第弐拾四話
崩れゆくシナリオ


朝早くから、何故か体育館の用具室で物音がする。

「ぁっ・・・ぁっ・・・渚君・・・」
「用具室はいいねぇ、マットも道具も揃っている。学校内にあるプレイルームの極みだよ」
今日もカヲルは第一中学の女子生徒達を毒牙に掛けていた。

カヲルの先に居る少女は跳び箱の上に俯せで横たわりお尻を突き出している。
スカートは捲り上げられ、その臀部にカヲルの腹部が規則正しく衝撃を与えていた。

「こちらの穴が寂しそうだねぇ」
「ぁっ・・・ぁああ」
カヲルは少女の肛門に指を突っ込んだのだ。

薄い肉壁を挟まれる感覚に少女は仰け反った。
その胸をすかさずカヲルは掴み、力強く揉む。

「くぅっ・・・ぁっあぁあ」
カヲルの腰の動きが一際激しくなり、少女は達してしまった。

脱力している少女を残しカヲルは用具室を後にする。

「朝の一次的接触は気持ち良いねぇ」



「やぁおはよう。惣流=アスカ=ラングレー君」
「ゲッ!バカヲル」
声を掛けられたアスカはあからさまに怪訝な表情を返した。

「僕の事が嫌いなのかい?」
「アンタみたいな女の敵に話し掛けて欲しくないのよ!」

「僕は、彼女達の願いを叶えてあげているだけなんだけどねぇ」
「いいからあたしに、近付かないで!」

「おやおや、随分ご立腹だねぇ」
とっとと去って行ってしまったアスカを見送りながらカヲルはアルカイックスマイルを浮かべながら溜息を吐いた。

「遅いなぁシンジ君・・・」
遠くを見詰めそう呟くと第九の鼻歌を唄いながら教室に向かうのであった。

アスカは現在、母親の愛情を求めそれを得られて安定した精神となっている。
つまり精神的には幼児退行しており、母親に対し【私を見て】状態なのである。
従って異性に対する欲求が今は鳴りを潜めているのだ。

既に大学まで出ているアスカ自身は、周りの男なんて子供で相手していられないわと自己完結している。
つまり、自分が幼児退行し、異性に興味が湧かない事を別な理由で納得しているのだ。

少し歪んでいるが、今は普通の女子中学生を謳歌していると言う訳である。



放課後もカヲルは呼び出されていた。

「やっ僕を待っててくれたのかい?」
「は、はい」
腰を折って顔を覗き込む様に話し掛けるカヲルに少女は顔を赤くする。

ロングヘアーを三つ編みにした、大人しそうな娘である。
どうやら3年生の様だ。

カヲルがその少女の肩に手を触れようとすると少女がビクッとする。

「一次的接触を極端に避けるね君は、怖いのかい?人と触れ合うのが?他人を知らなければ裏切られる事も、互いに傷付くこともない。でも寂しさを忘れる事もないよ。人間は寂しさを永久に無くす事はできない、人は一人だからね。ただ忘れる事が出来るから人は生きていけるのさ」
「カヲルさん・・・」
少女は既に頬を紅潮させていた。

「常に人間は心に痛みを感じている、心が痛がりだから生きるのも辛いと感じる。ガラスのように繊細だね、特に君のここは」
「ぁっ・・・」
カヲルは言葉と共に既に少女の胸に手を入れており、【ここ】と言った時に摘んだのは少女の乳首であった。

「好意に値するよ」
「コ・ウ・イ・・・ぅっ」
少女は【行為】と聞き違え身体を強張らせた。

「好きってことさ」
「ぁっ・・・」
そして、耳元で囁かれたこの言葉に陥落する。

そのまま済し崩しに一次的接触を繰り返される少女。
その声は徐々に喘ぎ声へと変わっていく。

徐々にブラウスのボタンを外されスカートを捲り上げられるが少女は抗わない。
カヲルは露わになったパンティの上から少女のお尻を撫で回しそして、その中心にあるスリットへと一次的接触を試みていた。

