第弐拾六話(最終話)
たった一つの冴えたやり方?


『約束の時が来た、リリス、アダムを失った今、エヴァ量産機による儀式を行う』
音声だけのモノリスに囲まれゲンドウが座っている。

「ゼーレのシナリオとは違いますね」
ゲンドウがいつものポーズで答えた。

「人はエヴァを生み出すためにその存在があったのです」
冬月も既に媚びる必要を感じておらず存外な口調で述べる。

「人は新たな世界へと進むべきなのです。そのためのエヴァシリーズです」

『我らは人の形を捨ててまでエヴァと言う名の箱船に乗る事はない』
『これは通過儀式なのだ、永続した人類が再生するための』

『滅びの宿命は新生の喜びでもある』
『神も人も全ての生命が死を以て、やがて一つになるために』

「死は何も産みませんよ」

『死は君達に与えよう』

キールが締め括りモノリスが消えていった。

「人は生きてゆこうとするところにその存在がある。それが自らエヴァに残った彼女の願いだからな、しかし、リリスも槍も無い今、補完計画は瓦解したな」
冬月が呟く。



『第六ネット音信不通』

「左は青の非常通信に切り替えろ、衛生を開いても構わん、そうだ、敵の状況は?」
慌ただしい報告が飛びかう中、冬月が司令を出す。

『外部との全ネット、情報回線が一方的に遮断されています』

「目的はMAGIか・・・」
「全ての外部端末からデータ進入、MAGIへのハッキングを目指しています」
シゲルが状況報告を行う。

「やはりな、侵入者は松代のMAGI二号か?」
「いえ、少なくともMAGIタイプ5、ドイツと中国、アメリカからの進入が確認できます」

「ゼーレは総力をあげているな。兵力差は1:5・・・分が悪いぞ」

『第四防壁、突破されました』

「主データベース閉鎖、駄目です!進行をカットできません!」
マコトが叫ぶ。

「更に外殻部進行、予備回路も阻止不能です。こんな時にマヤちゃんが居ないのは辛いな」
シゲルが報告と共に愚痴を零した。

「まずいな、MAGIの占拠は本部のそれと同義だからな」
冬月が頭上のゲンドウに向かい言ったが、ゲンドウはいつものポーズのままであった。



「状況は?」
ミサトが電話で確認してきた。

「おはようございます、先程、第二東京からA−801が出ました」
「A−801?]

「特務機関NERVの特例による法的保護の破棄、及び指揮権の日本国政府への委譲、最後通告ですよ、えぇそうです、現在MAGIがハッキングを受けています。かなり押されています」

