2012年10月29日

第5章 京都編 その7

〜side 徹〜







修学旅行も3日目。
今日は完全な自由行動の日であり、私服OKな日だ。

ちょうどいい機会だし、エヴァちゃんと一緒に詠春の所に挨拶しに行こうと、本山に入り、石段を登っていると

「正面から勝負せぇや!!
男やろ!?」

「だから、何度も言っているだろ!?
僕は女だって!!」

なんか、チビッ子二人がじゃれ合っていた。

「ふん、ワイが女殴れへんから、嘘言っとるんやろうけどな、無駄やで!!」

「この猪突猛進男!!」

叫びながら、レーザー光線を空へと打ち上げるネギちゃん。
よっぽどストレスが溜まっているのか、いつもより大分口調が荒い。

「ふん、お前みたいな軟弱よか、猪突猛進の方が、ッ!!」

犬耳君は、地面から現れたレーザーはギリギリ躱すが

「ばぴらッ!?」

背後からのレーザー光は無理であった様だ。

「まだまだぁぁあああああああ!!

大体卑怯やで!!ループ型結界はコッチの奴なんやから利用すんなや!!」

「うるさい!!
そもそも、一発喰らえばコッチはダウン、何発喰らってもそっちはピンピンしている。
そっちの方が卑怯じゃないか!!」

わーわー、ぎゃーぎゃーと仲良く言い争っている。
あとネギちゃん、裏返しのピースサインはやめておこうか。ね?

そんなふうにじゃれ合っている、二人を眺めているのも良いかもしれないけど、如何せん一応オレ達にも用があるのだ。
というわけで

「いや〜、ゴメンゴメン
ちょっと通らしてもらうよ」

片手をあげ、軽く頭を下げながら通らせて貰う事にした。

「あぁ、すみません。
こんな道の真ん中で……あれ?徹さんとエヴァンジェリンさん?」

あっという間にネギちゃんの口調が戻っていた。

口がちょっぴり悪くなって、喧嘩腰。
アリカがナギさんと初めて会った時の対応にそっくりだ。
なんとなく、それが微笑ましかった。

「あらら、全然気付いてなかったのね。

あっ、そうそう犬耳君。

オレの名前は徹、村重徹っていうの。
君の名前教えてくれないかな?」

「……犬上小太郎」

あらら、警戒されちゃってるや。

「まっ、仕方ないか。

んじゃ、小太郎君、ネギちゃんをよろしくね?」

「はぁ?
何言うとるんや?あんちゃん?」

「はっははは、気にしない気にしない」

幼いネギちゃんの事だから、恋とは違う物なのかもしれないけど、むず痒くなるような、大人からしてみれば恥ずかしくなるような、そんな幼いからこそ許される感情をネギちゃんは小太郎君に持ってるんだと思う。

多分それは、アリカがナギさんに対して抱いた感情なんじゃないかな?

