第壱話
夢(妄想)の終り


「これは、いけませんね」

黒く艶のある長い髪に、少し野暮ったい感じの眼鏡を掛けた少女が、分厚い頑丈な表紙の本を閉じると、ボソリと呟いた。
口元の黒子が妙に艶っぽさを醸しだしている、純和風な少女である。

中学校の制服らしき物を来ているが、どこにも改造など施されていない、真面目を絵に描いたような制服。
それを纏っている容姿は、少し太目に見えるが、実は、歳に似合わないボリュームのある胸とお尻のせいであった。
学校の制服では、身体の括れが解り難いためである。

楚々とした雰囲気で、目の前を見詰める少女。
その景色は一面、紅。
夕焼けよりも紅い空。
その空に染まった訳でもなく自ら紅い色を湛えている湖。

ちょこんと人差し指を顎に当て、小首を傾げるその姿は、見る男(一部の女性)が居ればかなり脳天を直撃したであろう。

「やはり、シンジさんに頑張って頂きましょう」

そう言って右手を翳すと、目の前の紅い海から蒼い光が浮かび上がって来た。
その光は淡く脆く、今にも消え入りそうなぐらい心許ない。

暫くすると、その心許ない光からさらに淡い陽炎のように人物が浮かび上がって来た。
その髪は蒼銀、眼は深紅。
肌は透けるように白い。
実際、透けている。

「・・・あなた誰?」

淡く蒼白い光を纏った全裸のその少女は、眼を開くといきなり質問を投げ掛けた。
自分は、全ての使命を終え眠りについていたはずである。
世界が崩壊するような事が無い限り、再び起こされる事は無いはずであった。
いや、そんな力はどこにも残っていなかったはずなのである。

不完全に行われた儀式。
そこに割り込んだアダムとリリスの物理的融合によるサードインパクト。
自らを媒体とし、そのエネルギーを以て自分は少年の望みを叶えたはずであった。

従って、動揺を知らない少女が最初に感じた事は疑問だったのである。

「お忘れですか?綾波レイさん。私は山岸マユミです」

黒髪の少女はニコリと微笑み、スカートの端を持ち上げ会釈する。

「・・・あなた誰?」

山岸マユミと言う名前に覚えはある。
使徒戦の最中に転校してきた少女。
その身体に使徒のコアを持ち、シンジに近付いていた少女。
使徒が殲滅されると、すぐに転校していった少女。
それがレイの認識だった。

その時の情景を思い出し、嫉妬が芽生える。
今度は睨付けるような眼をして問い質した。

ここにシンジとアスカ以外の人間が居るはずは無いのである。
普通の人間が一度LCLとなって戻る術は無い。
依り代となった碇シンジの願いを聞き届け、LCLに溶け合った魂達に元に戻るように促しはした。
しかし、一度その安堵に浸かってしまった人間は、そこから個に戻るための精神力が足らなかったのである。

だから問い掛ける。
何故、ここに存在出来るのかと言う想いを込めて。

「私にもよく解りません。ただ、この世界は、なんとかしたいと思うんです」
「・・・どうするの?」

「時間を戻しましょう」
「・・・無理」

間髪入れない答えだった。

「それじゃぁ、こうしましょう。戻ったらどうするかを話し合いましょう」
「・・・意味が無いわ」

「いえ、きっと楽しいと思いますよ。ほら、時間を戻してシンジさんと一緒になると言うのはどうです?」
「・・・碇君と?」

今まで全く興味無さ気で、ともすれば敵意まで持ってそうな紅い瞳が揺れた。

「はい。シンジさんと抱き合って眠るなんてどうです?」
「・・・碇君と・・・抱き合って・・・」

実体が無いはずなのに顔を紅くするレイ。

「失礼ですが、綾波さんは処女ですか?」
「・・・えぇあの身体で性行為は行ってないわ」

普通の女子中学生なら回答を拒む質問。
しかし、レイにそのような感性は無い。
そもそも女子中学生だけで会話している場合、これぐらいの話は日常茶飯事である。
生理と言う肉体的な変化が、男性の二次性徴より早く、また、精神的な成長も女性の方が早い。
そのため性や性行為に対する認識も、男性とは違った捉え方をしているのだ。

