第拾伍話
実数と虚数


ゲンドウの居ない今、ゼーレも静かであった。
使徒侵入に難癖を付けてきたが、その全貌をナオコは伝え、元となったタンパク壁がゼーレ系列の業者であった事を指摘した。

その事に関係するゼーレの老人は憤慨したが、その様な物を搬入した事に責任は感じないのかと逆にナオコに責められ沈黙した。

議長のキール・ローレンツも分が悪いと思ったのか、この事については不問となり、ダミーシステムの開発に注力する様、指示するのみであった。

しかし、ナオコはそれについても、だったらこんな下らない事で呼び出さないで欲しいと言ったのだ。

ナオコは冬月の将棋の相手を、MAGIにやらせている。

「なんか、こう将棋盤にパチッと言う感じじゃないと雰囲気がなぁ・・・」
ディスプレイ上で将棋をしている冬月がぼやいていた。

ナオコがキーボードを操作する。
以前の様に司令の机も広いだけではなく、今ではディスプレイとキーボードが乗っている。

パチッ
冬月の端末から音が出る。

「これで如何かしら?」
微笑むナオコ。

「むぅぅ」
将棋盤で打ちたい冬月は唸る事しかできなかった。



「まったくもう」
第一中学の廊下でアスカがモップを持ったままぶつくさ言っている。

「どうしたの?」
タイミングを待っていたヒカリがさっそく話しかける。

「明日はせっかくの日曜日だから加持さん誘って買い物に行こうと思ってたのに、全然捕まらないの!」

ヒカリはしめしめと言う顔でアスカに近付く。

「つまり明日は空いているのね」
「う、うん、そうだけど?」

「よかった。お願い聞いて」
ヒカリが手を合わせる。

「どうしたの?」
「コダマお姉ちゃんの知り合いで、どうしてもアスカとデートしたいという人がいるの、もし暇だったら助けると思ってお願い」

さすがにヒカリにここまで言われては断れない。

「それって施設に居る人?」
「え?それは聞いてないけど・・・」

「施設の人じゃないなら考えてもいいけど・・・」
「施設の人だったら?」

「毎日、顔を合わせるのに気まずくなるじゃない」
「それもそうね・・・聞いてみるわ」
ヒカリはアスカの言い分は尤もなので一端引き下がった。


教室ではレイが跪いて雑巾を絞っている。
その丁寧な絞り方はさまになっていた。
逆光の中、シルエットとなって写るその姿にシンジは懐かしい物を感じた。

(そう言えば、これを見て主婦が似合いそうって言って綾波に怒られたっけ)
(・・・怒ってないわ)
(えっ?)
(・・・どうしてそう思ったの?)
(だって、「何を言うのよ」って・・・)
(・・・恥ずかしかったから)
(えっ?) 真っ赤になっているレイを感じるシンジは見た目も真っ赤になっていた。

この辺りが融合している弊害かもしれない。
レイが恥ずかしいと思うとシンジも恥ずかしくなるのだ。
普段、レイの感情は安定している。
それ故に融合しても問題ないのかもしれない。
これがアスカのように気性が激しかったら気が狂っているだろう。

「真面目に掃除しなさぁい!!」
その声にシンジがビクッとすると、後ろでヒカリにトウジが怒られていた。



ダミープラグの開発が行われていないため機体相互互換実験もない。
ゲンドウが居ないためユイの墓参りもない。

シンジ自身、ユイの事など忘却の彼方である。

リツコとミサト、加持の同級生の結婚式があり、その夜ミサトと加持が寄りを戻したらしいが、ミサトと同居していないアスカは幸せを押しつけられる事も無く平和だった。
加持は相変わらず愚にも付かない真実とやらを追い求めていたが、ゲンドウの居ない今、敢えてリツコもそれを忠告しようとは思わなかった。

シンジとレイは朝、学校へ行き、学校から施設へ、そして夜、家に帰ると言う生活をしている。
最近では、休日も施設に向かう事が多い。

アスカとトウジは朝、学校へ行き、訓練があればNERVへ、なければそのまま施設へと言う生活を繰り返している。

施設の食事はNERV本部の食堂と同じ職員が交代で作りに来ているため、子供達は基本的に食事の準備をする必要はない。
しかし、食事時間に戻ってこないトウジのためにヒカリはその厨房を使い晩ご飯を用意する。
トウジがNERVの食堂で晩ご飯を取らない事に疑問を感じたアスカは、その事を聞きつけ、最近ではヒカリ、トウジ、アスカの3人で食事を取る様になっていた。

