2012年03月30日

第三章 世界放浪編 その17    表

第三章 世界放浪編 その17    表

拝啓

お父様、お母様。
早いもので、私が過去だか異世界だか良く分からない所へ飛ばされて、500年(くらい)の月日が経ちました。
お二人はどのようにお過ごしでしょうか?

ちなみに、僕は走り回るほど元気です。


「こちらゼータ。未来人と闇の福音を発見しました。」

「S級重要人物だぞ。
さっさと、ヤっちまえ!!

いざとなったら、あの方の下へ無理やりにでも送っちまえば、あの方が何とかしてくれる!!」


はい、全力疾走で、一時間以上も走り回れるほど元気です。

季節の変わり目ですので、身体を崩されやすい時期です。くれぐれも、お身体にはご用心ください。


敬具











「で、エヴァちゃん!?
なんで、オレ達追いかけまわされてんの!?」

「相応の事をしたからだろ?」

つまり、オレが悪かったって事??
覚えはないけど、なんか気付かないうちに悪い事をやっちゃったとか?


それだったら、謝るべきなんだろうけど……。

ちらっと後ろを振り返る。


目が血走り、怒声を上げながら追いかけてくる人々。
その手には、ナイフやら剣やら、ドスやら、杖やら……。

無理。とてもじゃないけど、許して貰えそうにない。
というか、こんなに怒るような酷い事を気付かないでやるほど、オレは無神経なつもりはないし……。

もしかして、勘違いとか?




「まっ、大方予想はつくがな。
今まで、奴の目が届かない所で、好き勝手にやってきたんだ。

最終決戦で、そんな事をさせないよう、目が届く所に置いておきたいっていう気持ちは分からんでもないさ。」


……恐怖あまりにエヴァちゃんが変な事を言い出したみたいだ。
まぁ、確かに、こんな目を血走っった男達に、凶器を持って怒鳴りながら追いかけられれば、いくらエヴァちゃんでも怖いと思う。

吸血鬼云々の前に、エヴァちゃんだって一人の女の子。
その女の子がこんな目にあってるんだ。そりゃ、怖いに決まっている。

そんな女の子に、男はどうにかして励ましたり、その恐怖を和らげたりする義務があると思うんだけど……
そんな余裕ありません。

「ナイフぅぅうううううう。
ぬおっ、そこは、らめぇぇぇええええええ。」

股下を通過していくナイフ。
ちょっと、色々と縮こまった気がする。


「ベータから、アルファへ。
追い詰めた。魔力を込めて、向こうへ転送しろ!!」

「魔力、送りこみま」

唐突に声が途切れた。



今までは森の中に居たはずなのに、周りを見渡してみると、鉄格子……。

なんか、牢屋っぽい。
ただし、下にはふかふかな絨毯。大きなソファーもあり、机の上には様々な果物が所狭しと並べられている牢屋であった。



血走った目をしながら追いかけてきた集団。


そんで、豪華牢屋へワープさせられた……。


これって、誘拐じゃね??
確かに、牢屋が異常なほど豪華って所が変だけど、そこを気にしなかったら、コレは立派な誘拐みたいだ。





ふっはははははは。
甘いぞ。甘すぎるぞ。誘拐犯。

オレとエヴァちゃんは、8回も誘拐されているプロだぞ。
こんな牢屋、簡単に逃げてやるわ!!!



「よし、エヴァちゃん。
魔法ぶっ放して、牢屋を壊しちゃって。ん??エヴァちゃん??」

腕の中に居たはずのエヴァちゃんが、居なかった。
もっと早くに気付けよ。オレ……。
う〜ん、大丈夫かな?エヴァちゃん。

まぁ、いざとなれば魔法でなんとかするよね??

