第拾弐話
闇の中でも


アスカは独りトボトボと歩いていた。

この間、不良達に拉致されレイの部屋に行った時、シンジに記憶を戻されたのだ。


「あんた達何か知ってるんでしょ!」
アスカは苛々して声を張り上げた。

「・・・煩いわ」
「そうだねぇ、そんなに知りたいなら教えてあげるよ。いや、記憶を戻してあげた方がてっとり早いね」
シンジはそう言うと、アスカの胸に手を当てる。

「ちょ、ちょっと何するのよ!」
アスカは喚くがシンジの手が自分の身体に入り込んでいるのを見て絶句する。

「うっうわぁ〜〜〜っ!」
そしてアスカは記憶を戻された。

「そ、そんな?!あ、あんたバカシンジ?」
「アスカの記憶は正しいよ」
シンジはそう言ってニヤリとする。


アスカは思い出してしまった。

自分の一言「気持ち悪い」と言ったのがどんなにシンジを傷つけたのか。

レイが自分に託した思いを知りもしないでシンジを拒絶した事。
シンジがどんな思いで前回過ごしていたのか。
自分がどんな思いで前回過ごしていたのか。
そして、それがどんなに自分勝手で我儘な気持ちだったのか。
自分を見て欲しい認めて欲しいと思いつつ、自分自身を見せていなかった事を。
シンジを馬鹿にし何も与えなかった事を。
シンジから与えられた物を当たり前だと無下にしていた事を。

赤い世界でレイが責められるのをずっと見ていた事を。

そして、シンジが何のために時間を巻き戻したのかを知ってしまった。

自分は死んでも良いと思って、この間の使徒捕獲も志願した。
しかし、結果は死にたくないと泣いてしまった。
シンジに助けを求めてしまった。
助けてくれないと思っていたシンジに助けられた。

「あたしはどうすればいいの?」
アスカは誰にともなく呟いた。

もうシンジの行動を咎める気にはなれない。
自分にはそんな資格はない。
何より、この世界はシンジが創ったと言っても過言ではない。

ただ一つ、レイが言った言葉が気になっていた。
「・・・碇君は優しいままだわ」
確かにレイはそう言った。

アスカの認識でレイが誇張や湾曲した事を言う事は有り得ない。
つまりシンジは昔のまま優しいと言ったのだ。
しかし、今のシンジの行動はどう見ても優しいとは言い難い物だ。
レイやマナ達に行っている事も聞いた。
レイについては赤い世界程の事では無くなっているらしい。
それでも、かなりな仕打ちだとアスカは思う。
ヒカリとトウジやケンスケの事も聞いた。

ヒカリについては本人から、シンジには感謝すらしていると聞いた。
アスカには何がなんだか理解できなかった。

(あたしもレイみたいにシンジに償うべきなのかな・・・)

アスカ主観では、レイはシンジに尽くしていた。
しかし、責任を感じてシンジに償った。
それはレイのシンジに対する思いも多分にあっただろうとアスカは思う。
自分はそんなレイに比べると遙かに酷い仕打ちをシンジにしてきたのだ。
償うべきは自分ではないのかと言う思いが強かった。


唐突に周りの車のクラクションが煩く現実に引き戻される。
我に返ったアスカは周りの信号が切れている事に気が付いた。

(停電か、そんな事もあったわね・・・ってまずいじゃない!)

アスカは悟った。
前回は3人で使徒を殲滅した。
しかし、今回、シンジ達は週3回しか訓練に参加しない。
それ以外は呼び出されなければ来ないのだ。
そして今日は来る日ではない。

この停電は携帯すら繋がらなかった。
つまり、シンジ達は来ない。

シンジに任せておいても大丈夫なのだが、そこがアスカのアスカたる所以だ。
それに、シンジはNERVが崩壊する事になんの感慨も浮かべないだろう。
つまり、放っておけば今回の使徒でNERVは崩壊すると言う事だった。