「ぐぅっ・・・」
第一中学ではカヲルに抱かれる事がステータスと成りつつあった。

少女達は下手な男でロストバージンするより、カヲルでロストバージンしたいと言う風潮が出来上がりつつあったのだ。

そして一度カヲルに抱かれた者達は、カヲルに交際を求めるのだが、カヲルは
「僕は来る者は拒まないよ。それで良いのかい?」
と言うのである。

当然、女の子達は憤慨するのだが、時間が経ってやっぱりとカヲルを誘うとカヲルは拒まない。
正しく女の敵(男の敵でもある)がここに居たのである。

「もぅ・・・もぅ駄目・・・ぁっ」
「もう終りなのかい?」

「もぅ・・・家に・・・家に帰らないと・・・」
辺りは既に暗くなっている。

少女は全裸であり、身につけているのはソックスと靴だけであった。
壁に手を付いた状態で膝を地面に付けている。

ここは学校の裏山にある境内であった。

「帰る家、ホームがあるという事実は幸せに繋がる、良いことだよ」
「そ、そぅかしら?・・・」
なんとか呼吸を整えカヲルの言葉に答える少女。

「送っていくよ」
漸く服装を整えた少女を支えながらカヲルはその場を後にした。



『タブリスよ何をしているのだ?』

朝早くから湖面の浮き石に立っているカヲルの周りには黒いナンバリングだけのモノリスが囲っている。

「どう言う意味だい?」

『アダムとの接触を行わず、手当たり次第に人間の女達と接触を行っているそうではないか』

『失われし白き月、その始祖たるアダムの魂は君に宿っている』
『そしてサルベージされた肉体は碇と共にあるはずだ』

「ここにはアダムもリリスも存在しない様なんだけどねぇ」

『『『『『なんと!!!』』』』』

『それは誠か?』
『ここでの偽証は万死に値するのだぞ』

「僕を殺せるのかい?」

『ぐっ!自惚れるなタブリス。量産機は既に8体完成しているのだぞ!』
言ってしまってから自分の言葉の滑稽さを思い知らされる。

「魂の無いエヴァで僕に勝てると?構わないよ。試してみるかい?」

『よさぬか!それよりも碇の消息は今以て掴めておらん、それは正しく消滅したと言う事か』

「そうでしょうねぇ、アダムの波動は地球上から感じられない。精々弐号機と量産機の波動ぐらいだねぇ」
カヲルは少しだけ舌打ちをした。
このままゼーレと決別するのも良いかなと少し思っていたのだ。

しかし、そんな事はおくびにも出さずアルカイックスマイルを張付けている。

『・・・・・』

暫しの沈黙がその空間を支配する。
老人達はシナリオの変更を余儀なく施さざるを得ない状態となったのだ。

『タブリス、アダムへの回帰を感じないと言うのか』

「僕を引きつける程のアダムの波動は確かに無いねぇ」
(シンジ君の波動ならあるけどね。彼は正しくはアダムではないからねぇ)

『では、今までの使徒は何故第三新東京市を目指したのだ』

「黒き月、それと微弱なアダムの波動に縋ったんじゃないのかい?」
(本当はシンジ君とリリスが居るから強烈に引き寄せられるんだけどね)

またも沈黙が空間を支配した。


実は、キールが慌ててカヲルを除く秘匿回線で相談をしていたのだ。

『我らの願いは瓦解してしまったのか?』
『いや、ロンギヌスの槍はNERVに存在する』
『アダムの力で我らの願いを叶えると言うのか?』
『タブリスを弐号機により殲滅させても依り代が居ない』
『それならタブリスをアダムとしロンギヌスの槍で制御するか』
『ロストナンバーとしたが、使徒は既に15体殲滅されている』
『裏死海文書の使徒の数は満たしている』


『待たせたなタブリスよ、今暫く現状を維持し、NERVを探るがよい』
秘匿回線での相談を終えたキールがカヲルに言い渡した。

こちらも何も知らせず全く傲慢な命令のみである。

「次ぎの連絡を受けて僕は何をするんだい?」

『次ぎに連絡をする時は量産機の製造が完了した時、その時が約束の日となる』

「成る程、僕はアダムのコピーたる弐号機と融合し、アダムそのものとなりロンギヌスの槍を持って儀式を行うと言うわけかい?」

『『『『『!!!』』』』』
秘匿回線で相談していた内容を寸分の狂いもなく言い当てるカヲルにゼーレのメンバーは声を失った。

『その通りだ、タブリス』
しかし、議長であるキールはそんな狼狽を微塵も見せずに言い放つのであった。

「ふふ、その為に僕はここに居るんだね」

『最早、我らの妨げとなる物は何もない』

『『『『『全てはゼーレのために』』』』』

黒いモノリス達は消えて行った。

「おやおや、これは面白い事になったねぇ、全てはシンジ君の流れのままに」
いつものアルカイックスマイルを浮かべカヲルはその場を立ち去った。



「あらまぁ、キールお爺様がそんな事を?」
声を上げたのはキョウコであった。

ここはリツコの家である。
集まっているのはナオコ、リツコ、キョウコ、マヤ、シンジ、レイ、カヲルであった。

何故か、炬燵に入って蜜柑を食べながら話をしている。
常夏の気候であるここ第三新東京市であるが、冷房をガンガンに掛け炬燵に入っているのだ。
全く以て資源の無駄遣いである。
しかも炬燵は二つだし・・・

