2016年03月10日

第7章 魔法世界編 その5




〜side ネギ〜



筋肉ムキムキの2m近くある男の人から、唐突な話を受けたら普通はどのような反応するのだろうか?
魔法世界なんていう来たことのない世界へ、偶発的に移動してしまい、この世界が崩壊する……だなんて、そんな唐突な話されたら。僕が尊敬する徹さんに抱きついて甘えていた大男にされたりしたら……

エヴァンジェリンさんと茶々丸さんだけが行うはずだった世界移動は、タカミチと学園長以外の全員が巻き込まれていた。
不幸中の幸いとでもいうのか、なんとか全員が固まって転移出来たものの、状況は結構厄介な物だった。
そんな悩ましい状況下で、現れた筋肉ムキムキの大男から、世界崩壊を言われたのだ。そりゃ呆然とする。

少なくとも僕は呆然としてしまった。
意図していない移動をした先で、母が救ったこの世界が崩壊するなんて、そんな話を唐突にされるとは思ってもみなかったのだ。
徹さんに抱きついていた大男が、母の仲間であり英雄の1人、僕の父と徹さんを取り合ったライバルだったなんて思ってもみなかったのだ。
というか、父さんとラカンさん(徹さんラブな大男のことだ)が徹さんを取り合ったって……

エヴァンジェリンさんと明日菜さん以外の反応は皆僕と同じように呆然としていた。
というか、だ……ラカンさんからの情報があまりにも予想の斜め上をバク転しながら高速で過ぎ行ったせいで、整理が全くついていない状況だ。
とある人物に関しては

「徹兄ぃがモテモテ?いやいや、あかんて。ないって。
そりゃライバル多いなと思うたけど、ウチの知ってるライバルて皆女の子やったやん。
もしかして、リーゼント薫ちゃんとかも徹兄ぃを狙っとる!?
いやいや、和泉亜子落ち着くんや。落ち着くんや。」

と、呆然を通り越し、ひどい混乱状態であった。

……あれ?
ラカンさんが魔法世界の英雄?

「そういえば明日菜さん。ラカンさんとは知り合いだったんですか?」

「へ?
いや、初対面よ?」

初対面?
いや、少なくとも京都で会ったのは確実で……

僕はのどかさんに目を覆われていたから、見えたわけじゃないけど

『ラカン、邪魔!!』

明日菜さんの言葉と

『おぉ、嬢ちゃん達も久しぶりだなぁ』

ラカンさんの言葉をしっかりと聴いた事は間違いない。
このやりとりは、知り合い同士でなければ出来ないものだし、かといって明日菜さんが嘘をついている様にも見えない。

……やっぱり明日菜さんには齟齬がある。
気にしないようにしていたけど、なんとも言えないズレが無視出来ないレベルで出てきているのだ。

「そうなんですか。ごめんなさい、僕の勘違いだったみたいです」

笑顔を浮かべ返事をするも、頭のメモに『明日菜さんのズレが酷くなってきている』と追加しておく。
ちょっと、これ情報を集めておいた方が良いだろうな。このズレが大きくなりすぎると、間違いなく彼女の精神に良くない影響を及ぼすだろうし。
この会話を続けても彼女のためにはならないだろう。うん、この会話はこれで終わりだ。

「はっははは、初対面云々は置いとこうか。

とにかく、いまこの世界は崩壊の危険にある。
あっ、ジパングのゲームのように嬢ちゃん達に崩壊を救え。なんてこと言わないからな?

ただ、そんな不安定な状態にあるから気をつけること、そして崩壊から救う方法を適当に思いついたら教えて欲しい。
この2つだけを頭に入れておいて欲しいっちゅーわけだ」

「あぁ、分かった。

だが……はぁ、その崩壊を止めるための術を見つけたんだろうな。徹は。
だからこそ、超鈴音に態と攫われたんだろうさ。登校地獄の解呪を行い、魔法世界に来る最も効率の良い方法としてな……」

思わず漏れたであろう呟きを聞き、相変わらず徹さんのぶっ飛び具合が凄い事を再認識した。
世界の崩壊を止める術を見つける、登校地獄という化け物じみた呪いの解呪、そして世界移動。
ひとつを行うだけでも難しいのに(下手したら不可能だ)、この3つを同時の全てを一切の魔力を持っていない人間が行うというのがおかしい。

やっぱり遠いなぁ、あの人は。
エヴァンジェリンさんから示された学ぶべき人……師匠の背中があまりにも遠い事を喜ぶべきなんだろうけどなぁ。
ちょっと人間離れしすぎていて、ため息の方が出てきそうだ。

「……やっぱり嬢ちゃんもそう思うか?
傭兵団の奴等も同じように考えたみたいでな、徹達を追っている

ところで……あそこで虚空を見ながらブツブツと呟いている嬢ちゃんなんだが……
徹にそっくりじゃないか?」

亜子さんを指差しながら言ってくるラカンさん。
というか、この人徹さんに関する嗅覚凄すぎない!?
いや、だって従兄妹って知ってれば面影があるなぁ、って気付く程度だよ!?

