2012年03月30日

第4章 吸血鬼編 その3

〜side アコ〜







ワイワイしているある種、宴会特有の喧騒が、ウチ等のクラスから聞こえた。
あ〜、ちょっと出遅れたみたいやな。

ウチが頼まれたのは、菓子の買出し。
一応、今日転校生が来るってのは知っとったから、それぞれで持って来たんやけどな。
数が心ともなかったから、買いに行っとったんや。

安いとこで買おうと思うて、少し遠い所に行ったんは失敗やったかもなぁ。


「いや〜、ごめんなぁ。遅れてもうたわぁ」

クラスに入ると、驚いたような顔をしとる人間が数人。
さては、ウチがおらんかった事に気付いておらんかったな?
後で、からかいを含めて問い詰めたろ。

「せやけ」

ど、菓子は大量に買ってきたで。

そう言うつもりやったんや。
でも、ウチの口は上手く音を発してくれんへんかった。

一人の、少年とも青年ともとれる男性を見た時から、ウチは何も出来んくなってもうた。
あの時から、全く変わらない姿で、お得意の苦笑したような、それでいながら楽しんでいるような笑顔で級友と話しとった。

たくさんあった。
言いたい事は、たくさん、本当にたくさんあった。

何度も何度も考えとった。
徹兄ぃが帰ってきた時、どうするか、いっぱい考えとった。

ドラマみたいにロマンチックで、キスでしめるような物も考えたし、抱きしめて泣いてまうかも、とも思った。
他にも成長したウチの女っぽさにメロメロにさせるなんていう赤面物の事も、幾つも幾つも考えとったんやけどなぁ。

「徹兄ぃ?」

ウチが出来たことは、問いかける事だけやった。
そんなウチに、兄ぃは

「おぉ〜、アコちゃんじゃん。
久しぶりだねぇ。

しっかし、大きくなったなぁ」

およそ、3ヶ月ぶりにあった姪に声をかける叔父のような返事をした。





「なんや、それ!?」

「ぶべらっ」


「おぉ、いいパンチあるね」

「あ、あの徹さんを殴るなんて……
和泉君は、何者なんだ!?」

「修羅場か、修羅場なのか!?」

外野、うるさい!!!

「だいたい、何年ぶりやと思ってんや!?
5年近くやで!!5年近くも会うておらんのやで!!」

「ゆ〜ら〜さな〜いで〜」

「しかも、生死不明の状態。
周りは、兄ぃの葬式をやる様進めてくるし、おじさん達ぐらいしか、生きているって言ってくれる人おらんかったし、兄ぃの部屋の本棚の後ろに『素晴らしき美乳』とか見つけてもうたし

他にも、他にもっ」

ポンと、頭に置かれた手

「いやぁ、苦労かけた。
親父達にも謝らんといかんね」

ワシャワシャと、乱雑に撫でるその手は、幼い頃の記憶と同じものだった。





〜side テツ〜




胸元で泣いているアコちゃんの背中を叩きながらあやす。
頭を撫でたら、急に抱きつかれ、泣いてしまったのだ。
身体は随分と大きくなったっていうのに、昔と同じように泣き虫のままだ。
まぁ、だからこそ対処も慣れた物なんだけどね

「ほら、高い高い」

「キャーー!!!」

「ぼぶるっ」

蹴られた。

「て、徹兄ぃ。
ウチ、ミニスカート!!!

後、高い高いして、喜ぶような歳でもない!!」

「ごめんごめん。

でも、昔はこうすると喜んでくれたのに、成長するっていうのは嬉しいような、寂しいような……」

「まぁ、その気持ちは分からないでもないんですけど、和泉君も、もう立派な中学生なんですから、しっかりと意識してくださいよ」

「まぁ、分かってはいるんだけどねぇ?」

オレって、アコちゃんはもちろんタカミチも、子供扱いをしちゃうんだよなぁ。
もちろん、2人とも成長したんだけど、小さい時を知っているせいか、気付かないうちに子供扱い(もどき)をしちゃうんだよねぇ。

一応注意するつもりだけど、多分また子供扱いしちゃうんだろうな。
実際、エヴァちゃんに子供扱いするな!!
って、500年以上言われてきたけど、直らなかったし。

『……それで、和泉君とは一体どういった仲なんですか?』

おっ、タカミチから念波。
う〜ん。ココで普通に従妹って言っちゃうと面倒だよね?

