2015年10月03日

第7章 魔法世界編 その3





〜〜side アコ〜〜



一歩踏みだそう。なぁなぁにしてきた事やけど、知りたいけど我慢しとった事やけど……
もう、我慢はできない。ウチは一歩踏みだそうと思うたんや。

5年間生死不明で居なくなってしまった徹兄ぃ。
常にあの人の事を考え続けていた訳ではなかったんやけど……
それでも、ふとした拍子に兄ぃの事が頭をよぎり、不安に駆られる……

そんな事を繰り返していた5年間やった。

特に初めの1年は本当に大変やった。なにせ、信頼する兄が自分を守るために殺人を犯し、そして重症を負う姿を、9才の子供が見てしまったんや。トラウマにもなる。
わけも分からず泣いたことや、癇癪を起こすこともしばしば。

徹兄ぃが幼いころ、海外で神かくしにあった事を聞き、今回もそれと同じだと自分に言い聞かせていくうちに、ほんの少し持ち直した……
それから徐々に持ち直して、だいぶマシになった頃に、ようやく兄ぃが帰ってきたんや。

あれから5年も経ったのに、見た目が何も変わっていない。
5年間ずっと、高校に居たという。
さらに、エヴァンジェリンさんやアスナが、長年(5年以上?)共に暮らしていた様子

等々、可笑しな事が数多くあった。
ウチも、徹兄ぃの叔父さん達もそれは分かっとった。

せやけど、ウチ等は我慢したんや。
明らかな異常。ウチが知らない世界に徹兄ぃがいると、分かった。そして話したくないと思っている事も同じように分かったんや。

せやから、我慢した。
徹兄ぃが教えてくれるまで……もしかしたら一生分からないままかもしれへんけど、それでも兄ぃが居ればいいと、自分に言い聞かせ我慢した。



5年居なかった兄ぃがようやく見つかり、そして数ヶ月でまた居なくなった。


もう我慢するのはやめるんや。
一歩を踏みだそう。踏み出してやろう。

徹兄ぃの前ではお利口さんだったウチ。せやけど、もうウチは兄ぃの知っとるウチやないんや。
兄ぃは知らない、兄ぃとお揃いの背中の傷。ウチの誇りの先端をそっとなぞる。

醜くく盛り上がり乙女の背には合わない、そんなウチの誇り。

さぁ、一歩踏み出すんや。
何もできないかもしれへん、ただのお荷物となるかもしれへん……でも、そんな事を考えるお利口さんはもう居ない。
迷惑をかけるかもしれない、それでもここは譲れない。我儘になるんや。

登校して来ないエヴァンジェリンさんにやきもきした。
ネギちゃんからは兄ぃの関係で忙しいと聞いて、遠慮していたが、もうしない。

ウチは一歩踏み出した。
具体的には兄ぃとエヴァンジェリンさん、さらにネギちゃんと小太郎君が住んでいる家に向かって。



〜〜side 明日菜〜〜



徹さんがいなくなり、2週間程経つ。

彼が居なくなったというのに、あの人がどうこうしてしまうような不安は全くなかった。

なにせ、あの人が持つ彼独特の強さを知っているのだ。
だから、徹さんがどうこうしてしまようなイメージが全くつかない。

確かにイメージはつかないが、それが全く心配しないかと言えばそれは別。
急に居なくなったのだ。それこそ超常現象のように、だから心配……とはいえ、あの人がどうこうしてしまうようなイメージが全くつかない。だから不安も心配もなかった。

どちらかと言えば、エヴァちゃんとかの方が心配だ。
なにせ、彼女は徹さん依存症といっても過言ではないほど徹さんに惚れ込んでいる。
そんな彼女が暴走してしまわないか……

とはいっても、エヴァちゃんは年齢不詳。そういえば徹さんもエヴァちゃんも、初めてあった時からずっと高校生と中学生だったような……気はしない。特殊な事情。留年とか、色々な事情によるもの。だから何も不思議ではない。

よく分からないけど、年齢不詳の彼女だ。
まぁ、なんとかなる。そう、なんとかなるから心配の必要はない。

「……はぁ、いつも徹さん徹さんとうるさいのに、今回は乗り気じゃないみたいじゃない?」

自然と口から漏れたのは誰かに対する文句。
意識を向けようとすると、何か阻害される、気持ち悪い状態。
歩こうとしている方向から、無理やり横槍をいれられ、別の場所へと向かわされている、そんな無理矢理な妨害。