「ではシンジさんに抱かれると言うのは如何です?」
「・・・私が?・・・碇君に・・・」

もう全身真っ赤である。
元々、病的に白いところに、淡く蒼い光を纏っていたはずが、周りの世界に溶け込んでしまうぐらい紅くなっている。
そしてふと湧いてきた疑問をぶつける。

「・・・あなたも碇君に抱かれたいの?」
「そうですね。私の場合は犯されたい、でしょうか」

「・・・強制的な性行為を行われたいの?」
「えぇ。それはもう、無理矢理。縛り付けられて逃れられない状況で、お尻もあそこも口も、穴と言う穴を犯していただきたいです」

両手を胸の前で組んで、少し上向き加減に眼をキラキラさせ、妄想の世界に半分突入するマユミ。

「・・・それは気持ち良いの?」
「それはもう、全身全霊征服され、自分はこの人の物だと感じられます」

「・・・あなたは物として扱われたいの?」
「はい。隷属する喜び。これに勝る至福はございませんわ」

「・・・私は物として扱われるのが嫌だった」
「それは愛する人じゃないからですよ」

ハッと眼を見開くレイ。
人形と言う言葉に嫌悪を感じた自分。
物のように自分を扱うNERV職員に対して、交流を持たない事で自分を納得させていた。

自分は命令されそれに従っていれば良い。
自分は人とは違うのだから、計画のために産み出され存在しているのだからと。
常々ゲンドウから余計な事は考えるなと言われていたためであるが、そこに疑問が入る余地が当時は無かったのである。

「・・・それが愛なの?」
「愛の形は人それぞれです。でも一つだけ言える事があります」

そしてマユミはじっとレイの瞳を見詰める。
ゴクンとレイが唾を飲み込んだような気がした。

「それは、愛とは無償だと言う事です」
「・・・無償・・・」

「そう、代償なく与える事が出来る物。それが愛です」
「・・・代償なく与える・・・」

「お言葉ですが、レイさんは、シンジさんに愛を与えていたと思いますよ」
「・・・私が?」

「はい、レイさんはシンジさんに何か求めましたか?」
「・・・私は碇君と一緒になりたかった」

「それは希望です。別に代償を求めた訳ではありませんよ」
「・・・私は碇君と一緒になっても良いの?」

「勿論です。当然シンジさんの気持ちがあればですが、それは問題ないでしょう」
「・・・碇君は私と一緒になってくれるの?」

「間違いなくシンジさんはレイさんに好意を抱いておられましたよ」
「・・・でも私は恐れられたわ」

「そんな事は些細な事です。レイさんはエヴァからサルベージされて出てきたのでは無いのですか?」
「・・・そう聞いているわ」

リツコはレイの事をエヴァと同じ存在で、唯一魂の宿った物と評した。
ユイがエヴァに取り込まれサルベージ行った際、レイがサルベージされたとレイは聞いていた。
この二つは同じ事を言っているとも、違う事を言っているとも取れる。

赤木ナオコは、最初にレイを見たとき、その存在を知らなかった。
しかし、サルベージされて出てきたのならナオコが知らないはずは無い。
MAGIの完成していない時期にナオコの力なくしてサルベージ計画を起てるのは不可能だったはずだからだ。

しかし、ナオコはMAGIを製作したがリツコ程エヴァに精通していたとは思えない。
当時は、ユイも居たためMAGI製作に全力を注いでいたとも言える。

そうすると、サルベージ計画自体はナオコの力を借りて作成したかも知れないが、サルベージ自体はゲンドウが極秘に行った可能性がある。

レイは元々ユイが自らの卵子とリリスの細胞を融合させて造った文字通りの人造人間だったのだ。
そもそも何の脈略もなくシンジと同じ歳の子供がサルベージされる事も、造られると言う事も時間的に矛盾している。

