第拾七話
欠けたピース


「消滅!?確かに第2支部が消滅したんだな!?」
発令所に冬月副司令の声が響いた。

「はい、すべて確認しました。消滅です。」
画面には「VANISHING」の文字がめまぐるしくスクロールしている。

「まいったわね〜!」
ミサトがぼやいている。
一体何がまいったのか甚だ不明だ。

「上の管理部や調査部は大騒ぎ、総務部はパニクッてましたよ」
マコトが本部の動きを伝える。

「で、原因は?」
「未だ分からず。手がかりはこの静止衛星からの画像のみよ」
リツコの説明と共に作戦室の巨大床面ディスプレイに衛星軌道上からの北アメリカ大陸が表示された。

ネバダ州が拡大されていく中、荒れ果てた砂漠のような地形の中央にいくつかの建造物が見える。

「10秒前から再生します」
マヤがカウントダウンを始めた。

「8」
「7」
「6」
「5」
「4」
「3」
「2」
「1」
「コンタクト!」

音もなく、建造物の中央から赤い光が広がっていく。
半球状に陥没していく地面。

半径35キロまで広がったところで衛星のカメラが破壊された。
中央のディスプレイには”VANISHING NERV−02”の文字だけが点滅している。

「エヴァンゲリオン四号機ならびに半径89キロ以内の関連施設はすべて消滅しました」
マヤは事務的に報告を続けた。

「数千の人間も道連れにね」
リツコは、何か思うところがあるのか、溜息混じりにそう呟く。

「タイムスケジュールから推測して、ドイツで製造されたS2機関の搭載実験中の事故だと思われます」
シゲルが取り寄せた資料をめくる。

「予想される原因は材質の強度不足から設計初期段階のミスまで3万2千768通りです」
マヤがMAGIの計算結果を補足した。

「妨害工作の線も考えられるわね」
ミサトは電源喪失事件の事が忘れられなかった。

「でも爆発ではなく、消滅なんでしょ。・・・つまり消えたと」
マコトは補佐として気になる点を指摘する。

「たぶんディラックの海に飲み込まれたんでしょう。先の初号機のように」
「じゃあ、せっかく製造したS2機関は?」
リツコの平然とした態度にムッとしたミサトが詰め寄る。

「パーよ。夢は潰えたわ」
あくまでリツコは冷静だった。

「よくわからないものを無理して使うからよ」
一歩間違えば自分達も同じ運命をたどったという恐怖とそれから逃げるわけにはいかない怒りからミサトは憤慨していた。

リツコはポケットに手を突っ込んだまま表向きは冷静にミサトの言葉を聞いている。
そっと顔を背けた後、心の中で呟く。

(それはエヴァも同じだわ・・・)



第3新東京市からジオ・フロントへ降下する巨大エスカレーターにミサトとリツコが乗っていた。

「で、残った参号機はどうするの?」
ミサトが唐突に話し出す。

「ここで引き取ることになったわ。米国政府も第1支部までは失いたくないものね」
リツコもジオフロントを見下ろしながら返事をする。

「参号機と四号機はあっちが建造権を主張して強引に造ってたんじゃない。今更危ないところだけうちに押しつけるなんて虫のいい話ね」
「あの惨劇の後じゃあ、誰だって弱気になるわよ」

怒りを顕わにするミサトに対してリツコは心ここに有らずといった感じで慰める。

「起動実験はどうすんの?例のダミーを使うの?」
ミサトには、ダミープラグの事を生身のパイロットを使用しなくてもエヴァを安全に起動できる方法を模索する実験のひとつとしか説明していない。

だが、ダミープラグの開発は頓挫している。
本来であれば、レイの戦闘データをデジタル化し、素体を乗せる事によりそれをレイだとエヴァに勘違いさせるのがダミーシステムだったのだ。
そして、実際の戦闘はデジタル化されたパターンにより行われる予定だった。

しかし、素体が無い今、レイのデータだけでは、その差分が取れないためデジタル化するデータの棲み分けが行えないのである。

「これから決めるわ」
リツコはそう言いつつもアテはなかった。
コアの入れ替えには莫大な予算が必要になる。
従って、親近者を直接コアに取り込むのが手っ取り早く予算も掛からないのだが、健康な人間をコアに取り込ませるのは、流石にリツコでも決断できなかった。

