2012年03月30日

第4章 吸血鬼編 その6

「タカ、高畑先生……あの

おいしいお茶が入ったんですが、飲んでいただけませんか??」

「ふふ
コレはホレ薬だろ?
こんなもの、必要ないさ」

「え、どういう事ですが??」

「はっはっはっはっは

何故ならもともと僕は君の事を愛しているからさ」

「ええっ!?

高畑先生、か、顔が近っ」

「いつもみたいに、タカミチとは呼んでくれないのかな?」

「せ、先生と生徒なんだから、そこはしっかりしないと」

「今は、教師、生徒として見て欲しくはないんだ」

「えっと、えっと……」

「ネギ君」

「たかは、タカミチ」




〜side ネギ〜





「はうわっ!?」

えっ!?
なに、なんだったの!?

胸がバクバクしてるし、顔も熱い。

嬉しかったのかな?
それとも、なんか怖かったのかな?

何が原因かは分からないけど、飛び起きてしまったのだ。

怖い夢を見た。ワケじゃないよね?
"あの時"の夢を見たときは、もっと酷いもん。

「……ん〜?
どうしたの?」

「へ??
す、すみません。なんか起きてしまって」

「怖い夢でも見てたのかな?

まだまだ、遅いから、寝よっか」

「あっ、はい」

……あれ?
もしかして、僕、徹さんのベットに忍び込んじゃった!?

なんか、悪いなぁ。
自分のベットに……

あれ、抱きしめられちゃって、動けな……
徹さん寝ちゃってるしなぁ。

まぁ、良いか。



ん〜、ゴツゴツで、硬いけど、でも気持ちよくて……

お父さんか、お兄ちゃんって、こんな感じなのかな?





            ☆☆☆




今日のようなチャンスは滅多にないことだった。
幼い頃では普通の事だが、今では週に一回あれば良い方であろう。
こういった、少ないチャンスを物にしなくてはいけない。

出来れば行くとこまで、行ってしまいたいというのが、正直な所の気持ちだが、まだ時期尚早。
そもそも、私が勝手にやっちゃうと、もう一人が泣いちゃうし……

出来ない妹を持つと、姉は苦労する。
まぁ、ソコが可愛いんだけど

私の時間はとても短い。

ねぇ、徹。
徹は気付いている?

鈍感なようで、鋭くて、でも鈍感だったりして……
どうなの?
気付いていてくれていると、嬉しい、かな。

そっと、そ〜と、部屋に忍び込む。



徹以外に誰かがいる。
エヴァかと思ったら、ネギだった。

徹の腕の中に、入っているネギは、穏やかに、子供っぽい顔で寝ていた。

「ん〜、お父さん」

……仕方ない。
片腕はネギに譲ってあげよう。

そ〜と、徹を仰向けにさせ、もう片方の腕の中に入る。
薄暗い部屋のなか、私の視線の先には、徹の横顔がある。

ちょっとだけ、抜け駆け。
明日菜には悪いけど、これぐらい良いよね?

徹を抱きしめ、ゆっくりと彼の頬に近づいていった。




〜side 明日菜〜





気付けば、私は徹さんを抱きしめていた。
カーテンの隙間から漏れる明かりで、照らされる徹さんの顔。
高校生にしては、ちょっと幼くみえる顔。特別カッコいいという訳でもない。

いつも、笑っていて、優しい。

多分、徹さんを紹介するとしたら、コレぐらいの事しか言えないんじゃないかと思う。
でも、それで十分。

小さい時から、私にとって徹さんは王子様だったんだから。
あの時から、ずっと優しいお兄さん。
それで、エヴァちゃんは、友達みたいなお姉さんかな?

徹さんが、私に優しくしてくれるのは嬉しいけど、ちょっぴり悔しい。
今でこそ、ちょっぴりですんでいるけど、小さい時は酷かった。

何も私が出来ないのに、甘えさせてくれるのが、悔しくて嫌で、泣けちゃって。


チカラの無い、自分が許せなかった。
何でかは分からないけど、泣けちゃって、徹さんに思いっきり八つ当たりしちゃった。


『私みたいな、ただただ頼る事しか出来ない子供に、優しくするな!!』

だったかな?
小さくて、自分が何て言ったのかなんて覚えていないけど、多分そんな感じの事を言ったんだと思う。
ワケも分からないまま、泣きながら、徹さんに散々当たっちゃって、それで嫌われちゃうかと思うと、余計泣けてきちゃって。
謝ろうとする自分もいたけど、それでも譲れない自分もいて。

