第拾参話
NERV変革


「まず、今日ここに集まって貰った人達は、以前のNERVで使徒迎撃に対し最前線であった人達であり、これからのNERV再建の要となる人達です」

張詰めた空気の中、ナオコは意を決したように一気にそこまで話すとシンジ達の方を見てニヤリとした。
その眼は、雄弁に「逃がさないわよ」と言っている。

対してシンジ達に取っては予想の範疇であった。
唯一シンジ達の方に居るヒカリには何の事だかさっぱり解らないのだが、元々部外者だと自ら思っているヒカリには特に反応は無かった。

マユミの情報も、ことこの事に関しては断片的であったためシンジ達は取り敢ずナオコの話を聞く姿勢である。
マユミ曰く、未だ流動的な要素が多分にあるらしい。

ミサトとアスカに至っては、ナオコの最後の言葉に気を良くしたのか、こちらも真剣に次の言葉を待っていた。

「まずNERVは存続しますが、大きく分けて3部門に別れます。一つは今までの研究を継承する研究機関。一つは今までの研究成果と実戦経験を利用したアトラクション部門。そしてもう一つはそれらを維持運営していく外交機関です」

今一つ良く解らない。
それが、その場に居る全員の感想であった。
アトラクション部門とは何の事か?
何故維持運営に外交部門なのか?

「これからNERVは総力を上げて、第三新東京市をテーマシティへと改造していきます。
勿論テーマは、使徒迎撃都市。世界的な観光都市とするために強羅防衛線付近に空港を建設。
ここジオフロントは、その中央であるテーマパークとなります」

「「は?」」

これはミサトとアスカの反応である。
事前に聞いていたシンジ達とは違い、軍人であるミサトとアスカに取っては、何の事だか解らない。
いきなり軍事施設であったはずの物が遊園地に変わると言うのだ。
そこで自分達に何をしろと言うのか?
その戸惑いは尤もであろう。

「エ、エヴァはどうするのよ?!」

取り敢ずなんとか言葉を発したのはアスカであった。

「展示対象となります。今のケイジではなく、巨大なシリンダーのような物を建造し、その中でLCLに保存する事になる予定です」
「見せ物にするって言うの?!」

「あくまで展示できるようにとの処置です。いつでも稼働できる状態にしておくのに尤も現実的な処置と思って下さい」
「稼働する事があるの?」

徐々に声が小さくなるアスカ。

「私達の見解では、使徒が二度と襲来する事は有り得ません。従って戦闘する事は無いと考えています。しかし、国連内ではいざと言う時の備えを無くす事は出来ない。しかしこの先の維持費についても潤沢とは言えない。そのための対策です」

「あ、あの・・・私は?」
「葛城一尉も、同様です。エヴァが運用される事があった場合の作戦指揮官。そのためにチルドレンと葛城一尉はエヴァに尤も近いアトラクション部門にて平時は勤務して頂きます。勿論、拒否権はありますが、その場合はNERVを退職と言う事になります」

ミサトは考え込んでいた。
使徒はもう現れないと言う。
しかし、エヴァは存在する。
もし、仮に使徒が現れたならやはり撃退するのはエヴァであろう。
その時に自分がここに居ない。
それはミサトに取って看過出来る物では無かった。

アスカとミサトが黙った事を確認すると、ナオコはリツコにひとつ頷く。
これは、アスカは兎も角ミサトに対して最悪、総司令代理と言う最高権限で黙らせる必要もあるかと、ナオコがここまで進めていたのだ。
最初から二人が大人しくなった時点で、細かい説明はリツコに任せるつもりだったのである。

リツコが頷くといつの間にか入室していたマヤが資料を配り始める。

「それでは、まず新組織の紹介から始めます。新組織、当面便宜上「NEO−NERV」と呼称しますが、基本的には国連下の企業となります。日本式に言うと非営利法人と言うところでしょう。しかし、組織の運営のため営利活動も行います。そのCEO、経営最高責任者として、ここに居られる渚=カヲル=ローレンツ氏が派遣されて参りました」

