2012年03月30日

第三章 世界放浪編 その13    裏

〜side ナギ〜







最近は、完全なる世界をについての内偵をやってんだが、まぁぶっちゃけ私やラカンみたいな人間には向かない仕事だから、暇なわけだ。
その暇な時間。
ここんとこ、忙しかったから羽を伸ばしてゆっくりと休むつもりだったんだが…。
全然休めねぇんだ。

なにせ、私の眼の前じゃ

「というワケで、徹遊びに行かせろ。」

「今日は俺と買い物に行こう。」

「あっ、アリカ。てめぇ、何抜け駆けしようとしてんだ!!
徹、こんなモヤシ置いて、俺と一緒に行こうぜ。

もちろん、エヴァの嬢ちゃんもエスコートするぜ。」

エヴァちゃん、アリカ、ラカンによる、徹奪い合い合戦が始まってるからだ…。
しかも、徹本人はと言うと

「よし、それじゃ、皆でどっかに行こうか。
ナギさんも来る?

最近おいしい料理のお店を見つけてさぁ。」

全然気付いていない様子なんだよなぁ。
しかも、なんだかんだで皆を纏めているのだから、相変わらず凄い。

「あっ、私はパス。」

うん、あの空間に居られる自信がない。
一度、一緒に行ったんだけどさ、もうヤバいヤバい。
私を挟んで、ラカンとアリカは目線で勝負してるし。

徹の膝の上へと陣取ったエヴァちゃんは、勝者の目。それに気付く素振りすら見せない徹は、普通に飯を配ったり食べたり…。

はたから見ている分には面白いんだけど、巻き込まれちゃうと、胃が…。

「えぇい、いつも皆とではないか。
私は2人で行きたいんだ!!」

「俺もだ。」

「俺は、別にエヴァの嬢ちゃんが一緒でもかまわねぇが。」

上から、エヴァちゃん、アリカ、ラカンの順である。
なんだかんだ言いながら、ラカンは面倒見が良い。

あの見た目と、普段の馬鹿な所では想像がつきにくいが、ちっちゃい子を見る時の目が違っている。

そういう所は、ラカンの良い男度??
まぁ、そんな感じの点数は高い。

アリカもアリカで、イケメンって感じの見た目と、何だかんだで優しくて不器用な所を見ると、彼もまた点数は高いと言える。
まぁ、どうも私とはウマが合わないらしく、嫌われてはいないだろうが、仲もそんなに良いわけでもない。

そんな良い男二人が、男に迫っているのだ。
なんか、うん…。
非常に複雑な気持ちだ。

「なるほど…。
確かに、2人っきりの方が、お互いの認識が高まるよね。

それじゃ〜、アリカはナギさん所へGO。
デートのお誘い頑張って。

そんで、ラカンさんとエヴァちゃんも二人で遊びに行ってきたらどう?」

…ん?
なんか、話の流れが変じゃね?


〜side アリカ〜



何かよく分からないまま、俺はナギと買い物をする事になった。

ちなみに、ラカンとエヴァンジェリンは、エヴァンジェリンの我儘で留守番。
テツは、一人で散歩をするようだ。

「なぁ、アリカ。

いくらテツに言われたからって、ワザワザ嫌な奴と一緒に買い物なんてしなくて良いんだぞ?」

…嫌な奴?
ナギは、自分の事を言っているのか?

「い、いや、別にお前の嫌っていないぞ?

ただ、テツが楽しそうにお前の事を話していたから」

「なるほど。
テツを盗られると思ったわけだな。」

その言い方じゃ、まるで俺が嫉妬しているみたいじゃないか。

「違うぞ、違うからな。
あまりにも、カッコイイとか凄いとか言うから期待したら、お前みたいな奴が出てきてだな」

「あぁ、はいはい。
分かった、分かった。」

ナギの表情を見る限り、絶対分かっていないと思うんだが、これ以上抵抗しても意味がなさそうなので堪える。

「あっ、そういえ…。
ん?」

中途半端に止められた言葉。
いつの間にか、ナギの表情は険しい物になっていた。

「危ねぇ!!」

ナギの叫び声。
身体はナギに引っ張られ、それと同時に爆音が響き渡った。

「大丈夫か?アリカ。」

「あぁ…。
だが、流石にこれはないんじゃないか?」

助けられて文句を言うのは、非常に心苦しいんだが、流石にお姫様だっこっていうのは…。
はた目から見たら、女の子にお姫様だっこされている青年だぞ。
いろいろとマズイ。

