レイ、心の向こうに


「シンジィ〜今まですまんかったのぉ」

教室の扉を開け中に入って来たシンジ達を迎えたのは、傲慢なトウジの声だった。
シンジ達の方を見る事もなく、机の上に足を乗せ、椅子をグラグラさせながらトウジが言ったのである。
シンジは、それを一瞥すると、そのまま自分の席へと向かう。

「おい!シンジ!人が謝っとんのに、返事ぐらいせぇよっ!」
「それは、謝ってるとは言いませんわ」

いきなり立ち上がり怒声を浴びせるトウジに対応したのはマユミだった。
鞄を持ったまたトウジと対峙している。

「山岸には関係あらへんやろ」
「シンジさんに何かしようとするなら、私がお相手致します」

「なんやと!」
「私も手伝うよ、マユミ!」

マナも、マユミの横に来て参加してきた。

「けっ!女に守って貰って情けないと思わんのか!」
「鈴原!」

「なんや?委員長」
「もう止めて」

「ヒカリ、放っとけば良いのよ」
「そや、委員長、邪魔せんとってくれ」

「もう止めてって言ってるでしょ!」
「ヒカリ?」

ヒカリは、席から立ち上がり、意を決したようにシンジの方へ歩いて行くと、頭を下げた。

「碇君、今までごめんなさい。私達のことを許して下さい」

教室全体が、静まり返り、シンジがどう対応するかを待っている。
ヒカリは、頭を下げたままだ。
マナの時ほど深く下げていないことと、スカートがマナほど短くなく手で押さえているため、後ろから見てもヒカリの下着が見えることはない。

「どう言う風の吹き回し?」
「え?」

「この間まで、あんなに率先して僕を虐めてたのに、何があったの?」
「そ、それは、昨日、NERVの人に言われて…お父さんに怒られて…」

「じゃぁ洞木さんの本心じゃないってことだね」
「そ、それは…」

「僕は、毎日のように裸にされて弄ばれていたんだ。本当に悪いと思ってるなら裸になって土下座してよ」
「そ、そんな事出来るわけ…」

「ワレ!何調子に乗っとんじゃ!グハッ!」

シンジに飛び掛ろうとしたトウジだったが、マナの回し蹴りを食らって壁まで吹っ飛ぶ。
ケンスケは、「チッ!」と口を鳴らした。
マナが回し蹴りを行った際、パンティが丸見えであったためシャッターチャンスを逃したと感じたのだ。

「鈴原!」
「別に、無理に謝って貰わなくて構わないよ」

トウジの傍に駆け寄ったヒカリに、シンジは冷たく言い放つ。

「こいつらだって裸になって謝ったわけじゃないじゃないか!それともシンジのうちで裸になったのか?」

キヒヒと下卑た笑いを浮かべるケンスケ。
マナは、今までだったらそんなケンスケに突っかかって行ったであろう。
だが、マナとマユミはケンスケをゴキブリを見るような目で一瞥すると無視した。

「マナ、マユミ、手本だってさ」
「「え?」」

二人は、一瞬何を言われたのか解らなかったが、その意味を理解し、顔が赤くなっていく。

(こ、ここで?皆の見ている前で?)

頭の中が混乱してくるが、例によってシンジに見られると言う欲情の方が段々と勝って来る。

「解りました」
「う、うん」

マユミは、シンジの前に行くと、スカートのホックを外しストンと落とす。
マナも隣にやって来て、二人は制服を脱ぎだした。

スカートを落としたマナとマユミの白いブラウスからは、白いパンティが覗いている。
二人は、リボンを外し、ブラウスも脱ぐと、惜し気もなくブラジャーを外しパンティーまでも躊躇なく脱ぎ去った。

全裸に靴下と上履きだけとなった二人は、それも煩わしそうに脱ぎ去る。

マユミの豊満な胸と、マナの小ぶりで形の良い胸が衆人に晒される。
二人は片手で胸を隠し、片手で無毛の股間を隠してシンジの前に行き、土下座した。

「今まで、シンジ君を虐めてごめんなさい」
「今まで、シンジさんを虐めて申し訳有りませんでした」

頭を床に付け全裸で土下座する二人は、後ろから見ると、肛門まで見えている。
現在、クラスに居る男子は、股間の膨張のため前屈みとなっており、女子は、あっけに取られていた。