「そっくり……か?従兄妹らしいから面影ぐらいはあるだろうが……」

「いや、そっくりだろ!?
ほら、この写真を見てみろ!?」

そういい、取り出したのは古びた写真だった。
今の物と比べれば解像度が低い、そして何度も見たであろう端が擦り切れた……それでも大切にしていたであろう写真だった。


上半身は裸で、背中にある、大きく斜めに切り込まれた傷跡は、幼い身体と相まって、非常に痛々しく見える。
髪の長い女の人が振り向きながら涙目の上目遣いにこちらを見つめてくる……なんとも言えない犯罪チックな写真。


「なんで、亜子が写っている写真をアンタが持っているのよ!?
っていうか、何?この写真は!?
あんた、亜子にヒドイ事を!!」

明日菜さんがラカンさんの胸元を掴みながら叫んでいる。
明日菜さんの言うように、確かにこの写真の人は亜子さんにそっくりだけど……

「明日菜、ちゃう……
多分これ、徹兄ぃや」



〜〜side フェイト〜〜



全くもって想定外の事に、主が復活した。
主の復活というのは僕達の悲願であり、復活のための計画を立てていたものの……
まだ、何も実行に移せていなかったのだ。

というより、キーとなる黄昏の姫御子が僕等の天敵の側に居るんだから、手を出したくても出せなかった。

「テルティウム……いや、ファイトと呼ぶべきか?
とにかく、よくやった。

お前が見つけた未来人対策。おかげで奴を倒す事が出来る」

そして主は未来人を倒す計画を語った。
運に左右される、不安定で不完全な計画を。

「……ですが、それでは彼は倒せないかと。
なにせ彼は、ただ不老となっただけの人間。
魔力すら一切ない人間ですから、効果が……」

「いや、効果は間違いなくあるさ。
なにせ彼は……

人形なんだから」


posted by まどろみ at 22:57| Comment(6) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まどろみさんの物語もクライマックスが迫って来てますね〜!!そんな中でも徹に対する勘違いもスケールアップしてるし!マジでこの流れを期待してました。てか、ここでラカンは意外でしたよ!?・・・苦笑。次回も楽しみです。〜巣作れの新作も読みたいです。〜
Posted by はるきよ at 2016年03月11日 22:27
はるきよ様、コメントありがとうございます。

クライマックスへじわりじわりと迫っております。
ほんと進み方がゆっくりで、僕もどうしてこんなにも進まないんだと、やきもきしています。
いや、おかしいのは分かっておりますが……

巣作れも更新しなくてはと思うも、やはり筆は進まず……
とりあえず、頑張ります。

流々のクライマックスまであと少し、楽しみにしていただけると嬉しく思います。
Posted by まどろみ at 2016年03月13日 21:29
更新お疲れ様です。

安定の勘違いクオリティ!
そして敵さんから何やら不穏な発言が飛び出した模様。でも今一番問題なのは逃避行中の彼の安否w
Posted by なおぽん at 2016年03月20日 18:06
なおぽん様、コメントありがとうございます。

最近迷走気味ですが、安定と言われ少し安心しました。
はてさて、クライマックスまであと少し、あと少しで一番書きたかった部分に入るのですが……

繋ぎがムズいっす。(どうしよう……)
色々と頭を悩ませる事と同時に、世の中の物語を書く方々ってすげぇな、と思います。

とにかく流々はもう少しで終了します。(ほんとですよ?)
最後まで楽しんで貰えたら、嬉しく思います。
Posted by まどろみ at 2016年03月24日 22:26
更新はまだでしょうか?
自分が発見できていないだけなのかもしれませんが……。

一年以上の時が経とうと、更新待ってます。
Posted by at 2017年07月17日 18:31
コメントありがとうございます。

コメントの返しが遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
そして、長い間待ってくださり、ありがとうございます!

近日中に流々(第7章 魔法世界編 その5 修正ver)の更新を行いますので、もう少しお待ちください。
Posted by まどろみ at 2017年08月28日 22:58
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