リツコの紹介と共に、会釈するカヲル。

「渚=カヲル=ローレンツ氏にはCEO兼外交機関の長に就任して頂き、営利活動の全てを統括して頂きます。続きまして、研究機関の長として赤木ナオコが就任致します。主たる業務は研究機関でありますので、アトラクション部門は研究機関の配下の1部門として存在する事になります。形式と致しましてアトラクション部門の長は冬月コウゾウ氏が就任致します」

「初めまして。僕が渚=カヲル=ローレンツだよ。カヲルと呼んでくれると嬉しいね。これから宜しくお願いするよ」

ナオコに促されたカヲルが自己紹介するが、その眼はシンジの方を向いていた。
ニッコリと微笑むカヲルにシンジは、久しぶりに赤面する。
その様子に不満そうなレイとマユミ。

「丁度良いから、こちらも自己紹介して貰えるかしら?それじゃシンジ君から」

リツコの言葉にキョトンとした顔をして自分を指さすシンジ。
そんなシンジに悪戯が成功したような笑みで応えるリツコ。
はぁっと溜息を吐きながらシンジは立ち上がった。

「碇シンジです」

それだけ言うとペコリと頭を下げ再び座るシンジ。
リツコが何か言う前に、すかさずレイとマユミが立ち上がった。

「綾波レイ」
「山岸マユミです。宜しくお願いします」

レイとマユミは阿吽の呼吸で自己紹介を済ます。
深々と頭を下げるマユミと直立不動のレイは対照的であった。
そしてヒカリがマユミに促され立ち上がる。

「わ、私もですか?」
「えぇ、お願いするわ」

戸惑うヒカリにリツコは微笑んで答える。

「あっ、ほ、洞木ヒカリと言います。宜しくお願いします」

何を言って良いのか解らないヒカリもそれだけ言うとペコリと頭を下げる。

「次は、アスカね」

未だ茫然自失としているアスカにリツコが催促する。
名前を呼ばれ我に返ったアスカは、ガタンと勢いよく立ち上がった。

「アタシがセカンドチルドレン。エヴァのエースパイロット。惣流=アスカ=ラングレーよ」

それだけ言うとバンと椅子に座る。
カヲルとはオーバーザレインボーで会っていたのだが、いつも黒服に護られていていけ好かなかったのである。
自分は、エースパイロットのはずだが、護衛は加持一人。
それに引き替え向こうは何人も護衛が居るし、近付く事さえ出来なかった。
自分と年端の変わらない少女が自分より高待遇である事が許せなかった。
護衛が多いから高待遇だとは限らないのだが、アスカにはそう見えていたのだ。

因みにカヲルは、オーバーザレインボーが途中立ち寄ったハワイから同乗してきたのである。
飛行機で来れば良いのに何故わざわざオーバーザレインボーに同乗したのか。
それは、色々な偶然が重なり合ったのである。

カヲルは元々アメリカ経由で飛行機で日本に向かっていた。
カヲルの身分からあちらこちらの拠点に立ち寄りながら向かったのである。
そしてハワイに滞在した時に丁度オーバーザレインボーが立ち寄っていたのだ。

カヲルは国連に掛け合い、太平洋艦隊なら安全であろうし、国連からの意志であることも強調できると国連もそれを承諾したのだ。

「ミサト?」
「私も?」

コクリと頷くリツコ。
ミサトは、徐に立ち上がるとポリポリと頭を掻くと咳払いを一つした。

「えぇ〜っと、私はNERV本部作戦課長、葛城ミサト。階級は一尉。NERVの前身であるゲヒルン時代から所属しているわ。軍事訓練はUN軍で、その後NERVドイツ支部を経て現在に至ります。そこに居る赤木リツコ博士とは大学時代からの付き合いで・・・」
「ミサト!その辺りで良いわ」

コメカミを抑えながらミサトを制するリツコ。
このまま喋らせておくと何を言い出すか解らない。
さっきまでの呆然とした態度は何処へ行ったのだと、リツコは顔を引くつかせていた。

「概要は母さん、総司令代理が話された通りですが、残存するNERV技術部として急務を迫られているのは、疑似エントリーシステムの開発です。これは、早い話、一般人でもシンクロシステムを体験できると言うものです。そのために一般人のデータを取るために洞木さんには協力をお願いしようと考えています」
「わ、私ですか?!」

