2012年03月30日

第三章 世界放浪編 その14    裏

〜side ナギ〜







「なっ、ちょっと待ちやがれ!!」

私が言うよりも前に、白髪の男は転移しちまった。
しかも、あいつの部下らしき奴らも各々の方法で転移をしたらしく、既に影も形もない。

今回の奴らの目的。
偽の情報を流し、私達の動きに制限をかける事。
これをを阻止出来たのは良い。

恐らく、逆転の一手だったのだろう。
確かに、彼等の思惑通りに事が進んでいたら、状況は一気に変わっていた。

私が、マクギル元老院議員の正体に気付く事が出来なかったら、得た証拠を相手側に渡していたかもしれない。
下手をすれば、奴の操り人形になっていた可能性もあった。

そして、あの念波が繋がっていたら、世界中を敵に回していた可能性もあった。

もし、そうなったら最悪だ。
せっかく、戦争を終わらせる情報を持っているというのに、その証拠の価値はなくっちまうんだ。

まさに、逆転の一手。
運に頼るような物でもないし、下準備もしっかりとしていた。
私達としても、相手方がこの様な手で来るとは思ってもいなかったので、成功するはずだったんだ。



そして、私達は危機に陥っちまう。


そう、普通であったらそうなったはずなのに、たった一人の少年によって、その作戦はダメになっちまった。

「くそっ。なんだってんだよ!!
なんで、ココでテツの名前が出てくんだよ!!」

こう言ってはなんだけど、徹やエヴァちゃんには、こういった面での期待は一切していたなかった。
そもそも、あいつ等との出会いは唯の偶然であり、そして縁も腐れ縁。

アラルブラに所属しているワケでもないし、特別凄い所も、まぁ、男女関係を除けば特にない。
ただ、私が気に入った奴等。

そんな彼の名が、こんな場面で出てきたんだ。
混乱するなってほうが、無理だろ?


「……ナギ、お前何にも知らんかったのか?」

「って、ラカンは、なんか知ってんのか!?」

「……まぁな。
おい、ガトウはどうだ?なんか知ってるか?」

「いや、知らない……。」

ゆっくりと、煙草の煙を身体の中に取り込み、吐き出す。

「それで、ラカン。あんたは、何を知ってるんだ。」

相変わらず、ガトウのおっさんは渋いねぇ。

「……実はだな。」



「「実は??」」






僅かな間。ラカンは何かを見定めるかのように、私達の目を覗き込む。
その表情は何時もとは全然と違う。
こんな表情で話すのだ。かなり重大な事




「徹は、女の子なんだ!!!」



だったら、良かったなぁ……。



「だぁぁあああああ。おめぇ、まだ諦めてなかったのか!?
あいつは、野郎だって何度も説明しただろ!!!」

「そういう設定って事だろ?

大丈夫、分かってっからよ。
確かに女の二人旅っちゅ〜のは危ねぇからな。そりゃ男装するってのは良いアイディアだよな。」

「期待したら、これだよ!?
くっそ、私はまだしも、おっさんのダメージが半端ねぇ事になってんぞ。

無言で胃薬を、バリボリ流し込んでんだぞ!?
ちっとは自重しやがれ!!」

絶対、アレは身体を壊す量だって……。

「だっはははは、すまんすまん。

まぁ、徹の事は直接聞きゃ良いだろ?

それよりも、今はマクギルのおっさんだろ。」

「まぁ、確かに色々と問題も出てきたな。

一先ず、こちらも状況の説明、態勢の立て直し。
最後に、証拠を使えば……。」

ようやく、胃薬を飲みこんだガトウが話に加わってきた。

「この、糞くだらねぇ戦が終わる。ってな。」

女性が糞とか言うな。とかガトウに言われたが、そんなのは無視だ。無視。


「はぁ……。
まぁ、そう言う事だ。
善は急げだ。とりあえず俺は説明と、元老院議員の捜索願を出してくる。
こちら側は俺に任せてもらって結構だ。

だから、お前達は。」

「あぁ、おっさんの胃がコレ以上荒れる前に戻るとするよ。
アッチの説明は任せておきな。私の華麗な戦闘シーンを鮮やかに説明してやるぜ。」

きっと、アレだけで20分近くは話せるぜ。
とりあえず、台本は用意しておかなくちゃいかんな。

「いや、その辺は適当で良いぞ。」

「おめ、それじゃ殆ど話す事が無くなっちまうじゃねぇか。」

「って、貴様はそれだけを話すつもりだったのか!?」

あっ、マズイ。
また、おっさんの胃にダメージが……。

「さ、流石に冗談にだぜ……。あぁ。」

とりあえず、おっさんの胃のためにも色々とフォローを頑張らないとな……。


〜side ラカン〜



ガトウとナギがバカな事を言いあってるのを見て、とりあえず俺はため息を一つ吐き出した。
なんだかんだ言いながら、とりあえず話をそらす事に成功はした。


あの白髪野郎が言った言葉……。

アイツは、テツの事を知っていた。
しかも、『未来人』なんちゅう二つ名まで言っていたな。


思いだすのは、依頼人(クライアント)の言葉。

600万ドルの賞金首となった、テツという存在。
そして、教えられた二つ名は、『未来を見る男』。


あまりにも、似すぎている二つ名。

多分だが、『未来人』と、『未来を見る男』というのは同じ人間だ。
それが、俺等の知っているテツなのか、それとも全然知らない別の誰か、なのかは分からないが……。

まぁ、多分、俺等の知っているテツが未来人であっていると思うが。
何せ、テツとエヴァっていう二人が一緒に旅をしていて、さらに、黒髪と金髪という特徴もあってるし。流石にこの全てが偶然とは言えんよな?

