2012年03月30日

第4章 吸血鬼編 その8

〜side エヴァ〜







偶然通っただけだった。
なんとなしに気が変わり、いつもとは違う道を使っただけ。

そして、なんとなしに店に入っただけ。
このぐらいの変化など、よくある事であろう。

だが、その偶然によって、私は運命的な出会いをしてしまったのだ。

一瞬で、私はそれに一目ぼれしてしまった。
もちろん、葛藤も色々とあった。
だが、人だろうが、吸血鬼だろうが、欲望には逆らえないのだ。

最後の一つという事もあり、すぐに私はそれを手に取り、ほぼ無意識のウチに買っていたのだ。

それは、恐ろしくも甘美な物であった。
この世の理を捻じ曲げ、人の感情を捻じ曲げる。
私がやろうとしている事はその様な事だ。

けして、褒められた事ではないであろう。

だが、私は悪の魔法使いだ。
邪道?卑怯?
ふっははははは。良いではないか。良い褒め言葉だ!!!

『悪』に正々堂々を期待するほうがバカなのだ。

邪道だろうが、卑怯だろうが、私は欲しいモノはどんな手段を使ってでも手に入れる。
それが、私であり、悪なのだろ!?

だったら、悪らしく手に入れてやろうではないか!!



この

『これで、あなたも彼をゲット。どきどきヤンデレのススメ(はぁと』

を使ってな!!!!





            ☆☆☆




『あまりに相手を愛するが故に陥る現象である!!
つまり言うのなら、ヤンデレこそ、最高の愛情表現なのだ!!

本書は、あなたをヤンデレにし、あなたが恋する相手と甘い生活を送れるよう、手助けをするためのものである』

初めの一ページ目から随分と重要な事が書いているのだな。

ふむっ……
とりあえず、蛍光ペンでなぞっておくとしよう。もちろん付箋も忘れない。

「おっ、エヴァちゃん勉強やってるなんて珍しいじゃん」

「まぁな。
私だって、自分の知らん事を知っている者に敬意を持つし、知ろうとする努力ぐらいするさ」

「頑張ってね」

「あぁ、任せろ」

さて、徹からの応援も得た事だし、張り切ってやるとしようか。

『好きな相手との一体感を求めるのは極自然な事であろう。
この本を手にした恋する乙女達も大なり小なり、経験があるのではないだろうか?

ハグやフレンチキス、性的接触を行いたいというのも、その一体感を求めるが故の物であるのだ。

さて、その一体感をより高いレベルの元とする方法があるとしたら、どうだろうか?
おそらく、一般的に最高レベルにある性的接触を上回る一体感、同一感が得られる方法があるというのなら、その方法を試したいと思わないだろうか?

ここで、"思わない"と述べる人間には、非常に心苦しいのだが、あなたにこの本が必要ないであろう。
本書、『これで、あなたも彼をゲット。どきどきヤンデレのススメ(はぁと』は相手との多大な一体感を得る事によって、互いに離れられなくなるような関係(依存関係と言い換えることも可能である)になる事によって、相手を手に入れる、又は相手とよりラブラブな関係を築くための物なのだ。
その根本である一体感を否定されてしまうと、本書が全く役に立たなくなってしまうのだ』

ふっははははははは、完璧だ。完璧ではないか。
これこそが、私が求めていたものだ。

この様な、素晴らしきものが、たったの780円(税別)で手に入るとはなぁ!!
悪の魔法使いである私と、この恐ろしき悪魔の書があれば、私の目的を果たす事が出来る。

ふっはっははははははは、徹。ついに、ついに、貴様は私のモノとなるのだ。
初めは数年のウチに私のモノにするつもりだったのだがな。
気付けば5世紀以上も経っていた。

貴様と、この関係も悪くはないさ。
なにせ5世紀以上もこんな関係だったんだ。居心地が悪いわけがない。

この関係を壊してしまうかもしれないという恐怖は勿論ある。

だがな、徹。
私は永遠の友と誓ったんだ。ズルい等言われてしまうかもしれないが、私は勝手に誓ったんだ。
貴様を私のモノにするとな。

さぁ、徹よ、覚悟するが良い。
今回の私は、少々本気だぞ。




〜side 明日菜〜





腕の中に本が一冊。
普段本なんて読まない私だけど、本屋でそれを見た瞬間なんか、こ〜、ビビッときちゃって、衝動的に買っちゃったのよ。

まぁ、その時私が何を考えていたかは簡単に分かる。
恋愛の成功術の本だ。もちろんあの人の事を考えて買っていたに違いない。

う〜ん……
でも、こういうので上手くいくかどうかと言われると、首を傾げる物だ。

本を読んで実行するだけで100%上手くいくのなら、失恋とかする人間がいないはずだ。
だが、現実はそんなワケがない。
事実、2年ほど前に、モテモテだったサッカー部のキャプテンをふっている亜子ちゃんを見たし。

