2012年03月29日

第一章 魔女狩り編 その18     裏

〜side 元魔女〜







原因は噂であった。
誰もがした事のあるような本当にくだらない噂。

そんな噂から、変なこじつけをされてしまい、私達は魔女へとしたてあげられた。

誰しもが、魔女となる可能性があったから、人々は努めて妬ましい人、疎ましい人に焦点をあて
噂を広げ、そして魔女へとしたてあげられたのだ。

自分の変わりとなる犠牲。
それが私達なのだろう。

ただただ、美しいから、お金を持っているから、親が死に1人だから
などと言った理由から、噂を広げていくのだ。

彼女が美しいのは、悪魔と契約したから。
彼がお金をもっているのは、悪魔から教えてもらったから。
彼女に親がいないのは、悪魔の生け贄にしたから。

証拠など一切ないような噂から、私達は捕まったのだ。

いや、証拠がないとは語ったが、教会で認める証拠はあった。

裸にされ、体中くまなく舐めまわされるかのように見られる。
その時、ほくろ、痣などが見つかれば、それが証拠となるのだ。

こんな酷い事があっていいのだろうか?

そんなモノ、誰だってあるではないか。
だというのに、彼等は取り合ってくれず、自分は魔女だと言わない限り攻め続けられるのだ。

爪を剥がされた者もいた、水を飲まされ続けた者もいた、体中の骨を脱臼させた者もいた。
その拷問から逃げたいために私達は言うのだ。

そうだ、私が魔女だ。
胎児を貪り食べたのも私だ。
家畜に病をかけさせたのも私だ。
すべては私がやったのだ。

と…。

あったのは、絶望だけだった。
拷問で死ぬか、火刑で死ぬかの違いはあったが、結局は死ぬのだ。
しかも、皆の敵として死んでいく。

しかも、最近は『別の魔女は誰だ?』と別の魔女を知るためにも拷問をされるのだ。
まるで、魔女を少しでも増やしたいと思っているかのように。

そのせいで、この部屋には容量を越す人数が収容されていた。

もう、生きている意味を見いだせなかった。
結局、私は苦しく、惨たらしい死に方しか出来ないのだ。

そんな、未来にどうやって希望を見つけろという?



そうやって、広がった絶望。

それを一瞬で消し去り、希望の光を与えてくれた人がいた。

「全員表に出ろ」

神父に言われた時は、ついに火炙りの日が来たのかと思っていたのだがそうではなかった。

神父の後ろにいた幼い少年。

彼の悲しそうな顔と、優しい言葉から、彼の優しさを知った。

その少年の顎に使われる神父たちを見て、私達は彼の不思議さを知った。

そして、私達があの地獄の日々から解放されたと分かった時、私達は彼の中に光を見出した。

あなたは、何も知らないかもしれない。

私達に自分の事を説明する時に"普通の人"と言っていたが、そんな事はない。
彼は私達の命の恩人であり、絶望の中で見つけた、眩しく輝く太陽なのだ。

拷問、裏切り、妬み、欲などで冷え切ってしまった私達を抱きしめ、温めてくれる光なのだ。

その光にどれだけ救われたか、その光にどれだけ勇気付けられたか、あなたは知らないだろう。

彼に恩返しをしたい。
コレは救われた私達全員の総意であった。

だが、別にもう一つの思いがあった。
コレは私だけかもしれない。

とても愚かで、とても自分勝手な思い。

とても醜く、浅ましい欲求だった。

だが、思わずにはいられなかった。


闇の中で見つけた光と

あの、全てを包み込む穏やかな太陽と

共に、ずっと過ごしていきたいと…。
私は、思わずにはいられなかったのだ。

だがそれも、あなたは知らない。
いや、コレだけは知られてはならないモノであった。

少しでも長い間、彼と共に居られるために
知られてはいけない、私だけの秘密。


posted by まどろみ at 06:34| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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