第八話
人の造りし物


「また君に借りが出来たな」
薄暗い司令室でゲンドウは電話に向かって話していた。

『返すつもりもないんでしょ。で、どうです?例のものは。こっちで手、打ちましょうか?』
「いや。君の資料を見る限り、問題はなかろう」
『では、シナリオ通りに』
「気をつけたまえ」
『あなたこそ、気をつけた方がよろしいのでは?最近はまた、煩型もいらっしゃるようで』

「フッ・・・問題ない」
『そうですか・・・では』

ガチャッと電話を切るとゲンドウはいつものポーズを取りニヤリと口元を緩ませた。



「ちょっと戦自にでも行ってみようか」
シンジが唐突にレイに言った。

「・・・何故?」
「面白い物が見れるから」

二人が行き着いた所、それは戦自の少年兵達の宿舎だった。
シンジとレイはATフィールドの応用で他人からは気付かれないように空に浮いている。
ATフィールドは心の壁、要は心の持ちようでなんでもありなのだ。
人から見られたくないと思えば見えなくなる。
これは一説に人には見える能力と見られる能力があると言われるのもここに由来する。
つまり見られる能力が低いとそこに居ても認識されないと言うものだ。
これはよく、存在感などと言われる。

心の壁で自分の存在感を消してしまえば、周りの人は認識できないと言う訳だ。

「・・・あれは」
レイが呟いた、その目線の先には、裸で縛られたシンジ達と同じ年頃の男の子二人に鋏まれて天井から吊されているやはり、シンジ達と同じ年頃の女の子。

そして、少女の股間には、鋏んでいる男の子達の逸物が挿入されており、それを揺らして下卑た笑いを浮かべている禿げた親父がいた。

「どうだお前ら?麗しのマナちゃんと一つになっている気分は?親友とも同時だから喧嘩する事もないだろ?」
そう言って禿げた親父は下卑た笑いを浮かべる。

「マ、マナ・・・」
その少女はマナと言うらしい。

「むぐぅっうっぅっぅ」
マナは涙を流しているが、猿轡を噛まされていて言葉になっていない。

好きな少女のそんな姿に勃起してしまうのも若い男の子の性だ。

「ぐわぁっ!すまんマナ!」
「マナァァ!」

二人の少年達は射精したようだ。

マナはビクンビクンと痙攣している。
前後の穴に同時に射精され、熱い精液を両方から浴びせられた感触に呻いている。

禿げ親父は、少年達を少女から引き剥がすと、その場に転がした。
「ふん、わしの言う通り、NERVのチルドレンを色仕掛けで落として情報を引き出してくればこんな目に合わずに済んだのにな」