「エヴァンジェリンは別の部屋にいるよ。
可能な限り、君の手札を削らせてもらったというワケだ。」

何時の間にか、鉄格子の向こうに立っていた白髪の青年が話してきた。
多分、彼も誘拐犯の一員なんだろう。
なんか偉そうな雰囲気を醸し出している所から、かなり上の人間なのかもしれない。

「あぁ、安心したまえ。彼女に手は一切ださないし、不自由にはしないさ。」

まぁ、とりあえずは一安心かな??
嘘の可能性もあるっちゃあるけど、事実自分は豪華な牢屋に入れられているんだから、多分エヴァちゃんも大丈夫だろう。

ただ、時間が経つとどうなるか分からないから、ココから何とかして脱出はしなくちゃいけないワケで……。

「君だったら、既に分かっているのだろ?この世界の真理を。
そして、僕達がやろうとしている事を。」

白髪青年が何か言ってるが、適当に頷きながら流し、思考する。

とりあえず、今のオレに出来る事。つ〜か、やらんかちゃいけない事は、牢屋からの脱出。エヴァちゃんの救出。あっ、この建物の構造も知らんくちゃいけないな。

「だったら、率直に言うとしよう。
未来人、徹。僕達の仲間にならないか?

頷くのなら、君達の安全は保障しよう。」

ミライビト??
名字、間違えてやがるよ。この人……。

まぁ、名字の間違い云々は置いておいて、今重要な事はオレとエヴァちゃんの安全の確保。
とりあえず、何か仲間に誘われているから、嘘でも頷いておけば安全の確保は出来るって事だ。

そんで、後でトンズラすりゃ良いよね。


「うん、良いよ。」


「……こうも簡単に頷くとはね。罠の可能性を疑ってしまうよ。」

えええええぇぇえええぇぇぇぇぇぇぇ!?
どうしろと??
オレに、どうしろと言うの??

確かにさ、仲間のふりして後でトンズラしようとしていたけどさ、先に話ふって来たのそっちでしょ!?

「フフフフ、とことん君は厄介だね。
君には、例えギアス系のアーティファクトを使ったとしても、破られそ……。
いや、むしろギアス系を使ったが故に、僕達には想像もつかない方法で、組織を潰しそうだね。

僕は、君が怖いよ。どんな暴力にも、権力にも、屈することなく、それらを全て潰す、君の知力が。」


僕何者ですか!?
なにそれ。何か盛大な勘違いを起こしていませんか!?この白髪君。

その勘違いを正したいけど……。
でも、その勘違いのおかげで、酷い目に合っていないワケであって。

「だったら、どうする?
オレを殺すか??」

「いや、止めておくよ。逆にこちら側に損失が出そうだしね。」

ほらぁぁぁあああ。

絶対勘違いを正しちゃダメだよ。
正したとたん、殺されるよ。オレとエヴァちゃん!!!

「残念だが、君はそのままココに閉じ込めておくのが一番かもしれないね。

あぁ、安心して欲しい。エヴァンジェリンにも手を出さない。今一番怖いのは怒った君だからね。
ちなみに、この部屋は魔法や気が使えないようにしてあるからね。その辺の不自由さは勘弁して欲しい。

ただし、出来る限りの快適な空間……というより牢屋だね。
とにかく、それを君とエヴァンジェリンには与えたつもりだ。

もうまもなく、最終決戦が始まる。
出来れば、全てが終わるまで大人しくしておいて欲しいのだが……。

まぁ、強制は出来ないかな?」

一方的に言う事だけ言って、立ち去って行く白髪君。
とりあえず、手に入った情報で今自分が置かれている立場をはっきりとしないと問題だよな。

とりあえず、オレ達は誘拐された。
コレは間違いがないだろう。

そんで、さっきの言葉から出てきた『組織』と『最終決戦』……。

つまり、こんな感じだろ。

なんか誘拐とかで商売をしている組織(多分、マフィア)がオレ達を誘拐した。
実は、その誘拐した男が、実はメチャクチャ凄い奴らしい。

今現在、マフィア同士の抗争があり、その抗争の仲間になって欲しいが、自分達の力では扱いきれないと判断。

仕方ないから、その男はとりあえず捕まえておくとして、間もなくその抗争の最終決戦を行うと……。



完璧だ。
コレだったら、さっき白髪君が言っていた言葉の辻褄が合う。

うん、予測は完璧なんだけどさ……。
このまま行ったら、オレ達抗争に巻き込まれちゃうよね!?