これは、ナオコとキョウコがセカンドインパクト前の四季の話をしていて、レイが非常に興味を持ったため、リツコが用意したのだ。
この時期に第三新東京市で炬燵を仕入れるのは大変苦労したらしい。

因みにアスカが居ないのは、この異様な状況に冷や汗を流したのとカヲルが居たからである。

「そんな歩く生殖器が居る布団の中にこのアタシの足を突っ込めるはずないでしょ!」
と言うのがアスカの言である。

ドイツで生活していたアスカが炬燵を見て布団と言ったのは仕方のないことであろう。
しかし冷房が効きすぎているため、寒くなり、アスカは先に家に帰ったのである。

キョウコもアスカをあんまり内実に関わらす必要も無いと思っているので、敢えて引き留めなかったのだ。
実はアスカが帰らなければ一度解散してアスカが寝てから集まる事になっていたのだが、そこまでする必要が無かったので一同は少し安堵の息を漏らしていた。

そしてカヲルは朝のモノリスでの会議内容をシンジに話したのである。

「じゃぁもう使徒は来ないんですかぁ?」
「僕が存命の限りは新しい使徒は来ないねぇ」
マヤの質問にカヲルは平然と答えた。

「でも一度ロストナンバーって認定しておいて、数には入れるって自分達の都合の良い様に解釈と言うレベルじゃないわね」
「妄想に取憑かれた老人達とはそう言う物なんだろうねぇ」

「・・・貴方は性欲に取憑かれているわ」
レイは黙々と自分の前に蜜柑の皮で山を築いていた。

「僕に性欲は無いよ。リリン達の望みを叶えているだけさ」
「カヲル君は優しいんだね」
微笑み合うシンジとカヲル。

「・・・タブリスは堕落してインキュバスになったの」
レイはスススッとシンジの横に擦り寄った。

「それは酷いねぇ僕は精を吸ってエネルギーとしなくても生きていけるんだけどねぇ」

「貴方の節操の無さはアスカちゃんから聞いているわよ」
「僕に取ってはリリンは皆、等価値だからねぇ」

「じゃぁ私でも良いのかしら?」
「お望みとあらば」
「母さん!!」
ナオコの言葉に反応したのはリツコであった。

「じょ、冗談よぉりっちゃん、そんな怒らなくても・・・」
「不潔ですぅ・・・」
相手が司令のため反応するものの声が小さいマヤ。

「それでカヲル君はどうするつもりなの?」
「それよりNERVは僕をどうするつもりなんだい?」

「アダムの無い今、貴方が人を滅ぼそうとしないならどうもしないわよ」
「そうね、サードインパクトを起こす要因でないなら殲滅する必要もないわね」
ナオコとキョウコがあまり興味の無いような言い方をする。

使徒と言う意味ではシンジも得体が知れないしレイも使徒のハイブリッドである。
今更、使徒と名の付く者であれば殲滅しようなどとは思っていない。
アスカ辺りが聞いたら未だ騒ぎ立てるであろうが、敢えて言う必要も無いと思っている。

「なんか実験動物にされる様な気がするのは気のせいかい?」
「あら、気のせいに決まってるじゃない」
リツコが邪悪な笑みを浮かべていた。

「じゃぁ問題はゼーレの儀式だけかい?」
そのリツコの笑みを見なかった事にしてカヲルは話を続けた。

「今のところはそうよ」
「今のところ?」
シンジがその含んだ言い方に違和感を感じて尋ねた。

「人はエヴァのみに生きるにあらず。財政が厳しいのよ」
「え?ゼーレから掠め取ったんじゃなかったんですか?」

「ちょっと発令所の改装に力入れちゃって」
ナオコが年甲斐もなく舌をペロッと出した。

「それと量産機建造に回したのか、一部予算が下りてないのよ」
「NERVを切りに入ったと言う事か・・・」
リツコの言葉にシンジは少し唇を噛み締めていた。

NERV自体がどうなっても構わないのだが、NERVが無くなるとその後、レイを護れる組織が無くなる。
別段、二人で逃避行を続けても構わないのだが、ここに居るレイは他人との繋がりを持っている。
その為に今までNERVを存続させる様に手を打ってきていたのだ。

