2012年03月29日

第二章 革命編    その19     裏

〜side メア〜







「あっ、そういえば、オレってなんか不老っぽいや。」

唐唐突に徹様は呟いた。

「…へ?」

皆も困惑しているようで、先ほどまで騒がしかった雰囲気は既に霧散しており、ただ徹様の事を見つめていた。

「だからオレが不老っぽい。」

自分は不老だ。

普通の人が言ったら、冗談、又は精神異常を疑われる言葉だが、徹様が言ってしまうと現実味がありすぎる。

そもそも、魔法使いや吸血鬼が身近にいるのだから、徹様が不老だとしてもそこまで不思議ではない。

「いやね、もうココに来て何カ月も経っているのにさ、髪の毛も爪も一切伸びて来ないんだよ。

もともと、不老不死疑惑があったんだけど、その内の不老の可能性が高くなっちゃったみたい。」

「不老不死疑惑って、どうしてそんな疑惑が出てくるんですか!?」

普通に生きていればまずない疑惑であろう。
というよりも、周りにそんな疑惑を持っている人など普通はいない。

「う〜ん

なんか良く分からないうちに、押しつけられたというか…。」

彼は、お得意の困った様な笑みを浮かべながら答えた。

その言葉が非常に重かった。

何がなんだか、分からないうちに押しつけられた。

了承すらなしに、無理やりに押しつけられた不老不死という異形な能力。

ただでさえ、徹様はその才能故に畏れられているというのに、そこにさらに異形な能力までつけられたのだ。

それは、あまりにも寂しすぎる。

そもそも不老不死などいう物は、上の人にとってはどんな事をしてでも得たいと思う物なのかもしれないが、私のような庶民からしてみれば、なぜそんな思いを持つのか理解が出来ないし、興味もない。

唯一関係している所と言えば、貴族サマなんかは不老不死になろうと金を食べているらしく、その汚物から金が取れるのだ。
それをかき集めて稼いでいる人間がちらほらいる、ぐらいである。

私達のような人間にとっての幸せなんて、本当に小さい物だ。

ただ、人と繋がり、子を産み、皆で生活出来ればそれで幸せなのだ。

子供の頃はもっと単純だった。

お腹一杯になれば幸せ。
美味しい物が食べれれば幸せ。
皆が笑っていれば幸せ。

不老不死なんてそんな、大げさな物なんてなくても十分に幸せになれるのだ。

いや、むしろそんな物なんて妨げにしかならない。

これでは、まるで徹様は幸せになってはいけないようではないか。
誰も近寄れず、誰もが近寄らない孤高の道。
それを、無理やり歩まされている様な錯覚に陥る。

もしかしたら、徹様は誰よりも幸せだと思う者もいるのかもしれない。

なにせ、それほど長い時を共に過ごしていないにも関わらず、戦い、政治、発明、人心掌握といったありとあらゆる才能に恵まれている事を私達に知らしめし、そして不老不死という普通の人間には手に入れる事は出来ないような特殊な物までも手に入れてしまっているのだから。

だが、それは、本当に幸せな事なのだろうか?

私達は、貴方のおかげで幸せになれました。
闇しかなかった、私達の世界に、光を与えてくれたおかげで、幸せになれました。

ですが、貴方はどうですか?






幸せですか?





きっと、尋ねても彼は何も言わず、困った笑みを浮かべながら頬を掻くのだろう。


彼の孤高の道…。

自ら歩もうとしていないにも関わらず、彼はその道を歩むしか道はないのかもしれない。

…いや、1人だけ居る。
彼と共に、ずっと道を歩んでいける人間が1人だけ。


エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル


吸血鬼っというぐらいなのだから、彼女も不老不死ぐらいもっているだろう。
いや、持っていなくては困る。

そもそも、彼はどうしようもない程優しい人間なのだ。

確かに、孤高の道なのかもしれない。
だが、私達のようにそんな彼の事を放っておけない人間も何人もいるはずである。

今さら気付いたのだが、彼は不老不死なのかもしれないといっていた。

これは、孤高の道という可能性も確かにあるのだが、彼がより多くの人間を救うための物という考えられるのではないだろうか?

もし、後者だったら、彼は孤高の道とは真逆の道を歩む事になるだろう。

不老不死ではない私は共に歩めないのは、ちょっと寂しいが、徹様が幸せだというのなら…。

エヴァちゃんに譲ろう。


ただ、これで私が諦めたと思ったら大間違いである。
私が死ぬまでの間は、無理やりにでも私は徹様と共に歩んでいこうではないか。

エヴァちゃんに譲るのはその後からである。

それまでの間は、ずっとエヴァちゃんは私のライバルですよ?




posted by まどろみ at 07:09| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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