「えぇ、そうよ」
「そんな、私なんかに出来るんでしょうか?」
「逆よ。貴女みたいな人でも出来るように私達がするのよ。そのために協力してくれるかしら?」

リツコの言葉にどうすれば良いのか解らないヒカリは周りをオロオロと見渡す。
シンジもマユミも優しく微笑んで頷いている。
レイも無表情だが、頷いていた。

「わ、私で良いのなら・・・」
「そう、有り難う。助かるわ」

リツコは優しい笑顔をヒカリに向ける。
何故か、マヤがそれを見て顔を赤くしていた。



「やぁ、ここいいかな?」

会議室での長い説明が終り、シンジ達は食堂で寛いでいる。
そこへ、無精髭を生やしたよれよれのスーツにだらしなくネクタイを締めた男が声を掛けてきた。
アスカと一緒にドイツからやって来た加持リョウジである。

「構いませんよ。でも他にも席は空いているようですが?」
「いや、ちょっと君達と話がしたくてね。俺は加持リョウジ。宜しくな碇シンジ君」

「僕の名前を?」
「そりゃあ、この世界じゃ君は有名だからね。何の訓練もなしにエヴァを実戦で動かしたサードチルドレン」

「訓練ならネバダの第二支部で受けていましたよ」
「でも実際の搭乗は初めてだったんだろ?」

「加持せんぱぁ〜いっ!」

探りを入れるような加持の眼が、だらしない男の眼に戻る。
ミサトとアスカがやって来たのだ。
ミサトは、加持と旧知の仲である。
アスカは、大人の男として加持に懐いていた。

「よぉアスカ」
「チョット、アンタ弐号機の引渡しが済んだんならさっさと帰りなさいよ!」

「今朝、出向の辞令が届いてね。此処に居続けだよ。また三人で連めるな、昔みたいに」
「誰がアンタなんかと!」

ミサトとアスカが、なんの挨拶もなく加持の隣に座りこむ。
アスカは加持の腕にしがみついているが、眼はシンジ達を牽制していた。

無言で立ち上がるシンジ達。

「おや、もう行っちゃうのか?」
「えぇ、なんか睨付けられていて居心地悪いですから」

「何偉そうに言ってんのよ!ハンッ!ちょっと使徒を倒したからっていい気になってんじゃないの?!アタシが居なくて良かったわね。居たらアンタ達に活躍の場なんてなかったのに」

「それでは」

アスカの詰りを歯牙にも掛けずシンジ達はその場を立ち去った。

「くっ!何よ!アタシを無視して!」
「おいおいアスカ。同じチルドレンなんだから仲良くした方が良いんじゃないか?」

「あんな冴えない奴等、どうでも良いわよ。大体もう乗るエヴァも無いくせに偉そうに!」
「その時はアスカにお願いするよ」

「まっかしておいて下さい。ね!ミサト」
「え、えぇそうね・・・」

自分の中で整理のついていないミサトは曖昧な返事を返した。
ポッカリと目的を失った喪失感。

以前は使徒が現れる時期が大まかではあるが予見されていたのだ。
自分は、これから使徒を待てるのだろうか?
待っているべきなのだろうか?
今のミサトの思考はそこに集約されていた。



シンジ達がNERVのゲートを出ようとエレベータを降りたところ、そこに備え付けにベンチに一人座っている少女が居た。

「やぁ、碇シンジ君」
「えぇっと渚さん?」

「カヲルで良いよ、碇シンジ君」
「あっ僕もシンジでいいよ・・・イテッ」

カヲルとの遣り取りに頬を染めるシンジのお尻をレイが抓った。

「もう帰るのかい?」
「うん、そのつもりだけど」

「帰る家、ホームがあるという事実は幸せに繋がる、良いことだよ」
「そうだね。僕もそう思うよ」

「僕は、君ともっと話がしたいな。一緒に行って良いかい?」
「僕は構わないけど・・・」

シンジは背後の二人に眼をやる。
先程から冷たい視線を背中に感じていたのだ。
何故かヒカリまで睨んでいるように感じられる。

「シンジ様が望まれるなら私に否は御座いません」
「・・・碇君が望むなら構わないわ」

言葉とは裏腹に冷たい物を感じるシンジであったが、何故かカヲルを無視する気にはなれなかった。
それは、レイと一体となったときに受取った記憶がそうさせるのか、それとも他の要因があるのか、シンジには解らなかった。