「でも、まだそんなに心配しなくても大丈夫よ」
ナオコの言葉に疑問符を浮かべるシンジ。

「エヴァが大破したり街が大破したりしなければ、暫くは持つから」
「暫くって?」

「何もなければ1年って所かしら。なにかあれば1日でも食い潰せるわ。エヴァは金喰い虫なのよ」

取り敢ず当面は大丈夫らしいとシンジも安心する。
しかし、エヴァが壊れたら1日で壊れなければ1年とは、如何にエヴァの修理が高い物か今更ながらに驚愕したシンジ達であった。



今日は、皆で出掛けている。
シンジとレイが買物に行くと言う話にヒカリが乗っかったのだ。

ヒカリの思惑としては、なかなか二人っきりでは外出をしないトウジとのダブルデートが目論見であった。
しかし、そこに思わぬ伏兵が参加したのだ。

シンジとレイと共にカヲルが、ヒカリとトウジと共にアスカがである。
待ち合わせは施設としていたのだが、アスカはヒカリの所に遊びに来るつもりだったのである。
カヲルは何処からともなく湧いてきた。

「なんでアンタまで付いてくるのよ!」
自分もお邪魔虫なのを棚に上げアスカがカヲルに突っ掛っている。

「僕はシンジ君に街を案内して貰うだけさ」
「アンタなんか案内してくれる女の子、一杯いるでしょ!」

「そうなのかい?それは気が付かなかったねぇ」
「アンタ馬鹿ぁ?じゃぁいつも何してるのよ!」

「いつもって何時の事だい?」
「何時って、他の女と一緒に居る時よ!」

「彼女達は一次的接触を求めるだけだからねぇ」
「い、一次的接触って・・・このドスケベ!」
何を想像したのかアスカは顔を真っ赤にしている。

姦しい、そんな遣り取りを微笑みながら見ながらシンジ達は商店街へと向かって居た。
参号機が自爆したものの、それは街外れであったのと、参号機であったが故に第三新東京市への被害は差ほど無かったのだ。
従って、最近では第三新東京市も以前の活気を取り戻しつつあった。

NERVに関係無い子供達も増えてきている。
そうなると当然、シンジ達を知らない不良も増えてきているのだ。

そして、レイとカヲルは目立つ容姿であり、アスカは目立つ上に喧嘩っ早い。

不良達との衝突は起こるべくして起こった。


「彼女、可愛いじゃない?そんなお子ちゃま達とじゃなくて俺達と遊ぼうぜ」
アスカに眼をつけた不良達が近寄って来る。

結構な人数だ。
7〜8人だろうか?
どうやら最近、この界隈で屯している高校生ぐらいの不良達の様だ。
ここ第三新東京市は外人(NERV職員の子供とか)も多く、綺麗な女の子が多いと近くの街からでも屯しに来るのだ。

「なんでアンタみたいな馬鹿面下げた奴と遊ばなきゃいけないのよ!」
「なんだとぉ?ちょっと可愛いからっていい気になってんじゃないのか?」
相手を中学生と見て、余裕で近付いてくる不良。

「うぐっ!」
アスカの射程に入った途端股間を蹴り上げられた。

「手前ぇ!おぃ、痛い眼に遭わせて輪姦してやれ!」
一斉に襲い掛ってくる不良達。

「やれやれ、惣流さんは手が早いねぇ」
「なんや?!喧嘩かっ!まかせとけっ!」
いきなり参戦するトウジ。

参号機も無くなり、訓練も無いため最近体力を持て余していたのだ。
アスカはパンツが見えるのも気にせず踵落としを喰らわせ何人かを沈めている。
カヲルは余裕のデコピンで・・・
トウジは一人に乗り掛かりマウントポジションで攻めていた。

因みに、やはりジャージ姿である。

ヒカリは結構おめかしをした珍しいワンピース姿であった。
アスカは、レモン色のフレアなワンピース。
レイが何故かジーパンにキャミソールと言うラフな恰好である。
実はシンジとジーパンでお揃いとしたらしい。

