第弐拾壱話
変る世界


現在のNERVでは、ドイツ語、英語、そして日本語は入混じっている。
弐号機と共にやって来たドイツ支部の技術者達。
参号機、四号機と共にやって来たアメリカ第一支部、第二支部の技術者達が多いからだ。

人員的に少ない日本人だが、日本語が比較的多いのは、発令所が日本語主体であることに付け加え食堂のおばちゃんが日本人だからである事が大きい。

背に腹は代えられぬらしい。
諸外国の技術者達も食堂では日本語で注文するのだ。
下手に母国語を通すと、何が出てくるか解った物ではないからだ。
おばちゃんパワー恐るべし。

現在NERVに存続するエヴァは2機。
しかも弐号機はダミーシステムでの運用である。

実は、こちらの方が手が掛かっている。
今まで通りパイロットで動かす参号機は、壊れた所のメンテナンスが殆どであるが、ダミーシステムについては開発途中であり、まだまだ改良の余地があるためだ。

そして、単なる技術者ではなくエヴァに精通した技術者でなければナオコ達の要請に応えられないのであった。

シンジとレイが手伝うともっと捗るのであるが、諸外国の技術者達はそれを良しとしていない。
と言うか自分の居場所を護るために必死なのである。
母国に帰りたいと言う気持ちがないわけではない。
しかし、ここで不要とされると母国に帰っても席が無いのだ。

各支部は、強引に引き抜かれた技術者ではあるが、ただで返ってくる事を良しとしていなかった。
実は、ゼーレの財政は緊迫しており、今現在、エヴァを建造している研究所は無いのである。

つまり、それが出来るまで出来るだけ技術を吸い取って来いと言うのが各支部の通達であり、それ以前に返される者は能無しと烙印を押されるのだ。

各支部がエヴァ開発に乗り出した時にいち早く帰還させて貰える様、諸外国の技術者達は頑張っているのだ。
そこに一応、中学生であるシンジ達が入る事は、彼らにとって自分達が中学生に劣ると言われている様で看過できなかったのであった。

シンジ自身、嫌な思いをしてまで手伝う気は更々無かった。
それよりは施設で子供達の相手をしている方がよっぽど良かったのである。

そしてシンジ達は別な作業に従事していた。
ロンギヌスの槍のコピーである。
槍そのものをコピーするのではなく、槍の性能をコピーした武器の開発であった。
こちらは諸刃の剣、即ちエヴァに取っても驚異となりうるため、極秘にシンジ達で開発していたのである。



『今回の使徒は一体なんだったのだ』
『力の使徒ゼルエルの次ぎは鳥の使徒ではなかったのかね』

真っ暗な中にナンバーだけのモノリス達で会議が行われていた。

『鳥の使徒と言うには些か能力が違いすぎるな』
『あの使徒は裏死海文書には載っていない』

老人達は残る使徒は後3体だと思っていたのだ。
そして今まで裏死海文書に記述されている能力の使徒がやってきていた。
ここに来て、今回の使徒の能力は裏死海文書から懸離れていたのだった。

『今回の使徒はロストナンバーとする』
『『『『!?』』』』

キールの言葉に一同が息を飲んだ。

『それは使徒は残り3体と言う事ですかな』

『裏死海文書に、解読され切れていない部分。そこに何かしらの条件で現れる使徒が記載されていた』

『何かしらの条件とは?』

『それが解読されていない部分だ』

『『『『・・・・・』』』』

『何れにしろ、次ぎの使徒が現れればはっきりとする』

『ではエヴァ量産機の件は?』
『予定通りだ。工期を前倒しにする必要はない』

『『『『全てはゼーレの為に』』』』

とても終了が宣言されたとは思えなかったが、モノリス達は次々と消えて行く。

この会議は前回の使徒出現により、量産機の制作が裏死海文書の記述と食い違っているのではないかと老人達が慌てて会議を開いたのである。
記述では、第壱拾五使徒が現れる前に着工しているはずであったからだ。



