2012年03月30日

第4章 吸血鬼編 その4

〜side テツ〜







「……兄ぃ。
今から叔父さん達の家に行くよ!!」

「ちょっ、唐突過ぎる」

ネギちゃん歓迎会が終ったら、アコちゃんに捕まり、こんな状況なのだ。

「唐突もなにもないやろ!!
最優先事項なんやから、すぐ行くのは当たり前や」

うぅ、正論で何も言えない。

「叔父達?
つまり、テツの両親ていう事だよな?

アコ、待て。私も行くぞ」

「えっ、テツさんの両親??

ちょっと待って、私もついて行く」

え〜と、エヴァちゃんと明日菜ちゃんも付いて来るって事?

「ウチもえぇやろ〜か?」

木乃香ちゃんも来たいと。

というか、エヴァちゃんと明日菜ちゃんが来るんだったら、ついでに茶々丸も紹介しておきたい。
でも、茶々丸も来ちゃうとネギちゃんが一人になっちゃうし……

次の土日辺りにしたいんだけど

「兄ぃ、早く〜」

ぐいぐいと袖を引っ張るアコちゃんを見る限り、無理だよね?

「もう、いいや
みんなで行こうか。

あっ、茶々丸とネギちゃんも悪いけど一緒に来てくれるかな?」

「了解しました」

「僕もですか??
僕は構いませんが、なんというか、良いんですか?

良く分かりませんが、久しぶりに実家に帰るんですよね?」

「全然OK。

というワケで、ちょっと行ってくる。
タカミチ、悪いけど学園長に言っておいてね」

「はっははは。
まぁ、ただ皆で徹さんの家に遊びに行くっていうだけなんだから、報告の必要はないんだけどね。
任されたよ。」

ありゃ、確かに言われてみればそうかも。
でも、明日菜ちゃんとか木乃香ちゃんとかは寮生だから、報告とか必要なんじゃないの?

えっ、それすらも必要ないの?

なんというか、自由すぎない、それ??







「いや〜、しかしこれだけ人がいるのに、男がオレだけっていうのも、ちょっと肩身が狭いなぁ」

全部で7人いるんだけど、その中で男はオレ一人。
なんというか、周りからどう見られているんだろ?って考えるとちょっとドキドキする。

モテモテに見えるのか、それとも保護者?
オレも女に見られて、女子7人の団体に……流石にそれはないか。

「そうですか?肩身が狭い様には全然見えませんが。むしろ皆の中心になっている様に見えますよ。

でも、良いんですか?
アポイントもなしに、こんな大勢が押しかけてしまって。」

なんというか、ネギちゃんってしっかりとしすぎている。
これで、9歳なんだよね?

「う〜ん、ちょっと問題かもしれないけど紹介したい人ばかりだからなぁ。
まっ、久しぶりに帰ってきたバカ息子の我侭って事で許してもらうつもりだよ。

それより、ネギちゃんだよ。
いやぁ、完璧に巻き込まれた形でごめんね」

「へ??」

「いやぁ〜、こっち来たの今日なんでしょ?
疲れているのに、オレの実家に行くとか、良く分からない流れになっちゃったもんだから、悪かったなぁって」

考えてみたら、ネギちゃんを一人にしなければ良いんだから、タカミチにでも預けておけば良かったんだよね。
今更気付いても遅いけど。

「いえ、気にしないで下さい。

それに、これから一緒に住む人の事ですから、僕としても知っておきたいですし」

良い子や。ほんと、良い子や。

「兄ぃ、何処まで行く気?
ここやん」

「いや〜ごめんごめん。
普通に家忘れていたわ」

ネギちゃんを引き連れ、Uターン。
アコちゃん曰く、オレの家を見上げる。なんとなく懐かしい気がするような、しないような……

「全く、しっかりしてや」

「いや〜、ごめんごめん」

左から3番目の植木鉢の下。
うん、合鍵の位置は変えていなかったみたいだね。

「よし、開いた。
ほいじゃ〜、皆遠慮しないでじゃんじゃん入っちゃって」




〜side エヴァ〜





現在歩いているのは、麻帆良から出てすぐの所である。

前には、テツの袖を引くアコ、袖を引かれているテツ、その隣にネギという集団がおり、その後ろを付いていっているという形になっている。

両親に紹介しなくちゃいけない。
徹がただ言っただけだというのに、その言葉に心が異常なほど躍っていた。

もちろん、徹の言う『紹介』というものがどういったものなのかは分かっている。
世話になったとか、ずっと共にいるとか、そういった内容であるだろう。

分かっているのだが、奴の『両親に紹介する』という言葉の響きだけで、気分が上向いてしまうのだ。
よくある、『この人と結婚を前提にお付き合いしてます』みたいな感じになりそうじゃないか。いや、ならないんだろうけど、雰囲気的にそういった感じというか……