マズイ。非常に不味いぞ。
出来れば、最終決戦が始まる前に、エヴァちゃんを掴まえて逃げちゃいたいんだけど、今閉じ込められてるしな……。










ドコォオォオン


響き渡る爆音……。
なるほどねぇ、魔法世界の抗争だ。そりゃ爆音ぐらいなるよね……。

しかも、何か建物揺れたし……。


「ヤバいって、崩れる。建物崩れちゃうべ!!!」

パニックになり、鉄格子を手でガシャンガシャンと揺らしまくると、鉄格子が曲がった。

忘れてたけど、オレの身体能力って良い方だったけ……。

よっしゃ、そう言う事なら。

鉄格子を両手で持ち


「どりゃぁぁぁああああ。」


無理やり開く。
段々と、格子間の隙間は広くなっていき。

何とか、横になれば通れるくらいの隙間を作る事が出来た。

「案外、オレってスゲェ。」

自画自賛した後、ラカンさんが、自分の何十倍もある竜をひっくり返していたのを思い出した……。

「ここじゃ、コレぐらいが普通なのね……。」

ちょっと落ち込んだのは内緒だ。

とりあえず、エヴァちゃんの捜索をしなくちゃな。
とは言っても、建物の構造が分からんから、適当に歩き回るしか手がないんだけど……。

爆音が度々鳴り響くなか、小走りに右に曲がったり、左に曲がったり、こけて壁に激突したら、壁がグルリと回ったり……。
そんなこんなしながら、辿りついた所には


「アスナちゃん……」

変な光る模様の上に座るアスナちゃんがいた。

「……テツ??」

そう問うアスナちゃんの瞳には、光がなく、鈍い色を携えていた。

「そのと〜り。

とりあえず、ココから逃げようか。ココってば滅茶苦茶危ない場所っぽいからさ。」

アスナちゃんを連れて、エヴァちゃんを捜して、抗争に巻き込まれる前にオサラバ……。
異常なほど難易度が高いよ、これ。

「ムリ、この上から私は動けない。」

どうやら、アスナちゃんは怖くて、腰が抜けた状態のようだ。
とりあえず、抱えて逃げれば問題ないね。

「おっけ〜、おっけ〜。お兄さんに任せておきなさい。」

「ダメ、近付いたら消え」

今まで、多くの不安があったのだろう、何かを言いきる前に、言葉をかぶせる。
少しでもアスナちゃんが安心できるようにと。

「大丈夫、大丈夫、ご安心をっっととっとと。」

途中で、地面に落ちていた小石に躓きながら、喋った。

躓いてしまったせいで、小石はそのまま飛んで行ってしまい、アスナちゃんの横をバウンドしながら進んで行った。

「あはははは、締まらないね〜。
とりあえず、アスナちゃん、脱出しようか。」

笑って誤魔化しながら、アスナちゃんに近付く。
淡く発光していた幾何学模様は、何時の間にか光を消しており、少し薄暗くなっていた。

アスナちゃんは抱えられたという事には何にも反応せず、ジッーーーっとオレを見てくるアスナちゃん……。
そんなに見つめられると恥ずかしいんだけど……。

「よし、アスナちゃん。それじゃ逃げるぞ。」

「うん……。」

そして、一歩踏み出した瞬間。

ガアアァァアアン
ブォォオオオォオオン


今まで鳴っていた爆音とは一味違う物が響き渡った。
そして、足元からはミシッという、非常に嫌な音が聞こえる。

「いやぁぁあああな、予感がするなぁぁぁああああああ。」

とりあえず、ダッシュ。
足元に走るヒビから逃げるため、とにかく走る。

暫くの間、オレは頑張ったよ。
ゴールがあるかどうか分からない追いかけっこ。

ただ、10分もしないうちに、その追いかけっこには負けてしまい、オレは堕ちた。



posted by まどろみ at 00:47| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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