2012年03月30日

幕章 赤き翼編 その1

〜side 徹〜







ゼクト君が、中二病になり、家出しました……。
いや、だってアレだよ!?

なんか、世界の危機だの、仲間になれだの……。
喋り方も変わっていたし、もう、完璧に中二病が発病しているよね!?

とりあえず、適当に合わせながら、丁重にお断りした所、ショックだったのか家出をしちゃいました……。




客観的に見れば、そんな感じの別れ。

でも、これは彼の冗談だったんだろうね。

確かに、ゼクト君ってチッコイけど、実はかなりの長生きらしい。
まぁ、オレ達と同じって事だ。

そんな、年食った人間が中二病を発症するだろうか??
多分、ないと思う。

丁度戦争も終わり、キリも良いって思ったんじゃないかな??
そんで、一人旅に出る彼なりの別れの挨拶……。

まぁ、随分と”アレ”だったけど。



でも、バカをやってくれたおかげか、別れがあまり悲しい物にならなかったな。

寂しいけど……。

そんな事を考えていたせいか、アリカに心配かけてしまい、慰められてしまった。
いきなり、抱きつかれたりしてかなり驚いた。結構マジで。



〜side ラカン〜



「何をやってるんじゃ!?」
「おい、コラッ。
モヤシ野郎!!!!」

見た光景は、衝撃的な物であった。
何せ、テツがアリカに抱きしめられているのだ。

俺だって、一度もそんな事した事がないっちゅうのに、

「いやっ、こ、これはだな……」

「言い訳は良いから、さっさと手を離せ!!!

俺が一世一代の大告白をしようって時に……この、モヤシ野郎は……。」

上に来ているジャケットのポケットに指輪を入れ、テツがOKしてくれれば、スグにでも結婚しようっていう意気込みだっていうのによ!!!!

「って、貴様はまだプロポーズをする気なのか!?」

「応、もちろんだとも。
それでな、エヴァの嬢ちゃん。
どんな所が良いか、アドバイスが欲しんだが……。」

他の奴等から聞いた所

猫耳を付け、胃薬を片手に、ラカンインパクトを放ちながら、テツにプロポーズするように言われた……。
流石の俺でも、こんな事をやっても上手くいかない事ぐらい分かっている。

というか、人が真剣だっていうのに、アイツ等ふざけ過ぎだろ?

まぁ、そう言うワケでテツに一番近くって、まともなアドバイスをくれそうな嬢ちゃんに聞いてみる。

「えぇ〜と、俺はこれで。」

「おっと、アリカ。
逃がさねぇぞ。テメェには聞きて〜ことがあるからな。」

逃がさないように、モヤシの襟首を持ち、ぶら下げる。
何とか逃げようとしてるみてぇだが、無駄だ。

「えっ、ラカンさんプロポーズするの!?」

「応。
それでだな、どうやってプロポーズすればいいかって悩んでいてなっ!!!!」

いたって普通の反応だ。
ダチが、プロポーズする云々言っているのだ。
そりゃ、気になるであろう。

俺だって、助言が欲しいから、こうやって堂々と話したんだが





流石に、本人(テツ)の前で、話しちゃダメだろ……。

「へ〜。
そうだね……。

オレだったら、男らしくが率直にってのが一番良いと思うなぁ。」

テツは『男らしく率直に』プロポーズされたい。
いや、さっきは本人の前で相談してたせいで落ち込んだが、テツがされたいプロポーズ方法を『本人から』教えて貰ったっていうのは、ある意味プラスじゃねぇか?