「もぅ鈴原ったらぁ」
ヒカリは引き留めたかったが、絡まれている(絡んだ?)のはアスカであるので、強く引き留められなかった。

シンジは降りかかる火の粉を払っているだけだ。
カヲルがアスカに助太刀しているので、全く心配していないのだ。
アスカだけでも心配と言う物はしていなかっただろうが・・・

態勢的には、レイとヒカリを庇っている位置に居る。

「おまえら、覚えてろよ!」
捨て科白を投げ、満身創痍で不良達は逃げていく。

「ふん!負け犬のワンパターン捨て科白ね!」
アスカは腰に手を当て鼻息も荒く胸を突き出して威張っていた。

何故か毛嫌いしているはずのアスカとカヲルであったが、不良達との乱闘の後は、それなりに仲良くじゃれ合っていた。

ヒカリはシンジとレイが引っ付いているため、トウジと手を繋いだが、トウジがそのままにしていたため、今日は終始ニコニコしていたのだった。

そんなこんなで一同は買物、ゲームセンター、食事と行き、ゲームセンターで取った縫いぐるみを施設へのお土産として帰っていった。

当然、施設の子供達は大喜び。
カヲルさえも、その子供達の笑顔に微笑むのであった。



「ちょっとどう言う事よ!弐号機にはもう誰も乗れなかったんじゃないの!」
リツコの部屋でアスカが騒いでいた。

生半可にカヲルと話をしたため、カヲルが弐号機のパイロットであることが露見したのだ。

「今更、何を言ってるの?」
リツコに取っては寝耳に水である。

アスカは、取り敢ずリツコに尋ねに来たのだ。
とても尋ねていると口調ではなかったが・・・

「い、今更って何よ!」
「エヴァのシンクロについては前に話したよね?」
シンジが静かに言う。

アスカがエヴァを降りる時に、何故シンクロ出来ていたのかをシンジ達はアスカに説明していたのだ。

「聞いたわよ!だから何であのスケコマシが乗れるのよ!」
「彼は、近親者の魂がインストールされていなくてもエヴァとシンクロできる。要はアダムとの親和性が非常に高い所謂【適格者】と言う資質を持っているんだよ」
これはアスカが気が付いた時に用意されていた理由である。

「それはアタシには無いって言うの?!」
「そうだよ、普通無いんだよ」

「じゃぁ何でアイツは有るのよ!」
「・・・私と同じだから」
そこでレイが口を出した。

「レイ?」
シンジは心配そうにレイを見る。

「アンタと同じってどう言う事よ!アンタも弐号機に乗れるって言うの?!」
「・・・私は乗れないわ。私はリリス、彼はアダム」

「ど、どう言う事よ」
「・・・エヴァに乗るために造られたと言う事。零号機、初号機はリリスのコピー。弐号機以降はアダムのコピーよ」

「造られたって・・・」
そこでアスカの聡明な頭は勘違いをした。

勿論、レイもそう計算して話していたのだが、アスカはレイやカヲルが遺伝子操作か何かでシンクロ出来る様にされたのだと推測したのだ。
そう言われれば二人共アルビノである。
それを思い出し、その勘違いに確信を持った。

「そ、そうだったの・・・」
一人で完結してしまったアスカ。

昔ならいざ知らず、今のアスカはそこまでしてエヴァに乗ろうとは思わない。

「悪かったわ」
そう一言残し、アスカは自分の家へと帰っていく。

シンジとリツコは顔を合わせふぅっと息を吐いた。

「レイ、有り難う」
「・・・ぃぃ」
シンジに褒められ頭を撫でられているレイは心地よさそうに眼を細める。

「これでアスカは大丈夫ね」
「えぇ、後は、ゼーレが何時行動を起こすかだけです」

「そっちの方は結構情報が入ってきているわ」
「えっ何処からです?」
加持の居ない今、諜報についてはNERVは強力とは言い難い。

「ふふ、新しいMAGIはとっても性能が良いのよ」
そう言ってリツコは、マヤと微笑み合っていた。

もうすぐ、ナオコとキョウコもカヲルを連れて来る予定である。
そう、今日はそろそろ来るであろうゼーレの最終攻撃に備えて、皆で話合う事になっていたのだ。

マヤが7人分のお茶とお茶菓子を用意していた。
そこに玄関のチャイムが鳴る。

いよいよ最終決戦へ向けての大詰めである。

「おっこれは何と言う御菓子だい?」
「・・・キンツバ。和菓子よ」
緊迫感は、あまりなかった。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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