ユイはエヴァを自在に操るためシンクロシステムを開発した。
そして、その媒体となるはずだったレイ。
しかし、そのレイには魂が宿らなかったのだ。

ただの有機物として存在するレイの身体。
それをゲンドウがユイをサルベージする時に、ユイの身変わりにエヴァに取り込ませようと使用したのだ。

簡単に言うとエヴァにはレイを取り込ませ、ユイとレイを交換すると言うサルベージ方法である。
その結果レイはエヴァに取り込まれたが、サルベージされたのは魂を持ったレイだったのだ。
自棄を起こしたゲンドウは、その後、身体を取り出す行程だけを繰り返し、その数だけレイの魂を持たない素体がサルベージされたのだ。

「だったらシンジさんも同じじゃないですか」
「・・・あっ」

そうである。
シンジも第壱拾四使徒戦の後、エヴァからサルベージされ出てきたのだ。
つまり、レイと同じ出生となったのであった。

レイの顔に喜色が浮かんでくる。
今まで自分は人ではないからと思っていた事が覆されたのだ。

「・・・碇君も私と同じ」

その口元には微笑みが浮かんでいた。
そしてその場を離れようとするレイ。

「何処に行かれるのです?」
「・・・碇君と一緒になる」

何を止めるのかと言う眼で見詰めるレイ。

「それは、確かに気持ち良いかもしれませんが、シンジさんの望むところでは無いですよね?」

そうであった。
シンジは溶け合う事を拒絶したのだ。
レイは、ガックリと言う悲壮感を急に漂わす。

「だから戻った時の事を話し合いましょ?」
「・・・戻れないのだから、それは不毛だわ」

「私が何故ここに居るのか?そしてその私が過去に戻る事を思いついた。これって私の存在を考えれば叶えられるかも知れない事かも知れないと思いません?」
「・・・解らない」

「でも考える事は無駄では無いと思いますよ。どうしても方法が考えつかなかった時にでも、今のシンジさんと一緒になる事はできますよ」
「・・・そうね」

ここまでの話で虚無と絶望しか無かったレイに希望が湧いてきた。
その希望を湧かしてくれたのは、目の前に居る少女であるのだ。
そしてその少女が望んでいるのは、今、自分と話し合う事。
ならば、それに付合っても良いとレイは考えた。

シンジと一緒になるのは、その後からでも確かに間に合うのだから。

パンパンとお尻を祓い、スカートの裾を挟んで腰を下ろすマユミ。
レイもその隣へと移動した。

「・・・それであなたは戻って何をするの?」
「そうですねぇ、どの時点の過去に戻っても私は苛められていましたから、まずはその苛めを甘んじて受けましょう」

「・・・苛め?」
「はい。皆の前でスカートを捲らる事から始まって、大勢の前で裸にされたり、大勢に犯されたりしていました」

「・・・それが望み?」
「避けては通れませんから、愉しむ方向で行きたいと思います。シンジさんに遭うまでに奴隷らしさを身に付けたいと思います。花嫁修業のような物ですね」

「・・・どんな事をされたの?」
「そうですね。林間学校の時には、夜中に木に裸で縛り付けられて浣腸されました。あれは苦しくて恥ずかしかったですねぇ。その後、お尻やあそこに色々な物を突っ込まれましたねぇ」