「私が乗るわ」
「え?」
ミサトの発言に虚を突かれるリツコ。

「これで、前線で指揮が執れるって物よ」
ミサトは既に恍惚の表情を浮かべていた。



病院ではユイが目覚めていた。

「ここは?」
「・・・病院だ」

「ゲンドウさん?」
「・・・ああ」

「随分、老けて、冬月先生も?」
「あぁ久しぶりだねユイ君」

「実験は失敗したのですか?」
「・・・ああ10年前、お前はエヴァに取り込まれた」

「10年前?今は何年なのです?」
「・・・2015年だ」

「・・・そう、この夢の様な記憶はエヴァの中での記憶ですのね」
「どんな記憶なのかね?」

「夜中のケイジでナオコさんの娘さんを犯すゲンドウさんとか」
「!!」

「突然呼び出したシンジをエヴァに乗せて使徒と戦わせようとしたとか」
「ユ、ユイ君、その記憶があると言うのかね?!」

「えぇ、葛城博士の娘さんも初号機に乗ったわね」
ゲンドウは汗をだらだらと流している。

「ゲンドウさん?」
「・・・な、なんだ?」

「私をもう一度エヴァに乗せて下さいな」
「また取り込まれるつもりかね?!」

「はい、エヴァと共に使徒を倒すのが私の使命。そしてエヴァと共に永遠に生き続けますわ」
「それが君の望みかね」

「私がエヴァに取り込まれないと誰もエヴァを操縦できませんわ」
「・・・シンジはユイがプラグに居てもエヴァを動かしていた」

ゲンドウの言葉に眼を見開くユイ。
その顔はレイを大人し髪を茶色にしたそのものだった。

「あの子は適格者だと言うのですか?」
「・・・それしか説明がつかん」

「それでも私はエヴァに乗ります」
「・・・まず身体を回復させろ。全てはそれからだ。焦る必要もない」

キッとゲンドウを睨付けるユイ。
その視線にゲンドウは冷や汗を流し、直接責められている訳でもない冬月も背筋に悪寒を走らせた。

「ゲンドウさん?私の邪魔をするつもりなんですか?」
「・・・いや、そんなつもりは無い。それより現状を理解して今後の事を考える必要があるのではないのか」

「そうだよユイ君、兎に角今は身体を元に戻す事が先決ではないかね」

「冬月先生まで・・・解りましたわ。その代り、現状の人類補完計画の状況が解る資料を寄越してくださいな、それと何故、私がエヴァから出されたのかも」

「前者は、すぐに用意させるよ。後者は今、調査中ですぐには無理だ。それよりユイ君が身体を回復させてから調べた方が早いと思うがね。今でもエヴァの事に一番詳しいのは君だよ」

「はぁ・・・10年間も一体何をなさってたのかしら?まあ良いですわ。取り敢ず現状の詳細な資料を寄越して下さいな」

「碇、赤木君に早速まとめさせて持ってこさせよう、構わんな?」
「・・・問題ない」

ゲンドウはユイに取り憑く島も無く、冬月はこれ幸いと色々とユイのために進言していた。



巨大なクレーンによって細長い円筒状の赤い物体が運ばれてきた。
待っているのはゲンドウとリツコだけである。

円筒の曲面に合わせた四角いプレートには文字が刻印されていた。

DUMMY PLUG EVANGELION <2015> REI-00

「試作されたダミープラグです。レイのパーソナルが移植されています。ただ、人の心、魂のデジタル化はできません。あくまでフェイク、擬似的なものにすぎません。パイロットの思考の真似をする、ただの機械です」

レイの素体がない今、文字通り機械のみの物となっており、またデータも殆ど取っていないため第五使徒戦以前のデータで作られている。

形だけ何とか取り繕ったと言うのが正しい表現だろう。

「信号パターンをエヴァに送り込む。エヴァがそこにパイロットがいると思い込み、シンクロさえすればいい。初号機と弐号機にはデータを入れておけ」
「まだ、問題が残っています」

