2012年03月30日

第三章 世界放浪編 その15    裏

〜side マクギル〜







唐突にテツが現れた時、僅かな混乱が生じる。
何せ、この地域には強力な認識阻害魔法と人払いの魔法が掛っていたのだ。
それにも関らず、まるで何でもない様にココを訪れた。

しかも、彼等から見れば、テツという存在は一般人であったのだろう。ゆえに、僅かな混乱と、隙が生まれたのではないのだろうかとワシを考えておる。

そこから、次々と展開が変わっていった。
状況の理解が追い付かず、ワシはタダタダ流されて行く一方でだったのだ。

まず、響き渡ったのは犬の遠吠え。

そして

「お前らは、我らが主を傷付けようとしたか?」

何故か黒龍が出てきたのだ。
それだけでも驚きだというのに

「野郎共、出番だ!!
気張っていけや!!!」

「やれやれ、全く。
相変わらず貴方はうるさいですね。
まぁ、気持は私も同じなんですが。」

「頑張る、好き、守る。
えい、えい、おー。」

人間、亜人、幻獣から精霊までもが集まってきたのだ。

そして、行われるのは戦いとは呼べないほど一方的すぎる戦いだった。
テツに抱えられながら、逃げたため結果までは分からないが、まぁ圧倒的な勝利であっただろう。


〜side ナギ〜



「ここまでが、ワシが知っている事だ。
その後、彼はワシを人通りの多い所へと送って行き、そのまま何処かへ行ってしまった。」

マクギル議員は最後にそう締めくくり、周りを見渡した。
円をかきながら座っている私達の真ん中には一枚の手紙が置かれている。

「ふむ……。
その助けに来た者達の言葉を考えると、徹はかなりの地位にいる人間なのかもしれないな。」

「だが、それにしたって妙な点が多すぎじゃねぇか?」

「確かに、ガトウの言うとおりですね。

それなりの地位に居るのだったら、あそこまで自由には出来ませんよ。」

アルが締めくくり、微妙が間が出来上がった……。

私の目の前には、何度も読み返した手紙が置いてある。
まぁ、手紙って言っても、そんな大したものじゃない。

『過激なストーカ達が、来たので逃げます。
あっ、でも何か助けられちゃったみたいなので、御礼言っておいて。
一応、オレからも言っておいたけど、まぁ、よろしく。
では、またそのうち会いましょう。』

たった4行だ。
正直、手紙っちゅうよりも書き置きって方が正しい。

過激なストーカって奴は、多分マクギル議員の話に出てきた黒龍達の事だろう。

この文面を読み取るだけだったら、ただストーカから逃げ回っているっちゅう事になるんだが、あれ程大規模なストーカはありえん。
そうやって考えると、この文面は何かを誤魔化しているとしか思えないんだけど……。

とりあえず、今回テツがやった事というと

まず、何らかの方法で白髪の青年を騙す。マクギル議員を救出した後、白髪の青年と念波でやりとり……。
これにより、完全なる世界はいきなり窮地に立たされたって事になるだろ?

さらに、何かテツは未来人なんちゅう二つ名を持っていて、なんか凄い軍隊を持っていて、今はどっかに行った……。

ダメだ……。
私の頭じゃ、色々と無理すぎる。


ただ

「今回の件でテツは、確実に完全なる世界に目を付けられたんだろ?」

そう、それが心配なのだ。
私達が見た限り、テツは戦闘能力が高いワケじゃない。

唯の身体能力があれ程高いっていうのは確かに異常って言えば異常だけど、気やら魔力を使えば、彼以上の身体能力にはなれる。
テツも気か魔力でも使えりゃ、かなり強くなるのだろうが、そっち系はホントに何にも出来ないらしいのだ。

「まぁ、心配すんな。
あの2人だったら余裕だろ?」

呟くのはラカン。
正直言って、一番意外な所から、一番意外な言葉を聞いたって感じだ。

「ふふふ。ラカン。
意外ですね。てっきり貴方が一番心配しているかと思っていましたよ。」



……いい加減隠し事をやめたらどうですか?」

いつもの様に、口は微笑みの形をとりながら


それでいて、目は、その口とはまるで反対の光を灯しながら、アルは聞くのだった。

「いや、別に俺は何も」

「テツの写真5枚」

「実はだな、テツは『未来を見る男』、そんでエヴァは『闇の福音』っていう二つ名があってだな、それぞれ600万と200万の賞金首らしい。賞金がかけられたのは500年弱前。ちなみにこの情報は深度A。初めは不老不死が原因で賞金を掛けられた……。

って、アル。
お前、それは卑怯だろ!?
つい、反射的にしゃべっちまったじ」

「+4枚。」

「そんで、大勢の賞金稼ぎが彼等を襲うが、その全てが失敗。テツとエヴァは賞金稼ぎを一人も殺す事なく、その全てを自分達の陣営に引きずり込んでいったらしい。」

うわぁ……。
ボロボロと情報が出てくるよ……。

「深度Aの機密となった理由は?+4枚。」

「テツ達を襲っていたはずの人間が全て寝返る。それを危険視した政府が、これ以上テツ達の戦力を上げないようにするために深度Aへと隠した。ただ、その危険さを分からせるために、賞金は懸けたままらし

ってお前、卑劣過ぎるだろ!?」

いや、これはアルが卑劣というか

「ラカン、バカすぎるだろ?」

「惚れた弱みだ!!
仕方ねぇだろ!?


