2012年03月29日

第二章 革命編    その13     裏

〜side マギ〜







まず驚いたのは、徹が魔法を知らなかったという事だ。

オレの認識阻害魔法と、人払いの魔法を破ってこの村へと到達したのだから
もちろん魔法を知っており、その知識に基づいた理論によってココへ辿り着いたのだと思っていた。

いや、思い込んでいた。

だが、彼は知らなかった。

魔法というモノがある事自体、彼は知らなかったのだ。


魔法を知らない者に魔法を破られた。

正直言って、異常だった。

まったく未知の技術を彼はたった一人で解いてしまったのだ。

もう、天才などという次元を超えてしまっていた。


彼は一体、何者なのだ?

彼の異常性は、隣にいた吸血鬼の存在よりもよっぽど上だ。
そのためか、吸血鬼がそれほど危険でなく思えてしまっていた。

というよりも、その吸血鬼に全く怖れを持つ事なく接している彼の余裕を見ていると
本当に強く、危険なのは彼だと、いやでも分かってしまう。

こちらの味方なので良かったが、もし敵となったら…。

頭を振り、その考えを追い出した。

彼独特の雰囲気や、彼に付き添っていた人間達の様子を見る限り

大切な者に手を出さない限りは、彼は進んで敵になろうとはしないだろう。


もし彼が魔法を使えたら、どうなるだろうか?

巨大な力は時に人を惹く。
ただでさえ、彼のカリスマにより、人を惹いているというのに、コレ以上となると想像がつかない。
それ故、見てみたい気がするが


オレには、彼に教える自信がなかった。

あの、圧倒的カリスマと力を持つ彼に教えれる自信がなく
そして、怖いのだ。

ありとあらゆる物を吸い取り、オレが想像もつかない物を作りだしそうな彼が怖い。
全てを破壊し、全てを操りそうな彼が怖ろしい。


だが、そんな彼を見てみたいと惹かれるオレがいた。




それ故に、危険過ぎた。



だから、戒めだ。

契約の魔法を自分へとかけた。
絶対破る事の出来ない、契約の魔法を。







そうでもしないと、魅力にあてられて教えそうだった。




〜side エヴァンジェリン〜




家を作る際に男が見せた技術。
それは、私を吸血鬼へとし、そして私を殺そうと躍起になっていた者たちが見せた忌む力であった。

強力で、怖ろしく、不可思議な力。

その名を魔法といった。

その力に嫌悪感はあった。
深い、深い恨みもあった。

だが、力がなくては私は生きていけない。

もしかしたら、逃げる事は出来るかもしれないが、けして守る事は出来ないだろう。

守るという言葉で1人の人間が脳裏をよぎる。
いつも笑みを浮かべ、私を子供扱いする馬鹿者の顔がよぎった。

ほんの少し。
たった数日という期間にも関わらず、奴はココまで私を侵していた。

まったく、甘くなったものだ。

呆れながらも、じわりじわりと幸せやら嬉しさやら、ちょっとした気恥かしさやら
混ざりすぎて言葉には出来ない感情がゆっくりと胸を満たしていた。

とにかく、私には力が必要だった。
選り好みなどしている余裕などない。
何でもいいから、とにかく力が必要なのだ。

だからこそ、私は男に言うのだった。

「おい、その力を私に教えろ。」

嫌悪し、恨んでいる力を私は求めたのだ。

たった1人の者のために。




〜side メア〜




私は、まだ徹様に謝れないでいた。
いや、謝ってはいけないと思っていた。

謝罪など自分が許されたと思われたい自己満足にしかすぎないのだ。

あの時の笑顔を思い出す。
私が畏れてしまった時の、あの笑顔。

悲しそうに微笑む、あの笑顔…。

そして、あの方は背中を向けて歩いてしまったのだ。

その瞬間、徹様は遠くに行ってしまった。

今さら後悔しても仕方ないだろう。
全ては自分が悪いのだ。

分かってはいるのに、胸が苦しくなる。

太陽に背を向けられ、光が遠くに行こうとも
そこに手を伸ばしてしまう。

自分が遠くに追いやったというのに。

今朝、徹様は普通に挨拶はしてくださった。

どの様に思われても仕方ない私に、挨拶をしたのだ。

まるで、畏れられる自分が悪いとでも言うように…。

やはり、あの方は太陽なのだ。
巨大で温かく、そして優しい。

時には、その優しさで自分を傷つけながらも、皆を照らし続けようとする太陽なのだ。

それは、あまりにも気高く、あまりにも優しく


そして、あまりにも





悲しすぎた。


そんな、悲しい太陽。
遠くへ行ってしまった太陽に、私は何が出来るのだろうか?

そう考えた時、幼い吸血鬼と、魔法使いが話している様子が見えた。



巨大で畏れられる太陽。
遠くに行ってしまっても、温かく包み込んでくれる優しい太陽。

ならば、私はその太陽に向かっていこう。
私から近付いて行くのだ。

気高く、孤独な太陽に

例え、近付き過ぎて、蝋(ろう)の翼が溶けようとも
その身を熱で焦がそうとも、手を伸ばし続け少しでも近付けるように。

だから、私は魔法使いに言うのだ。

「私に、魔法を教えてください。」

大きな力を求めたのだ。

孤独な太陽の元へと行くために。



posted by まどろみ at 07:03| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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