「独りでやるしかないか」
アスカはNERVへと急いだ。

アスカは未だミサトや加持を見捨てる気にはなれなかったのだった。



一方、シンジとレイはマナ達の家に来ていた。
修学旅行の写真を見せるからと誘われたのだ。

「マナが毎日のお勤めは欠かせないとか言って俺に浣腸器持たすから荷物は嵩張るは、赤外線チェックで引っかかるわで大変だったんだぜ」
ムサシがふて腐れている。

「だってガラスがチェックに引っ掛かるなんて知らなかったんだもん」
ほっぺを膨らますマナだが、その姿は足を少し広げ膝を曲げずに床に手をついてる。

久しぶりにシンジに検査を受けているのだ。
シンジが居るせいかマナはかなり可愛い格好をしている。

迷彩のタンクトップにカーキ色のミニスカートとかなり軍隊調なのだが、アクセントに付けている茶色いサスペンダーやスカーフがマッチしていてかなり可愛い。

そして下着はレモン色の上下お揃いのシルクだった。
かなり透けている。

その前ではケイタがノートPCでデジカメで取った写真を映しだしていた。

「きゃーだめぇ!それ恥ずかし過ぎるぅ!」
声はあげども、姿勢は崩さないマナ。

そこに映し出されたのは、素っ裸でケイタに剃毛されている姿だった。
デジカメのため、余すところなく、マナの股間が映し出されている。
ピントもばっちりで毛穴や肛門の皺までくっきりと写っていた。
背景には沖縄の青い海が写っている。

「毎日、ちゃんとしていた事を記録に取って報告するから写してくれって言ったのはマナじゃないか」
最近ではムサシとケイタはこうやってマナを恥ずかしがらせて遊んでいる。

きっかけを作っているのはマナのため確信犯であろう。

「大体、場所が解らなければ意味がないとか言って窓を開けたのもマナだろ?人が折角カーテン閉めてやってたのに」

「きゃ〜っそれはぁ〜」
それは、窓から外を見、部屋に向かってお尻を突き出し、浣腸器を挿入されている姿だった。

因みに、シンジはもう、結構な時間、マナに何もしていないが、マナは姿勢を崩していなかった。
結果、シンジは実物と写真を見比べる事になる。

「実物の方が可愛いね」
シンジはそう言うとマナのお尻を撫でた。

「あぁんシンジさまぁ〜あぁ〜それはぁ〜」
しっかりと排泄している処まで写真に納められていた。

そしてスナップ写真に切り替わるが、マナはいつもミニスカートでかなり下着が写っている。
「サービスだとか言って、見せまくってたんだよ」
ムサシが溜息混じりに説明した。

「これなんかほら」
と言ってケイタが見せた写真は、マナが何処を隠しているんだと言うぐらい際どい水着を着ている写真だった。
しかも所々で胸やお尻を捲って写している。

「これもサービスらしいよ」
ケイタが次々と写真を出す。

「これは、洞木さんがモジモジしてたので誘って皆でやった時!」
マナは元気にそう言うが、そこに映し出されていたのは、全裸の男女5人だった。

ヒカリは恥ずかしそうに胸と股間を手で隠しながら、マナは妖しいポーズを取っている。
ムサシは憮然とケイタは普通に立っており、トウジはそっぽを向いていた。

「これは、シンジ様のためにサービスカット」
「ぶっ!」
シンジは吹き出した。

そこには窓の外を向いているのだが、顔をこちらに向け、自らお尻を開いているマナとヒカリが写っていた。

「なんで洞木さんまで?」
「シンジ様にお土産にって言ったら喜んで」
マナはポッと顔を紅くして言う。

「マナが無理矢理ポーズ取らせたんだろ」
ムサシが事実を暴露する。

「そんな事ないもん!シンジ様が喜ぶって言ったら「じゃぁ」ってポーズ取ってくれたんだもん!」
「あ、ありがとうと言うべきなのかな?」
流石のシンジもこの順応力には冷や汗を流していた。

(あの委員長がここまでになるとは・・・)

「はいこれ」
ケイタがCDの様な物をシンジに渡す。

「何?」
「今のダイジェスト版だから、連写とかしてる場面もあるし、見せてないのとか動画も一杯あるから、帰ってからゆっくり見て」
「あ、ありがとう」
シンジがそれを受け取ると同時にブンッと言う音がして、家の電気が切れた。

暗くなった部屋に、電池のため切れていないノート端末にマナのお尻だけが映し出されていた。

「マナ達はシェルターに避難してて」
「えっ?停電ぐらいで?」
マナがキョトンとした顔で尋ねた。
ムサシとケイタも停電ぐらい大した事ないでしょ?と言う顔をしている。