「二人は、僕の、性器や肛門に悪戯してたよね」

シンジがそう言うと、二人は正座したままくるりとシンジの反対を向き、顔を床に付けお尻を上に上げた。
両手で自らのお尻を開き、穴の奥まで見えるようにする。

「「どうぞ、マユミ(私)の性器と肛門を気の済むまで嬲って下さい」」

ケンスケは、慌ててデジタルカメラを取り出し、この光景を写真に収め出した。

シンジの方に向けられたマナとマユミの性器は既に溢れんばかりに濡れ、太腿にその愛液を垂らし始めている。
シンジは、中指を膣に人差し指を肛門にそれぞれ挿入させると、ぐりぐりと掻き回す。
流石に皆に見られていることを意識しているのか、二人は、声を噛み殺していた。
紅潮していく二人の身体に、クラスの全員が生唾を飲み込む。

「きゃぅん」
「あ〜〜〜っ!」

シンジが、薬指でクリトリスを刺激した途端、二人は逝ってしまった。

「有難う。もう服を着て良いよ」

「う、うん」
「は、はい」

シンジの方を向いてそそくさと制服を身に着ける二人。
マナがスカートのホックを閉めたところでシンジが声を掛けた。

「ケンスケがカメラで撮ってたよ」

その言葉を聞いたマナは、机の上を蹴り一気にケンスケに飛び蹴りを食らわす。
ケンスケの方からは、マナの下着が丸見えで蹴られる瞬間までシャッターを押していたのは流石と言えるかもしれない。
しかし、ケンスケの顔に四角い痕を付け、そのデジタルカメラは粉々に砕けちった。

「ば、ば、バッカじゃないの!バカシンジに身体で許しを乞うなんて、卑しい女達」
「妖魔に陵辱されてよがっていた人に、言われたくありませんわ」

「な、な、なんでアンタがそんな事知ってんのよ!」
「勿論、見てたからですわ」

「な、な、な…」

アスカが顔を真っ赤にして言葉に詰まらせている間に、予鈴が鳴った。
予鈴により我に返ったヒカリは、アスカを伴い席に着く。
今は、委員長としての責務を全うすることにより、ヒカリの精神を保たせていた。

「今日から私の席は、ここにさせて頂きますね」
「あぁっ!じゃぁ私は、こっち」

こうして窓際のシンジの席は、前がマナ、後ろがマユミ、隣がレイとなり、誰も近づけない状態になった。
授業中も男子達は、先ほどの光景が目に焼きつき、股間を腫らしてしまう。
休み時間にトイレに行くマナ達の後を、ムサイとケイタは追い掛けるように後を付いて行った。

トイレから出て来たマナに、ムサシは下卑た笑いを浮かべながら呼び止めた。

「マナ、マユミ、ちょっと話があるんだ」
「何?」
「何でしょう?」

「少し込み入った話でさ」
「だから何?」

「ちょっと付いて来てくれよ」
「別に良いけど…」

そうして、マナとマユミはムサイとケイタに付いて行く。
ほんの数日前までは、一緒に行動していたのだから、それほど警戒はしていない。
人気のないところに行くのも、他人に聞かれたくない話なのだろうぐらいにしか考えていなかった。

休み時間の屋上は、誰も居ない。
昼休みならいざ知らず、短い休み時間に屋上まで出ようと言う奇特な人間は居ないのだ。

「で、こんな所まで連れて来て、何の用?」

訝しい顔でマナは、ムサシに問い詰める。
後方でケイタは、扉に鍵を掛けているのが解ったのだ。

「俺達にも裸を見せてくれよ」
「何よそれ?」

「別に良いだろ?朝一回見せたんだ」
「それで満足してれば?」

「いいから脱げよ!ゲフッ!」

ムサシはマナに襲い掛かり、ケイタはマユミを後ろから羽交い絞めにする。
しかし、ムサシはマナのヤクザキックを顔面にまともに食らってしまった。

「なんでムサシに見せる必要があるのよ」
「痛っ!シンジなんかに見せてなんで俺は駄目なんだよ!」

「だって私、シンジ君好きだもん」
「あんな奴のどこが良いんだよ!」

「う〜ん、解んないけど、魂が惹かれるって言うのかな?」
「理由になってねぇよ!」

マユミはケイタに羽交い絞めにされているが特にそれ以上何かされる事もないようなので、そのままにさせていた。
解くのは簡単だが、面白そうなので静観していると言うところだ。

