第九話
決戦、第三新東京市


「総員、第一種戦闘配置。迎撃用意」
「迎撃用意」
「第三新東京市、戦闘形態に入ります」

発令所では冬月の号令により、戦闘態勢が刻々と整えられていた。
都市部は、自動的にシャッターがおり、道路にバリケードが作られていく。

「中央ブロック、収容開始」

不要なビルは地下に収納され、高層ビルには防御壁が覆っていく。
逆にジオフロント天井へ姿を見せる、ビル群。
天蓋を覆っていく装甲シャッター。

「第6ブロック、閉鎖。全館収容完了」
「政府及び関係各省へ通達終了」
「第5から第7管区まで、迎撃システム、スタートします」

ホロディスプレイ上では道路から次々とミサイル・ランチャーが顔を出し、ミサイル群が兵装ビルへと装填されている。
続いて山林の山肌からもミサイル・ランチャーが現れ、来るべき目標へ向け方向修正に入って行く。
「司令の居ぬ間に、第4の使徒襲来。意外と早かったわね」
「前は15年のブランク。今回はたったの3週間ですからね」
「こっちの都合はおかまいなしか。女性に嫌われるタイプね」

警報がけたたましく鳴り響く中、ミサトは発令所のマコトの横に立ってメインモニターを見ていた。
自分では違和感が無いと思っているのか、マコトにフレンドリーに話し掛けている。

「それより、そろそろ、発令所を出た方が良いですよ」
「だぁいじょうぶ、問題ナッシングよ」

マコトが小さい声で忠告するもミサトは取り合わない。
その瞳には、山間部からの迎撃ミサイルを難なく跳ね返して侵攻している使徒が映っていた。

「・・シンジ君達は?」
「ケージに到着しました。搭乗の準備をしています」
「・・・そう」

そして、上段を見上げるミサト。
まだナオコは、姿を現わしていない。
冬月が居るのだが、どこかかに電話で連絡をしている。

このままエヴァが発進されれば、済し崩しに指揮を執り、使徒を殲滅すれば誰も文句は言わないだろうとミサトは考えていた。
ナオコの言った3週間まで後数日だ。
なんとかなる。
ミサトは、そう確信していた。

プシュッと言う音がして扉が開いたが、ミサトは顔を向けない。
扉から入って来たのはリツコだろうと予測している。
顔を合わせれば、何か言ってくるのは眼に見えていた。
ミサトは「早く早く」と、エヴァ出撃要請の報告をただひたすら待っていた。

しかし、そうは問屋が卸さない。
そもそも作戦課長を解任したのはナオコなのである。
そのナオコが何の指示も出さないまま、エヴァ出撃まで放置する訳が無い。

「葛城一尉、ここで何をしているのかしら?ここは関係者以外立ち入り禁止よ」

ナオコとリツコの声は似ている。
ミサトは、司令専用のエレベータでは無く、発令所の扉から入って来た事からリツコだと思い込んでいた。
そして、誤魔化そうとして、振り向いて言葉を失う。
そこに立っていたのは、白衣は着ているが、ナオコであったからだ。

「仕方がないわね、口を出さないと言う条件で見学を許可して上げるわ。余計な口出しをしたら即、追い出しますからね」
「あ、有り難う御座います!」

思いも掛けないナオコの言葉にミサトは狂喜した。
だから、口を出したら追い出されると言う事も右の耳から左の耳に抜けて行っていた。

「日向二尉、パイロットと相談して、射出位置を決定しておいて。指揮権委譲と共に出撃よ」
「了解」

ナオコの指示を受け、マコトはシンジ達と射出位置の相談に入った。
モニターに映るシンジは青いプラグスーツ。
レイは白、マユミは銀のプラグスーツを着ていた。

(射出位置なんてこっちで決めれば良いのよ、中学生に何が解るって言うの)

後ろの壁に凭れて、マコトの遣り取りを見ているミサトは、親指の爪を噛みながら、メインモニターに映る使徒を睨み付けている。

「委員会からエヴァンゲリオンの出撃要請が来ています!」
「日向二尉、出撃」
「了解、エヴァンゲリオン全機、発進準備」

流れるように発進準備が行われていく。
スムーズな作業を見せつけられ、ミサトは更に嫉妬を覚えた。
その命令は自分が出すべき物のはずだったのにと。

射出からリフトオフまで、間髪入れずに実行され、エヴァは3機で使徒を包囲する位置に体勢を整えた。
正面には紫の初号機、斜め後ろにオレンジの零号機と銀色の四号機である。

3人はリフトオフと同時に使徒に突っ込んでいく。

(くっ!パレットガンがあれば、接近する必要はないのに!)