「構わん。エヴァが動けばいい」
「それが、動くかどうかも不明です。何よりデータが零号機起動実験時の物です」
その言葉にゲンドウも言葉を無くす。

「機体の運搬はUNに一任してある。週末には届くだろう。あとはキミの方でやってくれ」
唐突な話だがリツコにはそれが参号機の事であるのは解りきっていた。

(逃避したわね・・・)

「はい、調整ならびに起動試験は松代で行います」

「・・・テストパイロットは?」
「ダミー・プラグは論外です。現候補者の中から・・・」

「・・・4人目を選ぶか」
「そう考えておりましたが、葛城三佐が乗るつもりで居ます」
「・・・任せる」

「よろしいのでしょうか?」
「・・・問題ない」
ゲンドウはそれどころでは無かったのだ。



シンジとレイは繁華街を歩いていた。

「ちょっと何?その髪と眼の色。舐めてんじゃないの?」
どこかの高校の制服のスカートを思いっきり短くした女が、急に絡んで来た。

レイの容姿は目立つ。
目立つ事を心情にしている輩には目障りなのだろう。

「アルピノって言う体質ですけど」
シンジが取り敢ずかわそうとして答えるが頭の悪い女子高生には、その言葉すら意味を理解できなかった。

「はん、何訳分かんない事言ってるんだよ!ちょっとこっち来な!」
理解できなかった女子高生は自分が馬鹿にされた気になり更にヒートアップする。

なんとなくミサトかアスカと話している気分だと思いながらシンジとレイは路地裏に連れ込まれる。
そこには、10人足らずの同じ様な風貌をした女子高生とおぼしき人間が居た。

「何こいつらぁ?」
「生意気だから絞めてやろうと思ってさ」
「おぉいいねぇ退屈してたんだ」
そう言うと、ショートカットのリーダらしき女子高生がレイの髪を掴んだ。

「痛っ!何しやがるんだよ!」
レイがいきなり髪を掴まれたので、その手を払い退けたのだ。

シンジがその女子高生の腹を蹴り上げる。

「ぐふっ!」
つんのめる女子高生。

「てめぇ!舐めてんじゃねぇぞ!」
全員が襲いかかってきた。

当然の如く一瞬にして地面に転がる女子高生達。

「さて、どうしようか?」
レイに尋ねたが、レイはキョトンと首を傾げただけだった。

「くっ、こんな事して只で済むと思うなよ。ぐはっ」
まだ強気に喋る元気はあったようだが、シンジに腹を蹴られ蹲る。

短いスカートのためパンツ丸出し状態で転がる女子高生達。

シンジは何処からともなく取り出した縄で女子高生達を縛り始めた。

「な、何する気だ!」
「や、やめて!」
「ごめんなさい、許して!」
口々に色々と喚いているがシンジは取り合わない。

そうこうしているうちに全員逆さに吊り下げる。
当然、スカートは捲れて下着丸出し、逆さのため、上着もずり上がりブラジャーまで丸見えだ。

「う〜ん、今一面白みに欠けるねぇ」
シンジは、そう言うと何処からともなく取り出したナイフで女子高生達の下着を切り刻み始めた。

「や、やえてぇ!」
「わ、悪かったわ!もう許してください!」

声に出せる人数も減ってきた。
他の人間はもう泣いているだけで懇願する事すらできないでいる。

「君、綾波の髪を掴んでくれたね」
「ご、ごめんなさい。許して」
その少女は既に泣きべそをかいて懇願している。

「駄目、許さない」
シンジは、そう言うとその女子高生の股間にナイフを突き立てる。

「ひっ!」
失禁してしまう女子高生。

逆さに吊られているため、自分の顔に尿が掛かる。

「おやおや、随分締まりがないね」

それでも飽きたらず、シンジは辺りにあったビールの空き瓶を女子高生達の肛門とヴァギナに突き刺す。
既に女子高生達は嗚咽を漏らし、「許して」と同じ言葉を繰り返すのみだ。