「うん、じゃぁ一緒に帰ろう」
「有り難うシンジ君」

シンジの言葉にニッコリと微笑むカヲル。

「ところで渚様の護衛の方々はどうされたのですか?」
「僕はもうNERVの所属だからね。この第三新東京市では、君達と一緒に居る程安全な事は無いと赤木総司令代理と赤木博士が太鼓判を押してくれたよ」

「・・・そう、あの二人が企んだのね」
「僕が君達と話がしたいと言ったら、そう教えてくれたんだよ」

ニヤリと笑うレイに、慌ててフォローを入れるカヲル。
本能とも言うべきものが、危険を察知したのであろう。

それでもゲートを出るとリムジンが待ちかまえていた。
5人で乗っても悠々と座れるリムジンにヒカリは終始感動している。

「今日は我慢してくれるかい?帰りの足を用意しておかないといけないからね」

少し居心地が悪そうなシンジに、済まなさそうに言うカヲル。
レイとマユミは、慣れているのか平然としていた。



さて、実はマユミはかなり警戒していた。
マユミの力を以てしても詳細を見極められない存在の一人。
それが渚=カヲル=ローレンツであったからだ。

自分達が人外である以上、他に自分達の能力を上回る存在が居るはずがないなどとマユミは傲らない。
それは、既に全てを知る事が出来るはずのマユミが知る事が出来ない事で明かであるからだ。

最強であるレイではあるが、その力をおいそれと使う訳にも行かない。
地球上の全生命体をLCLに出来る程のアンチATフィールドを操れると言っても、それを使ってしまえば誰も居ない世界になってしまうからだ。

そう言う意味でカヲルは得体の知れない存在であった。
ヒカリを帰すべきか悩んでいたレイとマユミであるが、仮に二人の能力を凌駕するような存在であれば、何処に居ても大差ないだろうと、ヒカリの意志に任せる事にした。

そして現在、シンジの家ではテーブルを挟んでカヲルとその他4人が向き合うと言う歪な配置関係でお茶を飲んでいる。
マユミの淹れた紅茶の薫りを楽しむように、上品な仕種でカップに口を付けるカヲル。
産まれ育った環境の成せる技か、その仕種は優雅で気品が溢れていた。

「それで、どのようなお話でしょうか?」

マユミがお茶とお茶菓子の用意を終え、席に着いた時に沈黙を破った。
無口なレイや、対人能力にあまり優れていると言えないシンジでは、話が進まないと思いマユミが口火を切ったのである。
当然であるが、この状況では、ヒカリにもそれは望めない。

「君は僕と同じだね?山岸マユミさん」
「私がですか?」

突然の言葉にキョトンとするマユミ。

「・・・貴女誰?」

マユミでは無く、レイがカヲルの言葉に反応した。
レイは既に臨戦体制である。

「そんなに構えないでくれないかな?僕は、渚=カヲル=ローレンツ。キール=ローレンツの孫であり、彼の非人道的な研究の数少ない成功例の被験者さ」
「人類補完計画の模索の一つですね?」

「そう、サードインパクトによる補完の他に、人類そのものを覚醒させようとしていたみたいでね」
「・・・群体で生きるリリンこそ覚醒した姿」

「そうなんだろうね。だから僕はとても中途半端な身体と魂になってしまったようだよ」
「カヲル君、君は・・・」

シンジは理解してしまった。
カヲルが既に人外である事を。
そしてそれが、自分が望んだのでは無く、周りに強制的、いや、知らぬ間に行われたのかも知れないと言う事を。

自分は良い。
マユミから色々と教えられ人間であることに価値を感じていなかったし、レイとマユミと共に生きていこうと決意していたから。
しかし、レイと一体となり流れ込んで来た記憶。
そこには自分の意志とは関係なく、身勝手な大人達に翻弄される自分が居た。
彼女は、その自分と同じように為す術無く、望まない姿にされたのではないのか。
いや、きっとそうなのだろう。
何故なら、流れ込んで来た記憶では彼女は彼であったはずだ。
シンジは、そんな思いが込み上げて来ていたのであった。

