2012年03月30日

幕章 村の日常編 その3

〜side 徹〜







魔女狩り。

学校で教わった名前であり、そしてその処遇も聞かされた。

曰く、魔女狩りとは、なんにもしていない人が魔女だと疑われて火炙りにされるそうな。

話を聞いて、まぁ哀れには思ったが、それ以上に次のテストの方が気になっていた。
出るとするなら、穴埋めで『魔女狩り』と記述するぐらいだろう。

この先生は、なかなか厳しく漢字で書かなくちゃバツにされるから、魔の字だけはしっかりと覚えておこう何て、そんな事を考えていた。

あまりに軽い、『魔女狩り』という言葉。
実際にココに来て、殺されそうになり、認識が変わったと思ったが、それでも甘かった。



村の皆を説得する事は案外簡単だった。

何せ、皆も魔女狩りにあって、その理不尽さを知っているから、救いたいという気持ちが強かったのだ。

後はもう、助けるだけである。

まぁ、ぶっちゃけマー君の魔法があれば何とかなると思っていたワケですよ。

ビバ・人任せ。

やっぱりオレの様な普通の人間には出来る事は少ないワケですよ。

まぁ、魔女狩りの被害者を助けたいって言いだした責任もあるワケですし、オレも出来るだけの事はするつもりでいるけど、やっぱり限界があるんだよね。

そんな役立たずなオレだけど、まぁ多少は命の危険って奴もあるわけですよ。

出来れば、やりたくないけど、やらないと、オレ自身が罪悪感で押しつぶされるので、ちょっと頑張るか!!って思ったんだよ。

その後はスイスイと進んだ。

情報収集をするとすぐに場所は分かった。

というか、町全体が魔女の火炙りという祭りがあると盛り上がっていたので情報収集というほど大層なことはやっていない。

あまり、時間がないようなので、マー君の認識阻害魔法を使って、二人で魔女達がいると言われた所に乗り込んだんだ。


もう一度言おう。
オレの認識は非常に甘かったんだ。


地下に扉を開けると、ムワッとした臭いが漂っていた。

そして、そこでは男が己の欲望を満たしていたのだ。

女を縛り、衣類を引き裂き、無理やり欲望を満たす男…。

あまりに、むごい。

彼女達は、見せしめとして火炙りにされるのだ。
そんな彼女達が襲われている。

この空間では、女という存在が、ただ男の欲望を満たすためだけの存在になり果ててしまっているのだ。

彼女達は一切の抵抗をしていなかった。
ただ、何処を向いているか分からないその瞳が、あまりにも悲しすぎた…。

そして、次の女性を味わおうとする男の腕。

その男の首に手を回すオレ。

そして




キュッ



締め落とした。

オレが暮らしていた時代の日本というのは、平和だった。

少なくとも、オレの周りは平和だった。

そんな、平和ボケしたオレには、この空間はあまりにも異質で、悲しかった。

気付けば、女の人の瞳に光が戻っていた。
そして、オレを写すその瞳にあるのは、怯えと困惑

まぁ、そりゃそうだろう。

なにせ、オレは今まで彼女を襲っていた存在と同じ『男』だ。
しかも、いきなり人の首を絞めておとす様な人間なんだから、その感情は至極当然であった。

数人は、『まだ』であった様で、しっかりと服を着ていたが、他の数人は既に、終わった後であった。

もう少し、早く来れれば、彼女達がこんな思いをしなくても済んだのかもしれない。

とは言っても、所詮それは結果論である。

頭の中は冷静なつもりでいた。
ただ、身体はどうやらそういうワケにはいかないようだ。

自分でも涙が溢れ出てきているのが分かる。
何による涙なのかは分からない。

悲しいのか、悔しいのか、何がなんだか分からなかったが涙だけが止めどなく溢れてきた。

「ごめんな。ごめんな。」

口からは涙声で聞きづらい謝罪ばかりが漏れた。

あぁ、ダメだ。
情けない。というか中途半端に頭が冷静だから、すんごく恥ずかしい。

それを聞く彼女達の瞳には、やはり恐怖を抱いているのだ。

「………ごめん。」

それだけ言い、オレは外へと逃げた。

ちなみに、気絶男と、マギを忘れずにしっかりと連れて来た。

とりあえず、後はエヴァとメアに任せるしかない。

女同士なんだから、オレが相手するよりもマシだろ。


〜side マギ〜



目の前では徹が子供の様に涙を流し、謝り続けていた。
その様子は、年相応の物であった。

