第弐拾四話
最後のシ者


立派な洋館に見える2階建てのマンションの前でマヤはもじもじしていた。

「はぁ〜ぁせんぱぁい」
眼に涙を溜め入りかけては出てくるのを何回も繰り返している。

リツコから与えられた<<特命>>それは、シンジに会って何を考えているのかを聞き出して来る事であったのだ。

「なんで私なんですかぁ〜」
この言葉も先程から何度も繰り返していた。

マヤとしては未だシンジが恐かった。
しかし、リツコにも勝算があったのだ。

マヤの腕を跡形もなく治した事。
この事により少なくともミサトや自分達よりはマヤに対して敵対心を持っていないと判断した。
且つ、マヤにだけは、罪と言う言葉を用いている。
それは、罪を犯さないで欲しいと言う願いではないだろうか?

つまりリツコはマヤはシンジに許されている、又はその可能性のある唯一のNERV職員と睨んだのだ。
その推察は概ね合っている。
しかし、その事とシンジの行動は別物なのだが、流石のリツコもそこまで予測は出来なかった。

そして、マヤは何があっても聞き出すか連れてくるまで帰ってこなくて良いとまで言われていた。


ポロロン♪ポロロン♪
意を決して漸くインターフォンを押したマヤ。
そのあまりにも軽い音に半ば崩壊寸前まで張詰めているところに決した決意が挫けそうになる。

「はぁ〜い。何方ですかぁ?」
インターフォンからは明るい元気な声が聞こえてきた。

(きっとマナちゃんって娘ね・・・)
事前準備で調べていたマヤは、比較的話し易い人物が出てきた事で少し安堵の息を漏らす。
第一の関門突破と言うところだ。
ここでシンジやレイが出てきたらマヤはパニックに陥っていただろう。

「私はNERVの伊吹マヤと言います。こちらに碇シンジ君が居ると伺って、お願いがあって尋ねてきました」
俄にNERVの人間らしからぬ丁寧な挨拶でマヤが告げる。

しかし、その声は上擦っており、大人の威厳と言う物は欠片もない。

「どうぞぉ〜♪」
マヤの高鳴る動悸を余所に脳天気な声でマナは迎え入れたのだった。



「フンフンフ・フフフフ・フフフフンフフ〜ンフフ・・・フンフンフ・フフフフ・・・・」
ベートベン第九の鼻歌が聞こえてくる。

エヴァの爆発で湖となってしまった水に浸かって居る場所で、崩れた天使像に座ってカヲルが口ずさんでいた。

「歌はいいねぇ、歌は心を潤してくれる。リリンの産み出した文化の極みだよ。そう感じないか、碇シンジ君?」
「僕には綾波の喘ぎ声が心を潤してくれるからね」
シンジの言葉にボッと音が聞こえてきそうな程、顔を真っ赤にするレイ。

「君は僕と同じだね、あやなみれい」
天使像からさっとシンジ達の目の前に降り立ったカヲルがレイの方を見てそう言う。

「・・・私は私、貴方じゃないわ」
「ふふ、お互いこの星で生きていくために、この身体に辿り着いたと言う事さ」

シンジはカヲルに会うために第三新東京市に来ていたのだ。
マナ達と遭遇するために戦自に行った時と同様に周りの人間達はシンジ達を認識する事はできなかった。

「カヲル君はアダムに帰るのかい?」
「アダムより産まれし者はアダムに帰るのが宿命なんだよ、例えそれで人類が滅んだとしてもね」
シンジの言葉にカヲルは一瞬眉間に皺をよせた。
しかし、なんの躊躇もなくシンジの言葉に答える。

「未来を与えられる生命体は一つだからかい?」
「そうだね、でも僕は死を選ぶ事もできる。それが僕に与えられた絶対的な自由なんだ。生と死は僕にとって等価値なんだよ」
いつものアルカイックスマイルを浮かべたカヲルが饒舌に語る。

