第拾八話
鋼鉄の狂姫


「きゃぁ〜!これ最高!トライデントなんか玩具ね」
「こんなの仮想空間だから出来るんだ。実戦でこんな動きが出来る訳がない」

「おぉ〜これがATフィールドってやつぅ?マナちゃん天才ぃ〜!」
「すごいなマナは」

第三新東京市に存在する疑似エントリー施設で、高校生ぐらいの男の子二人と女の子一人がはしゃいでいた。
ここでは、それ程珍しい光景では無い。
ただ、その少年と少女は、迷彩模様の服を着ており、言動も軍隊調で道で擦れ違う者達は少々引いていた。
しかし、その少女はそれでも見栄えのする方であり、タレ眼の顔は愛らしいのだが、少年達に言わせると「顔に騙されてはいけない」と言う事らしい。

少女の名前は霧島マナ、少年達はムサシ=リー=ストラスバーグと浅利ケイタ。
戦略自衛隊の少年兵達であったのだが、今はれっきとし少年工科学校の生徒だ。

「ふん!マナがトライデントを壊さなければ、問題は無かった」
「私が壊したんじゃないもん。私の操縦について来られなかったムサシが悪いんだもん!」

強がっているがムサシは、その時本当に殺されると思っていた。
マナに自分のトライデントが戦闘不能にされた時、死を覚悟したのだ。

「あ、あれは油断してたんだ!演習で壊すまで普通やらないだろ!」
「じゃぁこれは仮想空間だから構わないわね!」

マナの言葉と共にムサシの駆っていたエヴァは、マナの駆るエヴァに叩きのめされる。

「なっ!今は対戦してなかっただろ!」
「油断大敵♪」

なんやかんやと言いながらもATフィールドを展開出来るマナは、どこか壊れているのだろう。
しかし、そんな内情は知らず、ATフィールドが張れた事にはしゃぐマナ。

「一応ATフィールドも張れたみたいだし、今日は収穫有りだね」
「あぁ〜あ、噂の赤いエヴァでも出てくれば面白かったのにぃ」

元少年兵達の間でも狂い姫と恐れられていたマナの唇を吊上げた笑み。
マナの人生は、女の子にとっては屈辱の人生だった。

幼い頃から男女区別なく訓練に明け暮れさせられたマナは、着替えも風呂も男の子達と一緒だった。
第二次性徴の兆しを見せ出す頃には、同僚は疎か、教官達からも犯されたのである。

早い時期に同僚の女の子達はリタイアした。
マナ以外は教官の甘言に従って、性奴となっていったのだ。
軍の高官に宛われたり、賄賂として献上されたりしていった。

マナが残ったのは、ムサシとケイタの為である。
幼い頃から一緒にやって来て自分だけが逃げる事を良しと出来なかったのだ。
それ故に一人残った女の子であるマナには過酷な虐めと陵辱が降りかかったのである。

同僚達もムサシとケイタ以外は、唯一人残ったマナを性の捌け口とするし、教官達も命令と言う名の陵辱を繰り返した。
まるでマナの羞恥を煽るためだけの教官達の指示。
全裸で匍匐前進や、戦闘訓練など日常茶飯事であり、マナの股間にあるべき陰毛は擦切れたり千切られたりして無毛であった。
その時の後遺症か、今も陰毛は生えて来ていない。

その日、諜報活動教練として、マナは皆の前で全裸にされていた。
女性を落とすためには性的快感に訴える方法が一番であり、どこをどうされれば感じるのか実体験させると言うことだった。
一人しかいない女性としてマナは被験者になることを命令されたのである。

そして、机を並べた上に仰向けに寝かされれ、教官共々皆に弄り廻された。
ここはどう感じるのかと、その時々で克明に報告させられる。
穴と言う穴に指を突っ込まれこねくり回れた。
両足を肩まで持ち上げられ、股間を隠す事も出来ず白日の元に押し広げられる。