ミサトは、ATフィールドさえ中和すればパレットガンは有効だと信じていた。
しかし、もしそうだとしても、それならばエヴァにATフィールドを中和させ兵装ビルから撃てば良い。
態々、エヴァ専用の射出装置でしかないパレットガンを作るのは、コスト面からも運用面からも無駄以外の何物でもないのだ。

そしてマコトは、それを実践する。
エヴァが接近しようとしている中、兵装ビルから断続的に援護射撃を行っていた。

その時、使徒の肩口が光り、光の線がシンジには見えた。
咄嗟に、前進を止め、後ろに避ける初号機。

「何やってんのよ!」

ミサトが思わず声を出したが、誰も気にしていなかった。
その時、兵装ビルが豆腐のように真っ二つに切り裂かれたのだ。
初号機が、そのまま突進していたなら、同じように真っ二つとなっていただろう。

そして、レイとマユミは、そんな事に気を取られはしない。
上手く使徒の背後から使徒を押さえ込む事に成功していた。

改めてプログナイフを装備し、使徒に突進する初号機。
両肩から伸びる光の鞭を、後ろから押さえられているため、振り回せない使徒は、その鞭を食指のように地面を這わせていた。

『うわぁぁぁぁ〜!』

地面を這っていた鞭に足を取られ投げ飛ばされる初号機。

『碇君!』
『シンジ様!』

その一瞬の隙を付き、使徒は背後の二人を振り払った。

「初号機、アンビリカブルケーブル切断、内部電源に切り替わりました!」
「活動限界まで、あと4分53秒!」

シゲルとマヤが、初号機の状況をいち早く報告する。
しかし、その時、けたたましい警告音が鳴り響いた。

山の斜面に叩き付けられた初号機の指の間に、腰を抜かしている少年二人が見える。
マヤのモニターには、その少年達のプロフィールがすぐさま映し出されていた。

Touji Suzuhara
Age 14
・・・
・・・
Kensuke Aida
Age 13
・・・
・・・

「なんでこんなところに民間人が!シンジ君のクラスメート?!」

叫声を発したのは、今まで黙って状況を見守っていたリツコであった。

零号機と四号機を引き離した使徒は、何故か初号機に突進してきていた。
叩き付けられる光の鞭を初号機は、手で掴んだ。

「何で戦わんのや?」
「俺らが邪魔で戦えないんだよ」

置かれた状況とは裏腹に、暢気な感想を述べている二人。
しかし、腰が抜けている為、動く事は叶わなかった。

「シンジ君、EVAを現行モードでホールド。2人をエントリープラグの中へ収容して!」
「越権行為よ、葛城一尉。許可の無い民間人をエントリープラグには入れられないわ」
「私が許可します」

「許可出来ません。葛城一尉を利敵行為により拘束。営倉に拘禁。逆らうようなら射殺も許可します!」

ミサトとリツコが言い合っている中、ナオコの命令が響く。

「なっ!私は人命尊重を・・・がふっ」

喚こうとしたミサトを黒服が当身をくらわせ沈黙させた。

「シンジ君!後を頼んだわ」

『了解!・・・綾波!マユミ!』
『はい!』
『・・・了解』

シンジの声と共に、初号機に迫っていた零号機と四号機が使徒を背後から引き剥がす。
初号機は、プログナイフを両手で持ち直すを一気に使徒のコアを突き刺した。
それに合わせて、零号機と四号機が後ろから押す。

「パターン青消滅、使徒沈黙しました!」

「保安部に言ってあの二人を保護、次の段階に入ります。リっちゃん、マヤちゃん頼んだわ」
「「はい」」

リツコとマヤは、使徒が殲滅されたはずなのに、凄まじい勢いでコンソールを操作しだした。
シゲルとマコトも、各々の仕事を行っているようだ。

ミサトには理解出来なかった。
使徒殲滅が完了したら、撤収では無いのか?