「話は、それだけ?だったら帰るね」
「ま、待てよ!」

後ろを向いたマナの肩をムサシが掴んだ。
それを振り払う動作をマナが行うとムサシは、壁まで吹き飛ばされる。

「もう…鬱陶しいなぁ、ムサシってそんなしつこかったっけ?マユミ、帰ろう!」
「そうですね」

マユミは、そう言うと背負い投げのようにケイタを投げ飛ばす。

「グェッ!」

投げ飛ばされたケイタは、ムサシの上に落ちた。
一応、コンクリートの上に落ちたら怪我をするとのマユミの思い遣りではあったのだが、二人にそんな事は解らない。

「ま、待てって言ってるだろ!」

ゾンビのように襲い掛かって来る二人。

「ウギャッ!」
「あ、熱っ!なんだこれ!」

マナは力を使いムサシの服を燃やす。
マユミを力を使いケイタの服を切り裂いた。

「「ぎゃぁっ!」」

マナとマユミのシンクロした綺麗な側蹴が二人を壁まで吹き飛ばす。
その際、燃えてボロボロとなった服と切り裂かれてボロボロとなった服は、綺麗に剥がれ落ち、二人が壁に激突した時には全裸となっていた。

「行こっマユミ」
「はい、無駄に休み時間を費やしてしまいました」

二人は、走って階段を下りて行く。

「見えた?」
「あぁ、白だった」

「なんか朝見た光景を思い出しちゃったよ」
「俺も」

「取り敢えず抜いて行こうか」
「見ないでよ?」

二人は、開き直ったのか、そこで自慰を行い始める。
もう、犯すつもりで股間が張り裂けそうに勃起していたのだ。



「全く、調子に乗ってんじゃないってのよ!」
「アスカ?」

休み時間だが、シンジのクラスは所々でヒソヒソ話が行われている程度であった。
多くの男子は、先ほどのマナとマユミの裸について論評していた。
思ったよりスタイルが良かっただの、始めて生で女の裸を見ただのである。

そんな状態に苛立っているアスカだが、やはり、声は押し殺していた。
潜在的にレイの報復を恐れているのは、明らかだが本人はそれに気付いてもいない。

「あぁ〜苛々する!ヒカリもなんでバカシンジに謝りになんて言ったのよ」
「だって、お父さんがこのままじゃ家が破産するって。最初は凄く怒られたんだけど、段々と弱々しくなって言って最後に泣きながら頼むから…」

「泣きながらって、別にヒカリの家は不動産なんだから、すぐ破産するような事はないんじゃない?」
「それが、NERVの入居を宛にして建てているマンションとか、既にNERVの職員が入っているマンションとかが沢山あるらしいの」

「それだって今すぐ出て行ったりするわけじゃないでしょ?うちだってそんな話聞いてないし」
「解らない。でも建てているマンションは少なくても数十億単位の負債が残るって…」

「別にNERV以外にだって入る人は居るでしょ?」
「この街でNERVが手離したと解った物件は、それだけで価値が半減するのよ」

「ふ〜ん、よく解らないけど、結局それってバカシンジのせいって事よね?」
「アスカ?自分達のせいよ?」

人の痛みなど全く理解しないアスカは、ヒカリの切実な問題も理解出来ず、また外罰的にシンジに全て原因を帰結させようとする。
アスカは、今までも全てそうしてきたのだ。

自分の気分が悪いのは、シンジが鬱陶しい顔をしているから。
自分の成績が悪くなったのは、シンジが自分の気分を害し、勉強する意欲を無くさせたから。
父親に怒られたのも、ご飯が美味しくなかったのも、何もかもシンジのせいにして、シンジに暴力を振るうことで発散させて来ていたのだ。

「何を言ってるのよヒカリ。バカシンジが親に泣き付いたからでしょ?」
「泣き付いたかどうか解らないけど、そうさせたのは私達でしょ?」

「ヒカリまで私が悪いって言うの?」
「違うわ、私達よ」

「おんなじじゃない!全てバカシンジが悪いのよ!全部あいつのせいよ!」
「アスカ…」

ヒカリの頭の中は、自分も今朝のマナやマユミ達のように、皆の前で全裸になり土下座しなければならないのかと言うことだった。
あまつさえ、自ら性器を晒すなど考えただけで死んでしまうほど恥ずかしい。
しかし、ヒカリには姉であるコダマの一言が大きく圧し掛かっていた。