シンジの胸は張り裂けんばかりに痛んだ。
カヲルを握り潰した時の記憶が鮮明に蘇って来たのだ。
そんなシンジを心配そうに見つめ、そっと腕を抱締めるレイ。

「大丈夫だよ、綾波」
「・・・・・」
レイは何も言わずシンジの腕を自分の胸に挟み強く抱締める。

「ガラスの様に繊細だね、君の心は。好意に値するよ」
「ありがとう渚君、僕もだよ」

「カヲルで良いよ、碇シンジ君」
「僕も、シンジでいいよ、カヲル君」

お互い微笑み合うシンジとカヲル。
しかし、レイは冷や汗を流していた。

未だ敵か味方かの判断はついていない。
使徒内最強のATフィールドを持つカヲルと地球さえ破壊できる力を持つシンジが対峙しているのだ。
どちらか攻撃を仕掛けた時点で第三新東京市は大惨事になる。

(・・・碇君は私が護る)
レイはキッとカヲルを見据えた。

「・・・ぁっ・・いかりくぅん」
その時、レイの張詰めていた糸が解れる。
シンジがレイに掴まれている腕の手をレイの身体に向け股間をまさぐったのだ。

「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ綾波」
流石のカヲルもその光景を見てポカンとしてしまった。

「こ、これは・・・流石リリスと言うところだねぇ。妖艶って言う事さ」
カヲルは顔を赤らめながらいつもの調子で言葉を紡いだ。

レイは顔を上気させ、ほんのり紅くし、息も少し上擦っている。
ルビーの様に紅い眼は潤み、シンジを見つめていた。

「もう、行かなくちゃ」
「もう終りなのかい?」
少し残念そうに言うカヲル。

レイはそんなカヲルをさっきとは違う殺気を持って睨付けた。

「カヲル君、自由を司る君の意志は尊重するよ。でも、NERVには君を殲滅できる者はもう居ない。僕はカヲル君が尋ねてきてくれるのを待っているよ」
「今じゃ駄目なのかい?」