あの時の光景は衝撃的だったなぁ……

他にも、こういう本って、男の人が好きになるように自分を変えろ、とか言うんでしょ?
もちろん、相手に好かれる努力するのは間違ってはないとは思うんだけど……

例えば、私が木乃香みたいになったとするでしょ?
ガサツな性格から木乃香みたいな大和撫子になって、モテモテになる。

それで、徹さんが私が好きになって、恋人になったりしても、なんかそれって嬉しくない。


まぁ〜、こういう本って読んだ事ないから、ただの偏見なのかもしれないけどねぇ〜。
でも、出来るなら私は自分の力で徹さんといい感じの仲になりたいというのは間違いのない事実だし。

「うん、やっぱり読むのやめよ。読んじゃうと絶対影響されちゃうしね。

う〜ん、かといって捨てちゃったり、古本として買ってすぐ売っちゃうのも勿体無いよねぇ」

(そんな、うかうかしてると、エヴァにとられるわよ?)

「あぁ〜、そうだ!!
エヴァちゃんがいるんだった!?

他にも、亜子ちゃんとか、ネギとかも怪しいし!?」

(でも、一番恋人に近いのはエヴァ)

「うぅ〜、そうなのよねぇ。
エヴァちゃんって、徹さんとずっと一緒にいるみたいだし……」

(でも、スタイルだったら勝ってるよ?
エヴァ、幼児体形だし)

「そ、そうよね。
エヴァちゃんって、おっぱい全くないし!!」

(そう、勝てる可能性があるんだから頑張らないと)

「うぅ〜、でも私……」

(大丈夫。貴方が恐れている事にはならないから。
貴方は貴方のままだから……
だから、安心して?)

「うぅ、そこまで言うんだったら……」

読むだけ、読んでみようかな??

『べ、べつにあなたの事なんて好きじゃないんだからね!!で彼を手に入れよう(はぁと』

え、え〜と、何考えて買ったんだろ?
コレ……





            後日談 1




「ふっはははははは。
完璧だ。完璧にマスターしたぞ!!」

「おめでとうございます。マスター」

「なんだか分からないけど、ご苦労様」

「いや、茶々丸。
この快挙は、お前のような優秀な従者が居たからこそだ。

徹、お前もだ。
お前のお陰で私は安心して没頭出来たんだ」

「そんな、恐れ多いです」

「まぁ、家族だからね。
当たり前だよ」

「と言う訳でヤンデレ作法、第163項
血を飲むべし。
よし、徹、血を飲ませろ」

「うん、良いよ。
そういえば、オレの血飲むのって、久しぶりだよねぇ〜」

「うむ、そうだな。チュー……

あれ???」





            後日談 2




「べ、べつにアンタのこここ、事なんて、好きなんかじゃないんだからね!?」

「はっははははは。

でも、オレは明日菜ちゃんの事が好きだからね」

「すすすすすす、好き!?」







「うぅぅぅううう。
ヒック、聞いてるか、タカミチ!?」

「はいはい、聞いてますよ。徹さん」

「良いんだよ?

オレだった反抗期ぐらいやった事あるし、覚悟だってしていたよ。
でもねぇ、実際にそうなるとねぇ〜、ヒック。
大体、分かるかぁ??
『お父さんの靴下と一緒に洗濯しないで』とか、いつあの子達に言われるかどうか、戦々恐々しているんだぞ?

おやっさん、熱燗、もう一本だぁ」

「いや、徹さん、これ以上飲むのは……」

「だいじょ〜ぶ、だいじょ〜ぶ。
おやっさん、しっかりとオレの年齢事情知ってるから」

「いや、そうじゃなくて、身体に障りますよ?」

「ヒック、今日ぐらい飲ませろ。
今日は帰らんぞぉ。

泊まるぞ!!タカミチん家(ち)に、オレは泊まるぞぉ〜」






「みたいな事があってねぇ……
多分、徹さん本気で嫌われたと思っているよ?」

「す、すみません。
本当に、すみません!!」



posted by まどろみ at 01:24| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。