2012年03月29日

第二章 革命編    その11     裏

〜side エヴァンジェリン〜







村というモノは、私にとっては最も行きたくない場所であった。

今まで、何度か村を訪れただの幼子のふりをしながら生きていた事があったが
最後は必ずといっていいほど、裏切りで終わるのだ。

仕方ないと言ってしまえば、仕方ない事。
幾年か年月が経っても全く変わらない私に、弱い人間が怖れるのは必然だった。

何度も経験した仕方のない事。

何度経験してもけして馴れない仕方ない事だった。

たしかに、奴は優しい男だ。
私の様な世界からすらも拒絶されるような存在にすら手を差し出してくれる優しい者だ。

だが、そんな愚かなほど優しい者など奴ぐらいしかいないだろう。

そう、奴ぐらいしかいないのだ。

もし、村で共に暮らしたら確実に他の者は私を拒絶するだろう。
きっと、私と仲の良い奴すらも含めて拒絶をする。

『私のモノになれ。』という返事は『友達だったら』という返事だった。

奴が私のモノへとなれば、奴と共に世界中を放浪すれば良い。
奴をどのように扱おうが、私の勝手だ。
なぜなら、私の"モノ"なのだからな。

恐らく私が村から拒絶されるまでに2年程の期間があるはずだ。
それまでの間は、ただの幼子のふりをしていれば拒絶はされない。

その期間内に、奴を私のモノへとしてやろうではないか。
友達などという甘い事をほざく奴に、私が悪の吸血鬼だという事を分からせてやるのだ。

嫌がる奴の家に無理やり押し入り、勝手に飯を作ってやろうではないか。
家はおろか、身体の中すら私に蹂躙(じゅうりん)されるのだ。

くっくくくく、恐怖に怯える奴の顔が目に浮かぶわ。
まさに悪というのに相応しいではないか!?

2年もあれば、確実に奴は私のモノになるであろう。


「とりあえず、オレは話をつけてくるね。

エヴァちゃん、おとなしく待っているんだよ。」

「あぁ、分かった。」

そんな、私の怖ろしい考えなど知るよしもない奴は、そういうと村の中へと歩を進める。
だが、途中で振り向き

「あっ、そうそう。

皆、エヴァちゃんって吸血鬼だけどいじめちゃダメだよ。
皆、仲良くしてね。」

言うだけいうと、奴はそのまま村の中へと入っていくのであった。




頭の中が真っ白になった。





〜side メア〜




あの子が、吸血鬼?
何が何なのか、まったく分からなかった。

もしかしたら、何かの間違い、又は冗談の可能性もあることはあるが、限りなく0に近いだろう。

私達を救ってくれた徹様の頼みであったら、大概の事は聞き入れるつもりだった。

だが、これは一体どういうことだろう?

吸血鬼と仲良くしろ?

私達の様な、世間からはみだした様な人間を、自らの危険をも顧みずに救ってくれた、あの方は
その大きすぎる優しさで確かに吸血鬼をも救おうと考えているのかもしれない。

幼少の頃から、祖母から教えてもらった昔話では、吸血鬼は悪の存在であった。
そう、吸血鬼は悪の存在なのだ。
アレは、胎児を食い、血を吸い、楽しみのためだけに人を殺す、怖ろしい魔物なのだ。

だがだ、私もそうだった。
私もまた、胎児を食い、家畜を殺し、悪魔に肌を許した女なのだ。

そう考えれば、この吸血鬼も私達と同じように、あらぬ疑いで絶望していたのかもしれないとも思う。

そもそも、彼女をこのまま殺したり、追い出したりしたら徹様がお悲しみになる。

だから、一応
そう、一応だが、しばらくの間彼女の様子を見る事にしよう。

平穏に彼女が暮らせばよし。
だが、彼女が徹様の害となるのだったら…。

例え徹様に嫌われようとも、それなりの罰を与えよう。

「エヴァちゃんでしたよね?」

とりあえず、今必要なのは情報。
彼女が徹様に害を与えるかどうかを正確に判断する情報が欲しかった。

「そうだが、貴様は?」

「メアです。

それで、吸血鬼というのはほんとですか?」

「本当だ。

それで、そうするんだ?
私を追い出すか?殺すか?」

普通に認め、そして口の端を釣りあげながら聞いてきた。

「いえ、その様な事をすれば徹様の考えに刃向かってしまうので辞めておきます。

ですが、もし貴方が徹様を傷つける様な行為に及ぶのなら、それ相応の覚悟をしてください。」

何も力のない私であったが、この思いは本物であった。
例え、卑怯だと言われようが、自分が傷つこうが、ありとあらゆる手段を用いて徹様を守るつもりだった。

「くっくくくくく。」

「ふふふふ。」

お互い、肩を震わせ笑いあう。
コレは、はたして愉快だから笑っているのだろうか?
それとも、威嚇のために笑っているのだろうか?

私自身、よく分からなかったが私は彼女を見据え笑い
彼女もまた、私を見据えて笑っていた。

お互い、目は笑っていなかったが…。

「お〜い、皆
ココに住んでOKだって。」

手を振りながら徹様がこちらへ駆け足で近付いてきました。
流石徹様です、この様に簡単に定住地を見つけてくださるとは。

「おっ、エヴァちゃん友達2号が出来たのか?」

彼女を再び持ち上げながら徹様は聞いてきました。

「違う、違うからな!

それよりも、持ち上げようとするな!!」

唐突に変わった彼女の雰囲気。
口では拒絶しながらも、抵抗はしていなかった。

どうやら、私の心配は杞憂だったみたいです。

「ねぇ、君
なんていうの?」

「メアです。メアといいます。」

慌てて答える。

「メアさん。エヴァちゃんの事よろしくね。」

そういうと、徹様は柔らかく微笑んでくれた。



〜side 男〜




「くっくくくくく。」

「ふふふふ。」

目の前では2人の女性が笑っていた。
2人共美人だったので、非常に絵になる光景だったはずなのだが

とても怖かった。

オレは初めって知ったよ。

笑顔って時には恐怖を生むんだな。

なんとなくだが、オレはこの2人にはどうやっても逆らえない気がした。


posted by まどろみ at 07:02| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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