「男らしく、率直にか……。」

「そそっ。
まぁ、オレの個人的なものだからね。役にたつかどうかは分からんよ?」

いや、むしろ一番必要な情報だぞ。それは。


「テツ。

好きだ。結婚してくれ。」


勢いで言った感はある。
だけど、この気持ちは、本当の事で、一か月以上ずっと言おうと思っていた事。
自然と心臓は高鳴り、喉が異常なほど渇く。


そして、テツが口を開く瞬間が異常なほどゆっくりに見えた。



「そそっ。

そんな感じで、直球でいけば良いと思うよ。」


間違いなく、この瞬間、時間は止まっていた。




そんなこんなで、気付けば俺は温泉に入っていた。

勢いとは言え、覚悟を決めたプロポーズが、まさかの勘違いで終わってしまい、意気消沈している間に、他の奴等に連れてこられたらしい。
温泉っていえば、オスティア名物のため、混んでいるのだが、外が祭りのため、随分と空いていた。

「確かに、全く俺は男として見られていないのかもしれない……。」

なんの感慨もなく、テツは普通に勘違いを起こしたのだ。
これは、テツにとって俺が恋愛の対象として全く見ていないって事……。

はぁ……。

こうなりゃ、当たって砕けるか。
なにも、プロポーズは一度しかしちゃいけないっていうワケじゃねぇしな。

流石に、しつこ過ぎちゃいかんが、まぁ何とかなるだろ。


「いや〜、それにしても良い湯だね、タカミチ。」

「いや、あのぉ〜、テツさん。
あまり、ウロウロされると問題があるというか、見つかるというか……。」

「見つかるって、何に?

っと、はっけ〜ん。」



あってはならない声……。
そして、その声に視線を当てれば、テツとタカミチの姿が……。



〜side ガトウ〜



怖れていた状況。

それは、完全なる世界が魔法世界を崩落させることであったり、未熟な儀式により崩落以上の何かが起こったり、等々。
まぁ、様々な物があるだろう。

そんな中に、これも含まれていると思うんだ。

『温泉でラカンとテツが出会う』


うん、何が起こるか想像が出来ない。
そんな、怖れていた状況が今、眼の前で広がっていた。

異常なほどのストレスを感じ、口が寂しくなる。
無意識の内に、手は胃薬を探しているが、温泉に入っているため、残念ながら持っていなかった。

「「はぁ……。」」

無意識に吐いたタメ息は、何故か詠春と同時だった。

「あぁ〜、テツ。
ちょっと、ラカンと、俺達とで大人の会話があるからな。

タカミチと一緒にサウナとかでも行っててくれないか?」

とりあえず、タカミチを使い、テツには退場して貰う事にしよう。
彼が居ちゃ、まともな会話が出来るとは思えないし。

「りょ〜かい。
っていうワケで、タカミチ君、行こっか。」

「あっ、ハイ。」

とりあえず、テツの退場は、彼が非常に素直な性格だったため、本当に簡単に終わった。
そして、次……。

「あぁ、ラカン……。
とりあえず、俺達の言った通りだろ??
テツは男なんだ。」

ラカンのケア(?)をしなくちゃいかん。
何せ、ラカンは男にプロポーズしようとしていたのだ。
彼の精神的ショックは、かなりモノであろう。

とはいっても、不幸中の幸いって所だろう。
テツへのプロポーズは、未遂で終わっていた。


とりあえず、非常にギリギリな所だが、ラカンはまだ、引き返せられる所に居るのだ。
ココでしっかりとラカンが色々と受け止めてくれれば、俺と詠春の胃薬生活も終わってもんだ。

詠春は、その辺りを全部俺に任せるつもりの様で、隣で頷いているだけだった。


「とりあえずだな、お前はしっかりとそれを受け止めてだな、新しい人を……。

おい、ラカン?
お前、鼻から流れている、その赤い液体は何なんだ?

