2012年03月30日

第5章 京都編 その1

〜side 近衛近右衛門〜







修学旅行で3−Aが希望してきたのは京都じゃった。

普通だったら、特に問題はないはずだ。
事実、男子高の3−D、3−Fは全く問題なく京都へ向かう。

だが、如何せん3−Aの生徒達は特殊な子が多すぎる。

関東魔法協会と関西呪術協会が対立関係にある事を考えると、3−Aという存在を向こうに送るというのは良策ではない事はたしかじゃのう。

最もリスクが低く、組織を成り立たせる事が第一目標とするのならば、不干渉が最良であろう。
どうしても今動かねばならぬという状況でもないしの。

じゃが、それは滅びを生む。
下手な事をしない方がいいというのは事実じゃが、変化がないというのは流れが止まり、腐敗する。
そして、この対立はいつか腐敗を起こさせる物である事は間違いはない。

この日本という国は、しょせんは小さな島国。
本当にちっぽけな島国じゃ。

そんな小さな島国の中で分裂して、どうするというのだ?
昔に、あっちがやったじゃの、こっちがやったじゃの……

儂が生まれるよりも前のことじゃぞ。
確かに反省は必要じゃろう。
だが、なぜ必要以上に相手に罪悪感を感じ、相手へ怒りを感じなくてはいかん?
そんなもん、知ったこっちゃない。

そんな事よりも重大で重要な事があるじゃろうが。


ふっと思い出すのは、若かりし時。
黒船がやって来て、日本中がてんやわんやの大慌てをしていた時。
一つにまとまらねばならん時に、幾つにも分断しとった。

それぞれが、敵を滅ぼそうと、己の国を守ろうとしておった。
全て者が同じ目標を持っていたはずなのに、敵対していた。

ほっほほほ、あの時は若かったのぉ。
徹君にも多く苦労をさせてしまったわい。


今すぐではないにしろ、いつかは滅びを生む状況。

そこに、3−Aという劇薬を用いるのだ。
と言えども、対立関係はある程度収束の道を進んでおる。

たった一押し、それが必要なのだ。
その一押しに、3−Aと英雄の娘いうのは少々やりすぎかもしれぬが……
まぁ、少しぐらい派手の方が良いじゃろう。

うむ。

コレじゃったら、ムコ殿も許してくれるじゃろう。
いや、ネギちゃんに親書を任せたのは儂のちょっとした茶目っ気が出てしまっただけじゃし……

十中八九、ネギちゃんを親書を送る代表にした事への苦言が書かれているであろう、関西呪術協会の手紙を眺める。
出来れば見たくなかったりしちゃうんじゃが、そういうワケにもいくまい。

一応、トップ同士の手紙のやり取りにも関わらず、その手紙は荒々しい文字で書かれていた。

『なんとかして、徹とエヴァを送ってください。
ファンを抑えきれません』

え?問題って、そっちなの?




〜side 徹〜




鼻歌交じりにスキップをして行く。
ごきげんという物をこれほどまでに体現しているというのは、こちらとしても非常に気持ちいい物がある。

「ご機嫌じゃん。エヴァちゃん」

「はい、京都に行ける事が相当嬉しいようです」

独り言のつもりだったんだけど、茶々丸が律儀に返事をしてくれた。

「確かに、エヴァちゃんそういうの好きだもんね」

「いえ、どちらかと言うと徹様と共に修学旅行が嬉しいかと」

「……へ?」

機械特有の音が響いた。茶々丸はいつもの様にオレの目を見つめているだけだった。








「はっはははは。
いやぁ〜、照れるなぁ」

エヴァちゃんの歳を考えると、こうまでオレにべったりというのは、ちょっとマズいだろう。
だけど、それだけオレに懐いてくれているというのは、こっ恥ずかしくもあり、嬉しくもあった。

「よ〜し、エヴァちゃんと風呂入ってこよ。
お〜い、エヴァちゃ〜ん」

なんだよ。嬉しいのかよ。
もぉ〜、エヴァちゃん甘えん坊だなぁ。
背中とか、髪とか洗っちゃうぞ。

「な、な、な……
どうした?ニヤニヤしながら」

「気にするな、気にするな」





「マスター……
徹様は、やはり強敵です」




〜side ネギ〜




『京都に行ってみるがいい。
何処かに奴が一時期住んでいた家があるはずだ。
奴の死が嘘だというのなら、そこに何か手がかりがあるかも知れん』

エヴァンジェリンさんから聞かせて貰った母さんの情報だ。
周りの大人は皆僕が生まれてすぐに母さんは死んだと言ていた。

だから、エヴァンジェリンさんも同じように、母さんは昔に死んだと言うんだと思っていたんだ。

僕自身だって『あの日』に母さんと会わなかったら、母さんは昔死んだと疑わなかったと思うし。
けど、エヴァンジェリンさんは違った。
彼女は母さんが生きていると言ったんだ。

あの日の事を知らないにも関わらず、自信を持ってナギは生きていると言ってくれたのだ。

『ふん、徹が生きていると言ったのだ。
あの馬鹿は生きているに当たり前だろ?』

涙が出そうなほど嬉しかったんだ。
だって、母さんが居たっていう証拠はこの杖だけ。
自分が見たのは幻覚かもしれない。死んだ人を再生する秘術や、奇跡と呼ばれる"ナニカ"だったかもしれない。

グルグルと悩み、疑い、それでも生きているって自分に言い聞かせてきた。
周りが死んでいると言い続けてきた母さんが、一人生きていると信じ続けたんだもん。

『エヴァンジェリンさ〜ん』

思わず、エヴァンジェリンさんに抱きつきながら泣いてしまったても仕方ない……よね?




〜side カモミール〜




あちきはアルベール・カモミール。
昔助けて頂いた姉御に恩返しをするために、脱獄してきたんでやんす。

おこじょ妖精として小技を多く持っていることもあり、あちきの力は姉御の役に立つと思う。
姉御の力になるために、埼玉の麻帆良なる所に行こうと思ってるやんすが……

なかなか道が複雑で、たどり着きそうにもないんす。
看板を見ると


『WELCOME TO HAWAII』



……埼玉って何処やんす?


posted by まどろみ at 01:43| Comment(0) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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