2012年03月30日

外伝 エヴァ編 ラカン編

〜side エヴァンジェリン〜







世界は優しくない。
随分と早く、それに気付かされてしまった。

裏切り、怖れ、恨み。

世界は私を嫌い、私も世界を嫌った。

なんで、私だけがこんな辛い目にあうの?
何度も尋ねた。

どうして、私だけが孤独なの?
何度も泣いた。

何度も何度も、尋ね、泣いてきた。

食べ物を与えてくれた優しき老婆は、私に呪詛を吐きながら杖で殴ってきた。
友達といってくれた、幼き女は、彼女を助けた時、グチャグチャになった身体が再生される所を見て、私を恐れた。

あの時の老婆の言葉が、耳にこびり付いている。
あの少女の怯えた顔が、私の目の裏に焼きついている。

それでも、私は尋ねる。
どうして、私は一人なの?

私は訴える。
一人は嫌だよ。一人は寂しいよ。冷たいよ。

尋ねても、訴えても、懇願しても、答えは返ってこない。
腕が千切れ、足が片方なくなりながら、泣きながら尋ねても月は力を与えるだけで、答えは与えてくれなかった。

そうして、気付く。
思った以上に世界は優しくない。

少しの優しささえ、世界は私に与えてはくれなかった。

だから、私は世界を拒絶した。
誇りある悪という逃げ道を突き進んだ。

さぁ、私を殺してみろ。
私は誇りある悪だからな。
より、大きな力によって殺される覚悟はしているさ。

私は世界に向かって叫んでやったのだ。

私を殺してみろ。

そうさ、私は逃げたんだよ。
生から、世界から、私自身すらからも。

そんな事をお見通しの世界はこう言ったんだ。
泣きながら尋ねても返事をくれない世界は、こんな時ばかり返事を返してくるんだ。

『殺してみろ?
愚かな私を殺して下さいの間違いではないのか?』

ってな。

『お前は自分じゃ死ねない臆病者だ。
誰かが殺してくれるというのに、怖いから必死に抵抗している臆病者なんだろ?』

私が耳を塞ぎ、うずくまっても、奴は気にした素振りも見せず、朗々と言うのさ。

私は耳を塞ぎながら、俯きながら、逃げた。
己を正当化し、誇りある悪を守り続けた。
そうしなければ、崩れてしまうから。

耳を塞ぎ、俯きながら、逃げ続けた。
逃げて、逃げて、逃げて、逃げて、逃げ続けて。

ポツンと一人、取り残されてしまった。
何時しか、あの声すら聞こえなくなり、ただただポツンと一人、闇の中に。

疲れ果て、その場で座り込む。
俯き、膝を抱え、じっとする。

もう嫌だった。
自分と言う存在が。

ジワリ、ジワリと自分が崩れていく。
さらさらと、欠片が堕ちていく。

何もない、ただ深い水の中で、ゆっくりと身体が溶け出していく。
暗い闇に包まれ、全てがどうでもよくなって、闇と自分の境目が曖昧になる。
それは、思った以上に居心地がよかった。

私と闇との境目が殆ど無くなった時。


「おい、君
大丈夫か!?」

そんな声。
俯いていた顔を上げると、そこには一筋の光りが差し込んでいた。
細く、頼りなかったが、それでも確かに光りはそこにあったのだ。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「……夢か」


随分と昔の夢を見ていた様な気がする。
抽象的で、ワケの分からない物だったが、多分アレは昔の私なのだろう。

寝ぼけているせいで、僅かに歪む視界の中に、愛おしい男の寝顔が入る。
あの時、一筋の光りと優しさを与えてくれた男の顔が。

僅かながら感じる、心地の良い圧迫感が、抱きしめられてる事を教えてくれる。

トクン、トクン……。

一定のリズムで、聞こえてくる心音、そして普通よりも少しだけ熱を持っている彼の体温が、心地いい。

吸血鬼という存在は死人に近い。
故に、心音はかなり微かなもので、体温だって普通の人間よりも冷たい。

そんな私と、全く逆の存在が彼なのだ。

冷たい身体をこうやって、温めてくれる。
彼に包まれる事によって、暖かい心音で包み込んでくれる。

与えられてばかりで、何も私が返せていないというは、非常に自分が情けなる。
私からも返そうとするが、私がこいつより優れている所なぞ、魔法が使えるという事と、戦闘能力ぐらいしかない。

