2012年12月02日

第五話

ドラゴンの住む洞窟。
それは畏怖と畏敬の念を抱く場所。
復讐や、欲に目を曇らせた人間が突き進む場所。
物々しい怪物達と人とが戦い、時に絶望し、時に狂喜する。

それが、ドラゴンの巣なのだ。
そう、それがドラゴンの巣なのだ。

「だからユメ様。
ベトが赤ん坊を抱えながらていたり、ダークマンが子供達の遊具となっているのはオカシイんです!!」

「あぁ、だから皆さん初めて来た時に驚いていたんですね」

言うと、手と手を軽く合わせぽんと軽い音を響かせる。
ユメ様お得意の、納得のポーズだ。

「そうなんです……
そもそも、ドラゴンがモンスターを雇うのは巣の防衛の為なんです」

圧倒的な戦力を持つドラゴンとはいえども、1人のみ巣全体の防衛は不可能。
故にモンスターを雇い、巣の防衛を頼むのだ。

ちなみに私やメイド達はあくまでもギュンギュスカー商会の商品販売の促進をするだけであり、直接的な戦闘は契約の範囲外である。

「だというのに、御主人様は巣の防衛はおまけ。
主だった仕事は子供達やメイド達の手伝い。

侵入者に対しては一応は対処して欲しいけど、危なくなったら即刻逃げる様に命令!!

3食の食事付きに、お小遣いありとか、ふざけているんですか!?」

基本的にモンスターは初めの契約金のみ払うだけでいいのだ。
その契約金を支払う事によりモンスター自身を買い取る事となり、後は契約に沿った内容で好きなように使っても良い。
つまり、無駄な金を使っているのだ。

「もう、御主人様を見ていると、こう、もどかしくてもどかしくて……」

肩には力が入り、ワキワキと手を動かしながら、滾って仕方ない力を分散させようとするが、どうも上手くいかない。

「ふふふ……
でも、ブラッドさんらしくてイイじゃないですか」

笑みを浮かべながら、ユメ様は足元に居る小さめのベトを拾い上げる。

ユメ様がチビベトを人差し指で突くと、そのスライム状の身体には小さな波が立つ。
チビベトからしてみても、その指先でツンツンされるのは不快ではないようで、ユメ様の指に触れようと小さな手を伸ばす仕草は可愛らしい。

もうね、こんな光景も見慣れ初めている自分も色々と手遅れなのかもしれない。

「ベトちゃん達がこうやって触られたり、ダークマンさんが自分の力で子供達を傷つけないようにビクビクと怯えながら面倒をみたり、マッドキラーちゃんの顔が怖くて子供に泣かれて必死に慰めようとしていたり……

それでイイじゃないですか」

そうして浮かべた笑みは美しかった。
その幼い身体に似合わない、どこか母性を感じる笑みを、ふんわりと浮かべていたのだ。

「……全然良くないですよ」

昨晩嬉しそうに、親方に新しい仕事を任された事を話していた御主人様を思い出し、ため息を1つ。
ため息を吐くと幸せが逃げるなんて言われるけど、コレぐらいは許して欲しい。

ユメ様もメイド達も、モンスターも贄の方々も、さらにはギュンギュスカー商会の上層部、リュミス様の弟であるマイト様までもが御主人様の事を過大評価し楽観視しているのだ。

村の人々に時計代わりにされている御主人様を。
先日、食事のバランスが悪いと言い、お米や小麦じゃがいも等を優先的に貢でくれる様にと、村々に頼んでいた御主人様を。

考えれば考えるほど、楽観視出来る要素が見当たらない。

「意外と近すぎると分からないのかもしれませんね」

「近くにいるからこそ、正しい評価が出来たと思うんですが……」

あれ?私オカシイ事言ってる?

「いえいえ、間違っていませんよ。
クーさんは多分、そのままの方がイイと思いますし……

ね〜、チビベトちゃん」

『ベト?』

何がなんだか分からないとでも言うように、首(だと思う)を傾けながらの返事。
モンスターと人との垣根は相変わらず見当たらない。

「ただいまぁ!!」

我が家の大黒柱が大きな声と共に帰宅してきた。
その声と共に、ピンと獣耳と尻尾が上を向いている。

尻尾のせいでスカートはめくれ上がり、下着が丸見えになったしまっていた。

あまりに分り易すぎる反応に苦笑が漏れてしまった。
ユメ様の腕の中にいるチビベトも緩慢な動きながらも、手を上に伸ばし、喜んでいる……んだと思う。

「おかえりなさい、ブラッドさん!!」

『べトぉ!!』

バタバタと音を鳴らしながらユメ様は部屋をでる。
ちなみに、チビベトはユメ様の頭の上へと移動していた。

さて、私も御主人様を出迎えましょうか……
色々と方向性やらなんやらを間違えていると思わなくもないですが、しっかりと働き、疲れているでしょうし。





〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜
以上、巣作れドラゴン第五話でした。
楽しんでいただければ幸いです。

え〜、SSの更新が出来ないとか言いましたが、普通に更新してしまいました(テヘッ☆

ただ、忙しいには忙しいので、しばらく更新は出来ないと思います。
以上、あとがきでした





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posted by まどろみ at 20:37| Comment(0) | 巣作れドラゴン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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