2017年08月29日

第7章 魔法世界編 その5(修正ver)



〜side エヴァ〜


よくあるゲームのRPGなんかにあるネタ。
ラスボスや、裏ボスというのが始まりの街に封印されていた……なんていうネタ。
そういったお約束のネタは確かに良いだろう。最後の最後までゲームをやっていることによって、様々な伏線が回収され、そして気がつく。
あぁ、そうだ。本当の敵は、最後のボスは故郷にいたんだ。
間違いなく盛り上がるだろう。ボスとのバトルにおいて、途中で故郷の力のない住民たちが助けてくれるなどといったら、尚のことよし。
手に汗を握り、必要以上の力でコントローラを操るだろう。
そして、ボスを倒し、エンディングロールが流れる頃になったら、清々しい達成感と、終わってしまったという喪失感が胸にやってくるだろう。
まだまだ、この勇者達の物語は続くだろうが、自分たちはそれを見ることはできない。
自らの手を離れてしまった、勇者にちょっとした喪失感を覚えるだろう。

そう、そんな素晴らしいお約束。ゲームだからこそいいお約束だ。
それをだな、ライフメーカーよ。伏線もなにもなく唐突に現実でやるな、と私は言っているのだ。

「言いたいのはそれだけか?
我が娘よ」

世界樹を通り、魔法世界へと向かう際、通り道の真ん中にコイツが佇んでいた。
随分と昔に徹にやられたラスボス。
世界を創造し、そして破壊しようとするなんていう、アホとしか言いようがないほど規模の大きすぎる力を持つラスボスが何故か麻帆良学園と魔法世界とを結ぶ世界樹に封印されていたのだ。

「ふん、それじゃ言いたいことを言わせてもらおうか。
ライフメーカー、ラスボスよ。

人質を、ネギと明日菜を離せ」

世界樹を通り、魔法世界へと向かう魔法が、マジック・キャンセラーの乱入によって暴走した。
制御を乗っ取られ、周りにいたネギ、小太郎、明日菜、そして和泉亜子を巻き込んでの移動をし始めたのだ。

それが不運のきっかけ。

「断る。
これからの計画にマジックキャンセラーである娘は必要不可欠。大切な鍵だ。
そして、鍵とは別に価値がありながらも弱い人質というのもあって損はない。

いくら娘の頼みとは言えども、聞けないな」

明日菜の能力により、ラスボスの封印が解かれ、気付けば二人が人質の状態だ。
二人は気絶させられ、明日菜はライフメーカーの頭上へ浮かされ、そしてネギは奴の左腕に抱えられた。

「ふん、世界の創造と破壊なんていう神話の世界の存在が人質をとるなんて、情けないとは思わないか?」

「思わないな」

私を見つめながら喋るライフメーカーの隙を突いたつもりだったのだろう。
最悪なことに茶々丸と小太郎が動いた。
動いてしまった。

小太郎は瞬動を使い、ネギが抱えられている左腕へと、貫手を繰り出すもライフメーカーの膝を喰らってしまい不発。
小太郎の行動によって、ネギへの拘束が僅かにでも緩んでいたらなんとかなったかもしれない。
小太郎のすぐ後ろを茶々丸のロケットパンチが飛びネギを掠め取ろうとするも、抱えられたネギごと繰り出された肘により、破壊される。

「なにせ、そちらにはエヴァンジェリン、貴様がいる。
私と同じ力を持つ『最強の人形使い』が」

先程の、茶々丸と小太郎のやりとりなど、なかったかのように、会話を続ける。
それにしても、『最強の人形使い』?

「『人形使い』だと?」

様々な呼ばれ方をした。『闇の福音』、『未来人の愛娘』、『偉人の付き人ヘバ』等々。
とりあえず、未来人の愛娘と名付けた人間はぶん殴った。

そのように、様々な呼び方をされたが『人形使い』などと呼ばれたことはなかった。
というよりもだ、何をもって私を人形使いと呼ぶ?
茶々丸か? だが、あいつは人形というよりもロボだぞ? さらに別に使っているとも言えない。

「あぁ、そうか気付いていない。エヴァンジェリン。貴様は気付かずに人形を作りあげていたのか。
全くの無意識に、最強の人形を作りあげ、そして気付くことなく使い続けていたのか」