ヒカリとアスカは友達であったので、ヒカリもその事については嫌ではない。
しかし、トウジと二人っきりの時間が少なくなっていて、少し不満であった。

その事を最近知ったアスカは、少し気が引けるのだが、ヒカリの作る食事が美味しくて身を引くと言う事が出来ないでいた。

シンジとレイは、施設から帰ると殆どマヤが食事の用意をしてくれている。
マヤもリツコも遅くなる時は、連絡が入り施設で食べて帰るのだ。

そんな日常の中、施設内では少し毛色の違った問題が起こっていた。

それは次々と不純異性交遊が蔓延していっているのである。

その状況はリツコとマヤも認識していたが、ケンスケの様に強引に行う物ではなく、寧ろ女の子の方から積極的に男の子にアプローチしているのだ。

規則等で取り締まっても良いが、最初からヒカリとトウジの行動について何も言って居らず、性行為だけ禁止と言うのも今更であった。

それは、保護者が居なくなって、自分達の縋る物を早々に手に入れようとする本能なのかも知れないとリツコ達は分析している。

実際、シンジとレイやヒカリとトウジを目の当たりにしている子供達、特に女の子は早くしないと売れ残ると言う危機感も持っていたのだ。
それ故に、一つ二つのカップルが発覚したあたりで急速に奮闘戦が始まったのが原因であった。

そして、女の子のその手の情報の広がりは異常に速い。

その話は当然、レイの耳にも入っていた。
そんな時、人は自分が遅れていると感じると不安に成る物である。
レイも例外ではなかった。

シンジとキスはした事はある。
シンジにせがめば何時でもしてくれる。
シンジの中のレイにシンジと遣ったときの事も聞いていたし、魂が重なる事により、その時の感覚も実は知っていた。
実は、その時間が途轍も長い時間であり、シンジが精神的に卓越していて同年代の男の子のように求めて来ない事も理解していた。

しかし、未だレイ自身はキスから進展していないのだ。

「・・・シンジ」
施設から手を繋いで二人で帰っている時にレイが唐突に話し出した。

「なに?」
「・・・少し寒いわ」
レイの言葉の意味を理解したシンジは、レイの肩を優しく抱き寄せる。

レイはポッと紅潮するとシンジの腰に手を回し満足気に微笑んだ。

そのまま寄り添う様に帰路に着く二人。

「・・・今日は伊吹二尉も赤木博士も帰ってこないわ」
「うん、聞いたよ」

「・・・後でシンジの部屋に行っても良い?」
「勿論良いよ」
薄く微笑むレイ。

そして、より一層シンジに身を寄せるレイであった。



シンジは風呂に入っていた。
お湯をたっぷり浴槽に溜め、ゆったりと浸かっている。

レイとは部屋の前で別れて、レイが着替えてくると言ったので先に風呂に入っていたのだ。
きっとレイもシャワーを浴びてから来るだろうと考えての行動だった。

その時、風呂の扉に人影が見える。

「レイ?」
声を掛けると扉が開かれた。

「レ、レイ?」
そこには、顔を紅潮させ一糸纏わぬレイが立っている。

シンジを見つめる紅い瞳。

「ど、どうしたの?」
「・・・一緒に」

胸も股間も隠さず、だた、紅くなって俯き加減で言うレイ。
シンジは暫く、その容姿に見蕩れていた。

蒼銀の髪に深紅の瞳。
陶磁器より白い肌は少し紅潮している。

黒子一つない滑らかな肌。
細い首から、少し痩せすぎかと思われる鎖骨。

小振りながらしっかり存在を主張している乳房。
その先には控えめなピンクの乳輪と乳首。

内臓が入っているのかと思われる細い腰から女性特有の丸みを帯びて膨らむ腰。
あまり大きくないその膨らみから真っすく伸びる足。

その付け根にある恥毛は、その頭髪と同じく蒼銀であり、産毛のようでその役目を果たしていない。
そしてキュッと引き締まった足首。

ゴクッとシンジが唾を飲み込む音が聞こえた。

「・・・いい?」
見蕩れて声を掛けられなかったシンジに、レイは恐る恐る再度尋ねる。

「う、うん」
何故か沈黙を保っているシンジの中のレイ。

レイはその言葉を聞くと嬉しそうに微笑みシンジの入っている湯船に入って来た。
その際、浴槽を跨いだので、既に湯船に浸かっているシンジには、その股間が目の前を通り過ぎる。