物理的刺激に対して、股間が濡れ出し顔が上気し、下卑た笑いがそれを嘲笑する。

教官を筆頭に口で性器を含まされた。
女は身体を武器に男を落とさなければならない、その技術を身に付ける訓練だと教官は嘯いた。

そんなある日の実弾射撃訓練の時にマナは切れた。

やはり、全裸で寝撃ちの姿勢をとらされ、足の開きが甘いと股間に蹴りを入れられた時、マナは仰向けになり、実弾を教官に全弾打ち込んだ。

「きゃははははは!」

狂った笑い声を上げながら、小銃を乱射するマナ。
その場に居た教官達は全員マナの凶弾に倒れる事となった。
何度も弾倉を装填し直し、念入りに股間を撃ち続けるマナ。

「きゃぁはっはっは・・・か・い・か・ん♪」

硝煙の立ち上る小銃を小脇に抱えたマナの表情は恍惚としており、片手は股間をまさぐっている。
その手と内股までヌラリと光らせるほど愛液を溢れさせている。

マナの眼が同僚に向かった時、それまで呆然としていた同僚達は恐怖に顔を引き攣らせた。
今度は自分の番だ。
マナを陵辱した男達は確信した。
緊張に耐えきれなくなってマナに襲い掛かった者達は簡単にマナに眉間を撃ち抜かれる。

「これは事故よ。貴男達はどうする?事故に巻き込まれる?事故を報告する?」

残された男達はコクコクと頷く事しか出来ない。
マナはその光景に満足したのか、ニヤリと笑うと、今眉間を撃ち抜いた少年の股間に銃弾を浴びせながら再び自慰に耽った。

「きゃははは!きゃぁはっはっはっ♪」

これ以後、マナを襲おうと考える同僚は居なくなった。

しかし、その場に居なかった教官達は、尚も陵辱を続ける。
そして度々事故が起こったのだ。
同僚達からマナは「狂い姫」と囁かれるようになる。
ムサシとケイタは狂姫と書いて「きょうき」と呼んでいた。

その場に居た教官達は全滅するし、少年兵達は口を揃えて教官が起こした事故だと主張する。
普段の行いに後ろめたい物がある教官達も、彼奴なら有り得ると納得してしまう。
ただ、教官達も馬鹿では無い。
そのような事故が起こり得る状況では、慎重な行動を取るようになっていった。
その代り、夜な夜なマナを呼び出しては相変わらず命令を行っていた。

最初の頃はマナを縛り上げ、拷問とも呼べる陵辱の限りを尽くしたが、マナは頑なに事故だったと言い張った。
それ以後も事故のある度にマナは拷問を受け尋問される。
それすらも残された教官達に取ってはマナを弄ぶ材料でしかなかった。

「霧島マナ入ります」

マナ達、少年兵は階級など与えられていない。
少年工科学校の生徒で3士。
それが自衛隊時代から引き継がれた階級の最低である。
非合法的な彼ら少年兵に階級は与えられていなかった。

度重なる事故で人数が減り、実質マナ達に接する最後の3人の教官達が部屋に居た。
そもそも、この3人がマナ達少年兵に対する待遇の諸悪の根源であった。
そして、未だ彼らは事の重大さを認識していない。
単なる事故では無い。
しかし、実行犯はムサシ、ケイタ辺りだろうと考えていた。

それも狡猾に仕込んだ罠であっただろうと。
切れたマナの凶行だとは思いもよらない。
歳はも行かない少女がそんな事が出来るなどと彼らの頭には浮かぶ事すらない。
はっきり言って舐めてかかっているのだ。

少年兵全員が口を揃えて事故だと言っている以上、全員を尋問しても良いのだが、男を尋問しても面白くない。
所詮子供の罠に掛った奴等が間抜けだったのだと、残った教官達は、マナを陵辱する口実を与えてくれたと尋問と言う名の陵辱を行う事に歓喜していた。
自分達の鬱憤と性欲を晴らすためにマナは恰好の的だったのである。

「また事故が起こったな。何時ものようにお前を取り調べる。着ている物を全て脱げ」
「はい!」

単なる普段の命令を聞く時と同じようにマナは返事を行い躊躇無くその場で全裸になり気を付けの姿勢を取る。
未だ発育途上の胸に、数多の陵辱により恥毛もない一筋の股間。
その白い肌には幾筋もの青い痣が浮かんでいる。
鞭で打たれた痕や、縄で締め付けられた痕だ。