「使徒を食ってる・・・」

鳩尾を押さえながら、なんとか顔を上げたミサトは、メインモニターに映し出されている光景に戦慄した。
そこには、顎の拘束具を取り払い、使徒を捕食している3機のエヴァが映し出されていたのだ。
しかし、発令所の人間は、その事に何も触れず、作業を続けている。

『なんか味ないね?』
『エヴァ用の調味料を用意して頂くのでしたね』
『・・・お肉、嫌いだもの』

遣っている事とは程遠い和んだ会話を行っている3人。

Woooooooooooooo!!

3機のエヴァが咆哮を上げる。
生体部分が膨れ上がり装甲版を押し弾く。

「シンジ君!レイ!マユミ!行けるかしら?」

『行けると思います』
『大丈夫です』
『・・・問題ないわ』

「リっちゃん?」
「MAGIに入力して貰ったデータを今、零号機と四号機に送ったわ」

「冬月先生?」
「関係各省への通達は終わっているよ」

「青葉二尉?」
「各NERVへの通達準備完了です」

「それじゃ各NERV支部へ通達。今からNERV本部はゼーレに総攻撃を開始します」
「了解!」

シゲルはナオコの命令を聞き、慌しくコンソールを操作する。

「やっちゃって頂戴!レイ!マユミ!」

『イエッサー』
『・・・了解』

二人の言葉と共に零号機と四号機が光り輝きだす。

「あ、あれは光の巨人・・・」

ミサトは何がなんだか全く理解できなかった。
それは、ミサトの持つセカンドインパクトの時に見た忌まわしき物。
それが使徒と呼ばれる物であり、使徒がセカンドインパクトを引き起こしたと聞いていた。

(何故、あの巨人がここに・・・いやエヴァが何故あの巨人に・・・)

「まだ、そこに居たの?早く営倉に連れて行きなさい」
「「「はっ!」」」

ミサトは呆けたように引き摺られて行く。

「日向二尉、ウィングキャリアーを準備。到着次第、初号機を旧東京へ」
「了解」

そうこうしているうちに、零号機と四号機は無数の光の線となり飛び散って行く。
本体が消えた零号機と四号機のエントリープラグを初号機が受け止めていた。
初号機のエントリープラグを半射出させ、二人を同乗させるシンジ。
二人を乗せるとエントリープラグは、再度エントリーされる。

初号機のエントリープラグの中では、シンジの膝の上に座る形で二人はシンジに抱きついていた。
シンクロを開始するとレイとマユミは恍惚の表情を浮かべる。
同時シンクロは、お互いが信頼していると、魂を触れ合う快感を伴うのだ。
A10神経が想い人で満たされるのであるから当然と言えば当然であった。
いつの間にかレイとマユミはシンジの腕にしがみ付き、足をシンジの太腿に絡ませ股間を押し付けていた。

「朝鮮の目標沈黙!」
「中国の目標沈黙!」
「ロシアの目標沈黙!」
「アメリカの目標沈黙しました!」
「オセアニア沈黙!」

次々とMAGIに表示されていた世界地図の紅い点が消えて行く。
レイとマユミはSS機関を取り込み、エヴァの素体をサハクィエルのように無数の爆弾として放ったのである。
それはATフィールドでコーティングされ飛ばされたため、目標を違える事が無かった。
また、放たれた方は防ぐ手段が無かったのである。

「ウィングキャリアー到着しました!」

『じゃぁ行って来ます』

「頼んだわ」

初号機はウィングキャリアーから垂らされた大型の縄梯子のような物に掴まり、運ばれて行った。



第二使徒殲滅のためにNN爆雷大量投入と海面の上昇により沈没したとされる旧東京。

その実体は、使徒の生産工場であった。
南極から持ち帰ったアダム。

卵まで還元したからと言って、テープが捲き戻るように縮んだ訳ではない。
つまり、切り離したのだ。
その残った部分。
それが使徒の素である。

使徒の素を人間や動物、虫や細菌や兎に角、生の在る物を植えつけると使徒となるのだ。
だから使徒は、アダムに帰ろうとするのだと信じられていた。
しかし、それも真っ赤な誤解、老人達の都合の良い解釈であった。