「気にすんな。
しっかし、こんな街中でデカイ魔法を使いやがって。
死人が出てねぇだろうな!?」

「つまり、これは。」

「あぁ、奴らの刺客だろ。」

『奴ら』の言葉に、俺は歯を喰いしばる。

終わっているはずの戦争を無理やり長引かせ、甘い蜜をすする組織。『完全なる世界』。
あいつらは民の命を材料に、甘い蜜をすするのだ。

そんな屑共に、国の民は喰われているのだ。

しかも、それだけじゃ飽き足らず、こんな街中で俺達を狙ってのテロ行為。

あまりにも、ふざけている。







「よしっ。アリカは皆の所に戻ってな。
私は奴らの本拠地をぶっ潰しに」

「俺も行く。」

「ああぁ?」

「お前の方が、俺なんかよりもよっぽど強いが、女一人行かせるのは俺の主義に反する。

しかも、俺の魔法は役に立つぞ。」

「…しゃ〜ねぇな。
いいぜ、行くぞ。アリカ。」







ナギと共に、敵の基地を襲った成果は上々と言えよう。

『完全なる世界』と執政官との繋がりが、はっきりとした形で分かる文章が出てきた。

その証拠さえあれば、この戦争を終わらせるには十分だろう。

俺がやるべき事は、帝国側と接触。
一番接触しやすいのは、帝国第三皇女か?