ライフメーカーから感情がにじみ出ていた。淡く、消えてしまいそうな感情。
だが、それは確かににじみ出ていた。どことなく声色が楽しげなっていたのだ。

「貴様、何を言って」

「時間稼ぎに付き合うのはここまでだ」

私の疑問に応えることなく、ライフメーカーは魔法陣の展開を行った。

時間稼ぎ……たしかにその通りであろう。
僅かでも二人が連れ拐われる時間を先延ばししようと、ただただ会話をすることしかできなかったのだ。

何度も魔法を唱えようとした。どうにかして、やつから二人を奪えないか策を巡らせた。
だが、何もできなかった。

なまじ力があったからか、忌々しいことに私の行動は全て注視されていた。
もし、私が魔法を唱えていたらネギを盾にしていただろう。見せしめに、腕の一本くらいもぐ可能性も否定できない。

ライフメーカーが魔法陣を展開した時、周りが諦めた。
わけも分からず巻き込まれた一般人である和泉亜子も、腕の一方のユニットを壊した茶々丸も、奴としゃべり時間稼ぎしかできなかった私も……諦めた。諦めてしまった。
ここで二人は連れ拐われてしまうと、それはもうどうしようもないことだと。
この場は奴に負けると……そんな風に皆が諦めたのだ。

たった一人のバカを除いて。

「グルルルッ!!」

最高の一撃を簡単に対処され、たったの一撃すら耐えられなかったにも関わらず、それでも諦めきれなかったバカがいた。
獣化した小太郎がネギの袖口へと噛みつき、奴から引き離そうとする。

自身の顎や歯の限界を超えた力で食いしばられた口元からはガチガチ、ギリギリと不愉快な音を鳴らしている。ライフメーカーに爪を立て引き離そうとしている四肢は力を入れすぎ、震えてしまっている。

ネギの袖口が破れないことが不思議であるほどの力を、小太郎は振り絞り続けていた。

だが、それでも、それでも……小太郎は貧弱だった。

「ふん!」

ライフメーカーが右の手で軽く殴られただけで、小太郎は吹き飛ばされた。
食いしばった歯をそのままネギの袖口へ残したまま。

「それでは、我が娘、そして犬の子よ。
私は去るとしよう……

未来人に伝えたおくがよい。二人は我の手のうちにあると」

「ふん、いいのか?
貴様の天敵である、徹を呼び込んでしまっても」

着ていたローブを翻し、魔法陣へと歩みを進める奴に向かい問いかける。
あまりも情けない、他力本願としか言えない問いであるが、それでも気になったのだ。
徹を避けるのだったら分かる。散々煮え湯を飲まされ続けたのだ。徹のいないところで目標を達成しようとするのだったら納得もいったのだ。
だが、今回は違う。閉じ込めておくでも、隔離しておくでもない。
真正面からぶつかり合うと、奴は宣言したのだ。

「確率で考えたら失敗の方が高い。組織の人間は全員未来人をどこかで恐れている。全く奴に勝てるビジョンが思い浮かばない。

だが、問題ない。
もう一度言っておこう。未来人へ伝えるのだ。黄昏の姫巫女と英雄の娘は預かったと、取り戻したければ私のもとへ来いと」

展開された魔法陣へとついに奴が入ってしまった。
固定された肉体は粒子状へと変化し、徐々にこの世界から姿を消していく。

「また会おう。我が娘、リトルライフメーカーよ」

その言葉だけ残し、明日菜とネギを連れた奴はこの世界から姿を消した。


posted by まどろみ at 18:00| Comment(2) | 流れて流されてネギまへ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです。コメ返しありがとした。まどろみさんも何とか元気そうで何よりです。お互い忙しいですねぇ〜(汗)待ちに待った更新うれしいご褒美です!!新作もシリアス絶賛展開中です。小太郎が一番主人公してるってのもありますが、ここに来て初めてライフメーカーがラスボスしてますねぇ〜!(笑)でもエヴァに対するセリフが一番気になりますよ!!まぁ、今後の徹の壮大な勘違いによる締めを個人的には期待してます。
 次回作も期待してます。
Posted by はるきよ at 2017年09月02日 09:57
はるきよ様、コメントありがとうございます。

お待たせしました。最新話となります。喜んでもらい、非常に嬉しく思います。
巣作れドラゴン、流々共にぼちぼちのペースで更新できるように頑張ります。(お仕事も頑張ります……)
次は巣作れドラゴンの更新になると思います。あんまり遅くならないようにはしますが、気長にお待ち下さい……
Posted by まどろみ at 2017年09月06日 21:04
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