まぁ、今回は緊急事態だし多少は問題ないだろ。
しかも、テツが本格的に動き出したからな、こんぐらい知られているっちゅうのもテツも分かってんじゃねぇか?」

流石のラカンも、何の考えも無しに暴露したワケでは無かったようで、ほっと一息。

「では、他に知っている事の全てを教えてください。」

「お前なぁ……。
流石にコレ以上はお」

「妙に肌色が多いテツの写真。」

「全部、ネガごと渡せ。」

「もちろんです。」

妙に肌色が多い……。
上半身裸とかって事だよな??

っていう事は、その写真を見ればラカンの勘違いが、ようやく終わる。
それで、謎のドロドロ4角関係も終わって、おっさんと詠春は胃薬を手放す事が出来る。

まぁ、ラカンのショックはヤバいだろうけど、何時かは知る事だし、仕方ないよな。

おっさんと詠春は分かりやすいほど、目を輝かせながらサムズアップをアルへと向けていた。

「とは言っても、まぁ大した情報はないぜ。

この情報をくれたのは帝国の奴で、2人を帝国に引き入れたら賞金の3倍払うって事と……。
後、何かあったけな?

あぁ、すまんが限界だ。
お前達を追いかけてくる時によ、色々と情報を集めたんだが、テツとエヴァに関しては、たまにお前達と一緒にいるってぐらいしか分からんくてよ。」

「そうですか……。
まぁ、良しとしましょう。

とりあえず、テツの普通の写真13枚。」

一枚ずつ確認をし、そしてジャケットの内ポケットへとしまうラカン……。
その顔は、崩れまくっていた。

この後、この崩れた顔が青くなるんだろうな。
天国から地獄っていうか、なんか、うん


ご愁傷様。


「それで、ラカン。
例の、肌色が多い写真とネガ全部です。」

「おう、それじゃ、そいつを全部この箱の中に入れてくれや。」

そう言いながら、ラカンが取り出したのは何の変哲もない、木箱。
ちょっと可笑しいとは思うが、もしかしたら、アレなのか?

テツの色っぽい写真は、他の奴には見せないぜ!!

みてぇな?

「???

えぇ、別に良いですけど。」

どうやら、アルも可笑しいとは思っているんだろう。
ただ、それでも怪訝そうな顔をしながら、箱へと写真やらネガをダバダバと入れている。

「はい、これで全部です。」

「よし、それじゃ〜」

鼻歌でも歌いそうなほど、機嫌良さげに笑いながら、ラカンの右腕には気が収束されていき。


「ラカン?
一体、何をして」



轟音。


つづいて、爆音。

気付けば、ラカンの右腕は木箱に突き刺さっており、その木箱は火を灯していた。

「なっ!?
ラカン、お前何やってんだ!?」

「あぁ?
何って、こんなもん見るわけにはいかねぇだろうが?」
なんというか、返ってきたのはラカンらしくない言葉だった。



ちなみに、木箱の周りでは詠春とガトウが

「くぅ、俺達のメシアがぁあああああ。」

「諦めるな!!!ガトウ。

一枚でも救い出せたら、胃薬とオサラバ出来るんだぞ!?」

みたいなやりとりをしながら、慌てて火を消している。その光景に涙が出そうになった…。



「なんだぁ?らしくねぇじゃん?

おめぇ、随分前に温泉でおっぱい演説して、女湯に乗り込もうとしてたじゃねぇか。」

バカの声が大きすぎて女湯まで聞こえてたんだがな。
そんな、煩悩の塊っつ〜か、エロエロが大好きなラカンが生真面目な事言うのだ。
流石に、こりゃ変だろ?

問いかけるが、へらへらと笑いながら、適当に流そうとしてくる。


「まさか、おめぇ。
テツだからか?」

あっ、固まった……。

なんて言うかさ、ラカンも被害者なんだよな。
確かに、ガトウや詠春は(主に胃的な意味で)被害を受けているんだけど、ラカンだって(主に性別的な意味で)被害を受けている。

しかも、かなり本気っぽいじゃん。
そう思うと、ラカンが可哀想で、可哀想で……。

現実の悲惨さを思い知っていると


「あった。一枚だけ、一枚だけ無事だったぞ!!」


ガトウの、本気で嬉しそうな声が聞こえた。
隣に居る詠春が持っている写真が、2人が勝ち取った成果なのだろう。

「さぁ、ラカン。コレを見ろ。」

そう言い、ラカンに見せつける写真。

そこには、まぁ当たり前だけどテツがいた。


上半身裸。
背中にある、大きく斜めに切り込まれた傷跡は、幼い身体と相まって、非常に痛々しく見える。


そして何故か、スカートを履かされ、女の子座り。
カツラだろうか?髪が長くなっており、さらに振り向きながら涙目の上目使い。

「わ、わざわざ、それを拾い上げますか……。」

アルの声が響き、ラカンは鼻から赤い液体を流していた。


posted by まどろみ at 00:47| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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