「この街が停電に成る事自体が異常なんだ」
コクンとレイも頷いた。

「でも停電だとシェルターも機能しないんじゃないの?」
ケイタが尤もな疑問を唱える。

「一応、シェルターって言うぐらいだから、ある程度の自家発電は備えているはずだよ」
「成る程!そっか」

「こんな時に使徒が来ても、警報が鳴らないからね」
シンジはそう言うと3人を促し、外に出た。

「それじゃ僕達はNERVに行くから気をつけてね」
シンジはそう言うとレイと共にNERVに向かう。

「・・・今日はNERVに行く日ではないわ」
「緊急時、チルドレンは発令所へ・・・だろ?」
「・・・そうだったわ」
シンジとレイは微笑み合っていた。



「お〜い!ちょい、待ってくれぇ!」
男がそう叫び、なおかつ駆けつけてくるのに、エレベーターは無情にもそのドアを閉じようとしていた。

ドアとドアの隙間にわずか手を差し込み、エレベーターのドアの安全機構を利用して、男は、なんとかミサトの乗るエレベーターに間に合うことが出来た。

「こんちこれまた、御機嫌斜めだね」
ドアに手をかけたまま、加持は涼しい顔でそうミサトにいった。

「来た早々、あんたの顔、見たからよ」
「つれないねぇ」

「それより、あんた一体いつまでここにいるつもり?」
顔をムッとしかめて、ほとんど言いがかり的な内容と口調でくってかかる。

「辞令がまた出るまで、だな」
さらりと加持は受け流す。

「そうツンケンするなよ、お互い疲れるだけだろ?」
「ふん・・・勝手でしょ」
ぷい、とそっぽを向く。

そして思い出したように、
「いつまでもドア押さえてないで、さっさと乗ってよ」
「へいへい、お許しを得ましたからね」
そういって加持が手を離すなり、ドアが閉まっていった。



「・・・いい?それじゃカウントよろしく、マヤ」
「ハイ、5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・」

ブシュウゥゥーッ

ちょうどゼロのタイミングで、パイロットランプが全て消えていく。
突然暗やみに包まれ、びっくりして目をぱちくりさせるマヤ。

「主電源ストップ。電圧0です」
それでも報告は忘れない。

リツコが起動ボタンに手をかけた瞬間、全ての電源が落ち、マヤを除く全ての職員が責めるような視線でリツコを見た。

「わ、わたしじゃ、ないわよ・・・多分・・・まだ・・・押してないし・・」
押して無いのに何故「多分」と弱気なのか全く不明だ。

「そうです!私は先輩を信じます!」
マヤはリツコの味方についたが、誰もリツコに向ける視線を変えようとはしなかった。



「だめです。予備回線、つながりません」

冬月にそう報告しながらも、シゲルは落ち着いたもので、この状況で使用可能な回線を早くもチェックし始めていた。

「生き残っている回線は全部で1・2%。2567番からの旧回線だけです。残った電源をマギに優先的に回しますか?」
「セントラルドグマの維持にもだ!」

「そうすると、全館の生命維持に支障が生じますが」
「かまわん!」
受け答えする冬月の横では、ゲンドウの色眼鏡がキラリと、非常灯に照らされて不気味に光っていた。

「やはり、ブレーカーは落ちたと言うよりは落とされたと考えるべきだな」
「原因はどうであれ、こんな時に使徒が現われたら大変だぞ」
「所詮、人間の敵は人間、ということか」
ゲンドウが返事をしないため冬月が独りで喋り続けていた。



ゲートではアスカが溜息を吐いていた。

「あぁあ、やっぱり駄目かぁ、自力で行きますか」
アスカは独りそう言うと非常口へ向かった。

アスカは通路を歩いていき、行き止まりに突き当たった。

「やっぱりダクトを通るしかないのか、ちゃんと辿り着けるかな」
アスカらしくない弱気な発言だが、普通、図面も無いままダクトを通り目的地に着く等、不可能に近い。

案の定アスカは迷っていた。

「はぁ困ったなぁ、あたししかエヴァを動かせる人間が居ないのに・・・」
アスカはそう呟きながら彷徨い続けていた。



シンジとレイは、やはりダクトを進んでいた。
レイが前を進み、何故かスカートは捲れ上がり、白い無地のパンティが動いている。

最近ではレイもパンティと呼べる下着を着けている。
これにはヒカリの助言が効いていた。

マナは女性用の下着が着けられるだけで嬉しくて、多種多様な物を買い込んでいるが、ヒカリは「まだ白い下着で良い、でもバーゲン品は駄目」とレイに教育していたのだ。

そして中学生とは言え、潤沢な資金を持っているレイはかなり高級な下着を最近着けるようなっていた。
それは、ピッタリと身体に吸い付き、それでいて履き心地の良い物だった。

