2012年03月30日

幕章 麻帆良編 その8

〜side 亜子〜






テツ兄ぃは、随分と変わり果ててもうた姿やった。
色んな管が兄ぃの身体中巡らされとって、ワケの分からんよぉな沢山の機械に囲まれとった。

ピッ、ピッ……

そんな無機質な電子音が、ピクリとも動かへん兄ぃが行きとる事を教えてくれとったが、その音はあまりにも弱々しいねん。
慌ててやって来た、おじさんとおばさん。
おばさんは、兄ぃの様子を見た瞬間、呆然と立ち尽しとるんや。
おじさんは、痛々しい兄ぃの姿を見つめとった。

「どアホ息子が。」

おじさんの呟きが思った以上によぉ響いたん。
テツ兄ぃは、アホやから、よう入院しとった。
勝手に身体が動いたとか、ゆーて、いっつも大怪我しとんねん。
いつもいつも、誰かを助けて、巻き込まれて大怪我しとんねん。

ほんま、いつもいつも……。
ウチも、助けてもろうて、大きな傷作らせてもうて。
兄ぃアホやから、ほんまアホやからな。
いっつも、いっつも傷だらけになってん。
それでな、笑うんや。

ウチを助けたときやって、そうや。
兄ぃの横で泣いておるウチをな、笑って撫でるんや。



ウチな、テツ兄ぃに謝らんといかん。
だってな、兄ぃが怖かったんや。


「OK、じゃこちらも終わらせるな。」

言いながら、男がウチに銃を向けた時。
ほんま、ドラマみたいな展開やったんや。
お母さんが見とった、ドラマ。
でな、ウチ狙われとるちゅうに、全く何も思わんかったんや。
ただ、あぁ死ぬんかってだけ。

そんな事、思ってたらな、兄ぃがウチを助けたんや。
男の腕を、折ってな。

そん時の兄ぃの目が、怖かったんや。
平然と、何でもない様に腕を折って、そして、その後


大勢を殺した兄ぃが、怖かったんや。


多分、兄ぃやから、ウチが怖がってたの分かったと思う。
悲鳴、めっちゃ上げてもうたしな。

兄ぃが、兄ぃじゃなかったみたいで。
そないな事、思っちゃアカンって分かっておる。
分かっておったんや。

兄ぃは、ウチ達のために、人を殺したちゅうのは、分かっておったんや。
分かっておったんやけど、ウチは……。


せやから、ウチ謝りたんや。
兄ぃに。

せやから兄ぃ、はよう起きてや。
もうな、もう、ウチ、我侭もお願いもしいへん。
兄ぃが褒めてくれた、料理やって、毎日作ったる。
せやからな、せやから

「起きてや、徹兄ぃ。お願いやから。」

呟いたと、ほぼ同じ時


ピ─────────────


異様なほど、甲高い機械音が耳に刺さる。
慌てた様子で、動き出すお医者さん。

ウチは、何も出来ず呆然とするだけやった。
ウチ、頭そんなにようないから、今お医者さんが何をやっとるのか、全然分からへん。
せやけど、あの音が、徹兄ぃを遠くへ連れてっちゃう事だけはわかっとったんや。

「嫌や。
ウチ、ウチ」

唐突に世界が光に包まれたんや。
真っ白な世界やった。
















光がなくなると、兄ぃが消えておったんや。
跡形もなく。
視界が真っ白になったんは、ウチだけじゃなかったようで、皆が大慌てしとった。

真っ白になったんは、ほんの数秒。
その間に、兄ぃはどっかに消えてもうたんや。

後々知ったんやけど、どうやら今時の光ちゅうのが、どうやら世界樹の発光らしん。
ほんま、一瞬やったけど、かなり強く光ったらしんや。
それが、原因でな、真っ白になったらしい。
次の日、その発光でクラス中が盛りあがっとったなぁ。


まぁ、とりあえず、唐突に徹兄ぃが消えたんや。
初めは、皆大慌てやった。
皆して、病室の中を探し回ったんやで。
お医者さんなんて、パニックになって変な木の棒を取り出したかと思うと、ぶつぶつ独り言言うておったし。

ウチだって、真面目な顔して、机の引き出しん中まで探したんやで?

ほいたらな、おじさん、真面目な顔で

「そこは、もう探したよ。」

って。
あの、真面目なおじさんがやで?

警察まで来てな、ほんま大騒ぎやったんや……。

結局、兄ぃは見つからんかったけどな。



おじさんから、聞いた話なんだけど兄ぃって昔旅行先で神隠しにあったらしいやん。
皆の目の前で、急に消えて、大騒ぎしとったら、ひょっこり森ん中から出てきて……。

きっと、今回もそんな感じなんやろ?


ウチ等、信じとるんやで。

周りが進めて来とった兄ぃの葬式なんて、やっておらんし、兄ぃの部屋も昔のまんまや。
たまにウチ等で掃除してな、本棚の後ろにあったエッチな本やって、おばさんと一緒に見つけてもうたわ。
とりあえず、兄ぃにお説教しなくちゃいかん事が一つ増えたちゅうわけや。

なぁ、兄ぃ。
ウチ、また兄ぃと会った時にな、胸張れる様、がんばっとるよ?
部活もやっとるし、勉強やて、トップやないけど上位におるし、どうや、出来た従妹やろ?

どうせ、徹兄ぃの事や。

全然女ん人にモテないんやろ?
徹兄ぃ、常にマイペースやからなぁ。

せやからな、ウチが徹兄ぃもろうてあげるからな。安心してな。


料理やて、掃除やて、上手になったんやで?
もう、中学生やし、身体もな、随分と大きくなってな、胸だって出てきたんで。
おじさんや、おばさんに会うたんび、女らしゅうなったって、言われるんや。

まぁ、お世辞何やろうけどな。


そいでな、そいで……。

ウチ、徹兄ぃに伝えたい事、一杯あるんやで?
謝ったり、お説教したり、自慢したりな、ほんま、一杯言いたいことがあるんやで?




せやから、はよう帰ってきてや。徹兄ぃ。



posted by まどろみ at 01:08| Comment(2) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
誤字発見

沢山の機会に囲まれとった×
    ↓
沢山の機械に囲まれとった○


Posted by 螺旋 at 2012年08月05日 03:06
誤字報告感謝です。

修正しときました。
Posted by まどろみ at 2012年08月05日 03:34
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