全く、優れすぎている男に惚れた時、女は苦労するよ。

徹という男は、甘すぎる。
この世に存在するありとあらゆる甘味を混ぜたとしても、奴の甘さを上回れないだろうと思わせるほど、甘い男だ。

赤の他人ですら、奴は己の危険を顧みず救おうとする愚か者だ。
奴の内に入ってしまえば、甘い奴の事だ。相手がどれだけ情けなくとも、けして手放す事はないだろう。

だが、それに甘受してはいけない。
優しすぎる奴の傍は、心地いいが、その心地よさに浸っているだけでは、奴の隣に立つことは出来ないのだ。

まだまだ、私と言う存在は、奴の遥か後ろに居るだろう。
あの大きすぎる背中に追いつくためにも、私は自分を鍛え続けねばならない。

そして、何時の日かアイツと共に……


『当たり前だよ。

むしろ、エヴァちゃんが居なくなったら、オレは泣くよ?』

不意に思い出してしまった、あ奴が言った言葉が思い出される。
単純な言葉。子供っぽい着飾らない言葉。

ただ、それだけの言葉を思い出すだけで、頬が赤く染まっている事が分かる。
身体が悶え、叫びたい様な感覚に陥る。

流石に叫ぶワケにはいかないので、徹を思いっきり抱きしめてやった。
見た目とは裏腹に鍛えられた身体。
身体の厚みと硬さが、安心感を与えてくれる。

なぁ、徹。
私は頑張るからな。お前の隣に居続けられるよう。
お前の甘さに、浸り続けないよう、耐えるよ。何時かお前が私に甘えてくれる日が来るよう。
だから、せめて今ぐらいは、こうやって甘えさせてくれ。






〜〜〜〜〜〜外伝   らかん編〜〜〜〜〜〜〜〜〜






注:あくまで、コレはおまけです。最近はっちゃけがなさ過ぎたために思わず書いてしまった物です。完璧なおふざけであり、本編には一切関わりませんので、ご承知を。





ラカンは、壁にぶち当たっていた。
ただただ、彼は徹と共と婚約したいだけだったのだ。

2人とも男同士である状態を、『ただただ』と表現していいか否かは非常に困る所ではある。

とにかく、ラカンは徹と婚約をしたかった。
だが、如何せん2人とも男であり、さらに愛しの徹は行方不明だ。

コレが、先ほど述べた大きな壁の正体である。

そして、現在彼は徹を探す事、ついでに自分の性別を女性にする方法を求め旅に出ていたのだ。
だが、全然上手くいかない。

徹の情報はゼロ。女体化の情報は結構あるのだが、どうも不運が重なりまくって、そっちも全然上手くいかないでいた。
ちなみに、ラカンは不運だと思っているようだが、それはテオドラが胃を痛めながら行った涙ぐましい裏工作の結果である事をココに述べておこう。

だが、その不運を潜り抜け、勘を頼りにようやくたどり着いた。
自身を女体化するための方法に。



「僕と契約して魔法少女になってよ」

「OKだ。てめぇ、絶対俺を少女にしろよ」

「……えっ!?

いや、僕はまどかとさやかに言ったわけで」

「契約の取り消しはできねぇぜ」

「夢で見た人……」

「えっ?
まどか、あんた転校生だけじゃなくて、あの変態おっさんも見てたの!?」

「う、うん」

「大体、どうして君は僕の事が見えてるんだ?」

「んなもん、気合だ」

「まさか、魔女に攻撃を加えたのも気合とおっしゃいますの?」

「当たり前だぜ。
もちろん気合さ」

「わけがわからないよ」

「まぁ、白いの。

別に、俺は魔法少女なんてモンになりたいワケじゃないから、ちょっとばかし引いてやっていいぜ」

「それじゃ、魔法おっさ」「少女にしろ」

「……わけが分からないよ」

「変態だ!?
変態がいる!?」

「さ、さやかちゃん、そんな本人の目の前で」

「ちなみに、てめぇが言った言葉からするに、魔法少女というのは損益だ。
つまり、+アルファーでなんらかしらの利益を俺に与えてくれるわけだろ?

ありがてぇなぁ」

「きゅっぷい」

「おっと、逃げようなんて考えんなよ。
なんとなくだが、おめぇに良く似た反応が、そこら中にしている。
そいつらから、どうやっても、俺を少女にしてもらうからな」

「ち、ちなみに、それは……」

「もちろん、気合だ」

「……君はいつもそうだね。
真実をありのままに言っているんだろうけど、ワケが分からないよ。
どうして、気合の一つでそこまで出来るんだい?」

「知らん」

「まどか、君なら運命を変えられる。

避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい。そのための力が君には備わってるんだから。
だから、僕と契約して魔法少女になってよ。

そして、僕を助けて」

「おっと、白いの。他を巻き込むのは禁止だ。

こいつは俺とお前の問題なんだからなぁ」

「きゅっぷい!!きゅっぷい!!

プルプル、僕は悪いキュウべえじゃないよ」









「どの時間軸にも、あの男は存在しなかった。

もしかして……」







らかん☆マギカ    完!!



なお、らかん☆マギカは、魔法少女まどか☆マギカという作品の二次創作も含んでおります。



posted by まどろみ at 01:19| Comment(2) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ラカン☆マギカやってほしいです(笑
わりとマジで。
Posted by ちくわ at 2013年04月05日 14:16
コメントありがとうございます。

皆さんラカン☆マギカ好きすぎでしょwwww

気が向いたら中編あたりで書こうかな?
とか思い始めてますw
Posted by まどろみ at 2013年04月20日 00:44
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