哀しそうな顔をするシンジに、笑顔を浮かべるとカヲルは言葉を続ける。

「そんな僕の身体を使って、お爺様は色々やっていたみたいでね。僕の力は中途半端でお爺様を盲信している人達には、及んでいないようなんだよ」
「使徒の素ですか?」

マユミの言葉にカヲルはコクリと頷く。

「ところで、彼女は普通の人のように見えるのだけれども、構わないのかい?」
「・・・それを決めるのは彼女自身」

「あ、あの・・・私邪魔でしょうか?」
「邪魔じゃないよ」
「洞木さんは、洞木さんが思う通りにすれば宜しいのです。私達は既に肌を合わせた間柄。何も隠しませんし、何も咎めませんわ」

シンジとマユミの言葉に続きレイもコクリと頷く。
しかし、ヒカリはマユミの言い回しの方に顔を真っ赤に染めていた。

「君達は僕が思っていた以上の存在だったようだね」
「どう言う事でしょうか?」

「僕は君達に興味があったのさ。惣流さんも同じかと思ったのだけれど、彼女は違うようだね。君達だけが特別なようだ」
「それでオーバーザレインボーに?」

「そう、僕はチルドレンと呼ばれる君達と接触したかった。でも彼女は溢れんばかりの敵意でね。君達からは敵意は感じられなかったからね。話が出来ると思ったんだよ」
「話って?」

「数世紀に渡り世界経済を裏から支配していたゼーレは、実質崩壊してしまった。僕はローレンツ家を建直さなければならない。と言うのは表向きの理由でね。僕自身の身を守るためにそう言うスタンスを取っているに過ぎない」
「そこでNERVを利用しようと?」

「そう言う事だよ。だけどNERVがゼーレの残党に対抗出来るのかは自信が無かった」
「彼らの狙いは何なのでしょうか?」

「エヴァと地下に幽閉されているはずのリリス」
「リリスは既に存在しませんわ。エヴァが欲しいなら差し上げれば宜しいのでは?」

「それでサードインパクトを企てるとも?」
「実現は不可能だと思われますが?」

「エヴァがあればSS機関が出来ると考えられているんだよ。専門的な事は僕には解らないけど、SS機関があればセカンドインパクトと同程度の事は出来るらしい」
「確かに破壊だけを目指すなら可能ですね。でしたら態々NERVに来られたのは危険なのではありませんか?」

「戦うなら最強の武器を手に入れたいと思うのは当然じゃないかい?」
「そう言う事ですか」

カヲルとマユミとの遣り取りはヒカリにはチンプンカンプンであったが、レイとシンジには、それなりにカヲルの意図する事が掴まれた。

「・・・貴女の戦いに巻き込まないで」
「綾波・・・」

「そうだね。僕も君達を巻き込むつもりは無かったんだよ。君達には既に乗るエヴァも無い事だし、エヴァが無ければ普通の人だと思ってたからね」
「カヲル君・・・」

シンジの哀しそうな瞳に笑顔で答えるカヲル。
シンジの胸に切なさが渦巻く。

「でも何故だろう?ここまで話すつもりは無かったんだけれどね。シンジ君を見ていると全てを知って貰いたくなってしまった」
「綾波!カヲル君だって僕達と同じ仕組まれた子供じゃないか!カヲル君が望まなくてもどうせ僕達は巻き込まれる。一緒に戦ってあげても良いじゃない!」

「シンジ君は優しいね。そして君の心はガラスのように繊細だね」
「僕が?」

「そう、好意に値するよ」
「コウイ?」

「好きって事さ」
「カヲル君・・・」

「仕組まれた子供と言われるのなら惣流さんもですわ」
「敵意を持ってる人間に歩み寄る必要はないじゃない」

「それは確かにその通りで御座いますね」
「綾波・・・駄目かな?」

「・・・解ったわ。碇君が望むなら私も協力する。でも条件があるわ」
「それは何だい?」

「・・・貴女の本当の姿を見せて」
「今、ここでかい?」

コクリと頷くレイ。

「後悔しないでおくれ」

そう言うとカヲルは、すっと立ち上がり、着ていたドレスの背中にあるファスナーを下ろすとストンとドレスを床に落とした。

そこには、透き通るような肌。
豊満な胸。
括れたウェスト。
ふっくらと膨らんだ腰。
すっと真っ直ぐに伸びた長い足。
その付け根の股間には、逞しい男根がそそり立っていた。