『貴女のせいで大学も中退、風俗にでも売られちゃいそうね。ノゾミはきっと虐められるでしょうね。それに貴女解ってる?鈴原君のところもうちが潰れると煽りを食らうのよ?』

ヒカリの家族に母親は居ない。
姉であるコダマがずっと母親代わりをしてきて、最近漸くヒカリが家事を手伝うようになった。

父の話では、破産は免れないとの事だった。
ノゾミは、まだ小学生だが、破産した家の子供の境遇は痛いほど解る。
自分達が行って来た事だ。

全員で夜逃げと言う話さえ出た。
それでもコダマの大学は諦めざるを得ない。
ヒカリは、明日謝ってくるから待ってくれと家族に頭を下げたのだ。



トウジとケンスケも多聞に漏れずヒソヒソと話をしていた。

「なぁ、トウジはどうする?」
「ワイは謝った」

「シンジは許してくれてないだろ?トウジのとこはそれで納得するのか?」
「無理やろなぁ」

IT企業であるケンスケのところもかなり切実であった。
今では、殆どの収益をNERVが担っていたのだ。
鈴原建設はもっと深刻である。

まず洞木不動産がどうなるかによってかなり左右される。
洞木不動産が倒産でもしようものなら、現在手掛けているマンション建設の工数が全て入って来ないことになる。
そしてNERVからの色々な建造物の発注。
こちらは、かなり特殊なため通常の倍以上の収益があるお得意様であったのだ。
二次的には、ストラスバーグ運送会社へも影響する。

「ワイらも裸になって土下座かのぉ」
「それで許して貰える保障はないぞ?」

「そらそやのぉ。ケンスケは、どないするつもりやねん」
「俺?俺はやっぱり交渉かな?」

「交渉?」
「なんかシンジの欲しいものを聞き出して、それを貢ぐとか」

「相変わらず、商人やのぉ」
「でも、あいつって何か欲しいものあるのかな?女の写真にしようと考えてたんだけど、山岸と霧島をあんなふうに出来るなら、必要ないだろうし」

「あれは、ビビッたわ。あの二人があんな事するやなんてな」
「委員長も危ないぜ?」

「委員長は、でけへんやろ」
「トウジは解ってないなぁ」

「何がや?」
「洞木不動産が潰れたら、トウジのところも影響があるってことさ」

「あぁ、おとんもそんな事言うとったなぁ」
「だから委員長は、危ないってことさ」

「それとこれとどない関係があんねん」
「相変わらず鈍いなぁ」

「訳解らんわ」

相変わらずのトウジにケンスケは、仕方ないかと溜息を吐いた。
ケンスケは、親の状況を顧みなくてもシンジに取り入る事が得策だと考えていた。

(あの山岸と霧島にあんな命令をして、二人がそれを実行するなんて…きっとあの転校生の綾波もに違いない。上手く取り入れば、お零れで頂けるかも知れないし、少なくともあの三人の裸を拝む機会が出来るはず)

ケンスケは、その時を妄想してニヤニヤとしている。
ケンスケから見てレイは、この中学の中でトップクラスだ。
マナやマユミにしても、5本の指に入るとケンスケは評価していたのだ。

「気色悪いやっちゃのぉ」

とは言ったもののトウジも事の重大さは理解していた。
トウジにもコダマと同い年のナツミと言う妹が居る。

(ナツミが虐められるとも思えんがな…)

それは、甘い期待であった。
確かに活発で元気なトウジの妹は、虐められる対象とは、成り難い。
しかし、子供は残酷なのだ。



昼休み、シンジ達は屋上に来ていた。
マナとマユミがムサシとケイタの体操服を持って来ていた。
屋上に出たシンジとレイは、日陰に座り、マナとマユミは、ムサシとケイタを探した。