「小僧共の精液まみれじゃやる気もおこらん」
そう言うとその禿げ親父はホースを持ってきて、水で乱暴にマナの股間を洗う。

「うぐぅっ!」
膣にホースで水を突っ込まれるマナ。

「こっちも洗うか」
そう禿げ親父は言うと水の出たままのホースをマナの肛門に突っ込んだ。
涙を流して呻くマナ。
みるみる下腹部が膨れあがる。

妊婦のように下腹部が膨れあがったところでホースが抜き取られる。

「お前ら、愛しのマナちゃんのあそこをじっくり見たいだろ?」
禿げ親父はそう言うと先程床に転がした二人をマナの下に引きずって来た。

「これじゃぁよく見えないか」
そう言うと、マナの両足を大きく開き固定する。

マナは脂汗を流していた。
そろそろ漏れそうだったのだ。

「この剛毛も邪魔で見え難いか?」
そう言うとまだ生え揃ってもいないマナの陰毛を引き抜く。

「うぐぅっ!」
痛みに声を漏らすマナ。

あろうことか禿げ親父はライターでマナの陰毛を焼き始めた。
「うぅっうぅっ!」

あまりの熱さにマナは腰を捩る。
少年達には、蠢くマナの股間が淫靡に映っていた。

眼が離せない二人の少年にいきなり水が吹きかけられる。

「うぅぅぅうぅっうぅう!!!」
マナは首を振りながら泣き喚いている。

少年達の顔に最初は水だったものが段々濁った物になり、そのうち茶色い固形物が落ちてきた。

「「げほっげほっ」」
二人の少年はそれが顔に当り咽せている。

「うぅぅうぅっうぅうぅ!!」
マナは項垂れて呻いていた。
その顔は涙でグシャグシャになっている。

「どうだ?愛しのマナちゃんでもそこから出て来るものは臭いか?」
そう言って禿げ親父笑い転げていた。

床にはマナの糞まみれになっている少年二人。
少年達も涙に濡れていた。

少年達の頭の上でマナに挿入する禿げ親父。
マナはもう声も出ない様子だ。


「・・・これを見せたかったの?」
「いや、見てるだけじゃ面白くないからね」
そう言うとシンジは禿げ親父を蹴り倒した。

「な!き、貴様らどっから入って来た?!」
今まで誰もいないと思ってたところにシンジとレイが現れて、禿頭は慌てている。

因みにシンジは革のズボンに革のジャンバーで髪をオールバックにしてサングラスを掛けているため、背は多少低いが、ハードボイルドな男に見えていた。
対してレイも、赤の革のタイトスカートに赤のブーツ、黒い革の前ジッパーのタンクトップに赤い丈の短い革ジャンを羽織っており、やはりサングラスをしていえる。

ちょっと背の低いハードボイルドカップルだった。

シンジは禿げ親父の言葉を無視し、蹴飛ばすと頭を踏みつぶした。
グシャリと言う音がして、赤い液体が床に広がっていく。

男の子達の縄を解いてやり、マナの縄も解いてあげた。

「さて、君達はどうする?」
シンジは、男の子達に問い掛ける。

男の子達はマナを庇うようにして固まっていた。

「僕からの提案なんだけど、トライデントを奪って逃げるなら、明日、旧東京市でJAと言う物の発表会があって、そのJAが暴走するから止めて欲しいんだ。その後は好きにすればいい。やってくれるなら、今から脱走を手伝うよ」

「そんな事しても掴まって終りじゃないか!」
細い方の男の子が叫んだ。

「このまま、ここに居るつもりならそれでも良いよ」
シンジは気紛れで提案したように軽く言い放ち踵を返す。

「ま、待って!」
引き留めたのはマナだった。

少年達の陰に身を隠していたが、乗出している。
それを身体のがっしりした方の少年が押し止めていた。

「マナ!」
「ムサシ、私、もうこんな所に居るの嫌!私は女の子として生活したいの!」
マナは叫んだ。
身体のがっしりした方の男の子はムサシと言うらしい。

戦自は少年兵を使っている事は公にしていない。
彼らは存在しない事になっており、扱いもモルモット並だったのだ。

訓練は勿論の事、寝食やお風呂に至るまで女の子として扱って貰えず、男の子達と一緒に決められた10分以内とかに入らされていたのだ。
衣服も満足に与えられず、下着もトランクスのみでブラジャーすら与えられて居なかった。
着替えのために、男の子達と別な場所など当然設けられず、多感な年頃の少女としては耐えられなかった。

それでも、幼い頃から居るこの二人が何かに付け庇ってくれたので、ここまでやってこられたのだ。

「しかし、こいつらは信用ならん!」
ムサシがマナを庇いながら言う。

「ここに居ても、また毎日モルモットのように扱われるだけよ!」
「ここを出ても僕達に行く所なんてない。野垂れ死にするだけだよ」

「ケイタだってもう嫌だ!って言っていたじゃない!」
細い方の男の子はケイタと言うらしい。

「よし!解った!」
シンジはそう言うとポンと手を叩いた。

「今日は、この禿げ親父だった奴のお陰で、ここは終日立ち入り禁止になってる。心ゆくまで話し合ってくれていいよ」
シンジはそう言うとドカッと横にあるソファーに腰掛け、レイも横に座らせた。