「武器を持ち込んでいないか確認だ」
「はい」

返事をするとマナは後ろを向き、足を肩幅の倍ぐらいに広げ、自らの指で肛門と膣を広げ、3人に晒す。
両手の薬指と小指を肛門に入れ人差し指と中指を膣に入れ、目一杯に広げられた股間は、子宮口や直腸内まで空気に晒す。
何度となく強要され今では自ら取る事となった、姿勢であった。

「次は浣腸1リットルだ」
「はい」

これも薬物などを持ち込んで居ないかの検査だと言っている。
マナは、準備よく傍らに用意された浣腸器に浣腸液を吸い上げると、先程と同じ恰好で自らの肛門に挿入する。
500ミリリットルを2回挿入すると、そのままの姿勢で次の指示を待った。
10分程、そのままの体勢を取らされ便意が襲い掛かり、マナの身体が脂汗で濡れ光る。
肛門や周りの筋肉が痙攣を始め、股間には愛液が溢れ出して来ていた。

「カテーテルだ」
「はい」

尿道カテーテルを自ら挿入し、尿さえも全て吐き出す。
強制的に行われる排泄に、マナの顔は僅かに安堵の息を漏らす。
尿が排泄された事により、浣腸による圧迫が若干緩んだのだ。

「ふん、変態マゾ女が。そこに中身をぶちまけろ」
「はい」

用意されている盥の中にけたたたましい音を立て透明な液体が噴出される。
お尻を3人の方に向け、排泄の瞬間さえ晒す。
徐々に茶色っぽい色に変色していく、液体。
一旦液体の噴出が途切れるとヌルッと言う感じで肛門が盛り上がり、茶褐色の物体が排泄された。

「これで全てです」

直立不動で目の前に自ら排泄した茶色の固形物の混じった液体を、3人の前に晒すマナ。
これで、漸くなにも持ち込んでいないことを認められるのだ。

「手枷だ」
「はい」

自ら手枷を嵌め、上から吊り下がる鈎に引っ掛ける。
電動ウインチで引き上げられ、マナの足は爪先立ちとなった。
これから、3人の思い思いの陵辱が始まる。
鞭打ちに蝋燭。
針に水責め。
電気責めに3穴挿入。
ありとあらゆる道具で痛覚と快感を交互に与えられて狂わされる。

既にマナの心は病んでいる。
躰だけが、その刺激に反応するように調教されているのだ。



状況が一変したのはJAの暴走の時だ。
使徒が現れなくなったとNERVの公表の後であり、これ幸いにとトライデントの有用性を示唆するつもりで教官達は先陣を切ってJA制圧に乗り出したのだ。

マナがこの機会を逃すはずがない。
ジープで帆走していた教官達をマナはトライデントに蹴り飛ばさせJAにぶつけた。
尚かつ手足をもいだJAを教官達の上に投げつけたのである。

報告は、名誉の戦死。
状況確認のため自ら先陣していた教官達がJAに踏み潰された事になっている。

これにより少年兵とトライデントは戦自の内外に知られる事となり、少年兵の扱いが大幅に改善された。
と言っても、諸悪の根元である教官達は一人も残っていない。
後任の教官は、至極真っ当な軍人であっただけである。

そして、残された数少ない少年兵も平和な時を過ごさせ、少年工科学校へ入学させる事により戦自は少年兵の問題をうやむやにした。
だが、今度はそこで問題が発生する事になる。

トライデントのパイロットと言う事にやっかみを持つ者が居たのだ。
加えてマナは、見た目可愛いタイプである。
そこに少年兵の残党が、少年兵時代の事を話したのがきっかけであった。

少年兵の残党としては、当時とは比べ物にならない平和な生活に平和呆けしたとも言える。
不用意な発言であったのだ。
なぜマナが狂い姫と呼ばれているか。
話はそこから始まった。

当然の事だが、流石に本当の事は話せず、何度か訓練中に切れたからだと言葉を濁したのだが、何故切れたかについて、当時のマナに対する処遇を話してしまったのだ。
話半分に聞いても、性欲が有り余っているティーンエイジの男の子達には刺激的な話であった。
そしてそんな事をされていたなら自分達がやっても大して問題にならないだろうとマナを蔑んだ価値に位置付ける。
マナに含む物を持つ者は、マナを襲う計画を起て、実行する事を決意した。