見ている分には、お尻の線が綺麗に見え、さらにヒップアップ効果もあるらしい。
元々、スタイルの良いレイにそんな物は必要ないのだが、それでもダランとしたバーゲン品とは全く違う、雰囲気を醸し出す。

そして何より生地が薄い。
体質なのかレイは未だ恥毛が生えていない。
そのため、四つん這いで這っている今の姿勢では、だんだんと股が食い込んでいき、レイの秘所はすっかりその形を露わにしていた。

しかも暗いダクトの中のため、下手に下着を脱いでいるより、白い下着の方がはっきり見えるのだ。

右に左にと動くレイのお尻を眺めながら気分よくダクトを進んでいる時、蛙を踏んづけた様な音がした。

「ぶぎゃ!ぐげっ!」

「ちょっとあんた達!なにも踏んづけて通る事ないでしょ!」
独りで東奔西走していたアスカが疲れてその場で寝ていたのだった。

「アスカこそ、なんでそんな処で寝ていたの?」
「そんな事より、ファースト!なんて格好してるのよ!」
レイはアスカなど、歯牙にも掛けず先へ進んでいたのだが、シンジが来ないので止まって待っていたのだ。
スカートを捲り上げたまま。

「・・・碇君の望み」
「あ、あ、あ、あんたはシンジの望みなら何だってやるっての?!」

「・・・そうよ」
レイは当たり前の事の様に淡々と答える。

「あんた全然変ってないじゃない!司令の人形だったのがバカシンジの人形になっただけじゃない!グフッ!」
いきなりアスカは凄まじい力で首を握られた。
正しく絞められたと言うより握られたと言う感じだ。

「アスカ?君こそ何も変らなかったようだね。そうやって他人を蔑むしかできないんだね。でも僕は綾波に害なす者なら誰であろうと消すよ」
死ぬ!アスカは真剣にそう感じた。
マグマに落ちそうになった時よりも鮮やかに。

アスカは口からは涎を出し、眼から涙、鼻から鼻水を流していた。
そして遂に股間に生暖かい湯気が立ち上る。

「・・・全然違う事が解らないのね」
レイがぼそりと言い、それに合わせてシンジはアスカを解放する。

「ゲホッゲホッ・・・ゲホッ」
アスカは首を絞められていた事と、解放された時、自分の漏らしたアンモニア臭を思いっきり吸い込んで咽せかえった。

「次は無いよ」
シンジはそう言うとレイと共にアスカを残し先へ進んだ。

アスカはシンジとは次元が違う事を改めて思い知らされた。
今までは自分だけはと言う思いがどこかにあったのだ。
いや、どんなに変ろうと自分の知っているシンジだと思っていた。

自分の知っているシンジなら必ず自分を助けてくれる。
マグマに落ちそうになって助けられた時に、それを感じたような気がしていた。
しかし、次は間違いなく殺されるだろう。

アスカはシンジ達に対し曖昧なままでは居られない事を感じていた。



ダクトからスタンと飛び降りたシンジとレイ。
そこにはエヴァの発進準備をするリツコが安堵の表情で迎えた。

「あら、貴方達」
「発進準備は出来てるようですね」
シンジはそう言うと、初号機エントリープラグの方へ行く。

レイも零号機のエントリープラグへ向かった。

制服姿でエヴァに乗り込む2人。

使徒はシンジがATフィールドを中和し、レイがパレットガンを打ち込んであっけなく倒された。

「プラグスーツぐらい着替えればよかったね」
「・・・そうね」
LCLでベタベタの制服姿で2人はエヴァを降り丘に佇んでいる。

「この街はよく停電に晒されるね」
「・・・そうね」

「赤い世界も嫌だったけど、暗闇もあまり嬉しくはないね」
「・・・人は闇を恐れ、火を使い、闇を削って生きてきた」

「僕も闇を恐れているのかな・・・」
「・・・貴方は私が護る」
レイはそう言ってシンジを抱きしめる。

「ありがとう」
シンジもレイを抱き返した。



アスカはまだ、ダクトの中で考えていた。

(バカシンジは断罪のために時間を戻した、これは間違いない・・・)
(その対象は、赤い海に溶けていた人間全て・・・)
(ハハ・・・バカだなあたし・・・あたしなんて対象の筆頭じゃない・・・)

(でもあのバカ、誰かに直接なんかしたのかしら?・・・)
(精々眼鏡が警察のお世話になったぐらい?・・・)