そう言われても3人は素っ裸のため、落ち着いて話し合い等できない。

「その前に何か着させて貰えないかしら?」
マナが手で胸と股間を押さえながら言う。

「何か勘違いしているようだから、言っておくけど、僕達も暇潰しに来ている訳じゃないんだ。商談を持ちかけたら決められないようだから考える時間を提供してあげるって言ったんだけど、他の事に使うなら僕達も引き上げざるを得ないね」
そう言ってシンジが立ち上がりかける。

「ま、待って!解ったわ」
マナは服を着るのを諦めて二人の説得に入った。
マナ自身は既にこの話に乗って戦自を脱走する事に決めていたのだ。

マナの説得にムサシとケイタは難色を示している。

ムサシとケイタの言い分は、ここに居れば寝るところと食事は与えられるが、脱走すると追われる身となり、働く事さえままならず、食うにも困ると言う物だった。

「ふっ・・・あはははっはっは」
その話し合いを聞いていたシンジが突然大笑いを始めた。

「何がおかしい!」
ムサシが息巻く。

「だってそうじゃないか、綺麗事を言っているけど、君達はその娘の裸が今みたいに見れられなくなったり、上官のお零れで抱いたりする事ができなくなるから拒んでいるんだろ?」
「「「なっ!」」」

「ムサシとケイタはそんな事、思ってない!」
マナは叫んだが、その二人は顔を真っ赤にしているが反論しない。

自分達でも気付いていなかった本心を突かれたと言うところだろう。

「ムサシ?ケイタ?そんな事思ってないよね?」
マナが泣きそうな顔で二人に尋ねる。

しかし、二人は顔を伏せて目線を合わせない。

「ムサシ・・・ケイタ・・・」

実際、マナは表に出てもレベルの高い可愛い部類だ。
そんな少女の下着姿どころか裸を見れて、しかも時々は無理矢理とは言え性行為にまで及べる。
自分達には出来ない、しかし願望としては持っている酷い仕打ちも目の当たりにする事が出来ていたのだ。
脱走する事により自由は得られるだろう。
その反面、自分達からマナが遠くなるのも明白な事であった。

長い沈黙が、部屋を埋め尽くす。
マナの眼からは涙が落ちていた。

「くっくっく、じゃぁこう言う条件でどうかな?」
シンジが身を乗出し話し始めた。

「まず、マナは僕の玩具になる。そうすれば3人の衣食住は僕が面倒みてあげる」
「「「なっ!」」」

「そんな事、出来る訳ないだろ!」
ムサシがシンジを睨付け喚く。

「そして、2人はマナに悪い虫が付かないように彼女のガードを引き受けて貰う」
シンジはそんなムサシを無視し話しを続けた。

「そうだなぁ、マナには僕の玩具の証に、毎朝素っ裸で、そっちの細い君に剃毛をして貰って、そっちの頑丈そうな方に浣腸で排便して貰おうかな。後は僕が呼び出した時に玩具になってくれれば良いよ。勿論、2人とのSEXは許可するよ」

「馬鹿馬鹿しい!そんな条件飲めるか!」
ムサシは喚いているが、マナとケイタは俯いている。

マナは悩んでいた。
ここに居ても、今と変らない。
この禿げ親父が死んだから、もっと酷い仕打ちを受けるだろう。
シンジの玩具と言うのが何をさせられるのか解らない。
しかし、今より酷くなることは考え難い。
少なくとも普通の暮らしはさせてくれると言っているのだ。

ケイタは次ぎにマナから説得があれば乗ろうと決めていた。
ここよりましな暮らしにマナが付いてくるのだ。

ムサシはマナがシンジの玩具になると言う事とシンジに仕切られている事が生理的に受け付けられなかった。
ここに居ればムサシの考え等、微塵も実現していないのだが、ムサシは頭で動くタイプではないのだ。
しかも、脱走自体はムサシも計画していた。
それが、シンジに提案されたのも気に入らない理由の一つだった。