「まだNERVにも行っていないんだろ?自分の目で確かめて判断して欲しい」
「僕は君ともっと話しがしたいな」

「僕もだよ、だから待っているよ」



「ふふ、シンジ君、君は本当に好意に値するよ。好きってことさ」
シンジとレイが去った後、カヲルは一人呟いた。



その頃、ミサトとマコトはカートレインに乗り、車の中で密談していた。

「フォースチルドレンが今、到着したそうです」
「そう・・・いよいよね」

「渚カヲル、過去の経歴は抹消済み、レイと同じね」
ミサトはマコトが用意した資料をパラパラと捲りながら呟く。

「ただ、生年月日はセカンドインパクトの同一日です」
「委員会が直で送って来た子供よ、何もないはずないわ」

「マルドゥックの報告書もフォースの件は非公開となってます。それもあってちょいと諜報部のデータに割り込みました」
「危ない事するわねぇ」
眼を見開くミサト。

マコトは自慢気に話し始める。
「その甲斐ありましたよ、戦自への内通者を発見しました」
「内通者?!」

「えぇ、克明なNERV潜入計画があって、諜報部の訓練かとも思ったのですが、どうもおかしいので諜報課長にカマを掛けてみたんです」
「それで?」

「慌てて諜報部内で手を打ったようです」
「そう・・・」

「フォースのシンクロテストどうします?」
「今日の所は小細工を止めて、素直に彼の実力、見せて貰いましょ」



カヲルがシンクロテストを受けている。

「後、0.3下げてみろ」
冬月が指示を出す。

マヤを特命でシンジの所へ向かわせたためオペレータが足りずリツコ自らオペレートしているためだ。

「はい」
リツコが答え操作する。

「このデータに間違いはないな」
冬月が確認する。

「全ての計測システムは正常に作動しています」
今度はマコトが応えた。

「MAGIによるデータ誤差、認められません」
「同じドイツから送られて来たとは言え、よもや、これ程とはな、この少年は」
冬月が驚愕する。

「しかし信じられません、いえシステム上有り得ないです」
リツコの声が小さくなる。

「でも事実なのよ、事実をまず受け止めてから原因を探ってみて」
ミサトがシンクロテスト用の疑似エントリープラグを見据えて呟いた。

エントリープラグ内ではカヲルがいつものアルカイックスマイルを浮かべ眼を瞑っていた。



マヤは、落ち着かずソワソワしている。
広い応接室に通され、ソファーを奨められ、香りの良い紅茶を出されたのだが、ソファーがフワフワし過ぎるのだ。

マヤの前に座るマナの股間はマヤからパンティが丸見えだったのだ。
マヤはリツコの特命のため、NERVの制服ではなく普段着を着てきていた。

マナ程、ミニスカートではないが、それでもこのフカフカのソファーに座ると見えてしまうのではないかと少し服の選択を誤ったと後悔していた。

そんなマヤをマナとマユミはニコニコと見つめている。
実はしっかりとマヤのピンクのパンティはしっかりと丸見えであった。

部屋自体もなんとなく落ち着かない。
キョロキョロ見るわけにも行かないため、チェックしていないが、どことなく薄暗いのだ。
よくよく考えると窓が無い。

「今日はどのようなご用件でしょうか?」
ここは何処なんだろうと、考えているところ、マユミから楚々した声が掛かり思考を止められた。

マヤは少し安堵する自分を感じていた。
しかし、本来の目的をここで話して良い物か判断がつかない。

「え、えっとぉ、シンジ君がね、何故NERVに連絡もしないでこっちに居るのかを尋ねに来たんです」
尤もらしい口実を思いついた。
元々、頭の回転は悪くない。
しかし、所々抜けているのも確かだ。

「あら?それは変ですねぇ、シンジ様とレイ様をNERVの方々は捜索されたのですか?」
「そ、それは・・・」
マヤはエントリープラグの痕跡から生存の可能性は極めて低いと知らされていただけだった。
従って捜索など行われておらず、今回もリツコ曰く偶然に見つけたと聞いている。

「ただいま」
「・・・ただいま」

「おかえりぃ〜♪」
「おかえりなさいませ」
シンジとレイが帰って来た。

マユミはすかさず席を立ち、シンジ達のお茶を淹れに行く。

「あっ、お邪魔してます」
マヤがすっと立ち上がり、怖ず怖ずとシンジ達に頭を下げた。

「いらっしゃい」
シンジはマヤを一督すると、マヤの向かいに腰掛ける。
レイは、当然の如くシンジの隣にピトッと腰掛けた。

暫し、沈黙が漂う。
そこにマユミが新しい紅茶を淹れ、持って来た。

「まぁ、お掛けになって。どうしたんですか?今日は」
マユミが淹れて来た紅茶に口をつけながら、シンジはマヤに話し掛けた。

マヤは俯き加減に立ったままだったのである。

「マヤさんに新しいお茶を」
「あっお気遣いなく・・・」
その時、シンジとマユミに密かにアイコンタクトが行われていた事にマヤは気付かなかった。

レイはゆっくりと紅茶の薫りを楽しみ、口を付けた。
NERVに居た時には見た事もない穏やかな表情で紅茶を飲むレイ。

二人の様子を伺っていたマヤは取り敢ず敵意は無いと判断した。

「実は、先輩にシンジ君の考えを聞いて来る様に言われて来たんです」
「僕の?」

「はい」
「取り敢ずマヤさんのパンティはピンクなんだなぁって考えてましたけど?」

「えっ?きゃっ」
マヤはスカートを抑え真っ赤な顔でシンジを睨んだ。

「そ、そんな事じゃなくて、使徒とかそっちの事です!」
真っ赤な顔で頬を膨らませ責める様に言うマヤ。
はずかしさからか、一気に紅茶を飲み干した。

マユミがすっとお代わりを注ぐ。

「報酬は?」
「へ?」
マヤはシンジの言葉に何を言われたのか理解できなかった。

「僕と綾波は、エヴァが爆発してエントリープラグから放り出されたんです。でも誰も助けに来てくれないから自力で皆の所に来て、丁度疎開する所だったから一緒にこっちに来たんですよ。でも今まで何の連絡も無かった。NERVは僕達を使い捨ての駒ぐらいにしか思ってなかったって事でしょ?」

「そ、それは・・・」

「NERVのために何かするなら、例えそれが考えを聞くだけでも報酬を請求しても罰は当たらないと思いますけどね」
「ちょ、ちょっと待ってね」
マヤは慌てて携帯電話を取り出しリツコに連絡を入れる。

しかし、現在シンクロ実験中と言う事で連絡は取れなかった。

「ご、ごめんなさい、報酬の事は聞いて来なかったの・・・」
「まぁリツコさんがマヤさんを寄越したと言う事は、マヤさん自身が報酬って事かな?」

「えっ?」
マヤは一瞬呆然とし、そしてシンジのニヤリとした笑いに気付いた。
まさかと思い居つつ周りを見渡すと、マナとマユミの微笑みすら、それを肯定している様に感じる。