「・・・輪姦学校?」
「ちょっとニュアンスが違います。小学校の時に行く泊まりがけの遠足みたいな物でしょうか」

「・・・他には?」
「水泳の時に、下着を隠されて一日中下着無しで過ごした事もよくありました。勿論皆、面白がって、スカートは捲られるし、胸を揉まれたりしました」

「・・・それが楽しいの?」
「皆さんは楽しいみたいでした。私は恥ずかしいだけでしたけど」

無表情で何の反応も示さないレイをちらりと一瞥すると、マユミは言葉を続ける。

「輪姦と言えば、中学校に入ってすぐ犯されましたね。4〜5人は居たと思いますので輪姦ですね」
「・・・4〜5人」

「はい、図書の整理をしていたら書庫に連れ込まれて、その時にお尻にも入れられました」
「・・・お尻って?」

「肛門です。それからは書庫は私の犯す場所になっちゃいましたね。毎日のように連れ込まれて。裸に首輪と鎖を付けられただけの姿で過ごした事もありました」

「・・・それをまた繰り返すと言うの?」
「はい。当時は嫌だったんですけど、ずっとそうされて来たせいか、今では気持ち良かったなって思うんです。変態ですね」

そう言って屈託のない笑顔を見せるマユミ。

「・・・あなたは戻っても同じ事を繰り返す事が望みなの?」
「いいえ、私は、今度こそ、シンジさんとレイさんの雌奴隷にして頂くんです」

「・・・碇君と私の?」
「はい、駄目ですか?」

そう言って捨てられた子犬のような眼をしてレイを見詰めるマユミ。

「・・・問題ないわ」

レイには、そう答えるしか術がなかった。
元々、人との付き合い方を知らないのである。
ここで気の利いた言葉など発せられるはずも無かった。

何か混乱しているようなレイを一瞥するとマユミは淡々と話し出した。

「私はいつも妄想していたのです。本を沢山読んで、その中に自分が入り込む。最初は何時か白馬に乗った王子様が迎えに来てくれると言うような、女の子としてありきたりな物でした」

遠い目をして独白するマユミ。
レイは黙って話を聞いている。
その姿を見てニッコリと微笑むとマユミは言葉を続けた。

「それがいつしか囚われの身で、王子様が迎えに来てくれるように発展しました。そして徐々に囚われている時の状況を明確に妄想するようになっていったのです」

「囚われている時に陵辱される。その陵辱の内容は日頃苛められている内容がエスカレートしたものに成っていきました」

「現実世界で苛められ陵辱されても、それを妄想の世界でエスカレートさせ再現し、いつか誰かに助けられる事を夢見る。それが私の処世術だったのでしょう」

「・・・夢の中にしか幸せを見出せないのね」
「夢と言うより妄想ですね」

「・・・都合のいい作り事で現実の復讐をしていたのね」
「復讐と言うより自らの救済でしょうか」

「・・・虚構に逃げて、真実をごまかしていたのね」
「ごまかしては居ませんよ。ただ待っていたのです」

「・・・それは夢じゃない、ただの現実の埋め合わせよ」
「はい、そして埋め合わされる時を待ち侘びていました」

「・・・夢は、現実の続き」
「現実はどちらに?」

「・・・それは、夢の終わりよ」
「では、ここは何なのでしょう?」

「・・・現実の終り」
「ならば夢の始まりですか?そしてここの終りが現実の始まりでしょうか?」

「・・・そうかも知れない」

その回答に満足したのか、マユミは再び前を向いて淡々と話しを続ける。

「私が妄想の中に逃げていた、そんな時に転校して出会ったのがシンジさんでした。お世辞にもシンジさんからは逞しく強そうな印象は受けませんでしたが、かえってそれが私の中の何かに触れたのです」
「・・・それは何?」

「それは、多分シンジさんの優しさだと思います」
「・・・そう。碇君は優しい」

何かを思い出したように眼を細めるレイ。

「そして私の中の妄想は、逞しく私を助け出してくれる王子様ではなく、優しく私を包んでくれるシンジさんに置き換わって行ったのです」

「激しく痛々しく陵辱され、見るも無惨な姿を晒している私を優しく抱締めて下さるシンジ様。私にどんな過去があっても、どんな仕打ちを受けた身体であっても受け入れてくれるご主人様。そう妄想するようになって行ったのです」

いつしかマユミのシンジに対する敬称が変わっている。
その眼は恍惚としていて、とても幸せそうだ。
話の内容より、その幸せそうな表情の方がレイには印象的だった。

「第三新東京市を離れた後も、私は転校する先々で苛められました」

「私の容姿は何故か嗜虐心を煽るようです。どこに行っても数日で犯されました。私が犯されなかったのは第三新東京市だけでしたね」

「それもあってか、私はシンジ様がいつか現れて、優しく抱締めて下さる事を確信して行ったのかも知れません」

「それを妄想する私は、どんな陵辱にも耐えられました。この陵辱もいつかは終る。そしたら家に帰って、いえ帰らなくても私の妄想は始まるのです。そして最後にシンジ様が私を優しく抱締めて下さる」