どこかで、ぶつけたんだよな!?
そうだと言ってくれ!!!」

「お前な、惚れた奴を見りゃ、鼻血ぐらいでるだろ?」

何でも無かったかのように、頭に乗せてあった手ぬぐいで鼻をふき取るラカン……。

「ラカン、まだテツが女だと思っているのか!?」

なにも、身体に纏(まと)っていない状態で、テツは俺達の前に現れたのだ。
ぶっちゃけ、胸が全くない事も、下半身に男の勲章がしっかりとあったのも、見えていた。

それだけ、確たる証拠があったのだ!!
流石に、それだけを器用に見ないようにする事は無理であろう。

「いや、しっかりと分かったぜ。
テツは、男だ。」

……まさか。

俺が感じ取った嫌な予感を、隣の詠春も同じように感じ取ったのだろう。
静観を決め込んでいた詠春がたまらず、口を出す。


「ラカン、お前
いくらなんでも、それだけはダメだ!!!
お前、もう一度考えてみろ。真実を見ろよ!!!」

「そうだぞ。
生産性が全くない、意味のない事っというか、もうだぁぁああああああ。

とにかく考え直せ!!!!」

「はぁ、全く。

全然分かっていないみてぇだな。
俺はな、テツだからこそ惚れたんだぜ?

そりゃ、些細な勘違いがあったが」


「全然些細じゃない!!!」

思わず、漏れた叫びを無視して、ラカンは話しを続けやがる。


「そんな小さい事で、俺の気持ちは変わらん。」

「全然小さくない。っというより、変わるべきだろ!!その気持ちは!!!」

詠春の叫びも上がった。


全くの同意見だ。



「真実?意味?
そんな言葉、俺の性にゃあ、何の関係もねぇのさ。」


う〜ん、アルにでも頼んで俺を女に出来ねぇいかね??
そうすりゃ、アイツとの子も出来るし。

等々。
呟くラカンの隣で、俺達は真っ白に燃え尽きていた。
とりあえず、胃薬の量がまだまだ増えて行くと思う。



〜side エヴァンジェリン〜



「それで、アル。
私に一体何の用だ?」

何時もの様に、笑みを浮かべ、アルビレオ・イマは私を見つめる。
あからさまに、テツ達を風呂へと誘導しし、そして私だけを、この場へと残した。
明言はしていないが、彼が私に何らかの用があると言う事は間違いがないであろう。

「テツとラカンの明るい未来設計についてのご相談をした

冗談です。ですから、その断罪の剣をしまってください。」

仕方ないので、アルの喉元に付けた断罪の剣を解除してやった。

「それで、結局なんなんだ?
貴様の用は?」

「……組織、ナイト・メア。

悪の研究組織とされ、事実その組織が研究していた事は協会からは禁忌とされるものでした。」

唐突に、アルは流暢に喋り出した。
何時もの笑みは消え、語る様に、ゆっくりと言葉を紡ぎだす。

「一体、何を言っているんだ?
貴様は??」

話の前後が繋がっていない、唐突な話し。
あまりにも、彼らしくない、破たんした話し方。

「その禁忌の研究とは、吸血鬼の真祖に関する物。
今から、500年近く前から、100年もの間続けられていた物です。」

私の問い掛けは無視されていた。
何が何だか分からないが、とにかく私はアルの話しを聞かなければいけないようで……。

「ある家系が、代々長を務め、そしてその長は自身を『ナイト・メア』と名乗っていました。

ちなみに、その『ナイト・メア』というのはですね、初代長にちなんでつけられた称号のような物なんですよ。」

全く意味のない、関係のない、取りとめのない

そんな会話。

理解が全く出来ていないのに、不可解な事に私の心臓の鼓動は早くなっていた。

「初代長の名は『メア』。
夢を操る魔法を得意とし、人間ながら吸血鬼の友となった女性。

彼女の名と、その得意魔法から『ナイト・メア』と呼ばれるようになり、何時しか長の称号となりました。


そして、彼女が研究したのが、吸血鬼の真祖という呪いをとき、人間と戻る様にするための魔法。」

随分と、久しぶりに聞く名前が出てきた。
人間でありながら、私のライバルであり、友であった、懐かしい名前。

「……あれだな。

まぁ、今の私は非常に動揺しているさ。
何せ、随分と久しぶりに聞く名前が、全く関係のなさそうな貴様から出てきたんだからな。


だがな、どうも不可思議な所が多くてな。

とりあえず、アルが言っている"メア"は、私が知っている者と同一人物で間違いないのか?」

「えぇ、間違いないはずですよ。」

「ふむ……。
そうなってくると、余計分からん事があってだな。

アイツは、テツ至上主義みたいな奴でな、テツが不老不死故の孤独にならない様にと、私を頼った様な女だ。
いや、私に譲ったとでも言おうか?
とにかく、奴は私に不老不死を期待していて、けして、この呪いをとく事に執着していたワケじゃないんだよ。