レイは何時も居間で遣っている様にシンジの膝の上に座りシンジの首に抱き付いた。

「どうかしたの?」
シンジは、レイの頭を撫でながら尋ねる。

「・・・施設の皆が自慢するの」
「へ?」

「・・・私も経験したいの」
「は?」

レイはシンジの唇に貪り付いた。
そこで漸くレイが何を言っているのか理解したシンジ。

「僕でいいの?」
コクンと頷くレイ。

(綾波ぃ・・・)
シンジの中のレイは沈黙している。

「・・・シンジ、私じゃ駄目?」
上目遣いに尋ねるレイ。

「そんなわけないじゃない」
シンジはレイの唇に優しく唇を重ねる。

乳房を包み込む様に手を当てるとゆっくりと力を入れる。

「むふぅ」
その感覚にレイが声を漏らす。

「髪を洗ってあげるよ」
コクンと頷き浴槽を出るレイ。

シンジはレイを椅子に座らせ自分は浴槽の縁に腰掛けてレイの髪を洗う。
レイはその心地よさに眼を瞑りじっとしている。

普通のタオルで濡れた髪を巻き、今度は身体を洗い始めた。
最初は手から、そして肩から背中へとスポンジを這わすシンジ。

「ぅっ」
胸を洗っている時にレイは小さく声を上げた。

シンジはレイを立たせるとお臍の辺りから腰、臀部にスポンジを這わす。
紅潮するレイ。
所々、喘ぎ声が漏れる。

そして、スポンジは股間に這った。
「ぁっ」
思わずシンジの手を掴んでしまう。

シンジは、レイの股間を掴まれてない方の手で優しく押し広げると、その顔を出した大陰唇の周りから肛門に掛けてスポンジを這わす。
ますます紅潮し、レイの息は荒くなっていく。

大陰唇も押し開き中にスポンジを這わせた時、レイのクリトリスも剥け、電流がレイの身体を走り抜けた。
思わずシンジの頭を両手で掴んで耐えるレイ。

「・・・シ、シンジ」
レイの言葉にならない言葉の後、掛け湯をしてレイを抱締める。

「ここでするとのぼせちゃうから、ベッドでね」
「・・・解ったわ」



シンジはベッドに腰掛け、久しぶりに手を握ったり開いたりしていた。
あれから、先に風呂を上がり、シンジの中のレイに話し掛けているのだが、沈黙を保ったままなのである。
怒っている雰囲気は伝わってこない。

そこにレイが風呂から上がり、シンジの部屋にやって来た。
何処で覚えたのか、バスタオルで身体を巻いている。

シンジは覚悟を決めた。
きっとレイとシンジの中のレイで密約が交わされていたのだろうと結論付けた。

レイを招き入れるシンジ。
ハラリとバスタオルを落とし、裸体をさらけ出すレイ。

シンジはレイの身体を知り尽くしている。
このレイは、性体験は初めてであるが、赤い世界でのレイと同じであった。
それは、先程、レイの身体を洗っている時にシンジは実感したのである。