「陵辱された箇所をシンジ様の唇や手で優しく撫でて頂ける。そう考えると、もっと激しく酷く陵辱して欲しいと思うようになりました」

「身体の穴と言う穴を陵辱されたい。多くの人に辱められたい。そうすれば、きっとシンジ様が現れてくれると期待するようになって行ったのです」

「相乗効果でしょうか。私を陵辱する相手もどんどんエスカレートして行きました。家に帰ると義父まで私を犯すようになったのです」

「毎日毎日、登校すると下着を脱がされたり、裸で引き回されたり、トイレに行かせて貰えず皆の前で排泄させられたり。昼休みや放課後は、口や肛門も使って大勢の性欲の捌け口とされました」

「家に帰って義父が帰って来ると、服を脱がされるようになりました。それでその日された事を報告させられるのです。どんな恰好をさせられたか、どこをどうされたか、その時の状況を再現するように」

「身体を検査され内臓の中まで覗かれました。そして話を聞いているうちに興奮してきた義父に犯されるのです」

「レイさん、濡れてますよ」
「・・・えっそんな・・・」

そう言ってレイの股間に指を這わせるマユミ。
レイは、いつの間にかマユミに触れられる程、実体化していたのだ。

「きっと私と話しをすると力が蘇るんじゃないですか?」
「・・・下腹部に熱い物を感じる。これが力?」

ちょっと違うと思うがマユミの言ってる事は、強ち間違ってもいなかった。
レイは今まで、その手のことは全く意識していなかったのだ。
つまり力として温存されていたとも言える。

言うなれば淫の力。
それが今、レイの中に湧き上がってきているのである。

「サードインパクトの御陰で、それらの理由も解りました。そして自分が求める物も」
「・・・どう言う事?」

いつの間にかマユミは、レイの身体を後ろから抱締め、優しいタッチでレイの性感帯を愛撫している。
首筋に唇を触れさせられているレイは、マユミが言葉を発すると軽い快感が産まれる。

「どうですか?こうされると気持ち良くないですわ」
「・・・解らない。でも身体が熱くなる」

「これをシンジ様にされていると考えて見て下さい」
「・・・ぅっ・・・はっ」

突然レイは、今まで以上の快感を味わった。

「私の指をシンジ様の指だと思って下さい」

そう言いながらマユミは左手でレイの乳房を愛撫し、右手を股間のスリットに這わせる。

「・・・くぅっ」

身体に電気が走ったような衝撃を受けるレイ。

「・・・痛っ」
「これが処女膜です。陰茎を受け入れるとこれが破けるのです。何度か性交を行うと傷口も塞がり快感を覚えるようになります」

「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ」
「過去に戻るなら、一度体験しておくのも良いかも知れません」