彼らは解放を望む。
第三新東京市に行けば、解放されると本能が告げるのだ。
そこには、全ての母たるリリスが居たからである。
アダムの代わりではなく、彼らはリリスそのものを求めて黒き月へと向かっていたのだ。

そして、そのプラントが旧東京に存在した。
ガギエルは、弐号機に殲滅される筋書きで、ここで海に放たれた。
それは放った者達の思惑通り、アダムの波動とエヴァの波動に導かれてオーバーザレインボーへと向かったのである。
多くの使徒が海から現れたように見えたのもこの為であった。

勿論、ここは、ゼーレの施設である。
つまり使徒はゼーレが造り出していたのだ。

あまりにも都合良く迎撃準備が整ってから来る使徒。
迎撃方法の無い時期に、使徒は襲来しなかった。
これが、そのカラクリである。

だから使徒をNERV本部内に搬入する資材に取憑かせる事も出来たのだ。
松代で起動実験を行う際、ミサトが待たされた事に怒っていたが、実は、ここを経由していたので時間が掛ったのだ。

ここは、破壊するだけでは、使徒が纏めて攻めてくる可能性があった為、初号機が直接破壊しに来たのである。

「なんだ?!何が起こった?!」

いきなり建物が揺れ、そこに居た研究員達が騒いでいる。
海底にある、この施設にはショックアブソーバーも装備されており、これ程大きく揺れる事は無いのだ。

非常ランプが点り、警報が鳴り響いていた。

「エヴァです!エヴァ初号機が攻めて来てます!」
「何だと?!NERVが裏切ったのか?!」

「まずいぞ!このままでは、使徒の素が破壊される!」
「隔離層が破壊されました!使徒化します!」



「出てきたね」
「まずは、3体ですか」
「・・・問題ないわ」

話している内容は、それらしいのだが、レイとマユミの顔は上気している。
プラグスーツが無ければ、LCLに股間に溢れる液体を溶けさせていただろう。

海面に姿を現す使徒の成り損ない達。
産声を上げたばかりのそれらを初号機は瞬殺していく。

使徒らしく十字の爆発を行い殲滅されて行く。
その爆発は、海底の施設をも破壊して行った。

そこに、白い巨人が海面から姿を現す。
背中から持ち上がるように顔を上げる巨人。

『あれは・・・』

白い巨人の全容が映像に映された時、通信で状況を見ていた発令所から、声が漏れた。

ビュィ〜〜〜〜ビュィ〜〜〜〜

真っ白な巨人は何かを叫んでいるような声を発していた。
その姿は、白く大きいだけの男の姿をしている。

真っ白な身体に真っ白な鬚を生やした巨人。
正しくゲンドウそのものであった。
当然だが、股間にモザイクなど掛っていない。

『正視に耐えられないわね』
『碇・・・』

発令所の冬月は、何を思っているのだろう。

「これで最後のようですね」
「・・・早く帰りたい」

マユミとレイの言葉にシンジは頷くも、その眼は白い巨人を凝視していた。

ビュィ〜〜〜〜ビュィ〜〜〜〜

真っ白な巨人は、初号機に無造作に近寄ってくる。
シンジは悪寒を感じて慌てて避けた。

「うわっ!」
「もしかして抱付こうとしていませんか?」
「・・・気持ち悪い」

逃げ回る初号機に抱付こうと追ってくる白い巨人。
これまでに無い戦いに、発令所も呆然としていた。

ビュィ〜〜〜〜ビュィ〜〜〜〜

「あれってもしかして、ユイって言ってるのかな?」
「その思いだけが残ったのでしょう。既に自我は無いはずです」
「・・・ここに魂があるのが解るのね」

「哀しいね」
「切ない程に」
「・・・無に還してあげる」

レイの言葉に頷くシンジとマユミ。
立ち止まった初号機の腕を、白い巨人が掴む。

「くっ!」

『初号機、左腕侵蝕されます!』

ビュィ〜〜〜〜ビュィ〜〜〜〜

「くっ!左腕切断!」

『左腕の神経接続をカット!左腕を切り離して!』

左腕を切り離しなんとか巨人から離れる初号機。
巨人は、初号機の左腕を体内に取り込んで行った。

「そんなに母さんと一つになりたいか」

プログナイフを装備し、初号機は巨人に向かって行く。
しかし、巨人は、それを避けようともしない。
ズブズブッと肩から突き刺さるナイフを物ともしないで巨人は、初号機の右腕を掴んだ。