(ジャージは返り討ちに合って、でも結局ヒカリとくっついて、しかも・・・)
そこでアスカは独り真っ赤になっている。

(ミサトとリツコがエヴァに乗ったのは、きっとそうね・・・)
(結局シンジの断罪って大したことないんじゃない?・・・)

(う〜ん、それならバカシンジの機嫌を損ねないようにしてればいいような気がしてきた・・・)
(あいつの機嫌を損ねるとさっきみたいに殺されそうになるけど、放っとく分には大した事ないって事よね・・・)

(でも、バカシンジの機嫌を取る気にはなれないから関わらないのが一番ね・・・)
(惜しむらくは、シンジの料理が食べられない事ぐらいか・・・)
(でも、こっち来てから1回も食べてないし、最初から無かったと思えばいいか・・・)

(今のあいつなら口から入れた物は出して返せとか言って浣腸とかされそうだしね・・・)
アスカはしっかりヒカリの教育で、その手の情報はすっかり耳年増になっていた。
最初はトウジとどれくらい進んでいるかを探っているだけだったのが、そのうちそっち系の話になり、アスカがふと漏らしたハードな事までヒカリは軽く答えたのだった。

そこからは、アスカの好奇心は止めどなく、ヒカリに尋ねまくったところ、ヒカリのその手の知識は驚くべき物だったのだ。
ヒカリ自身は、主にマナから仕入れた情報が殆どであったのだが・・・

(それにシンジの機嫌を取るって事は、あの戦自女やファーストみたいにされるって事・・・)
アスカは、この間攫われた時の事を思い出して身震いした。

(そう言えば、あいつには自分で見たこともない所まで見られちゃってるのよね・・・)

(でも、あの戦自女だって、本当だったらN2で溶けてたはず・・・)
(あいつ、もしかして変態になったけど皆を助けてる?・・・)

(考えようによっちゃ眼鏡だって今のうちに足を洗っておいた方が良いに決まってる・・・)
(今のシンジならジャージだって怪我させる事もないだろうし・・・)

(考えようによっちゃミサトだって自分で仇が討てたわけだし、リツコだって自分自身でシンクロを体感できた・・・)

(かといってバカシンジの玩具になるのもなぁ・・・)

アスカは悩んだ。
マナのような事をされるのなら、死んだ方がましだと思うのだ。
しかし、マナは喜んでやっているようにも見える。

実際、マナは喜んでいた。
マナ自身もケイタとムサシを選べないために自己防衛として2人とは友達と言う枠を作っていたのだ。
しかし、今は3人仲良く身体を重ねられるのだ。
元々戦自に居た時にモルモットの様に扱われ、毎日の様に陵辱を受けていたのだ。
既に普通の結婚生活など有り得ないと思っていたマナにとって、今の生活は数万倍幸せだった。
それに、シンジにも惹かれている。
これは魂の記憶かもしれない。

(まぁあの戦自女も変態だったって事ね・・・)

(ってことは、シンジに毒されていないあたしは、もしかして幸せになれる?)
アスカはここに来てニヤリとした。

先程まではシンジに首を掴まれ、死にそうな目に会い、失禁までしたのに大した立ち直りの早さだ。

(でも世の中にろくな男って居ないのよね・・・)
それは赤い海での記憶だった。
アスカは全ての人と溶け合ったわけではない。

ずっとシンジとレイを見ていたからだ。
それでも知っている男たちは感じていた。
NERVの男性職員や、クラスメート達だ。

そしてアスカはシンジの優しさを知り、ずっとシンジとレイを見る事になったのだ。

(シンジに玩具にされていた方が幸せなのかなぁ・・・)
(でも、あたしは3番なんて嫌!)

(いっその事ファーストからシンジを奪ってやろうかしら・・・)
(出来たら、ファーストの悔しそうな顔が見れて嬉しいけど・・・)
(無理ね・・・)

レイは、あの長い時間シンジに拷問と言える責めを受け続けて、それでもなおシンジの傍に居るのだ。
言い換えると、そのためにシンジの愛情を一身に受けているとも言える。
アスカには自分がそれに耐えられるとは、到底思えなかった。

(となると、やっぱりシンジ達とは距離を取る方が無難ね・・・)
(でもヒカリとは仲良くやっていきたいし・・・)

などと延々と考えているうちに電気が復旧し、アスカは、MAGIにダクト内の異物として発見され、救助されたのだった。



続きを読む
前を読む
戻る


新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
inserted by FC2 system