アリカって10歳の娘と同レベルって事か……
あいつ頭はいいのに、変な所で馬鹿なんだよなぁ。

「お〜い、エヴァちゃ、ウワッ!?」

そのまま先に進もうとしたら、下から現れるビーム光。
仰け反りながら思わず叩(はた)いてしまった。

「イチチッ……」

叩(はた)いた手が熱を持ち、ジンジンとする。

「よし、それじゃ〜エヴァちゃん行こうか」

ネギちゃんと話し込んでいたエヴァちゃんに声をかけ、そのまま進む。
本山まで後少しだ。

そういやぁ、詠春と会うのも久しぶりだなぁ。




〜side ネギ〜




エヴァンジェリンさんが助言してくれた事があった。
いや、それは助言というよりも思わず零してしまった言葉。といった方が的確であろう。

かなりの量のアルコールを摂取し、そして徹さんに膝枕されていたせいで、上機嫌になっていた故に自分が思っていた事を零してしまっただけの言葉。


魔法の射手の一矢無詠唱を自在に操り、己の知力を使い戦うだけで、そんな単純な事さえ出来れば、ネギは一気に強くなるというのに、本当に勿体ない。と


魔法の射手の魔法なんて基本中の基本であり、かなり簡単な部類に入る魔法であった。
事実、詠唱有りであれば僕みたいな見習いでも3桁の矢を発動することは出来る。

魔力さえ足りるのであれば、4桁の矢すらも発動出来るであろう。
僕みたいな、幼い子供でもそれなのだ。

そんな応用が効くとはいえ基本中の基本の魔法の、一矢を使える様になるだけで、己が強くなるなどというのは、幼い僕としては納得が出来ない助言であった。

ありとあらゆる工夫を凝らし、ありとあらゆる属性を付加したとしても一矢のみでは、どうあがいても何の工夫をしていないただ放っただけの中位の魔法に敵わないのだ。

もちろん、魔法の射手が役に立たないとは言わない。
だが、それだけに括ってしまったら、例えどれだけ頭を使っても大した効果が得られるはずがないと。

空いた時間を見つけ、一応射手の様々な実験を行なってきた。
疑いを抱きつつの研究ではあったが、応用の広い射手は実験対象としては非常に面白い物であった。
強くなる云々というよりも、それは時間がある時に行う趣味。

その、殆ど役にたつとは思えない趣味が、僕の命を救った。

「くぅ、チマチマチマチマとぉぉおおおおお!!」

学園長から預けられた親書を届ようと、関西呪術協会の本山へ向かっている途中、結界に閉じ込められ唐突に襲われたのだ。
ただの趣味とはいえ、毎日使い続けた射手がとっさに出たのは仕方ない事であり、一矢をしっかりと出せた事を自分でも褒めてあげたいぐらいだ。

それからは必死だった。
最も使い慣れ、簡易な魔法が僕にとっては無詠唱の一矢であった事は、不幸中の幸いであった。もし、この魔法がなければ、僕はあっという間に間合いに入られていただろう。

射手を放ちながら、逃げ、時には避けさせながら、自分と相手との間隔が狭まらない様にするのが精一杯だった。
魔法使いとしての誇りも外聞もなく、石を蹴飛ばしたりと、少しでも相手の隙が出来そうな事はなんでもやった。

だが、徐々に、本当に徐々に相手が分かってくる様になるのだ。
相手が射手を避ける方向、踏み込むさいの足の向き、息を吸う瞬間……

徐々に、徐々に頭の中のパズルが埋められて行く。
埋められれば埋められるほど、戦闘に余裕が出てくる。

「そんな蚊に刺されたような攻撃、効かへんわ!!」

ダメージ覚悟で突っ込んでくる敵。

「そういう、馬鹿な発想が嫌なんだよ!!」

こういう時の接近が一番怖い物であった。

(多分、右のストレート。顔狙い!!)

勘に近い予想。
どうやら、僕の勘は当たっていたらしく、自分の顔のすぐ横を拳が通って行った。

「まだまだやぁ!!」

拳を構える敵。
僅かに硬直してしまう自分。

「くっ」

(だめ、避けられない!?)

拳が突き刺さるであろう、みぞおちへと魔力を貯める。
そして

「グボォ」

相手が吹き飛んだのだ。

(でも、どうして地面から射手が?)

そして気付く。
ループ型結界により、射手がループされた事に。
彼に当たらなかった一矢が、ループし、偶然彼に当ってくれたのだと。

自分にとって、予想外の攻撃。
それはどうやら、相手にとってもだったらしい。

僅かに目を揺らす様子は、僅かとはいえダメージを与えたという事を僕へと教える。


そして、パチリと最後のピースがハマった。


「だぁぁあああ、罠なんて卑怯やで!?」

「うるさい!!
ループ結界なんていう罠で僕を嵌めたお前が言うセリフじゃないだろ!?」

これだ、これが僕の戦い方なんだ。




この時になって僕はようやく自分の戦い方に気付いた。

そして、それに気付いてから、ほんの1時間弱後。







僕は、己の知力を使い戦う、頂点の存在と出会う事となる。












徹さん、貴方は一体何者なんですか?





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posted by まどろみ at 02:00| Comment(2) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして

以前から「流れて流されてネギまへ」を楽しく読ませてもらっています(^◇^)

更新がんばって下さい!
Posted by トウノ at 2012年10月30日 19:32
はじめまして。

楽しんでもらえているようで、嬉しく思います。
まだまだ、勉強不足で文章も甘い点が多々ある流々ですが、これからも精進して少しぐらいは成長……したいなぁ(もはや、願望)

応援ありがとうございます。
これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。
Posted by まどろみ at 2012年11月01日 20:54
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