とりあえず帝国と接触し、この戦争の無意味さを知らしめ、こちら側には争う意思がない事を示さなくてはならない。

テツと離れ離れになってしまうのは、少し残念だが…。
この戦争が終わったら、共にいる時間も増えるだろう。

それまでの我慢だ。


〜side 白髪の青年〜



「あの執政官がテロに関与!?
確かなんだね。ヴァンデンバーグ元捜査官。」

今、僕の目の前ではマクギル議員が念波で会話していた。

しかし、もうそこまでばれているとはね…。
これじゃ、僕等の計画が潰れてしまう。

「証拠の品とナギ君を連れて来てくれ。」

流石に、それを看過することは出来ない。

マクギル議員は念波を切り、弾劾手続きのために、法務官に念波を繋げようとするが

「流石に、それは妨害させて貰うよ。」

彼が繋げようとした念波に雑音を織り交ぜ、さらに相手へと繋げるための番号を途中で切る。

「なっ、貴様何時から!?」

「そんなのはどうでも良い。
とりあえず、貴方はココで退場して貰おう。」

使うのは単純な転移魔法。
ココで攻撃魔法を使っては厄介事が多くなってしまう。

転移した場所にいる、部下達がマクギル議員を上手く処理してくれるだろう。


とりあえず、そちらはどうでも良い。
今重要なのは、彼を模倣する事。

時間もあまりない。


札とマクギル議員の髪の毛を使い、変装する。
自分では分からないが、傍目からは今の僕はマクギルに見えているはずだ。

そして、部屋に転移魔法の魔法陣を仕掛ける。
これは、魔力で見破られるワケにはいかないので、小規模かつ単純なモノに留める。

それを行いながら、変装魔法の微妙な調整も同時進行で行っていると。


彼等が到着した。

紅き翼の三人。

ガトウ・カグラ・ヴァンデンバーグ
ジャック・ラカン
ナギ・スプリングフィールド


赤き翼の戦闘能力が高いナギとラカンが共にいるのが、少々困った所だが、頭が弱いので、扱いは適当で良いだろう。

今、問題なのはガトウ・カグラ・ヴァンデンバーグ。

ココまで情報を集めてきた手腕。
そして、その情報の断片から真実へとたどり着く、その考察力。

共に脅威だ。

とりあえず、今の僕がしなくてはならぬ事。
マクギル議員になりすまし、紅き翼を操作する。

について言えば、彼こそが一番邪魔であろう。
ただ、逆に彼さえ乗り越える事が出来れば、この計画は達成できる。

「御苦労。」

会話の主導権を握ろうとしながら、口を動かす。

「証拠品はオリジナ」

「おりゃぁ!!」


あらゆる想定を考えているつもりだったが、どうやら僕は甘かったらしい。

「ちょ、ナギ。
お前、なにやってんだよ!?」

「元老院議員の頭、いきなり燃やして。
ただでさえ寂しかった髪が、悲惨な事になっちまうぞ!?」

いきなり、魔法で頭を燃やされるという想定はしていなかったよ。

「バーーカ。
よく見てみろよ、おっさん。」

燃やすという、簡易な現象の割に込められた魔力が莫大なせいで、変装魔法が維持できなくなってしまった。

「よく分かったね。サウザンド・マスター。
こんな簡単に」

「おりゃぁああ!!」

おっと、次は無詠唱の稲妻か。

「話ぐらいは、聞いた方が良いかと思うがね。」

「うっせぇ。
こっちはドロドロの四角関係でストレスが溜まってんだ。
諦めて、喰らいやがれ。」

叫びながら、突っ込んでくる。

仕掛けておいた転移魔法を起動させ、仲間を召喚。
左右からの不意打ちを喰らわせるが、彼はいとも簡単に耐え抜いてしまった。

これで仕留めれれば楽だったのだが…。

仕方ない。
奥の手を使うとしよう。




執政官から、得た情報。
マクギル議員の専用回線へと、念波を繋ぐ。

そして、マクギル議員の声真似をしながら、言うのだ。
紅き翼は帝国側のスパイだったと。

これで、彼等は孤立する。
どんな強者だろうが、全ての国から敵対されては何も出来まい。


「わ わしだ。」

ありとあらゆる、筋道を立て、そして最も効率的に紅き翼を陥れる事の出来るモノを選択しているつもりだったのだが…。

『ワシさんですか…。』

どうやら、初めから躓いたらしい。
意思の疎通が全く出来ていないのだ。

そもそも

「誰だ?君は?」

念波をする相手が間違っていた。

執政官が間違った情報を僕に与えた?
それとも、僕が記憶違いをしたのだろうか?

そもそも、この念波の番号は僕が直接執政官の元に行き、情報を貰ったのだ。
電波や念波を用いて、傍受される様な事がないように、紙に書くと言う原始的かつ信頼のおけるモノにした。

執政官も何度も確認したし、僕自身も何度も確認をした。
そうやって、慎重に慎重を重ねた物が間違っていたという可能性は限りなく低いだろう。

執政官が裏切ったというのも、考えにくい。

どこかで、あったはずなのだ。
この間違いを起こす要素が…。

『誰だって言われても…。
徹ですが。』

戸惑う様な、その声で何時かの少年を思い出す。

あの日、僕とぶつかった少年。
そして、落とした情報…。

つまり、あの時入れ替えられたという事か?



そして、『テツ』という名前にも聞き覚えがあった。

「テツ…。
そうか、君が“あの”テツか。

追い詰めようとした所での手痛い失敗。
まるで、僕の行動全てが見透かされている様な不気味さ。」

未来を見る男。
歴史を編む者。
人を操る者。
全てを見透かす者。

多くの二つ名を残し、それでいながら謎に包まれている人物。


それらを全て総括した二つ名があった。


100年以上前に出版された『テツ』と『エヴァ』にスポットをあてた小説のタイトル。
その二つ名は、あまりに仰々しく、そのタイトルに失笑を覚えたが、今となっては笑う余裕なんてなかった。

「どうやら、未来人(みらいびと)という二つ名は伊達ではないみたいだね。」

『へっ?いやぁ、ちょっと…。』

「既にばれていると言うのに、その何も知らないという態度…。
忌々しいを通り過ぎて、怖ろしくすら感じる。

良いだろう。今日は僕の負けだ。次に会う時を楽しみにしているよ。」

こちらとしても、余裕がないため、一方的に念波を切る。

「さて、という事だ。
どうやら僕は未来人の手のひらで弄ばれていたに過ぎなかった様だ。」

「ちょっと待て。
未来人が云々ってどういう事だ!?

というより、テツが関係あるのか!?」

「答えてやりたいのは山々だが、僕としてもあまりココに居るわけにはいかないのだよ。
悪いが、逃げさせて貰うよ。」

残留魔力の対処法を施した転移魔法をする。
呼んだ二人も、それぞれの手段で戻ってくるだろう。

「なっ、ちょっと待ちや」


叫んでいるサウザンド・マスターの声は途中で途切れ、自分が転移に成功した事がはっきりと分かった。

ここに来て、まさかのイレギュラー…。
しかも、その相手があの未来人だ。

計画を見直す必要が出てきたようだね。



posted by まどろみ at 00:45| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。