ブザーと共にミサトが上って来る。

『あっMAGIが全てのハッキングに逆ハッキング!全ての進入を阻止しました』

「何?!」
「こんな事もあろうかと自立防御に手を加えてましたの」
リツコが自信満々に言い放った。

「リツコ?!」
「後は貴女の仕事よ」

「解ってるわ」
リツコの言葉にミサトはギュッと拳を握り締めた。

『強羅地上回線、復旧率0.2%に上昇』

(MAGIへの進入だけ?そんな生やさしい連中じゃないわぁ、多分・・・)
ミサトはコーヒーを飲みながら次なる手を考えていた。

「MAGIは前哨戦に過ぎん、奴らの狙いは本部施設の直接占拠だな」
冬月がゲンドウに呟く。

「・・・あぁ老人達に取ってこの黒き月こそ意味がある」
「老人達が焦るわけだ」

『第八から十七までのレーダサイト沈黙』

『特科大隊、強羅防衛戦より進行してきます』

『御殿場方面からも二個大隊が接近中』

「やはり、最後の敵は同じ人間だったな」
冬月が呟く。

「総員第一種戦闘配置」
ゲンドウが指示を出す。

「戦自約一個師団を投入か占拠は時間の問題だな。大袈裟な事だ・・・」
他人事の様に呟く冬月。

次々と報告される被害状況。

「たち悪いなぁ使徒の方がよっぽどいいよ」
マコトが愚痴る。

「第三層まで破棄します、戦闘員は下がって、803区間までの全通路とパイプににベークライトを注入!」
ミサトがなんとか持ちこたえようと指示を出す。

「はい」
「これで少しは持つでしょう」


「非戦闘員の白兵戦闘は極力避けて!向こうはプロよ、ドグマまで後退不可能なら投降した方がいいわ」

「分が悪いよ、本格的な対人邀撃システムは用意されてないからな」
そう言いながら銃を用意する日向。

「ま、精々テロ止まりだ」
「戦自が本気を出したら、ここの施設なんて一溜まりもないさ」

「今、考えれば侵入者邀撃の予算縮小ってこれを見越しての事だったのかなぁ」
「ありうる話だ」



「えっ?アスカちゃん?」
泣き崩れて居たマヤが顔を上げる。

抱締めていたはずのアスカがマヤの胸を揉んでいるのだ。

「ア、アスカちゃん、こんな時に・・・」
「こんな時だからよ」
アスカはニヤリと笑うとマヤを後ろから両手で遠慮無くマヤの乳房を揉み出した。

「そうね、嫌な事は気持ち良くなって忘れちゃおう♪」
「それもそうですわね」
マナとマユミも賛同して参戦してきた。

「あ、貴女達・・・あっ駄目・・・待って・・・」
3対1では勝ち目がない。
マヤは抵抗虚しく、3人の美少女達に愛撫されながら脱がされていく。

マヤは喪失感からか、強い抵抗も見せずに3人からの愛撫を受け入れ始めていた。

「そろそろ時間だよ。シンジ君」
「じゃぁ僕達は仕上げに行こうか」
カヲルの言葉に答えたシンジに頷くレイ。

シンジ、レイ、カヲルの3人は、そっと、その場を離れようとする。
マユミとマナはシンジと眼が合うとシンジ達と頷き合った。



「司令、脱出しましょう」
「リツコ?!」
リツコの言葉にミサトは驚愕する。
リツコがMAGIを捨てるなど、考えつかなかったのだ。

「・・・赤木君、私にはここを逃げ出しても行く場所はない。君達だけで逃げたまえ」
「碇・・・」
冬月にしてもゲンドウの言葉は以外だった。

(碇が他人を逃がすとはな・・・)

冬月は発令所に残っていたオペレータ達とミサト、リツコを司令室直行のエレベータで送り出した。
一人乗りであるエレベータに乗った人間は司令であるゲンドウに敬礼をし、次ぎ次ぎと降りて行く。

「・・・冬月、後を頼む」
「あぁ、ユイ君に宜しくな」
最後になった冬月はそう言うと、司令室直行のエレベータに乗り発令所を後にする。

残されたゲンドウはいつものポーズで佇んでいた。



シンジ達の立つ眼下には、頭上の都市を破壊されポッカリと穴が空いてその風貌を露呈させているNERV本部が見えている。

頭上には9機の量産型エヴァが儀式を行っていた。
依り代もなく何を望んでいるのか。

しかしS2機関を搭載したエヴァは人類にとって驚異の戦力となる。

ゼーレの老人達に取って、リリスもアダムも必要なかった。
いや本人達が必要ないと思っているだけだ。

そして意味のあるのは「黒き月」と呼ばれるこの地であった。

「彼らは何がしたいのかねぇ」
カヲルがのほほんと頭上の量産型エヴァを見て呟く。

「膨大なエネルギーと儀式さえ行えば、自分達の望むサードインパクト。人類補完計画が発動すると信じて疑わないのさ」
「・・・・・」
レイは何も言わずシンジにピトッと張り付いている。