その時の自分が情けなくて、思い出すたびに気恥ずかしくなっちゃうな。

で、そんな私に徹さんは、屈みながら、私の頭を撫でてくれた。
やっぱり、顔には笑顔を浮かべていた。

「子供はね、大人を頼って良いんだよ。
大人は無条件で、子供を優しくするんだよ」

凄く徹さんらしい言葉だと思う。
でも、当時の私は気に入らなくて、頭に乗る手を叩いた。

徹さんが言っていた事、私はそれが嫌だったのだ。
"子供"だから"大人"に頼って良い。
それが嫌だった。

無力な"子供"が嫌で、そんな自分が嫌で嫌で仕方なかった。
ただただ、守られる存在が嫌だった。

明らかな拒絶にも関わらず、徹さんは何が嬉しいのか、笑みを目を細めていた。

「オレ達も、そうやって大人にしてもらったんだ。
明日菜ちゃんも、めいいっぱい甘えて、めいいっぱい頼らせてもらって良いんだよ。
それでね、いつか大人になった時に、明日菜ちゃんが子供をめいいっぱい頼らせてあげればいい。

それまで、オレに頼りになるお兄ちゃんをさせて欲しいんだ」

叩かれた手で、乱暴に目元を拭われた。
多分、好きだった徹さんの事が、別の好きに変わったんだと思う。

そうなってくると、また徹さんに甘えるというのが嫌になっちゃうのだ。
今度は、全く違う理由。

『頼りになるお兄ちゃん』じゃなくて、『ずっと隣にいる人』になって欲しくなっちゃったのだ。
だから、今でもちょっぴり悔しい。

互いに支えるのではなく、一方的に支えられているのだから。
でもね、私も成長しているんだよ?
まだ、徹さんほどじゃないけど、子供にちょびっと頼られる程度にはさ。

ずっと、徹さんを見てきたんだ。
私も、いつか徹さんみたいになるよ?
それでね、その時になったら、徹さんと一緒になれるのかな?


寝ている徹さんを抱きしめる。
夢の中でも、やっぱり徹さんは暖かくて、安心できた。




〜side エヴァ〜




そ〜と、階段を上る。
徹のコレクションの確認等をしていたら、遅くなってしまい、私達は徹の家に泊まる事になったのだ。
唯一、アコだけは、隣が実家なため、そのまま帰っていった。

それで、私達は居間に布団を敷き、雑魚寝をしていたんだが、如何せん徹が傍にいないと、寝付きが悪いのだ。
浅く眠り、起きる。無理やり寝ようとしても、ウツラウツラとはするのだが、どうも深く寝れない。

600歳を過ぎ、既に人の寿命の10倍弱を生きているというのに、一人で寝れぬというのは、情けないと思い、何とか寝ようとしていたのだが、限界が来た。
すぐ上に、徹がいるのだ。
我慢する必要など、ない、よな?

眠いのに寝れないという、妙な状態のまま、徹の部屋へと入っていく。

ん〜……

「ふぁ〜……
私は、ねるぞぉ〜
ねるんだぞぉ〜」

徹の隣には入れそうにもない。
だが、甘いぞぉ、甘すぎる。
私が、この程度であきらめるものか。

布団をめくり、そのまま徹の上に乗り、抱きつく。

いつも、このまま動かなくてはいけないのだが、今日はコレだけだ。
これだったら、奴への負担も少ないだろう。

んぅ……
これで、ようやく、ねれる





            ☆☆☆




「ん?
どうしたんだ?お前。
徹を起こしに行ったんじゃないか?」

「ふふふ。
そうだったんだけどねぇ、あの光景を壊しちゃうのがなんだか勿体無くて」

「ん?あの光景??
カメラなんて持ち出して、どうしたんだ?」

「徹ちゃんの部屋で、ちょっとね。
一緒に行きましょ」

「ん??
まぁ、いいや。よっこらしょ。

それじゃ、行きますかな」






「おやおや、コレは……」

「ね、写真に撮りたくなるでしょ」

「全く、こいつがココまでモテるとは思わなかったよ」

「あら?本当に?」

「そりゃ、そうだよ。
まったく、一体、誰に似たやら」

「私は、あなたそっくりだと思うんだけどなぁ」

「おいおい。
俺は、こんなにモテやしなかったよ」

「あら、そうかしら?」

「はぁ、俺がモテたのは、お前ぐらいだよ。
さっさと、写真を撮らないと、起きちまうぞ」

「ふふふ。
そういう事にしておきましょうか。」



posted by まどろみ at 01:23| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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