どうやら、この照れくさいような、嬉しいような気持ちになっているのは私だけではないようだ。
明日菜は、時々思い出したかのように宙を見て、ニヘラ〜っと笑みを浮かべているし、近衛木乃香も、ありもしない埃を時々払っていたりと、落ち着きがない。

とはいえ、まぁ大きくリードしているのは私なんだがな。
なにせ私は、テツのた、大切な人なんだからな!!
さらに、その大切な人の前には凄くがつくほど、大切にされているんだ。
私が大きくリードしているというのは、確定的であろう。

という事は、両親に紹介という物が私の考える物になるという可能性も、私が一番高いわけで、その可能性が0に近いだけで、少なからずあるというわけで、さらに……

「ちゃ、茶々丸。
この格好で、奴の両親にあって問題ないか?」

お気に入りのゴスロリを着てくるべきだったのか??
そのまま来てしまったから、普通の制服だぞ。今の私は。

「特に問題はないかと思われます」

そうか?そうなのか??
確かに、制服というのは正式な場に行く時にそのまま使えるものではあるが……
堅苦しいと思われる可能性もあるのではないだろうか。

だが、ゴスロリだと、それはそれで問題視される可能性もある。
定番である『お嬢さんを、僕にください』のパターンだとスーツの場合が多いが、それはドラマとかであって、実際もそうなのかどうかも分からぬし……
というより、もし現実のものであったとしても、それは男性バージョンであって、女性バージョンが、それと同じとは限らんわけだし。

「私はどうしたらいいのだ!?」
「もうっ、どうしたらいいのよ!?」
「どないしようかぁ??」


……えっ??



〜side ネギ〜





歩きながら、隣を見る。黒髪、黒目の青年が、そこにはいた。
多分、誰しもが普通の人っていうんじゃないかな?
話していて、優しいっていうのは分かるけど、でもやっぱり普通の人だと思う。

この人は、徹さん。しばらくの間お世話になる人だ。

普通の一般人なんだと思う。
ただ、どうしても気になってしまうのだ。


あの忘れもしない雪の日。

時間がいくら流れても忘れられない、『あの人』の言葉


『あぁ、そうか。
またテツに助けられちまったか』


『また』って事は、多分その前も『あの人』は『テツ』っていう人に助けられたんだと思う。そんな凄い人なんだ。多分図書館で調べれば出てくると思って調べてみたけど、何も出てこなかった。
どうやら『テツ』っていう人を知っているらしいタカミチに聞いても、殆ど教えてくれなかったのだ。

その人がもしかしたら『あの人』に続いているのかもしれない。いや、それを抜いても、僕を助けてくれたという、『テツ』という人について知りたいというのは、ごく自然な事だろう。

そして、偶然か、故意かは分からないけど、僕のお世話をしてくれている人も『テツ』なのだ。

う〜ん、でも、徹さんは普通の人にしか見えないんだよね。
あっ、でも優しい笑顔で、なんか頭をグシャグシャに撫でられると、なんかむず痒くて、それでも嬉しいような、恥ずかしい様な……
でも嫌じゃない。そんな気持ちにさせる徹さんって、凄いんだと思う。

それは、ある意味魔法よりも。




〜side 学園長〜





全てが繋がってしまった。
知りたくなかった事実。いや、知ってはいけない事実であったんじゃが。

様々な事象が複雑に絡み合っており、知らぬ物を知らぬままにしておいた。
徹君が話してくれる時まで、知る必要はない。むしろ、知ってはいけないのだと思っておった。

エヴァンジェリンや徹君ほど生きてはいないが、それでも長き時を歩んできた。
ここの学園長、関東魔法協会の理事なんてものをやらされている事もあり、知りたくも無い辛い現実を幾つも見てきた。
だが、それに慣れる事など、どうやってもないのだ。