「解った。私、貴方の玩具になる」
マナがシンジの方を見て言った。
その眼は決意に満ちている。

「「マナ」」
ムサシとケイタはマナの方を見て力無く名前を呼んだ。

「僕はマナに付いていくよ」
「「ケイタ」」
マナは嬉しそうにムサシは情けなくケイタの名前を呼ぶ。

「ムサシも一緒に行こう!」
マナがムサシの手を握り顔を見詰めて言った。

ハッと顔を上げたムサシの前には自分を優し気に見詰めるマナ。
そしてムサシの手を握っているため露わになっている形の良い胸と先程陰毛を焼かれてし まい露わになっているクレパス。
こんな時でも勃起はするのだ。
ムサシは顔を赤くして頷いた。

「決まった様だね。毎朝の儀式は欠かさないでね」
シンジのその言葉に3人は顔を赤くして俯いてしまった。



放置されたままのインテリジェントビル群。
下は海面。ドス黒く、一部は七色に輝いている。
全く生命を感じない場所。
広大な埋め立て地。所々、傾いたビルが顔を出している。

「ここがかつて、花の都と呼ばれていた大都会とはね・・・」

ミサトはその上空をヘリで飛びながら、眼下に広がる惨状に思わず呟いた。

「眠らない街、とも言われていたみたいですよ」

パイロット席から声がする。

「眠らない街、か、悪いわね、こんな事まで頼んじゃって」
「いえ、これも仕事ですから」

パイロット席の男は笑って答える。

「見えたわよ」

その声に促されミサトが前を見ると、そこには巨大な箱状の建物が見えた。
またしても声を上げるミサト。

「何もこんなところでやらなくてもいいのに・・・で、その計画、戦自はからんでるの?」
「戦略自衛隊?いいえ、介入は認められず、よ」
「どうりで好きにやってるわけね」

記念パーティー会場では、先程から延々とJA(ジェットアローン)に関する説明がされていた。
会場真ん中に置かれたネルフの招待席、他の席と違い料理は無く、真ん中にビールが数本置かれているだけだった。
今回のミサトとリツコは先の戦いで痛々しい程、包帯を巻いた状態だ。
そのあまりの姿とあまりの仕打ちに周りの物も悲痛な面持ちと成らざるを得なかった。
それでも戦自の人間等は「ポーズだろ」と下卑た笑いを浮かべていた。

「質問を宜しいですか?」
「これは、これは、御高名な赤木リツコ博士、どうぞ」

「先程の説明ですと、内燃機関を内蔵とありますが」
「ええ、本機の大きな特徴です。連続150日間の作戦行動が保証されております」

「しかし、格闘戦を前提とした陸戦兵器にリアクターを内蔵することは、安全性の点から見てもリスクが大きすぎると思われますが?」
「5分も動けない決戦兵器よりは、より役に立つと思いますよ」

ここで会場から小さな失笑がわく。
毅然とした態度で続けるリツコ。

「遠隔操縦では、緊急対処に問題を残します」
「パイロットに負荷をかけ、精神汚染を起こすよりは、より人道的と思います」

リツコの傍らで、つまらなそうにミサトはストローを口で遊んでいる。
「よしなさいよ、大人げない」

だがリツコは耳も貸さない。

「人的制御の問題もあります」
「制御不能に陥り、暴走を許す危険極まりない決戦兵器よりは、より安全だと思いますよ。制御できない兵器など、ヒステリーを起こした女性と同じですよ。手に負えません」

先程よりもやや大きめな冷笑が会場にわいた。

なおも気にせず続けるリツコ。

「その為のパイロットとテクノロジーです」
「まさか、科学と人の心があの化け物を抑えるとでも・・・本気ですか?」
「ええ、もちろんですわ」
なかば嘲るような男の問いに、大真面目に答える。