そう言うと、マユミは無造作に指を二本、レイのヴァギナに差し込んだ。

「・・・くはっ」

少し眼に涙を潤ませるレイ。

「・・・これが破瓜の痛み」
「私の指で申し訳ありません。でも過去に戻りシンジ様に破られる前に、心構えが出来ましたでしょ?」

別に過去に戻らなくてもシンジはそこに居るのだから、身体さえあれば、ここでも経験できるのだが、快感と苦痛に支配されたレイには、そこまで考える余裕はなかった。

「今、挿入しても苦痛しか御座いません。そこでこちらから快感を刺激させて頂きます」
「・・・そ、そこは・・・」

マユミは愛液と破瓜の血で濡れた指をレイの肛門に差し込む。
経験のないレイは、咄嗟に力を入れ、指の侵入を拒んだ。

「口を【お】の形に開いてください」

何故か言われた通りに口を開くレイ。
今からフェラチオでもしそうな表情である。

「大きく息を吸ってぇ〜・・・吐いて下さい」
「・・・ぉぉぉっ」

言われた通りに息を吸い込み吐き出したところでヌプッとマユミの指が挿入した。
そのまま声を出してしまったレイ。
マユミの中指は根本まで差し込まれている。

「・・・くはっ」
「ここが子宮です。どうです?」

「・・・お腹が熱い」
「ヴァギナからここを突かれると、全身に快感が走ります。ちょっと肛門からGスポットを刺激するのは難しいのですが、この辺りだと思います」

マユミは肛門に差し込んだ指で、実際の場所を愛撫しながら説明を行う。
その度にレイの身体を快感が駆け抜けていく。

「・・・ぅぅっ」
「どうです?シンジ様の陰茎でここを突かれたくは、ありませんか?」

「・・・くはっ!」

マユミの言葉と指の技で、レイは始めての絶頂を迎えてしまった。
力無くぐったりと弛緩する、レイの身体。
マユミに全身を委ね、肩を上下させ大きく息をしている。

マユミは優しくレイを抱擁すると、ポツリポツリと話し始めた。

「私は、多分使徒のコアを身体に埋め込まれていたから、ここに存在出来るのでしょう」

反応は無いが、自分の言葉をレイが聞いている事を確認するとマユミは言葉を続けた。

「私の魂は、元々リリムだったのです。つまり、リリンのような紛い物ではなく、リリスとルシファー直系の子です」

その言葉にレイは眼を見開いた。

「淫魔と伝えられたリリムである私が淫乱なのは当然の事でしょう。そして私は、何の因果か、どうやら元々アカシアブックの司書たる役目があったようです」

そう言ってマユミは自分の横にある本を指さした。
それは学生鞄ぐらいの大きさのためレイは、学生鞄だと思っていたのだ。

分厚い頑丈な表紙を持つそれは、確かに言われてみれば本に見えない事もない。
それもそのはずで、実はアカシアブックは本ではない。
これは、その末端の読み出し装置に過ぎないのだ。
その形は司書たる物の能力に委ねられる。

従って、賢者の石と呼ばれたり、聖杯と呼ばれたり、色々な名称でそれ自体は過去に存在していたのだ。
過去に、それを持てば世界を征服出来ると言われた物は、そのアカシアブックを操る司書の末端装置を見た者が言い伝えた事なのであった。

常に読書していたマユミにとって、こういう高尚な本の形がイメージされたのであろう。

「使徒のコアを埋め込まれるために魂を弄くられた私は、その能力に目覚める事なく過ごしていました。しかし、その御陰で今、こうして存在出来るのですから何とも不思議な心境です」

そして、このアカシアブックから情報を取り出し、今の現状や自分の事をマユミは理解したのだ。
そのため、レイやシンジの身の上に起こった事も詳しく知っていたのである。

「全ての母たるリリスの魂を持つレイ様。あなたの力を使えば過去に戻る事が可能なのですよ」
「・・・その本に書かれていたの?」

「はい。その通りです」

そう言って、マユミは満面の笑みを浮かべる。

「今、絶頂を迎えられたレイ様は、現状で最高の力を持っています。その力を使って過去に行きましょう」
「・・・それは本当に過去なの?私の造り出す都合の良い世界では無いの?」

「いえ、過去です。但し、今の記憶を持っている私達が遡る事で、この世界の延長と言う事になります。そう言う意味ではレイ様が造り出す世界とは言えますが、都合の良い世界と言う訳ではありません」

「・・・そう」
「過去に戻るのですから、私達以外の者達は、ここに至る記憶を持ちませんが、個々の人格である事は間違いありません」

「・・・解ったわ。どうすれば良いの?」
「強く念じて下さい。過去に戻る事を・・・一番戻りたい瞬間を」

レイが眼を瞑り、何かに集中しだすと、世界に光が満ちていく。
アカシアブックを持ち、自らもそれに備えるマユミ。

世界が反転を始める。
周りが逆廻しのビデオのように流れていく。

眼を開いた時、レイはLCLの漂う水槽の中に居た。



続きを読む
戻る



新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
inserted by FC2 system