背筋に悪寒を感じ、マヤは慌ててもう一度リツコに連絡を取った。
駄目だと言われても緊急だからとしつこく連絡を取る様に迫る。

発令所に廻され、なんとかシゲルと連絡が取れ、漸くリツコに繋いで貰えた。

ほっと安堵の息を漏らすもリツコから出た言葉は
『シンジ君がそれを望むならしかたないわね、無理強いはしないわ。貴女が決めなさい』
と言われて顔を青くした。

「そ、そんなぁ〜せんぱぁい」
もう涙眼である。

電話は一方的に切られ、現在マヤは現実逃避中だ。
即ち、何をどうすれば良いのか決められないのだ。

シンジとレイはそんなマヤを黙って見ている。
マユミがシンジに頷いた。
それを見たマナはマヤに新しい飲み物を勧める。

「あっありがとう御座います」
少しこっちの世界に戻って来たマヤは、尿意を催している事に気が付いた。

既にここに付いてから3時間以上経っている。
尚かつ何倍も紅茶を勧められているので、当然の事だ。

「あの、おトイレを貸して貰えますか?」
「どうぞ」
マヤの言葉にシンジが指さしたのは、部屋の角にあるオブジェと思っていたものだった。

確かに、金隠しのない便器みたいだとは思っていたが、まさかそれを指すとは冗談としか思えない。

「あ、あのぉ〜」
「あれがトイレよ♪」
困惑しているマヤにマナが脳天気に答える。

「ほ、他には無いんですか?」
「ん〜ここには他にトイレはないかも♪」
マナは小首を傾げ、少し考えるような素振りをしたがニコッと笑うと、そう告げた。

顔面が蒼白になるマヤ。
実は、ここは地下の拷問部屋手前のロビーの様なところなのだ。
従って、どこぞのSMホテルの様な造りになっており、部屋の角にあるのはまさしく便器だったのである。

さっきまでは緊張していたため気が付かなかったが、いざ気が付くとそれが猛烈な勢いで襲ってくる。
実は、マユミは利尿剤と下剤をマヤの紅茶に混ぜていたのだ。

マヤは気が付いてしまった尿意に脂汗が出てきた。

「早く済ませてしまわれた方が宜しいですよ」
マユミがマヤに声を掛けた。

「もうすぐアスカさん達が帰って来ますから、きっとヒカリさん達もご一緒ですわ」
マユミの言葉にマヤは絶望を感じた。

アスカ達が帰って来る。
それは、現在ここに居ない男の子達も帰ってくると言う事だ。
そしてヒカリも一緒と言う事は、その恋人であるトウジも一緒の可能性が高い。
しかし、こんなに人の居る部屋で、しかも敷居もない便器に跨る事などマヤには出来ない。

「ただいまぁ〜♪」
マヤが決断を行えないまま、アスカが帰って来てしまった。

「あら?マヤじゃない?元気だった」
そう言ってマヤの肩をポンッとアスカが叩いた。

「ひっ!」
その瞬間、マヤは少し跳ねたかと思うと、ジワッと眼に涙を浮かべる。

少し漏らしたのだ。

「ど、どうしたのよ!そんな睨まなくて良いじゃない!」
「いやぁ〜っ!」
バンッとマヤの背中をアスカが叩いた拍子にマヤの括約筋は決壊してしまった。

深々とお尻を埋めているソファーが水溜まりとなる。
マヤは顔を覆いイヤイヤと首を振っているだけだ。

アスカは何事かと周りを見回し、マナとマユミの表情に全てを理解した。

「アスカ、取り敢ずマヤさんをシャワーにでも入れてあげて、マユミさんはその間に服をクリーニングしてあげて、マナは何か着替えを用意してあげて」
「「「はい(♪)」」」

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
アスカに連れられてシャワーに向かったマヤは譫言の様に繰り返すだけだった。