ただ、このように年相応の態度をとる理由という物が異質であった。

そもそも、彼の存在自体が異質である。
徹の周りの空気だけが、この世界の物とは違う様な色を帯びているように見える。

通常、色という物は、別の色を過剰に加えれば、その加えた色になるであろう。
確かに、微妙に違いはあるだろうが、ほとんどは同じ色である。

だが、徹の場合は違うのだ。
世界という、過剰な色に染まることなく、奴は周りを染めて行くのだ。

やろうとすれば、奴はすぐにでも王になれるのではないか?

徹帝国…。
なかなか面白そうではあるな。


まぁ、とにかく奴は異質であり、今も正直いって、何故謝っているのかが良く分からない。

言いたい事は分かるのだ。
確かに、オレ達がもう1日でも早くココに来れれば、確かに彼女達はあの男に抱かれる事は無いかっただろう。

だが、それは結果論である。

オレ達はオレ達の中で出来うる最善を尽くした結果がコレなのだ。

命を救えただけで十分であろう?



しかも、彼女達がここで暮らすつもりであったのなら、魔女狩りの被害にあわなくとも、後々あの男に抱かれているのだ。
早いか遅いかの差である。

というより、この世界で生活を送っているのなら、夫でもない男に抱かれるのはしょっちゅうである。

まず、初夜権という物がある。
これは、夫婦になった時、一番初めに女を抱くのは神父や、代表者で無くてはいけないという物である。
例外として、結構な額の金を払った人間は、初夜の権利を買い取る事が出来るらしいが極少数である。

まぁ、なんか処女が云々言っていた様な気がするが、結局のところ性欲発散をしたいだけであろう。

その次に、魔女狩りの裁判方法である。

魔女は、悪魔と契っているため、処女である女は魔女では無いという事らしい。
それを手っ取り早く調べるために、抱くのである。

まぁ、これは良く省略される。
なにせ、有罪であればかなりの金銭が手に入るのだから、抱く事なく有罪にする場合が多々あるのだ。
しかも、わざわざこの時抱かずとも、火炙りの前に抱く事が出来るのだ。

なにせ、火炙りされる人間は処女ではならないという決まりがあるため、抱くのだ。

今回、女性達が抱かれた原因はこれである。

確かに、可哀想とは思うが、これが普通なのだから仕方ないではないか。

誰もが、オレに同意するであろう。

数は力なのだ。

だからこそ、仕方ない。どうしようもない。

被害者である、女性達ですら諦め、受け入れている。

だが、徹だけは違った。
彼だけは違ったのだ。

諦めるでもなく、普通だと思うでもなく、受け入れるわけでもない。

彼は、真正面から常識と戦おうとしていた。

いや、いつだって彼は戦っていたのだ。
風呂に然り、衛生に然り…。

彼は、戦い続けた。

自分のためではなく、他人のために、戦い続けていたのだ。


事実、彼の影響を受けた者達が数多くいた。

もっとも良く変わったのは村に住む女性達の態度であろう。

常に、男よりも一歩引いて、絶対逆らう事など無かった女性達の意識が変わったのだ。

もう、その変わりようと言ったら、ちょっと不味いぐらいに。

どうやら、毎夜毎夜寝ている徹を襲っているとか…。

まぁ、村の事を考えれば子供が多く出来るというのは喜ばしい事であるし、徹との子だったら、とても良い子が生まれるであろう。

少々、徹が不憫の様な気がするが、女が襲われる場合の扱いと比べれば、ずっとましであろう。
何せ、襲われた女や神父に抱かれる女達の扱いは、性欲を満たす"道具"として扱われるのだから、ずっとましである。

しかも、これは彼女達なりの男に対する復讐という意味合いだって含まれているのだからな。
まぁ、彼女達は気付いていないだろうが。



散々、泣きながら謝った徹は、最後に一度謝ると、オレを連れてへと出て行った。

後は、メアとエヴァに任せるらしい。

そして、徹は神父の気付け (って言うらしい)をする前にオレに


「コイツの、アレ

一生、起たない様にする魔法をかけてくれ。」


と言ってきた。


初めてオレは禁術を使った。



posted by まどろみ at 00:30| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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