2014年03月25日

第八話

ドラゴン……
それは大いなる災害。

あまりにも大き過ぎる力を使い、村を脅し、街を壊し、王都を滅ぼす。
そして要求してくるのだ。壊されたくなければ、怯えたくなければ贄を、金品を寄越せと……

そんな大いなる災害が我が国へと巣を作ってしまったのだ。
それが発覚した時は大きな騒ぎとなった。10年弱前の話だが良く覚えている。
王として就任しすぐ起きた事件だ。忘れろという方が無理である。

だが竜は何も被害を起こす事はなかった。
脅す事も、要求する事もなかったのだ。

それどころか、破壊するのは盗賊のアジトを破壊する等、本来であれば国が行わなくてはならない事を代わりに行ってしまう始末。
私達は狂喜乱舞した。

なにせ、私達を脅かす大いなる災害だと思っていたモノが、私達を害するどころか益を運んできたのだ。
もちろん、その力が私達の方を向く可能性もあった。

だが、竜によって国が滅ぶかもしれないと覚悟していた私達には、この竜が運んできた益はあまりにも甘美だった。
もしかしたら、国が滅びずにすむかもしれない。

時が経つにつれ、竜は人々の暮らしに溶け込んでいった。

龍神、国護りのドラゴン、最も強きモノ様々な名称が付けられ、善人からは愛され、悪人からは怯えられる存在。
周りから崇められ、自分から貢ぎに行く存在……



初めの数年は喜んだ。災害が己を害さないと喜んだ。
次の数年は何も思わなくなった。日常に溶け込み、いつもの事と認識した。

そして、10年弱が経ち、ようやく私は気付いた。
あぁ……国が滅びると。この小さな国は竜によって滅ぼされると……



☆☆☆



水が張った鍋の中に、海藻やきのこを薄く切ったもの、ご飯を入れ、煮込む。
徐々に水の温度が上がっていき、ほんのりと湯気がたつ。

作り置きのだし汁をこの中に投入。塩に醤油を適当に投入。
ゆっくりとかき混ぜ、一口味見……

ちょいと薄味だけど、まぁこんなもんか。
採れたばかりの卵を割り、かき混ぜながらゆっくりと垂らす。

一番最後に少量のネギをパラパラとかけて完成。

大した手間を掛けたわけじゃないし、めちゃくちゃ大雑把な料理だけど……
まぁ、男の料理なんてこんなもんだ。

完成したおじやを片手に、とある部屋へと移動し、ドアを開けると

「お腹痛いぃ、いたいよぉ」

メイドが布団の上で呻いていた。

「調子はどう?」

この娘……なんと命知らずにもクーの手料理を食べたのだ。
そりゃ、腹ぐらい壊す。

「うぅ、ご主人様ぁ……
ぽんぽん……ぽんぽんが痛いんです」

あんまり良くなっていない……かな?
はいはい、と頭を撫でる。

「おじや持ってきたけど……食べれそう?」

「……食べさせてくれませんか?」

顔や、彼女達の特徴である大きな耳を真っ赤に染めながら訪ねてきた。

俺もそうだけど、竜や魔族っていうのは身体が非常に丈夫に作られており、そうそう調子を崩すことはない。
折角の機会……というのとは少し違うのかもしれないが、甘えてみたいのだろう。

云百年も生きたメイドの様子が、面倒見ているちびっ子達と変わらなく、微笑ましい。

「任せろ。
あっ、ふーふーは必要か?」

冗談で言ってみたが、どうやら必要らしい。



☆☆☆



いいなぁ……
ちょびっと羨ましい……かも……

メイド達がそんな事を言いながら、各々部屋を覗き見していた。
覗きこんでいた部屋は、今朝私が作った料理を食べたメイドが寝込んでいる部屋。

まったく、何が羨ましいのやら。
仕事をせず寝ていられるから、とか?

こっそりと、彼女達の背後から部屋を覗き見てみると、ご主人様に何かを食べさせて貰っているメイドの姿があった。

「はぁ……まったく。
ご主人様は……」

どこにメイドの面倒を見る主人がいますか。
贄の人たちに作ってもらった雑炊も無駄になってしまったし……
はぁ、まったく。

まぁ、今日のところは良しとしましょう。

子供達とは違い、メイドが体調を崩した時、面倒を見る人がいないのも事実。
ご主人様が面倒を見てくださった事によって、助かったのも事実。

だから、今日のところは良しとしましょう。


ほらほら、あなた達。
覗き見なんてしている暇はないんだから。
すぐ持ち場に戻る戻る。





ちなみに、この日をから私の料理を食べたいというメイドがチラホラと出てきた。
私は怒ってもいいと思う。


posted by まどろみ at 17:01| Comment(7) | 巣作れドラゴン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
更新お疲れ様です。崇められるブラッドだけど国王からしたら王権崩壊招いてた!!。てっきり宗教化するかなと思ってたら長期的な侵略だしまた周囲が勝手に評価を上げていきそうです。これはマジで予想外でした。後半のクーちゃんにポイズンクッキングのスキルがあるとは、これはアレですか?出来るメイドの嗜みと言うやつですか?(笑)
次回はついにブラッドがイカ娘の様に侵略ですね。次回更新も楽しみにしてます。  まどろみ大佐に敬礼っ!!(へにょ〜ん)
Posted by はるきよ at 2014年03月26日 20:41
権威を担うべき朝廷から、その欠くべからざる権威と主権を奪い
もとい自発的に献上されて、人間は世俗の権力を権威たる竜に賜り竜権帝国成立
みたいな?
いいんじゃない?
Posted by モスマン at 2014年03月27日 01:37
あまりに馴染みすぎて民意が離れていっちゃったのかしらん。

メイドが介抱されたがってるw
自分の料理が毒だって気付いてるだけマシですよねw
Posted by なおぽん at 2014年03月29日 10:52
続きまだかなー(・ω・)
Posted by 龍 at 2014年07月12日 23:05
皆様、コメントありがとうございます。
&返事が遅れてしまい申し訳ありません。

王都侵略に関して、様々な予測をたてているようで・・・
なんていうか、鋭いので困っちゃいますw

ようやく余裕ができ、これからボチボチと更新していきますので、よろしくお願いします。
Posted by まどろみ at 2014年08月15日 09:48
まだ待ってるよ…こっちの更新も待ってるよ…
Posted by せさみん at 2017年12月01日 10:08
せさみん様、コメントありがとうございます。

待たせてしまい、ごめんなさいです。
このままだと、いつまでも返信できないと思い、とりあえずではありますが、コメントの返信をいたします……

今後の予定とかは……すみません、少ししたら日記で書こうと思いますので、お待ちください。
Posted by まどろみ at 2018年01月04日 22:37
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。