2012年03月30日

キュゥべえ、頑張る

キュゥべえ、頑張る

「僕と契約して魔法少女に……」

キュゥべえが途中で言葉を止めてしまったのも仕方ない。

皺々の手。真っ白な髪。
どこをどう見ても、少女と言うには無理があった。
どれほど、お世辞を駆使したとしても、キュゥべえのもつ話術を駆使したとしても、彼女を少女と称する事が出来なかったのだ。

一体、上は何を考えているんだろうか?
エントロピー云々のためには、少女という感情の上下が激しいエネルギー源のほうが効率的なのだ。

目の前を見てみる。

老婆だ。


「……僕と契約して、魔法老婆になってよ」

さて、ここで一つ問題が発生するのだ。

もし仮にだ。
仮にこの契約がなったとしよう。

魔法少女のコスチュームというのは、総じて可愛らしく、ちょっとばかり露出度が高いものが多い。

それをだ。
それを、彼女、山田 梅子に着せるという暴挙は大きすぎる問題であろう。
杖を持ち、「リリカル むにゃむにゃ」などと、もし唱えたら暴動が起きる。

キュゥべえは感情が無いから大丈夫……なのだろうか?
好奇心が湧く議題だが、リスクが高すぎる。

「え〜と、聞こえてる?
僕と契約して、魔法老婆になってよ」

どうやら、キュゥべえは吹っ切れたらしい。
たくましく、勧誘を続けているのだ。

「あぁ、貴子さん。
今日はいい天気ですねぇ」

「う、うん、いい天気だね。
あと、僕貴子さん?じゃなくてキュゥべえっていうんだ」

「そうですねぇ、貴子さん
お昼まだなんですよ」

ちなみに、もう夕方である。

「いや、僕は貴子さんじゃなくて」

「いい天気ですねぇ」

「う、うん、いい天気だね」

ある意味キュゥべえにとっての天敵といっていい存在だった。
キュゥべえが得意とするのは、話術や自分には分かりもしない感情とやらに訴える物なのだ。

それが、全く出来ないのだ。

「じゃ、貴子さん
料理お願いしますね」

「……え?」



☆☆☆



「ワケが分からないよ。
本当にワケがわからないよ。」

本当であれば、コレをお願いとし、梅子さんを魔法老婆にしてしまうつもりだったのだ。
だが、いかんせん幾つもの問題がある。

1つ、ただのお願いであり、代価として魔法老婆になると明確に言っていない。
2つ、会話が成立していない。
3つ、そもそも、キュゥべえと貴子さんなる人を間違えている。
4つ、あれ?これ無理じゃね?


である。
そのお願いなど、無視すればいいのだが、料理を作らなかった事によって、この老人が飢えて死んでしまうという可能性が少なからずあるのだ。
この豊かな国では、ほとんど無いとはいえ、可能性が0というわけではない。
魔法老婆になるまえに、死なれては困るのだ。

それで、適当な物(ジャンクフード)でも渡そうかとしたのだが、それにより身体に変調をきたす可能性も考慮しなくてはならない。
なにせ相手はお年寄り、食事には気を使わなくてはならない。

餅等を喉に詰まらせ無くなる、というのも非常に多いのだ。

そうなると、出来るだけ健康的な料理、つまり手作りのものとなって来る。
身体が見えない、というよりそもそも4本足であるキュゥべえにとってコレほど難易度の高い問題を取り扱った事などなかったのだ。


案外何とかなったが……




だが、キュゥべえの戦いはまだまだ始まったばかり。
たかが食事など四天王の中でも最弱。

浴槽、トイレ、洗濯。が待っているのだ。





頑張れ、キュゥべえ。
負けるな、キュゥべえ。


果たして、キュゥべえの営業は成功するのだろうか?

「貴子さんや、いい天気ですねぇ」

「う、うん、いい天気だね」




posted by まどろみ at 02:05| Comment(0) | 魔法老婆 うめこ☆マギカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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