「綾波に手を出したからね、本当なら殺したい所だけど、今日はこのぐらいで勘弁しておいてあげるよ」
全員にビール瓶を挿入し終えるとシンジはそう言ってレイを連れて去っていった。

後には、殆ど裸で逆さ吊りにされ、股間に2本ずつビールの空き瓶を挿入された女子高生達。

この場所が彼女達の溜まり場であったため、この後やって来た知り合いの不良達に更に犯される事になるのだった。



反射光を抑えた柔らかな照明の元、リツコは端末をたたいていた。

そのすぐ脇でミサトが暇そうにコンソールに半分体重をのせながら寄りかかっている。

何の気負いもなくリツコは話を切りだした。

「松代でのエヴァの起動実験、テストパイロットは貴女で承認が降りたわ」
「よっしゃぁ〜」
ガッツポーズを取るミサト。

「でも良いの?今度エヴァを壊せば減棒では済まないわよ」
「だぁいじょうぶよ、後方から援護しながら指示するだけだから」

「そう?貴女が一番に突っ込んで行きそうだけど?」
「な、何言ってるのよ、歩兵の隊長は歩兵よ!歩兵の指揮を発令所で取ってる方がおかしいのよ」

「そう言う物?」
「そう言う物よ、大体、戦艦の指揮は旗艦、戦闘機の指揮も戦闘機、エヴァだって同じエヴァから指揮した方が良いに決まってるわ」

「貴女にしては珍しく一般的な意見ね」
「どういう意味よぉ〜」

「そのままよ」
リツコはそう言うと椅子をくるりと廻し煙草に火をつけた。

美味そうに一服吸うと、口を開く。

「それよりも貴女、アスカとは上手くやってるの?」
「え?」

「アスカが住居をジオフロント内の居住区で申請してきたわ」
「それって・・・」

「理由は『このままでは夢の島に埋もれてしまうから』だそうよ」
「あんの餓鬼ぃ〜っ!」

「ミサト!」
「な、何よぉ〜」

「自業自得よ」
「リツコォ〜」

「正直なところ加持君とミサトに気を遣ったんじゃない?」
「えっ?わ、私と加持とは、そんな、なんでも・・・」

「この間の結婚式の後からミサトが自分が幸せだからって人に押しつけるってアスカがぼやいていたわ」
「たはは・・・」

実のところアスカはミサトに咎められず、自由にマナのマンションに行きたいだけだった。



第3新東京市の市街地を飾り気のない列車が走っていた。

「街・・・人が創りだしたパラダイスだな」
第3新東京市を見ながら冬月が独り言のように呟く

「かつて楽園を追い出され、死と隣り合わせの地上に生きるしかなかった人類。その最も弱い生物が弱さ故に手に入れた知恵によって造り上げた地上の楽園だよ」
夕日で暁に染まったビル群を見ながらめずらしくゲンドウが答える。

「自分を死の恐怖から守るため、自分の快楽を満足させるために自分たちで作ったパラダイスか」
「この街がまさにそうだな。自分たちを守る武装された街だ」

「敵だらけの外界から逃げ込んでる臆病者の街さ」
「臆病者の方が長生きできる。それもよかろう」
辛辣な言葉を吐くゲンドウに対し、あくまで生きることの重要性を説く冬月。

「第3新東京市、ネルフの偽装迎撃要塞都市。遅れに遅れていた第7次建設も終わる。いよいよ完成だな」

沈黙を続けるゲンドウに冬月は話題を変えた。
「四号機の事故、ゼーレにどう説明するつもりだ」
「事実のとおりに、原因不明さ」

「しかし、ここに来て大きな損失だな」
「四号機と第2支部はいい、S2機関もサンプルは失われてもドイツにデータが残っている。ここと初号機が残っていれば十分だ」

「しかし、委員会は血相を変えていたぞ」
「予定外の事故だからな」

「ゼーレもあわてて行動表を修正してくるだろう」
「死海文書にない事件も起こる。老人にはいい薬だ」

「ユイ君もか?」
「・・・問題ない」

(こいつの「問題ない」は考えられないと言う事だったのだな・・・)