「でも、あれだけのエネルギーを放出されると第二新東京市にも被害が及ぶ」
「シ、シンジ君?多分地球全体に被害は及ぶと思うよ」

「そうだね、だから、壊す」
シンジが手を掲げると一瞬にして量産型エヴァはLCLとなり霧散してしまった。

頭上高くで儀式を行っていたのが良かった。
シンジは頭上に向け大規模なアンチATフィールドを放ったのだ。

これが地上だと、周りの生命体にも影響を与えていただろう。

「あっけなく終っちゃったねぇ」
「帰ろうか」
「・・・えぇ」

老人達の夢はあっさりと崩れ去る。
しかし、その理由は老人達には理解できない。

結局、数が足りなかったため儀式が中途半端になったのだと結論付けた。

しかし、サードインパクトでチャラになると踏んで強引な手段で掻き集めた資金で運用していたため、新たにエヴァを作り出す余力は老人達にはなかった。

機械で強引な延命措置を施していた老人達にこの結果は耐えられず、その場で絶命した者も少なくなかった。

そして、その時にNERV本部が爆発を起こす。

咄嗟にレイを抱き庇うシンジ。
レイもこれくらいの爆発では問題ないのだが、シンジに抱締められたので、シンジに身体を委ねる。

シンジは爆発の起こったNERV本部を無表情で眺めている。
そんなシンジを心配そうにカヲルとレイは見つめていた。



シンジの家では、シンジが説明を行っていた。

「セカンドインパクト、それはアダムを卵まで還元する事により放出されたエネルギーによりもたらされた」

「その事により使徒が襲来する事が裏死海文書に記載されていたんだ。老人達はそれを進化の通過儀式と読み取った」

「でもそれは単にアダムと呼ぶ者が進化する経過レポートでしかなかったんだよ」

「それって・・・」
マヤが思わず声を出してしまう。

「そう、人類を進化させる物では無くアダムを進化させる物だったんだ。そして卵まで還元されたアダムは使徒として進化の過程を取る。そして元のアダムと融合する時、アダムの進化が終了する。ただそれだけの事だったんだ」

「寝てる子を起こしただけだったのね」
アスカの辛辣な言葉が過ぎる。

「進化の終着は自滅、死そのもの、だからカヲル君は死を望んだのかもしれない」
「それでサードインパクト後は死の世界になってしまったんだね」

「そう言う事だったんだろうね」

「アダムのコピーとして造られたエヴァ。そこに溶け込んだ母さん。父さんは自分がアダムになることでアダムとイヴの関係になれると考えたんだろうね」

「神はツガイとなっている動物に嫉妬するアダムにリリスを与えた。しかし、アダムと同等の立場を求めるリリスとは破局してしまい、アダムの肋からアダムに従順な妻イヴを作った」
「・・・リリスはその後ルシフェルとベッドを共にしたわ」
何故かポッと紅くなるレイ。

「イヴに禁断の果実を食べさせた蛇はリリスの変化した物とも言われているねぇ」
「確かに母さんは、黒き月に居たリリスから禁断の果実を得たのかも知れない」

「マヤさん?」
「は、はいっ!」
いきなりシンジに声を掛けられたマヤは素っ頓狂な声で返事をしてしまう。

「僕達は中学生と言う事になっています。少し性的成熟が早い中学生達ですけど、ここに保護者として今後も住んで頂けますか?」
「え?そ、それは構わないけど、わ、私が一緒に住んでも構わないの?」

「勿論歓迎ですわ」
「う〜ん綺麗なお姉さんが出来たみたい♪」

「そ、そんな」
マユミとマナの反応に顔を赤くして満更でもないマヤ。

「夜も楽しみだしね」
アスカの言葉に撃沈した。



シンジはベッドに腰掛けている。
「脱いで」

レイはコクンと頷くと、制服のリボンを解く。
ブラウスを脱ぎスカートを脱ぎ、そして下着をも全て躊躇することなく脱ぎ去った。

前を隠す事もなく佇むレイ。

「綺麗だよ綾波」
「・・・何を言うのよ」
ポッと紅くなるレイ。

シンジは裸のレイを抱き寄せ、膝の上に乗せると柔らかく唇を重ねた。
シンジにされるがままのレイ。

しかし、進入して来たシンジの舌を自らの舌でその存在全てを受け止める様に包み込む。
暫くして、離れたお互いの唇は一本の銀色の糸で繋がっていた。

「終ったのかな?」
「・・・これからだわ」

「そうだね」
そう言ってシンジはレイの乳首に唇を這わす。

「ぁっ」
小さく吐息を漏らすレイ。

リツコ達の消息は不明だ。
マヤがそのうち見つけ出すかも知れない。

アスカ、マナ、マユミ、ケイタ、ムサシはここで暮らして行くだろう。
カヲルもここでの生活を気に入った様だ。

マヤもそのうち慣れるだろう。
既に受け入れている感もある。

シンジはレイをベッドに寝かせると、その股間に顔を埋めた。
「くぅっ」
レイは声にならない声を漏らし背を反らせる。

その夜、シンジの部屋では明け方まで、甘い時間が流れていた。



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後書き

ここまで読んで頂きありがとうございました。
どうも尻すぼみで申し訳ありません。
しかも、最後、短い^^;

全体を通して、どうも悪逆非道に成り切れていません。
次ぎこそは悪逆非道のシンジ君を・・・
期待しないで待っていて下さい(汗


新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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