二人は、貯水タンクの下に潜んでいた。
マナとマユミが見付けた時は、二人で身体を小さくしていた。

「はい、体操服。もう変な事考えないでよ?」
「あ、わ、解った」

「それ着て早く教室に戻られた方が宜しいですよ?」
「う、うん」

ムサシとケイタは体操服を着ると、屋上を後にする。
マナとマユミは、シンジ達の傍に行き、お弁当を食べ始めた。
お弁当を作るのは、マナとマユミの役目となっている。

特にそう決めたのではなく、二人がやりたいと言うので、シンジは好きにやらせていると言う状況だ。
以外とマナは料理上手であった。
ただ、大雑把で男の料理みたいでは有ったが、親が自分のデパートにある最高級品を届けて来ているため、かなり美味しいのは確かであった。

マユミの家は、マユミがシンジの所で一緒に住むことに基本的に反対のため、そこまでしない。
マユミは、それが少し哀しく感じられたが、そもそもマナのところに卸しているのは自分の家であるため、そこに並んでいるものを見て被るから良いかと納得していた。
そして4人分の弁当箱に詰めるよりこちらが良いと、4人が広げているのはお重である。

「お待たせしました」

シートを広げ、マユミが一人一人に取り皿に取り分けて配る。
花見かなにかかと言う程、豪勢なお重であり、まるでピクニックのような雰囲気だ。

「毎日こんなに作るの大変じゃない?」
「うん?別に大丈夫だよ?」
「はい、私も何時もと変わりません」

「そうなの?」
「自分の分だけって言うか、一人分の方が結構面倒だよね?」

「そうですね。四人分ぐらいが一番作り易いです」
「そうなの?なら良いけど」

「それより、シンジ君、美味しい?」
「う、うん凄く美味しいよ」

「良かった!ねぇ?マユミ」
「はい、レイさんは如何でしょうか?」

「…とても美味しいわ」
「お口に合って良かったです」

マナとマユミは、本当に嬉しそうにニコニコしている。

「あ、今朝はごめんね。なんか二人をダシに使っちゃったみたいで」
「いえ、全然構いません…少し恥ずかしかったですけど…」
「うん、恥ずかしかった」

「でもビチョビチョだったよ?」
「い、言わないで下さい」
「シンジ君の意地悪ぅ」

二人は俯いて耳まで真っ赤にしている。
上目遣いでチラチラとシンジを見るマナは、どこか犬っぽい。
マユミは食べるのか何なのか、お皿に乗せた玉子焼きを箸で突付いている。

「…碇君」
「何?」

「…私も命令してくれたら、何時でも何処でも脱ぐわ」
「何張り合ってるのさ。解ってるから大丈夫だよ」

シンジがそう言うとレイは、ニッコリと微笑んで食事を再開した。
いつの間にか復活した、マナとマユミも食事を再開している。
二人は、シンジを見ながら楽しそうにニコニコしていた。

「有難う」

シンジの言葉にマナは箸を咥えたままキョトンとする。
マユミも首を傾げていた。

「僕は、このまま独りぼっちだと思ってた。誰にも必要とされず、虐められるだけの人生だと思ってた」

「ご、ごめんなさい」
「申し訳有りません」

シンジの言葉に、今度はシュンとなるマナとマユミ。

「違うんだ。怒ってるんじゃないんだ。そんな僕に微笑んでくれる君達が居てくれて嬉しいんだよ」

「シンジ君」
「シンジさん」

マナはニヘラァと顔が綻び、マユミはウルウルとしている。
この二人は、シンジの一言で一喜一憂してしまう。

「綾波のお陰で僕は、今とても幸せだよ」
「…も、問題ないわ」

レイは口とは裏腹にポッと紅くなっている。
傍から見れば、バカップルとしか見えないが、美女が三人も居る羨ましい状況であることに変わりはない。

「碇君」

そんな、誰にも入れないような空間に一石を投じた人間が居た。
洞木ヒカリである。
彼女の居るところにアスカ有り。
シンジは、折角気分良かったのに鬱陶しいなぁと思いながら、回りを見回したがアスカの姿はなかった。

「何か用?」
「お願いが有るの」

「お願い?」
「何をすれば、碇君が許してくれるのか教えて欲しい」

ヒカリは、スカートの裾をギュッと握り締めている。

「どうして、そこまでして僕に許して貰いたいの?別に、親に言われただけなら、もう謝ったって言っておけば良いんじゃないの?」
「い、碇君に許して貰えないと、お父さんの会社が倒産するって…」

そこまで聞いて漸くシンジは、何故皆、今日になって謝りだしたのか納得した。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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