冬月は改めてゲンドウの底が見えた気になっていた。



リフレッシュコーナーでは加持がマヤに近付いていた。

真実を知りたいと自分を誤魔化し、それを全ての理由にして好き勝手にやっている男だ。
女性を口説き、飽きると捨てる。
情報を得る為に近付いたが有益な情報を得られないためと自分を納得させて。

今回もリツコの片腕であるマヤなら、色々情報を引き出せるかもしれないと自分の中で理由を付けていた。

実際は、頭脳明晰でリツコの片腕であるのに、その童顔と潔癖性で純情そうであるというアンバランスに性欲を掻立てられただけである。

「せっかくここの迎撃システムが完成するのに祝賀パーティのひとつも用意されてないとは、ネルフってお堅い組織だね」
「碇司令がああですもの」

「キミはどうなのかな?」
加持はさっそく落としにかかっていた。

「いいんですか加持さん?葛城さんや赤木先輩に言っちゃいますよ」
マヤも口ではそう言いつつ加持との軽い会話を楽しんでいた。

「その前にその口を塞いで」
加持が屈み込み顔をマヤに近づけようとし、マヤが避けようと身をひねったときに声が聞こえた。

「お仕事進んでる?!」

加持は顔を上げるまでもなく、それが誰であるかは理解した。

「ああ、ぼちぼちだな」
悪びれた様子も見せずに笑顔を向ける加持。

そこには一部の隙もなくネルフの制服を着こなしたミサトが立っていた。

「じゃあ、わたしは仕事があるのでこれで・・・」
マヤは笑いを浮かべるとそそくさと持ち場に戻っていく。

「あなたのプライベートに口出すつもりはないけど、この非常時にうちの若い子に手を出さないでくれる?」
「キミの管轄ではないだろ?それとも葛城にならいいのか?」

「これからの返事次第ね」

ミサトは、マヤが去ったのを確認してから加持の方を向くと真剣な顔で詰め寄る。

「前回の使徒戦で初号機のエントリープラグに乗っていた女性。知っているんでしょ?」

「さて」
「とぼけないで」

「他人に頼るとはキミらしくないな」
「なりふり構っていらんないのよ。いきなりエントリープラグに現れたかと思うとS級の極秘扱い、病室に近づけもしないわ。そして司令も副司令もよく病室に足を運んでいる。この裏は何?」

「葛城はチルドレンとは何なのか知っているのか?」
「そんな事、今は関係ないでしょ!?」

「ひとつ教えておくよ。マルドゥック機関は存在しない。影で操っているのはネルフそのものさ」
「ネルフそのもの・・・碇司令が・・・」

「コード707を調べてみるんだな」
加持はそう言い残すと足早に離れていった。

「コード707・・・レイ達の学校?」
ミサトは加持にはぐらかされたと感じていた。

加持に取っては、別な謎をも秘めた最大限のヒントを与えたつもりである。
しかし、ミサトには通じていなかった。

「馬鹿にして!」
ゴミ箱を蹴り、その場を去るミサト。



加持はミサトと別れた後、偶然シンジ達と出会った。

「たまにはどうだい?お茶でも」
「お断りします」
間髪入れず答えるシンジ。

「大人には甘えるもんだぞ?」
「綾波に貴方を近づけたくありませんから」

「おいおい、幾ら俺でも中学生を口説いたりしないぞ、それもエヴァのパイロットを」
「そうですね、口説きもしないし、それどころか自分の欲望のためには駒にさえしますね」

「俺が何時そんな事をしたと言うんだ?」
加持は、シンジのあまりの悪意に、ムッとした顔をして尋ねる。

「・・・貴方は信用できないわ」
「これは参った、レイちゃんにまで嫌われていたか、今日は大人しく退散するよ」
加持はそう言って、去っていく。

(なんであの二人にここまで嫌われているんだ?・・・)

加持は独りスイカ畑で悩んでいた。

ミサトと加持、リツコにマヤ、ゲンドウと冬月、そしてユイ。
それぞれの中で少しずつピースが欠けていっている事に今は誰も気付かなかった。

それはトウジと言う名のピース。
しかし、その事を知る者は今のNERVには居なかった。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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