「人の心などと言う、曖昧なモノに頼っているから、ネルフは先のような暴走を許すのですよ。その結果、国連は莫大な追加予算を迫られ、某国で二万の餓死者を出そうとしているのです。よかったですね、ネルフが超法規にて保護されていて。あなた方はその責任をとらずに済みますから」
「何とおっしゃられようと、ネルフの主力兵器以外、あの敵生体は倒せません」

「ATフィールドですか。それも今では、時間の問題に過ぎません。いつまでもネルフの時代ではありませんよ」
今度こそあからさまに、ホールに響く笑い声。

真っ赤になりながらも、その場で耐えているリツコ。
手に持っているパンフが震えている。
ストローを口にくわえたまま、取り澄ましているミサト。


控え室に入るとリツコは表情を一変させた。
「大した事ないわね・・・ただ、誉めてもらいたいだけのつまらない男」

リツコはパンフレットに火をつけ、ごみ箱に捨てた。

ミサトはロッカーに当たり散らして居た。
「どうせうちの利権にあぶれた奴らの嫌がらせでしょ」
「それよりも極秘情報がダダ漏れね。諜報部は何やってるのかしら?」


集まった人達の眼前に広がる埋め立て地、そこでスライドしていく建物。
中から巨大ロボットの姿が現れてくる。

「これより、起動テストを始めます。なんら危険は伴いません。そちらの窓から安心してご覧ください」

みんな一斉に双眼鏡等を顔に当てる。
冷めた目で見ているリツコ。

時田はそれにはもう構わず、指令を下した。

「テスト開始」
その声と同時に管制員二人がせわしくキーを叩き始めた。

「全動力開放」
「圧力、正常」
「冷却機の循環、異常なし」
「制御棒、全開へ」
「動力、臨界点を突破」
「出力問題なし」
「歩行開始」
「歩行、前進微速。右脚、前へ」
「了解。歩行、前進微速。右脚、前へ」

右足を前に出し、二足歩行を始めるJA。
トーチカ内にオオォ、と感嘆の声が上がる。

「バランス、正常」
「動力、循環、異常なし」
「了解。引き続き、左脚、前へ。よーそろ」

ゆっくりと歩行を続けるJA。

「へ〜ぇ、ちゃんと歩いてるじゃん」
「自慢するだけのことは、あるようね」

突如ビーッと警告音がなり始める。

「なんだ、どうした?」
「変です。リアクターの内圧が上昇していきます」
「一次冷却水の温度も上昇中」
「減速材は!?」
「駄目です!!ポンプ出力低下!」
「そんな馬鹿な!?」

前進を続けるJAが真っ直ぐ、トーチカに向かってくる。

「ちょっと、まずいんじゃない?」
ミサトは腰が引けてきた。
一同すでに、慌てて軌道上から蜘蛛の子を散らすように逃げている。

「いかん!リアクター閉鎖。緊急停止!」
「停止信号、発進を確認」
「受信されず!」
「無線回線も普通です。制御不能!」

目前に迫るJA。

「うわあああっ!!」

トーチカを踏みつぶし、なおも前進するJA。

「造った人と同じで礼儀知らずなロボットね」

ビーッと鳴り始めるさっきよりも派手な警告音!
真っ赤に変わるモニター。

「加圧器に異常発生!」
「制御棒、作動しません!」
「このままでは、炉心融解の危険もあります」

「そんな馬鹿な・・・JAにはあらゆるミスを想定し、全てに対処すべく、プログラムは組まれているのに。このような事態は有り得ないはずだ」
「だけど今、現に炉心融解の危機が迫っているのよ!」

ミサトは時田に突っかかっていった。
だが時田はただ首を横に振るだけだ。

「こうなっては自然に停止するのを待つしか方法は・・・」
「自然停止の確率は?」
「0.0000002%。まさに奇跡です」

管制員の一人がフォローする。
ミサトはそれを聞くと、再び時田に詰め寄った。

「奇跡を待つより捨て身の努力よっ!停止手段を教えなさい」
「方法は全て試した」

「いいえ、まだ全てを白紙に戻す、最後の手段が残ってるはずよ。そのパスワードを教えなさい」
「全プログラムのデリートは最高機密、私の管轄外だ。口外の権限はない」
「だったら命令をもらいなさい!今すぐっ!」