『初号機、右腕侵蝕されます!』

「ぐはっ!」
「碇君!」
「シンジ様!」

左腕が無いために初号機は巨人を押しのける事が出来なかった。
巨人はしっかりと初号機を抱締める。

『危険ね、既に5%以上が生体融合されている』

「くっ!綾波!自爆装置を!マユミっ!緊急射出!二人共しっかり掴まって!」
「はいっ!」
「・・・了解」

バシュッと言う音と共にエントリープラグが緊急射出された。

『エントリープラグの回収!急いで!回収後、急いで離脱!』

リツコが、初号機を運んだウィングキャリアーに命令を出す。
全翼機は、網のような物で射出されパラシュートで落下中のエントリープラグを回収した。

その間にも真っ白な巨人は初号機を抱擁し、自らの体内へと融合して行っていた。

爆発する初号機。
発令所のメインモニターもホワイトアウトする。
SS機関を持っている初号機の爆発は、海上にも拘わらず、その場を地表まで抉るクレータを造り出した。
暫くすると、そのクレータに海水が凄まじい勢いで流れ込んでいく。
太平洋沿岸部は、津波警報が必要だろう。

「結局、父さんは、幸せだったのかも知れない」
「はい、想いを遂げられました」
「・・・せめてもの手向け」

3人はエントリープラグの中で、各々の思いに耽っていた。



「「お疲れ様」」

NERVに戻ったシンジ達をナオコとリツコが迎えた。

「ゼーレ上層部は全滅。国連もゼーレ関係者は拘束されたわ」
「NERVはどうなるんですか?」

「暫くは、事後処理に追われるわね。その間に国連での処遇が決定するんじゃないかしら」
「じゃぁそれまでナオコさんが司令代理のままですか?」
「そのようね。誤算だったわ」

本当に残念そうに溜息を吐くナオコ。
リツコは、そんなナオコを見て微笑んでいる。

「これでもう使徒は、現れないのね?」
「一応、使徒の素は全て破壊しました。しかしエヴァの生体部品があるように細かい物は、残っています。それがどのように使われるかは、今のところ不明です」

「あら?貴女でも不明な事があるの?」
「はい、不確定要素。つまり世界の行く末を選択する事が出来る人物が何人か居ます。この世界がどの選択肢を取るのかは、未だ不確定な部分があるのです」

リツコの問いに答えるマユミ。
リツコは解ったような解らないような顔をしている。

「解りやすく言えば、本来の道を閉ざしてしまった為に違う道を造ろうとしているのですが、その道がまだ出来ていないと言えます」
「成る程、本来起こらない事が起こる可能性が出てきたのね」

「それより弐号機ってどうなりました?」
「現在、横須賀に向かって航海中。まだ北極海ってところね」

この時点では、まだ加持もアダムを運んでは居なかった。
もし、ここで運んでいたなら、JAの工作時に持ってくる事が出来たのだ。
これから、日本にJAの工作の為、戦闘機で来て、その足でドイツに行きアダムを持ってオーバーザレインボーに合流すると言うのが筋書きだったのである。

「それも頭の痛い問題なのよ。使徒がもう来ないと言うなら寄こせって日本政府が煩いの」
「戦自にって事ですか?」

「そうよ」
「LCLを浄化する施設が無ければすぐに朽ち果ててしまいません?」

「そう言ってるんだけど、信用しないのよね。それぐらい出来るって」
「LCLの何たるかを知らないのに、随分な自信ですね」

「科学者とはそんな物よ。人に出来る事は自分も出来ると思っているわ」

深い溜息を吐くナオコとリツコ。
シンジ達は苦笑するだけであった。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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