そんな老人達の焦りを知ってか知らずかシンジとレイは穏やかな日を過ごしていた。
今日は施設の子供達と芦ノ湖にピクニック来ている。

( 山、重い山。時間をかけて変わるもの。
空、青い空。目に見えない物。
太陽、一つしかない物。
水、気持ちのいい事、シンジ。
花、同じ物がいっぱい、いらない物もいっぱい。
空、赤い、赤い空。
赤い色。赤い色は嫌い。
流れる水。
血。血の臭い。血を流さない女。
赤い土から作られた人間。
男と女から作られた人間。

街。人の造り出した物。
エヴァ。人の造りし物。
人は何。神様が作り出した物。
人は人が作り出した物。
私にあるものは、命、心の入れ物。
エントリープラグ。それは魂の座。
これは誰。これは私。私は何。
私は自分。この物体が自分。自分を造っている形。
目に見える私。でも私が私ではない感じ。とても変。
体が解けていく感じ。
私がわからなくなる。
私の形が消えていく
私ではない人の感じがする。
誰かいるの?
シンジ)

レイが気が付くとシンジが目の前で自分を覗き込んでいた。

「考え事?」
「・・・なんでもない」
レイは景色を眺めながら連想していたのだった。

「・・・シンジ」
「何?」

「・・・シンジの中の私と話したい」
「ちょっと待ってね」
シンジはそう言うと暫く黙っていた。

シンジの中のレイと相談しているのだろう。

レイと身体を重ねる度にシンジの中のレイはレイと交代するため、結構レイの中に入っているのだ。
レイからわざわざ言い出すのは珍しい事だった。

「いいってさ」
シンジはそう言うとレイに口吻した。


(・・・どうしたの?)
シンジから入ってきたレイが尋ねる。

(・・・・・)
(・・・不安なのね?)

(・・・コクン)
(・・・貴女の好きにすれば良いわ)

(・・・心が一つになるって今の私と貴女の様な物?)
(・・・少し違うわ。私と貴女だと元が同じだから本当に一つになってしまうの)

(・・・私が消える?)
(・・・いいえ同じになるだけよ)

(・・・シンジと一つになるってどんな感じ?)
(・・・とてもとても気持ちの良い事よ)

(・・・SEXより?)
(・・・違う物だわ)

(・・・・・)
(・・・碇君と一つになりたいの?)

(・・・解らない・・・でも・・・貴女が羨ましい)
(・・・私も貴女が羨ましいわ)

(・・・貴女と変る事はできないの?)
(・・・貴女の身体は貴女の魂の器。貴女が居なくなると変質してしまうわ)

(・・・どう言う事?)
(・・・私の魂はリリスだから)

(・・・貴女とは元が同じではないの?)
(・・・貴女はこれまでの時間と他の人たちとの繋がりによって貴女になったのよ・・・ 他の人たちのふれあいによって今の貴女が形作られていくの・・・人とのふれあいと時間の流れによって貴女の心を変えていくの)

(・・・・・)
(・・・貴女の世界は変化の連続で出来ている・・何よりも貴女の心次第でいつでも変わるものなのよ)

(・・・貴女と一つになると、シンジとも一つになれるの?)
(・・・なれるわ)

(・・・私と一つになって)
(・・・もう良いの?)

(・・・コクン)