奴自身はな、弱き人間でも化け物と、生涯の友になれると証明しきったんだ。」




メアが紡いだ言葉は、何百年経っても、色あせる事なく、今でも残っている。


『エヴァちゃんや徹様から見れば一瞬かも知れません。
ですが、その一瞬を私は生涯を使って、支えていきたいのです。

あと、アレですよ。

例え不老不死で、化け物と呼ばれようとも、人間の私が友達で居続ける事が出来るっていう証明もしたいですしね。』


この言葉に、どれほど救われたか。
この言葉を聞いた時、どれほど私が涙を堪えたか……。


「そんな彼女の誇りを傷つけるような嘘を付いたのならば、いくら貴様とは言えども、私は許さぬぞ。」

断罪の剣を首元へ突きつけ、僅かに皮膚を切り裂く。


「フフフフ……。」

「アルビレオ・イマ。
何が可笑しいのだ?」

「いえいえ、少し嬉しくなってしまいましてね。
まぁ、お気になさらず。

とりあえず、このままでは私が串刺しにされそうなので言い訳をさせて貰いますね。」

断罪の剣が見えていないかのように、アルビレオ・イマは微笑み、そのまま『言い訳』をし始める。

「彼女、メアは確かにテツを大切に思っていましたが、それと同じように、エヴァンジェリン。

あなたも大切に思っていたのですよ。


確かに、テツは不老不死なのかもしれません。
ですが、貴方とは違い、彼の不老不死は不安定……とでも言うのでしょうか?

とにかく、メアと共に居た時、彼の不老は目で見えてましたが、不死という点は確認出来ていない状況でしたよね?」


まぁ、確かにアルが言う様に、テツの不死が事実であるかどうか、当時は勿論、今でも良く分かっていない。
まだ、彼は不老不死疑惑という状態で止まってしまっているのだ。


「そして、さらに彼は人間のまま不老不死という不自然さもある。
グールや、吸血鬼などといった様に、人間以外のモノになる事無く、彼は不老不死になってしまったという状況……。

そんな不可思議で不安定な不老不死でしたら、唐突に無くなってしまっても不思議ではないでしょう?

貴方も考えた事があるはずですよ。
唐突にテツが普通の人間へと戻り、寿命で死んでしまったとしたら、再び貴方は孤独になってしまうと……。

もう一度言います。
確かに、メアはテツの事を大切に思っていました。

ですが、貴方の事も同じように大切と思っていたのですよ。











さて、こんな言い訳ですが、いかがでしょう?
いや〜、これでダメだと、流石に私も困るんですが……。」

未だ、喉に突きつけていた断罪の剣を離してやった。

くそっ、メアと分かれて500年近くも経っていると言うのに、アイツにまた泣かされそうになるとは、屈辱だ。

「仕方ないからな。
それで納得しといてやるさ。」

「フフフ。声が震えていますよ。」

「震えてなどいない!!!」

とはいえども、そう叫ぶ声すら僅かに震えており……。

「まぁ、良いでしょう。
さて、組織『ナイト・メア』が残した禁書、『アルビレオ・イマ』に載っている研究成果、貴方に全て渡しましょう。

あっ、メアが研究した夜用の魔法も盛りだくさんなので、楽しみにしてくださいね。」

言いながら、アルは人差し指を私の額へと当てた。



posted by まどろみ at 01:01| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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