レイを優しく抱き寄せると、軽い口吻から入る。
そして、強くレイを抱締める。

「ぁっ」
小さく声を漏らすレイ。

そのままベッドにレイを横にするとシンジはレイの身体に唇を這わした。
先程のスポンジと同じように首筋から鎖骨、そして乳房へと。

眼を瞑りシンジの頭を掴んで耐えているレイ。
時々くぐもった声を発する。

腰からお臍へとシンジの唇が移動し、脚の付け根から足へと移動していく。

「ふぅ・・・」
肝心な所を素通りされたレイは少し安堵にも似た息を漏らすもシンジの唇が内股に来た時に再び緊張が訪れる。

そしてシンジは唇を丹念にレイの足に這わす。
膝の裏から脹脛、足首から足の甲へと。

一巡して、シンジの唇が再びレイの内股へと帰って来た時にはレイの息は荒い物となっていた。

そのまま、レイの股間へとシンジが顔を近付けた時、既にレイの大陰唇は開き、ヌラヌラと光っていた。

「・・・はぁ、はぁ、はぁ、くぅぅっ!」
シンジがレイのクリトリスに唇を付けた時、レイの身体に電流が走り抜け、思わず声を上げてしまった。

シンジは指でレイの膣を確かめる。
そこは、処女らしくシンジの指一本でもきつく、レイの顔も歪む。

「じゃぁ行くよ」
シンジの言葉に息が上がっているもコクンと頷くレイ。

「くっ!」
レイの股を押し広げ、挿入するシンジの痛みに耐えるレイ。

シンジは途中まで入れると一気に貫いたのだ。

シンジの首に抱き付くレイ。
その顔には痛みと歓喜から泪が零れている。

「・・・嬉しい」
「レイ・・・」



初体験で絶頂を迎えられる物ではない。
レイはシンジの射精が終ると、満足感でシンジに抱き付いたまま眠りに付いてしまった。

そんなレイの頭を優しく撫でるシンジ。
その時、レイがむくっと顔を上げた。

「レイ?」
「・・・うふっ碇君、次ぎは私」

「あ、あ、綾波ぃ?」
「・・・そうよ」

「ど、どうして?」
「・・・この娘との約束」

「約束?」
「・・・碇君と一つになった後は私に身体を貸してくれる約束」

「そ、そんな約束してたの?」
「・・・この娘の初めてまで待っていたの」
そう言うとレイはシンジの唇に貪り付いた。

状況が飲み込めていないシンジ。

「・・・碇君と一つになる、それはとてもとても気持ちの好い事」
そう言うとレイはシンジの身体に唇を這わせ始めた。

そして、シンジ自身を唇に頬張る。

「あっ綾波ぃ」
「・・・むぅっ」
シンジも反撃に出た。

レイの腰を持ち上げると自分の顔の上に股間を持ってくると、いきなり舌で責め始めたのだ。

みるみる膨張していくシンジ自身。
シンジは負けじとレイのクリトリスから膣、そして肛門まで舌で責めまくる。

「・・・ぃ、ぃかりくぅん」
溜まらずレイが唇を離し体勢を変えて来た。

そして、シンジの上に跨りシンジ自身を銜え込むと自ら腰を使うレイ。
「ぁっあやなみぃ」

シンジはレイの乳房と腰に手を伸ばし愛撫を続ける。

レイはシンジに抱き付くと唇を貪り吸った。



翌朝、レイはすっきりとした気分で目覚めた。
何時も気怠く目覚めるレイに取って初めての体験である。

そして、眼を開けたところにはシンジが寝息を立てている。

レイはそんなシンジに軽く口吻るとシンジの胸に頭を乗せる。
起きているのか無意識なのかシンジの手がレイの頭を撫でた。

レイはその心地よさにもう一度眼を瞑る。

そして股間に異物感を感じ、そっと手をやったが、何か挟まっている訳ではなかった。
そこで昨夜の事を思い出し顔を真っ赤にする。

シャワーを浴びようとベッドを抜け出した、レイは腰がよろけた。
少し首を傾げるも、そのままシャワーに向かうレイ。

実は、あの後、シンジの中のレイが激しかったため、身体に負担が残っていたのだ。
それを回復させておくこともできたが、そこは女の感性なのか、初めての余韻を消しては行けないと回復させないままレイはシンジの中に戻ったのである。

その日、一緒に登校するレイは晴れやかで、シンジは多少疲れ気味の顔をしていた。

そんな束の間の平和な時期を過ごしている時に使徒はやって来た。
突如、上空に現れた直径60メートル程の球体に第三新東京市の市民は久しぶりにシェルターに駆け込む。

シンジとレイは施設の子供達を誘導していた。



「目標は微速進行中、毎時2.5キロ」
「どうなってるの?富士の電波観測所は!」
発令所では、久しぶりの使徒にミサトが嬉々として状況を集めていた。

「探知していません。直上にいきなり現われました」
「パターンはオレンジ、ATフィールドは反応無し」

「新種の使徒?」
「MAGIは判断を保留しています」

ミサトは慌ててパイロットであるトウジとアスカを呼び出すと、いつものように取り敢ず出撃させるのだった。

「目標のデータは送った通り、今はそれしか判らないわ。慎重に接近して反応を窺い、可能であれば市街地上空外への誘導を行う。先行する一機をもう一機が援護。よろし?」

アスカはビル群を利用し、球体から身を隠すように移動してかなり近づく。
トウジは出撃位置が悪かったのか電源ケーブルの長さが足りなくなり、兵装ビルから別のケーブルを接続したりして遅れていた。