タカミチはオレがちょっと長生きしている事だって知っているわけだ。
そんなオレと普通のアコちゃんが従妹っていうのは矛盾しているって事になる。
つまり、銀行強盗にやられた事とか、なんか過去に行っちゃった事とかをまとめて話さないといけなくなる。

ぶっちゃけ、信じてもらえるとは思わないんだよなぁ。
というか、オレだって、そんな事を言う人がいたら精神病院を進めるし。

『まぁ、エヴァちゃんとか、アスナちゃんとかと同じ様な感じ』

つまり妹みたいな、娘みたいな。という事だ。
なんか、タカミチを騙しているみたいで、罪悪感が沸くけど、嘘は言ってないぞ。





〜side タカミチ〜




『まぁ、エヴァちゃんとか、アスナちゃんとかと同じ様な感じ』

返事はそんな物であった。曖昧な返事。確かに、それは間違っていないのだろう。だが、先ほどの和泉君と徹さんとのやり取りを鑑みると、それだけではないのは、はっきりと分かる。

普通に、彼達の会話を聞いていれば、可笑しい所ぐらい幾つも見えてくる。
まず、5年間の生死不明だったという事だが、これ自体は矛盾点がない。
もちろん、可笑しいといえば可笑しいが、不可能ではない。魔法やら知人やらを使えば出来るだろう。
まぁ、その様な事をやる理由が全く思い浮かばないが、不可能ではないのだ。

問題なのは、和泉君が見つけたという『素晴らしき美乳』である。
別に、その本自体に問題はない。徹さんが美乳派であるという事実が明らかにされただけだ。
問題なのは、それを『徹さんの部屋』で見つけたという事だ。

和泉君があのログハウスに侵入し漁っていたというのはありえない。
という事は、徹さんはあのログハウス以外に部屋を持っていた事になる。

僕は徹さんとここ15年は、共にいた。まぁ時々外に出る時もあったが、それでもかなり長い期間共にいたことは確かだ。
そんな僕以上に共にいたのがエヴァだ。常に共にいたのは間違いない。
そんな状況で、徹さんが5年前にエヴァや僕が知らない専用の部屋がある事が可笑しいのだ。

そして、一番問題なのは、徹さんの

『親父達にも謝らんといかんね』

という言葉だ。もちろん徹さんに親がいるのは当たり前である。
ただ、和泉君が徹さんの両親を知っており、かつなんらかしらの関係があるという事になる。

長い事共にいるというのに、徹さんの事は知らないことばかりといえば、そうだが……。
まぁ、そんな物なのかもしれないな。

あえて問うワケにも行かないしね。





〜side エヴァ〜




騒いでいる徹と和泉亜子を見ながら、ため息を一つ吐く。
あの夢で見た『アコ』という少女が、目の前にいる彼女だった。全く知らない人間なのだが、たびたび徹から聞かされた少女の名であった。
名前だけは何度も聞かされていたので、そのアコという少女が目の前にいるというのは、不可思議な感覚を覚える。

何でもないかのように、怒り、泣き、笑っている和泉亜子。
しかし、彼女は分かっているのだろうか?

徹が、500年以上もお前の事を思い続けていた事を。
500年以上も共にいなかったというのに、一目で、すぐ成長したお前だと気付いた、その奇跡とでも言いたくなるような、出来事が起こっていたという事を。

別に、徹が和泉亜子に恋心を覚えていたなどと言うつもりはない。
なにせ、夢の中で見た2人の年齢差は非常に大きいものだったのだ。さらに、徹の様子からもそうではないというのは、楽に予測がつく。

私や明日菜と同じ、娘のような、妹のような物と思っているのだろう。

だが、500年以上も思い続けてきた、その思いの強さは本物なのだ。
強敵といえば、強敵なのかもしれんが……


貴様如き小娘に負けてやる気はないぞ。




〜おまけ〜




「あの〜、ネギさん
さっきは、危ない所を助けていただき、その……

ありがとうございます。これは、お礼の図書券です」

「へっ??

え〜と、ありがとうございます、でいいのかな?」


posted by まどろみ at 01:22| Comment(2) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
チャチャゼロちゃんは?
Posted by ゆき at 2012年08月03日 17:24
残念ながら、徹君が前衛をつとめたため、チャチャゼロの開発フラグが立たず、出てこないことになりました。
Posted by まどろみ at 2012年08月05日 03:15
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