耳にこびり付いてしまった、助けを呼ぶ声と、うめき声……
涙ながら、助ける方法がないと言う。
楽にしてくれといい、それに儂は涙ながら杖を向け、そしてありがとうと……

奥歯を強く噛み締め、頭を振るう。
今は、過去を振り返る時ではないのだ。

全てが繋がったのは、タカミチ君の定期報告の後の何気ない世間話の話であった。
タカミチ君は明日菜ちゃんと、木乃香、亜子ちゃんに、エヴァ、茶々丸、ネギちゃんが出かけたという事を態々儂に言ってきたのだ。
曰く、徹君に頼まれたらしい。
問題なのは、その後からじゃった。

自然、タカミチ君との会話は、徹君達のものになっていった。

「皆で遊びに行くとは、仲がいいのは良い事じゃ」

「まぁ、そうですね。
徹さんが真ん中にいると、それだけで皆が何だかんだでまとまっちゃうんですよね。

まぁ、師匠や詠春さん、アルなんかは、その徹さんのせいで胃を痛めていたんですがね」

恐らく、赤き翼の時代を思い出していたのであろう。口元には苦笑を浮かべながらも、タカミチ君の顔は穏やかな物であった。

「ふぉっふぉふぉふぉ。
英雄達に、唯一勝てる存在じゃからのぉ、彼は。

ところで、徹君達は何処にいったんじゃ?」

これが、問題じゃった。もしかしたら、儂がこの残酷な過程に辿り着いてしまったのは、彼の未来視といっても過言ではない予見の力によって、想定された事なのかもしれぬ。

「徹君の家らしいですよ」

「家??あのログハウスじゃないんじゃろうなぁ……
となると、土佐の方じゃから」

「なんで、そこで土佐が出てくるんですか?」

「む??
何故といっても、徹とヘバの家があるのは、土佐だったはずじゃぞ。
儂も何度か訪れた事があるしのぉ」

いやぁ〜、あの時は助けられたわい。

「へぇ〜、土佐にも家があるんですか。あの人達。


それとは別に、学園の傍にも持っているらしいですよ。

後、和泉君が張り切っていましたね。徹兄ぃを絶対両親に合わせるって」

徹君の実家が学園の近くにある。初耳じゃったが、長き時を生きてきた2人じゃ。家ぐらい幾つもあるじゃろう。
ただ、どうして徹君の家に行く事が、亜子ちゃんの両親に会うことに繋がるのか、不思議じゃったが、何かがあるのだろうと、勝手に思い込んでおった。

「ふぉっふぉふぉふぉ

徹兄ぃとは、亜子ちゃんは随分と徹君に懐いているようじゃ。
しかも、自分の両親に会わせようとするほどに。
一応、儂も生徒達に気を配っているんじゃが、知らんかったのぉ」

「まぁ、知らなくて当然ですよ。
何せ5年近く会っていなかったとか。なんか生死不明だったらしいですよ。徹さん

あと、僕の言葉足らずでしたね。和泉君の両親ではなく、徹さんの両親に合わせるつもりみたいですよ。和泉君」


タカミチ君にとっては、ただただ自分が聞いた話を儂に伝えてくれているだけであろう。

もしかしたら、タカミチ君も徹君の矛盾に気付いたのかもしれぬが、儂と同じように知ろうとしなかっただけなのかもしれぬ。

じゃが、儂にはタカミチ君以上に情報があった。


その全てが綺麗に繋がってしまったのだ。


忘れもしない、5年前の事件。

銀行強盗、撃退したが重体となった『村重 徹』という少年。そして、医師、治癒士、村重徹の両親と、事件に巻き込まれた『和泉亜子』という少年の従妹の目の前で、少年は世界樹の発光と共に消えた。

世界樹の発光する少し前。
重体となった徹という少年が、儂の知っている徹と勘違いしてしまい、エヴァンジェリンへと電話をかけた。
その時のエヴァンジェリンの様子が少々おかしかったのも、しっかりと記憶していた。

既に、必要な物はすでに儂の元にあったのだ。
そして、気付く。気付いてしまった。

エヴァンジェリンが、あれほど動揺しておったのも、徹という少年が消えたワケも。


そして、100年ほど前。
建設中の麻帆良を見に来た時、偶然見てしまったあの光景。

当時でも有名だった『徹』が悲しそうに世界樹を見ていた理由が。


その全てが繋がってしまったのだ。


posted by まどろみ at 01:22| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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