アスカは遅れている参号機が追いつきやすいように使徒を足止めすることにした。

『足止めだけでもしておくわっ!』

アスカが綺麗な三連射でパレットライフルを撃ち込むと同時に消える球体。

『きゃ〜〜〜〜〜〜っ!!』

「パターン青!弐号機の直下です!」
アスカの叫びと同時にパターン青が検出され、シゲルが慌てて報告する。

アスカは元来の勘から、足下に滲みのように広がっている物を認知した途端、近くのビルに飛びついた。
影に飲み込まれる様に、周辺のビルが消えていく。

アスカは装備されている近接戦闘武器をビルに突き刺し足場を作るとビルによじ登った。

ビルの上からは広大な影が街を飲み込んでいるのが見て取れる。

アスカは、まだ影に飲み込まれていないビルの上を飛びながら影から出る事に成功した。

影の外から影に参号機がパレットライフルを打ち込むも糠に釘状態である。

「アスカ、トウジ君、戻りなさい。退却よ」
ミサトが戦術的撤退を判断した。

為す術がないアスカとトウジも大人しくそれに従う。



ブリーフィングルームで会議が行われている。

「使徒の本体は、影のように見える地面の黒いシミです」
リツコがプロジェクターを使い、分析結果を説明していた。

「では、上空の球体は?」
「あれこそが使徒の影のようなものです」

「どうしてそんな常識では考えられない現象が起こるのですか?」

「まだ仮説の域を出ませんが、地面のシミのように見える直径680メートル、厚さ3ナノメートルの影、その極薄の空間を内向きのATフィールドで支えている。結果として内部はディラックの海と呼ばれる虚数空間が形成されていると思われます」

「それはどういうことなんですか?」
「つまり異次元か別の宇宙かわからないけど、こちらとは別の法則の世界とつながっている可能性が高いわ」

「そんなばかな!」

アスカは真剣にリツコの説明を聞いていたが、トウジはチンプンカンプンな様だ。

そして、シンジとレイもここに呼ばれていた。
アスカは、前回シンジの提言した作戦になった事が気に入らなく、今回は自分で作戦を考えようとリツコの話を真剣に聞いていたのだ。


「992個、現存するすべてのN2爆雷を使徒に投下、タイミングを合わせてEVAのATフィールドで使徒の虚数回路に千分の1秒だけ干渉するわ。その瞬間に爆発を集中させて、使徒をディラックの海ごと破壊します」
リツコが考えられた作戦を説明する。

「他に何か良い案のある人は居るかしら?」
ナオコが暢気に尋ねたが、誰も発言しようとはしなかった。

「アスカちゃん?どう?」
アスカも虚数空間などという未知な物にどう対処していいのか解らなかった。

少なくとも火器を打ち込んでも、あの影も浮かんでいる球体もなんのダメージもなかった。
ナオコは前回の経緯上、態とアスカに先に尋ねたのだ。

「シンジ君?なにもない?」
「作戦と言うか一つ不思議な事があるのですが・・・」

「なにかしら?」
リツコがシンジの物言いに尋ね返した。

それは、剣呑な物ではなく期待を持っている風であり、アスカも、シンジが何を言うのか興味津々と言う感じで見ていた。

「いや、内向きのATフィールドで支えているならATフィールドを中和してやれば自滅するんじゃないですか?」
「「「「!!!!」」」」」

その発想の転換に一同、言葉を失う。

かくして、再びシンジの作戦が採用された。

「えへへ、リツコもシンジ君にやられちゃったわね」
ミサトが嬉しそうにリツコに言い寄る。

「本当、シンジ君には何時も驚かされるわ。あの柔軟な頭脳は天才と言えるわね」
リツコはあっさりとシンジに感服する。

影を鋏んで両側に配置されるエヴァ。

号令と共にATフィールドを全開にすると、空中の球体が真っ赤な液体を吐いて破裂した。

「パターン青消滅、使徒消滅しました」
シゲルの報告と共に映し出された第三新東京市は、使徒の吐き出した血の様な物で真っ赤に染まっていた。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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