れてしまう。

はっ、これはダメだ。
よく考えてみようではないか。
もし、あやつに私が喜んでいるとばれたとしよう。

そうすると、あやつからは『目の釘を抜いて喜ぶ特殊な人』という不名誉極まりない評価になってしまうではないか。

それはいかん。それはいかんぞ。

いきなり男は動くと

「な、なにをする!?」

私に、自分の上着を着せて来たのだ。

「うん?だって寒いだろ??


さて、他の人達も助けないとな…。」

不思議とその上着は温かかった。




〜side 神父〜




「おい、何なんだアイツは!?」

「ワシに聞くな。
ワシにだって良く分からん。」

唐突に男が飛んできて再び気絶したかと思うと、次もまた例の男によって目覚めさせられた。
先ほども、なぜ気絶したのか分からないという恐怖もあり、あの男には逆らってはいけないと本能が訴えていた。

しかも、これは並みではない。

まるで、自分よりも何十倍もある巨大な自然を目の前にしたかの如く、身体が恐怖ですくむのだ。

我々が起きると、ついてきた平民どもは何かを見たらしく、興奮していたのだ。

何が起きたのか聞くと

「あの、少女を治した。」

と返って来たではないか。
つまり、あの男は吸血鬼だった少女は人間へと治してしまったというのだ。

確かに、吸血鬼をみてみると片目が治っていない。
今までは、全ての傷を治していた少女がである。

つまり、人間に戻ってしまったという事だ。

力が違いすぎる。

だが、コイツにはそれが全く分かっていない様子で

「おい、とりあえずアイツが背中をオレに向けるように誘導しろ。
オレが、コイツで首をとってやる。」

と、怯えながらも男は、まだやれると思い込んでいた。

「ダメだ。あの男に手を出しちゃだめだ。
アレに逆らったら、全部が終わる。」

そう、全部だ。
何もかもが終わってしまう。

「何だ!?
奴の目的は何なんだ!?」

この男も恐怖によって、焦っているのだ。
頭が混乱をおこし、ワシへと迫ってくる。
そんなワシたちに、冷水の様な声が響いた。

「さっさと魔女達のもとへ案内してもらおうか。」

都合の良すぎるタイミングで彼が言葉を発した。
本当に、都合の良すぎるタイミングだ。

まるで見計らったように、男の聞いて来る『目的』を語ったのだ。

「諦めろ。
あの男に逆らうのは、無理だ。」

ワシは言うと、男に背を向け魔女達の元へと向かった。
例の男に声をかけなかったのが、せめての抵抗であった。



posted by まどろみ at 06:33| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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