「・・・伊吹二尉をどうするつもり?」
「別に?あれはマナ達の悪戯だろ?」

「・・・このあと」
「うーん、それはマヤさんの出方次第かな?結局何が聞きたいのかもよく解らなかったし」

「・・・そう」
「綾波はどうしたいの?」

「・・・解らない」
「じゃぁ何をしに来たと思う?」

「・・・赤木博士に言われて碇君に助けを求めに来た」
「僕は慈悲の神様じゃないよ」

「・・・きっとユイさんが何者か解らないから」
「確かにね、まぁ母さんの考えてる事は解るけど、父さんも救われないね」
シンジはそう言って笑った。

「リツコさんはマヤさんだけでも救いたかったって所かな?」
「・・・そうかも知れない」
レイはそんなシンジの腕を控え目に抱締めるとピトッとシンジの肩に頭を乗せる。
シンジはそんなレイの頭を優しく撫でていた。



風呂場ではアスカがマヤをシャワーで洗っていた。
マヤは茫然自失となり、アスカに服を脱がされ風呂場に連れてこられたのだ。

「アスカちゃん・・・」
マヤは、まだ泣いている。

「はいはい、綺麗にしましょうね、全く、漏らすまで我慢なんてしないでさっさとしちゃえば良かったのに」
「だって、あんな皆の居る前でなんて恥ずかしくて・・・」
そう言いながら、マヤは居心地が悪そうに浴そうに浸かっている。

この浴槽は料理に使う透明なボールを大きくした様な形で、外から中は丸見えなのだ。

「それで漏らしてたら世話ないわよ」
「うぅ・・・」
マヤは何も言えず俯いている。

「でもマヤって着痩せするタイプだったのね」
「えっちょっちょっと・・・」
アスカはマヤの乳房を下から持ち上げて、自分の乳房を持ち上げ比較している。

「あ、あの、アスカちゃん?」
「ん?」

「ここには、あそこしかトイレは無いの?」
「ん〜有るって言えば有るんだけどねぇ・・・」
歯切れが悪いアスカの言葉にマヤは俯いた。

その言葉に、あまり改善される環境ではないと悟ったのだ。

「あっ!もしかして大きい方もしたくなった?」
「ア、アスカちゃん・・・」
消え入りそうな声のマヤ。

「じゃぁ、ここでしていけば?」
「えっ?」

「皆に見られるよりはましでしょ?」
「そ、それはそうだけど・・・」

「じゃぁあたし、先に出てあげるわ、一人でゆっくりしてくればいいわよ。ここでしても大丈夫な様に、ここの排水は出来てるから」
「それって・・・」
マヤは、ここは一体どういう所だと思ったが、皆に見られるよりは良い。
アスカの進言に従う事にした。

ニヤリと笑って浴槽を出るアスカ。
マヤは排水溝を見つけ、その上にある蓋を取り除くとそこに跨った。

風呂場では、その音はとても大きく聞こえる。
マヤは顔を真っ赤にして、辺りを見渡すのだった。



風呂場を出たマヤは困惑している。
多分、自分のために用意されたのであろう着替えがあるのだが、それを着るのを躊躇っているのだ。

マナの用意したそれは、下着は白のシースルー。
それはまだ良い。

上に着るのは薄いキャミソール、スカートはマナの履いていたスカートと同じぐらいの丈なのだ。
きっとマナが用意してくれたのだろう。

バスタオルを捲いただけで出て行く訳にも行かず、取り敢ず着てみたが、かなり短い。
ウェストが入ったので少しホッとしたが、これはマイクロミニと言っても差し支えなかった。
しかもタイトである。

鏡を見て顔が真っ赤になった。

「どうですかぁ?」
「きゃっ!」
脱衣場に顔を出したのはマナであった。

「うんうん、よく似合ってますよぉ♪」
「も、もう少し長いスカートかパンツはないかしら?」

「ごめんなさぁぃ、私、そんなのしか持ってなくって」
折角用意してくれたマナにそれ以上言う訳にも行かず、マナに連れられそのまま脱衣場を出るマヤ。

ソファーの周りは既に綺麗に清掃されていた。
そして、先程のソファーに座ったのだが、これはもう、見て下さいと言わんばかりにタイトのスカートが擦り上がる。

マヤは自分のバッグを見つけ、そこからハンカチを出し、股間に置いた。

「ごめんなさい」
「気にしなくていいですよ」
そう言ってシンジは身を乗り出す。

「それで、マヤさんはどうしますか?」
「へ?」
自分が尋ねて来たはずなのに、シンジにそう言われ、マヤは素っ頓狂な声を出してしまった。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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