「レイ?どうしたの?」
いきなり泪を流し出したレイにシンジが慌てた。

「・・・碇君」
「あ、綾波?」
コクンと頷くレイ。

「・・・私達は一つになったわ。ありがとう碇君」
「綾波・・・」
シンジはレイを抱締めた。

「ちょっと、このバカップル!いつまでいちゃついてんのよ!そろそろ帰るわよ!」
アスカが帰る予定の時間になってもシンジとレイが集合場所に来ないので呼びに来た。

そこに良い感じで抱き合ってる二人を見つけた物だから、結構プンプンになっている。

「あぁごめん、今行くよ・・・行こうか」
コクンと頷くレイ。

「あんた何レイを泣かしてるのよ!」
一緒に来たレイの泣きはらした眼を見てアスカがシンジに突っ掛る。

「い、いや、こ、これはですね・・・」
シンジも何と説明して良いのか解らず、言い淀んでいると周りに怖い顔をした子供達が集まってきた。

「「「レイお姉ちゃんを泣かした」」」
「い、いや、あの、れ、レイぃ助けてぇ」

そんなシンジをレイは微笑んで見ているだけだった。

「大丈夫?レイ」
「・・・うふ、嬉し泣きよ」
ヒカリの言葉に答えるレイ。

「そ、それじゃぁ碇君が可哀想なんじゃ・・・」
「・・・楽しんでるから良いの」

「そ、そうなの?」
今一つ理解に苦しむヒカリ。

シンジは子供達に追いかけ回されていた。

そんなシンジを見てアスカ達と施設の人間は笑い転げている。
子供達も怒っていた事を忘れ楽しそうにシンジを追い掛けていた。



第三新東京市のとある居酒屋でシゲルとマコトは飲んでいた。

「葛城さん・・・何処行っちゃったんだよぉ〜」
マコトはかなり出来上がっている。

シゲルは実は副司令直属であるが故に加持とミサトの結末は知っていた。
副司令直属と言うのは、実はシゲルは司令部の人間だったからである。
司令部には司令と副司令しかおらず、そしてシゲルが居たので副司令直属となっていたのだ。

そして、その司令部のシゲルが司令部としての仕事として何をしていたかというと司令部直属諜報部の管理であったのだ。
従って、シゲルは実は結構NERVの暗部について情報を持っていたのだ。

しかし、ナオコが司令になりキョウコもサルベージされ、現在NERVは健全な組織になりつつある。
それは世間の評価であるが、その評価に多大な影響を与えたのは施設の存在であった。

JAの完成パーティでリツコが発言した4000人の職員の被害。
そして、その結果、孤児となった人間を施設を建設までして保護している事に世間の風評は好意的であったのだ。

NERVが保身のために流した戦自の少年兵の話なども、その評価に拍車を掛けていた。

俗物的な判断であるが、そう言う判断基準を持った人間も国連や政府に多数存在するのだ。
話が横道に逸れたが、シゲルは敢えてマコトに事実を伝えなかった。

「そうだな、加持さんも行方不明だし、案外二人で駆け落ちだったりして」
「シゲルぅ〜そっちの方が辛いよぉ〜」
しかし、シゲルにしてみればこっちの方が諦め易いと考えたのであった。

「マコトも、そろそろ自分の周りに眼を向けたらどうだ?技術部の若い娘にはお前に憧れている娘も居るって話しだぞ?」
「誰だよそれ?」
現金なものであった。

「なんつったっけかなぁ?ほらカスパー専属の髪の長い娘だよ」
「そんな娘居たっけ?」

「はぁぁ俺もマヤちゃんに振り向いて貰えないかなぁ」
「マヤちゃんは赤木博士にベッタリだって」

「やっぱそうなのかなぁ?」
「そうそう」
既にマコトは他人事であった。



リツコの執務室にマヤが呼び出されていた。

「第二発令所ですか?!」
「そう、これから1ヶ月程の予定であちらを使って貰うわ」

煙草に火をつけリツコが椅子を回してマヤの方に身体を向ける。

「MAGIを全面的にリストアするのよ」
「はぁ・・・」

「勿論マヤにも手伝って貰うわ」
「本当ですか?!解りました!」

幾ら世界に誇るMAGIと言えど10年前に作られた物である。
コンピュータの世界では日進月歩であり当時と比べて小さなパソコンですら10倍以上の性能比があるのだ。
構成部品をリストアするだけでもかなりな性能アップである。

今回はメインバスのクロック数を大幅に上げるため、大掛かりなリストアが行われるのだ。
それに伴いメインメモリやキャッシュメモリも大幅に増設される予定だ。

実は現在の最高峰の資材を使えばMAGIの3機は現在の1機分で収まってしまうのだった。
MAGIの誇るところは、その人格移植OSである。
その理論を実現するために膨大なデータベースが存在するのだ。
そのハード的資源を最新にするだけでもかなりな性能向上が見込まれていた。

在る物の機能を調べながら運用していたリツコと違い、現在は構築したナオコが居る。
性能向上のための施策が取られるのは当然の事であった。

しかし、ナオコは次ぎのMAGIをカスパー、メルキオール、バルタザールではなくナオちゃん、リッちゃん、キョウコちゃんにすると言い出していた。
流石にリツコとキョウコに反対され却下となったようであるが・・・