そんな事をするカノジョへ文句を言う。




……そうやって、無意識ながら私を認識している。今の貴方はとても不安定。
テツは心配ない。彼は貴方が思っているよりも強い。大丈夫だから、心配ないから。

だから、アチラへ行ってはダメ。




「ありがとうね。アンタがなんとなく私を心配してくれているのは分かるよ。
けどさ、全く心配ないからって、あの人が強いからって……

それで全てを任せっきりにしちゃうのは私じゃないのよ」

ただのお節介かもしれない。もしかしたら、私に出来る事は何もないのかもしれない。
でもね、やっぱり何かをしたいと思って、そして行動するのが私なんだ。

「私は、三人からそんな風に育てられたんだ。
だから、私は行くよ。姉さん」




〜〜side 創物主〜〜



もっとも厄介な敵とは誰かと聞かれたら、少々迷った後に我々の野望を食い止めた『赤き翼』と答えるだろう。
では、最も厄介な存在は?
計画に元も邪魔な存在は?

そう聞かれたら、迷うことなく、奴の名を出すだろう。
我々の計画を、その身一つで大幅に変えさせた存在。

敵とは少し違い、中立とは言い難い、非常に厄介な存在である『未来人』の名を。

『旧世界』の偉人であり、僅かな期間『魔法世界』に留まっただけ。
にも関わらず、その僅かな期間で成し遂げたモノは、冗談としか思えないようなモノであるのだ。
まったく、厄介極まりない。

そんな厄介な存在と人形との対決……とは言い難いな……どちらかと言えば挑戦、だろうか?
そんな挑戦を行った部下を『遠見の術』で見つめる。
記憶を封印し、そして運に頼った挑戦。

そして、そんな挑戦に、彼は成果を出した。

「勝利したわりには、あまりにもちっぽけな成果だけど……
それでも僕は彼に勝つことが出来た」

術の向こうでは、自身をフェイトと名乗る人形が歓喜に震えていた。
小さい、あまりにも小さな成果であったが、まさか『未来人』に対して、このような成果を出すとは思わなかった。
『未来人』の情報を集めるためだけの監視のつもりだったのだが……

運に頼ったモノ、それは不確実であるだろう。
そして大事な勝負に、ここまで大きく運に頼るというのはナンセンスといえるだろう。

だが、対『未来人』に対しては別だ。
絶対負ける存在に対して、僅かながらでも勝機を見出したのならば、それだけで大きな成果といえるだろう。

しかし、なるほど……
奴がこれほどまでの成果を出した理由はリスク管理能力か。
では、私は彼の管理外から勝負を仕掛けるとしよう。

ふむ、そうだな。
どちらが勝つか全くわからない。完全に運に頼った勝負をやろうじゃないか。『未来人』よ。


posted by まどろみ at 13:58| Comment(4) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
更新お疲れ様です。

たまたま見に来たら更新されてたw
でもちゃんと更新されているのはすごいことです。今後も期待。


徹が知らないところで動き出す人々。
いや、というか造物主なにやってんだよwストーカーチックとうか…w
そもそもこいつ封印とかされてないんでしたっけ?遠見をするだけの余力あるとかw
Posted by なおぽん at 2015年10月08日 00:32
今回は割とシリアスでしたね〜。続きが気になる話でした。でも徹の事だから引っ掻き回すというかドンデン返しが次回に来るような気がします。今後も楽しみです。
Posted by はるきよ at 2015年10月08日 01:39
なおぽん様、コメントありがとうございます。

ようやく、色々と楽になり更新しました。
しかし、話を書くというのは難しいです。いや、本当に。
ある程度最後はプロットは出来上がっているので、ソコまでの道筋さえ出来れば、一気に進むのですが……
期待に応えられるよう頑張っていきたいです。

造物主さんは封印されながらも監視(笑)に励んでいます。
いや、だって……徹さんから目離すと怖いじゃないですか。
Posted by まどろみ at 2015年10月08日 23:27
はるきよ様、コメントありがとうございます。

わりとシリアス会(ツナギ会ともいう)でした。続きが気になって貰えているようで良かったです。
だいぶ近付いてきた、最終回のドンデン返しに向かっていまは力を貯めている最中です。
最後まで見てもらえたらありがたいです。
Posted by まどろみ at 2015年10月08日 23:36
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