てっきり俺は、他の奴等も知ってるモンだと思ってたが……。
まさか、知らんかったとは。


俺が紅き翼に入った理由。

それは、奴等が気に入ったちゅうのも確かにあるが、もう一つ。
テツとの接点が欲しかったっていうのもあった。(なにせ、週に3回ぐらいは偶然で会えるんだしな。)
コイツはかなり不純な動機何だがな。

とりあえず、それだけだ。
他の奴等はどうかなんちゅうもんは良く知らんが、まぁ俺はそんなもんだ。
ぶっちゃけちまえば俺はこの戦争がどうなろうが知ったこっちゃねぇし、さらに言っちまえばどうだっていい。


テツとの接点についてだが、裏技として、テツ達のグループに入るっていうのもある。
女の二人旅だ。俺みたいな用心棒も一人ぐらい必要だろ?
というよりも、初めはそうするつもりだったんだ。

ただ、流石に、朝から晩までずっと一緒っていうのは、ちょっと抑えられなく……ゲフンゲフン。


「おいおい、どうしたんだ?筋肉だるま。

いきなり咳き込んで。」

「いや、何でもない。気にすんな。」

少し怪訝そうに首を傾けたが、再びガトウと話始めたので、とりあえずは誤魔化せたのだろう。

とりあえず、俺は紅き翼の奴等が気に入ってる。そんなんだから、テツとエヴァが何者だろうと大丈夫っちゅうのは分かってんだが。
それを、隠しているっていう事は、知られたくねぇワケがあるのか、それとも教え忘れてただけか……。

まぁ、されたくねぇ事を、しかも惚れている女のされたくねぇ事だ。
ワザワザ教える必要もねぇよな?

そ〜いや、今さらだが未来人はまだしも未来を見る男っちゅうのはどうなんだ?

まぁ、男装していたから仕方ない所はあると思うぜ。
それでもよぉ、流石に男っちゅうのはないだろ。

でも、未来を見る女ってのもゴロが悪いしな……。
未来を見る少女?

うん、こっちの方がゴロは良いよな。

ただなぁ、それじゃテツの魅力が全然伝わらないよな……。
いや、でも魅力が伝わったら伝わったで、アリカに続くライバルが増えちまうかもしんねぇし……。

だぁ、そうは言ってもテツの魅力が伝わらない二つ名なんて認めたくねぇし、いっその事ふたt


〜side マクギル〜



いつの間にか侵入してきた青年。
おそらく、完全なる世界の人間だろう。

何も抗う事が出来ず、ワシは転移させられた。

警備を潜り抜け、魔法障壁や結界を無視、さらにワシを外へと転移させるとは……。
恐るべき力だな。

周りを見て思う。
敵に囲まれている自分……。

思った以上に冷静な頭が叩き出す答えは


死。

こんな事になるくらいだったら、少しはワシも魔法の練習でもしておけば良かったな。
まぁ、どれだけ鍛えたとしても、ワシは平均以下の魔法使いにしかなれないだろうがね。


ふと思い出すは幼い時。

彼等の様な英雄に憧れた、少年時代……。
絶望的なほど、自分に魔法の才能がなく、違う道へと移った。

政治の世界では魔法はなど、必要ない。
そもそも、大きな魔法など、衛兵や傭兵の様な戦う者達に必要なだけであって、普通に暮らしている人間にとっては生活に密着している魔法だけで十分生活出来るのだ。

だから、ワシは違う道へと移った。
幼き時の夢はいつの間にか忘れ、そして今を懸命に生きた……。

後悔はしていない。人生に悔いがあったワケでもない。
そりゃ、まだ死にたくはないが、そんなもん皆一緒だ。

それでも、不思議と幼い時の夢を思い出したのだ。
父へと、母へと言った言葉を。

現実を知らない、子供の言った微笑ましい言葉を不思議と思いだしたのだ。


そして、気付く。


あぁ、ワシは……




「彼等が羨ましかったのかもしれないな……。」


どんな、絶望的な状況下に居ても自分の力で全てを切り開く彼等の強さが、羨ましかった。

そんな、英雄達が放つ光に魅せられた。

そういえば、もう一つ別の光があったな。
紅き翼の魅せる光とは違う光。

周りを包み込む様な暖かく照らす光。
そこにあるのが当然の様に、気付かない間に近くにあった光が……。

初めて会った時はビックリしたわい。
あの仮面王子を笑わせていたんだからな。

ふふふふ、紅き翼とテツがどうやって生きて行くか……。
それを見届けれん事が心残りだが、覚悟を決めるとしよう。

出来れば、彼等の行く道に幸多からん事を







「ふぃ〜……。
あっ、トイレ何処にあるか知ってますか?」




posted by まどろみ at 00:46| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。