「洒落の解らない人達ねぇ」
「じゃぁ母さんは、ハッキングを受けて『ナオちゃんが乗っ取られました』とか言われて平気なの?」

「それは確かに嫌ね」
リツコの説得にナオコも漸く諦めたらしい。

さて、この予算がどこから出ているかと言うと当然ゼーレからである。
先の使徒戦時にダミーシステムで弐号機が動いた事が証明された。

しかし、ATフィールドが張れなかった事が問題視されたが、その解明と開発のためにと更に予算を追加させたのだ。
強ち嘘でもないのだが、ゼーレもまさか全面的にMAGIをリストアするとは思っていなかった。
成果を見せ、更なる開発のために予算を請求する。
全くもって正当なやり口ではあるが、ゼーレに取ってダミーシステムでエヴァが動いた事はかなり喜ばしい事であり、追加予算もあっさり承認されたのである。

更にナオコはリストラと称して怪しい人間をどんどん辞めさせている。
主にゼーレよりの技術者やゼーレのスパイ達である。
その浮いた経費で対人邀撃システムを着々と整備していた。

ゼーレ対策をかなり行っているのである。
勿論、そこに暗躍しているのはシンジであるのだが・・・



ところで、芦ノ湖のピクニックから帰った夜、シンジとレイは色々な試みを行っていた。

シンジの寝室で全裸で立つレイ。
その背中には6対12枚の羽が存在した。

月光を受けたその姿態は天使そのものであった。
リリスの人格と統合したレイはリリスそのものとなっているのである。

レイの望みは尤も好ましい形で達成されたのだ。

一人目のレイもシンジを望みシンジと一つになる事を望んだ。
これでレイの望みと一致し分れている必要がなくなったのである。

勿論、こうなる事を予想していたわけでは無い。
一人目が悲しまない様に、幸せを味わえる様にと言うのがレイの望みだったのだ。

そして身体ごとの融合を試みていた。
それはアンチATフィールドを持つレイには容易い事であった。

では、なにを試みているのか?

それは、身体ごと融合した場合、見た目はどうなるのか? 質量的には倍になるのである。
いきなり倍の大きさになるなら、表では出来ない。
そして更に重要な事項は分離である。

それにどれくらいの力がいるのか、どれくらいの時間がかかるのか、二人にも全く未知だったのだ。
もし、分離できない様であれば、それはそれでも構わないと思っていた。
一つになったとは言え、未だシンジと一つになっていない部分がレイの魂には存在した。
その願いを叶える事が急務だったのである。

それは、いとも容易く実現されたのだが、分離を行った際、レイは今の容姿で実体化したのだ。
つまり、元々の願望はシンジと一つになることであり、そこから分離するためにはリリスとしての力が必要だったのだ。
そこまでシンジを求める気持ちが強かったとも言える。

羽を収め、リリンの姿となるレイ。

「・・・かなり力が必要だわ」
「時間も結構かかったね」

コクンと頷くレイの顔は紅潮しているが、かなり疲労感があった。

すっとレイを抱き寄せるシンジ。
レイも脱力しており、シンジの為すがままに寄りかかった。

レイの頬に涙が伝う。

「何故泣くの?」
「・・・嬉しいの」

「そう言えば芦ノ湖では何故泣いたの?」
「・・・全てを知った一人目の涙」

「そうか、ごめん、悲しい思いをさせたんだね」
フルフルと首を横に振るレイ。

「・・・碇君は私の望みを叶えてくれた」
「良かった」
ニッコリと微笑むシンジ。

レイは、はにかんだ笑みを湛えていた。



司令室で将棋をしていた冬月が突然ナオコに話し掛けた。

「ナオコ君、シンジ君とレイはかなり親密なようだな」
「そうですわね、仲が良くて羨ましいとリッちゃんとマヤちゃんが言ってましたわ」
リツコと同じくキーボードを操る手の速度を変えずに返事をするナオコ。