「これが僕の本当の姿だよ」

カヲルがそう言うと、紅い瞳が光を増し、銀色の髪の毛が逆立ち部屋中に淫猥なフェロモンが満ちる。

「な、渚さん!何故下着を付けていないの?!」

場違いな叫びを上げたのはヒカリである。

「その姿では、確かに女性物の下着は難しいかも知れませんね」
「・・・でもブラは付けないと、その大きさじゃ垂れるわ」

「い、いや、そんな所に突っ込まれても・・・それより、やっぱり僕の力は通用しないみたいだね」
「カヲル君・・・」

シンジは涙ぐんでカヲルを抱締める。

「辛かったんだね?これからは、僕が、僕達が一緒だよ」
「シ、シンジ君?」

「それよりも力の使い方を誤っておられますわ。それ故のその姿です」

そう言うとマユミも服をさっと脱ぐと全裸になりカヲルに密着し愛撫を始める。

「な、何を・・・あっ」

乳房を揉み、舌を這わせるマユミ。

「・・・狡い。洞木さん私達も」
「え?わ、私も?あっ綾波さん?」

マユミに操作されているとは言え、いきなり始まった目の前の状況にオロオロしているヒカリの服をレイが脱がし始めた。
半人前の淫魔であるカヲルとマユミの能力が相乗効果をもたらし、シンジの部屋は常人では発狂してしまうような淫靡な空間と成っている。
レイは、それからヒカリを護る序でにヒカリに愛撫を始めたのだ。

マユミの能力により、カヲルは既に朦朧とした意識の中に居る。
真性半陰陽であるカヲルの股間にはシンジの指とマユミの指が入り込みグチュグチュと淫猥な音を起てていた。
カヲルの男根は既にマユミが呑み込んでいる。

「くはっ!あぁっ!あぁぁぁっ!」

シンジの股間の逸物がカヲルの女性器の中に挿入した。
シンジとカヲルの間には、カヲルの男性器を呑み込んだマユミが居る。
シンジと唇を貪り合うカヲル。
シンジは自らの逸物を二股にすると片方をマユミの肛門へと挿入する。

「シンジ様ぁ〜!」

カヲルにしがみつくマユミ。

レイは、早々に失神したヒカリを離し、カヲルの背後からカヲルを責め始めた。
ヒカリは、ソファーに上半身を俯せに乗せた形で失神している。
膝は床に着き、その可愛いお尻は、肛門と膣がポッカリと穴を開けており、中にはドクンドクンと痙攣する子宮口が見えていた。

「かはっ!あぁぁぁっ!」

カヲルの肛門をレイが造り出した、先程までヒカリを責めていた男根で貫く。

「・・・本当の貴女を見せて」

カヲルを挟んだまま融合を開始するシンジとレイとマユミ。
その融合にカヲルも巻き込まれて行った。

「ここは?」
「・・・ここは魂が溶け合った世界」

カヲルの前に立っているのは、全裸のレイ。

「魂が?」
「そう、僕達は今一つになっているんだよ」
「そして、今の姿が本来の姿ですわ」

そう言われて自分の姿を見たカヲルは驚愕した。
そこには、17〜8歳の見事な女性の裸体があったからだ。
シンジやレイ達も随分大人びて見える。

「これは・・・鏡を見てみたいね」
「僕の瞳を見てごらん」

そう言われシンジの真っ黒な瞳を覗き込むカヲル。
そこには、17〜8歳に見える銀髪の少女が映っていた。

「これが僕なのかい?」
「・・・そう、貴女本来の姿」

「君達もそうなのかい?」
「・・・そうよ」

「涙・・・これが嬉しいって事なのかい?」

涙を流すカヲルを3人は優しく抱き絞めていた。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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