フラフラとしながら部下の一人に差し出されたボロボロの電話を使う時田。

「第2東京市の万田さんを頼む。そう内務省長官だ」
しかしなかなか話は進まない。

『ああ、その件は八杉君に任せてある。彼に聞いてくれ』
『そういう重要な決定事項は口頭ではねぇ。正式に書簡で回してもらえる?』

「くそっ!」
「たらい回しか」
やがて電話を置く時田。

「今から命令書が届く。作業は正式なものだ」
「そんな、間に合わないわ!爆発してからじゃ、何もかも遅いのよ!」
そうこうしている間にもモニターには、廃墟の街を進むJAの姿が映る。

「JAは厚木方面に向かい、進行中」
新たな警告音。
赤ランプの警告灯がまた一つ増える。

「時間がない。これより先は私の独断で行動します。悪しからず!」


控え室ではミサトが着替えながら電話をしていた。
「あ、日向君。厚木に話、つけといたから。どうだった、連絡取れた?」
『はい、今、初号機でそちらに向かってます』

ミサトのしようとしていることを考えてリツコは、呆れるのを通り越して怒っていた。

「無駄よ!おやめなさい、葛城一尉。第一どうやって止めるつもりなの」
「人間の手で、直接」

ウィングキャリー上では、ミサトがロボットに自分を乗せ、ロボットを足止めするようにとシンジに説明している。

「ところでそのロボットってどれの事ですか?」
「どれって・・・」
ミサトが見れば解るだろうとばかりに下を見ると、JAに掴みかかっている2体のロボットが見える。

「あれは・・・」
「無理ですね、3体とも纏めてATフィールドで爆発の余波が出ないようにします」
シンジはそう言うとミサトを残しエヴァで降下していった。

3体のロボットの前に降り立つエヴァ。
初号機は、手を横一線に振る。

ATフィールドで下半身が切り取られ、動きが止まる3体のロボット。
2体は戦自のトライデントだ。

ムサシとケイタはトライデントから飛び降りると近くで待って居たマナとレイがジープで2人を打ち合わせ通り拾っていく。

それらの行動をエヴァの記録に残らない様にシンジは慎重に動作するとジープがある程度離れたのを見計らい、3体のロボットをATフィールドで包んで地中に押し込んでいく。

大きな揺れが襲い3体のロボットは地中深く埋もれてしまった。



司令室では報告を行うリツコの姿があった。

「葛城一尉の行動並びに戦自のトライデントによりシナリオ通りにはなりませんでしたが、JA、トライデント共に地中深くに消滅しました。期待されたシナリオの効果は概ね達成されたと思われます。トライデントも共に消滅したのは嬉しい誤算と言えます」
「そうか・・・・ならば問題ない」



第三新東京市のとあるマンションの一室。
ここは、レイが用意した4LDKのマンションだ。
レイは以前にお金は億単位なら無尽蔵に使えるカードをゲンドウに用意させていたのだ。
勿論、シンジの指示である。

「これで、戦自もパイロットは死亡と結論付けた。同時に脱走したマナもね」
「じゃぁ俺達は自由なのか?」
ムサシが嬉々とした顔で言う。

「自由じゃないよ、戦自に居たときよりは一般的な生活を謳歌してもらって構わないけど、マナが僕の玩具で、君達はそのガードだと言う事を忘れないで」
シンジはそう言ってマナの方を見てニヤリとした。

「これは当面の資金だよ」
そう言ってシンジはカードを1枚マナに渡す。

「明日から学校に通える様にしておいたから、第一中学校ってところだよ。それじゃ毎朝の儀式を忘れないでね」
そう言ってシンジは去っていった。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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