「そうか、その、なんだ、子供・・・が出来る日も近いかもな」
「冬月先生?何を考えていらっしゃられるのです?」

「い、いや、まだ早いとは思うのだが、その、もし、子供が出来てもこの時勢だ。ちゃんと産ませてやった方が良いなと・・・」
「まぁもし子供が出来るなら、そうですわね」

「そうだろ?!いや、碇亡き今、俺が祖父代わりになってやろうかと思ってな」
嬉々として身を乗り出す冬月。

「まぁ二人がどう考えるかですけど、冬月先生?あの二人が人外だと解ってらっしゃいます?」
「うっ!そうだったな・・・」
全く失念していた冬月だった。

肩を落とす冬月。

「どちらにしても使徒殲滅が先ですわ。後3体、話はそれからですわね」
「後2体じゃないのかね?」

「この間の使徒はロストナンバーとされましたわ。ゼーレも何を考えているのやら」
「それはまた、不可思議な話だな」

「なんでも何かの条件が揃うと現れる使徒の記述があったとか言ってましたわ」
「裏死海文書も完璧には解読出来ていないと言う事か」

「それ故の補完計画です」
「全く、碇の口車に乗っていたのが今更ながら忌々しいよ」

「眼が醒めて良かったですわね?」
妖艶に微笑むナオコ。

「あぁ、しかし、お祖父ちゃんと呼ばれるのは夢か・・・」
そんな冬月の言葉にナオコは溜息を吐くのだった。



「ママ!今日の御飯は?」
「アスカちゃんの好きなハンバーグよ」

アスカの家では久しぶりにキョウコが食事の支度をしていた。
最近はダミーシステムやMAGIのリストア等で結構忙しく、アスカもシンジ達と食事を一緒に取る事が多かったのだが、キョウコはキョウコで出来るだけアスカと一緒に居ようと頑張っているのである。

「ダンケ!」
そう言いながらキョウコに抱き付くアスカ。

「もぅ何時まで経っても子供なんだから、そろそろママに彼氏でも紹介して頂戴な」
「だってぇ碌な男居ないんだもん」

「そうねぇシンジ君はレイちゃんの物だし、後は心当たりないわねぇ」
「なっ!シンジなんてこっちから願い下げよ!」

「あら?そうだったの?随分熱い眼で見ていたと思ってたけど勘違いだったのかしら」
「か、勘違いに決まってるでしょ!あの二人が仲良いから見てただけよ」

「やっぱり羨ましかったのね」
「ちっがぁう!アタシにはママが居れば良いもん」

「それは嬉しいわ」
キョウコは微笑んでハンバーグを練っていた。



「せんぱぁい。私、なんだか自分の家に帰り辛いですぅ」
「ふぅ・・・まぁこれでも飲んで行きなさい」

マヤはリツコの部屋に居た。

シンジとレイがラブラブなのでマヤは部屋に帰り辛いのだ。
別に、二人の喘ぎ声が聞こえてくるからと言うわけではない。

マヤもお年頃で当てられると言う事である。

「先輩は、誰か居ないんですかぁ?」
「そうね、研究ばっかりしてて、男なんて見てなかったわ」

「私も誰か良い人居ないですかねぇ」
「青葉君が熱い視線を送ってるじゃない」

「えぇぇ?青葉さんですかぁ?あの髪の毛が不潔っぽいんですよねぇ」
自慢のロン毛を貶されているシゲルであった。

「ふふっ、じゃぁ髪を切ったら付合ってあげるとでも言えば?」
「そんなぁ私からそんな事言えませんよぉ」
顔を真っ赤にしてフルフル横に振るマヤ。

「男が欲しいなら、自分から行動しなきゃ駄目よ」
「先輩はどうなんですかぁ?」

「わ、私は要らないから良いのよ」
「本当ですかぁ?」

「そろそろ帰ってレイに帰る様に言って頂戴!」
「はぁい。ご馳走様でしたぁ」
マヤは舌をペロッと出して、リツコの部屋を後にする。

入れ替わりにレイが帰ってきた。

最近妙に艶めかしくなってきたレイを見てリツコも 「私も真剣に考えなきゃ駄目かもね」
と呟いていた。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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