放課後、日直の仕事としてマナが一人でゴミを捨てに行った時にそれは起こった。

ゴミステーションに入る狭い扉を出た所でマナは後ろから後頭部を強打され気絶する。
気が付いた時には、倉庫らしい暗い場所で両手を縛られ吊られていた。

「よう、お目覚めか?鋼鉄の狂姫さんよ」

ヒヒヒと言う下卑た笑いが室内に充満する。
マナは眼を凝らし周りを見回すと知った顔が何人か居た。
ニヤリと唇を吊上げるマナに、何も知らずにやっかみだけを持っている男は馬鹿にされたと憤怒した。

「いきがってんじゃねぇぞ!」

言うや否やマナの顔を平手で張る。

「自分がどういう状況か解ってんのか?あぁん?昔は全裸で訓練とかやってたんだってな?俺達にも拝ませてくれよ」

そう言ってマナのスカートを捲り上げる。
少年工科学校の制服は、戦自の系列らしくスカートはタイトであり、上着も戦自の制服に似たブレザーであった。
露わになった白い質素な下着に包まれたお尻に周りから歓声と口笛が飛ぶ。
流石に今では下着を買うぐらいの給金が支給されていたのだ。
タイトなスカートは一旦捲り上げると手を離しても簡単に落ちて来ない。

今では食べる物も不自由なく、過酷な訓練も無いマナの身体は年相応に女性らしい膨らみを持っていた。
ゴクリと唾を呑む音が聞こえる。

「解ったわ。見せてあげるから縄を解きなさい」
「なんだと?」

「服を破かれたくないのよ。官品だから換えも少ないし。下着だって少ない給金から買ってるのよ。無駄には出来ないわ」
「ふん随分と所帯染みてるな。おぃ解いてやれ」

リーダらしきその男は下卑た笑いを浮かべて命じた。
男子生徒達にも打算はある。
強姦となるより自ら服を脱いだなら和姦と言う事になるだろう。
訴えられたりする確率もぐんと減る。

その様子を見ていた元少年兵達は戸惑っていた。
自分達と一緒に風呂に入ったり、教練で股間の奥まで覗いたり、フェラチオまでして貰ったのだ。
本当に裸を見せるだけなら見せてくれるのかも知れないと甘い事を考えていた。

しかし、その反面マナの狂気を目の当りにした事もある。
ここには、火器は無いが、マナがその気になれば何をするか解らないのも事実であった。

そんな不安と期待の入混じった眼の中、拘束を解かれたマナは、服を脱ぎ始めた。
不安を浮かべていた元少年兵達も、その不安が消え周りと同じように期待の篭もった眼となっていく。
最近、艶っぽくなってきたマナである。
昔のように陵辱したいと言う願望は、いつも持っていたのだ。

ブレザーを脱ぎ、スカートを脱ぎ、そしてリボンを外しブラウスまで脱いだ時、男子生徒達はゴクリと唾を飲み込んだ。
皺にならないように制服を畳むと、マナはブラジャーを外しパンティーまで躊躇なく脱ぎさった。

マナを見る全員の目が血走っている。
マナは唇を吊上げニヤリと笑ったのだが、男の子達は、その顔を見る事は無かった。
手で前を隠すような事をしていなかったため、男子生徒達の視線は胸から下に注がれていたのだ。
あまり大きいとは言えないが、張りがあり、つんと上を向いている乳首。
腰は細く、ふっくらとした丸みがそこから下に伸びている。
股間は無毛で一筋の縦線。
それを揶揄する事も出来ず、凝視する男子生徒達。

「ほら、もっと近くに来れば?」

ここは、体育倉庫であったのだろう。
マナはそう言うとマットレスの上にお尻を落とし、足をM字に広げると肛門とヴァギナに指を挿入する。
お互い顔を見合わせると、リーダらしき男が、マナの股間の前にしゃがみ込んだ。

「ほら、もっと近付いて」

マナの言葉に鼻息が掛る程、顔を股間に近付けた男は、ガクッと頭をマットレスに落とした。
四つん這いで、覗き込んでいた男は、お尻を突き出す無様な恰好で身動きしない。

「お、おい、どうしたんだ?」
「くっくっくっく・・・きゃぁ〜はっはっはっは!」

マナの笑い声が倉庫内を木霊した。
マナはヴァギナに仕込んでいたナイフで、男の眉間を差したのだ。
片手には肛門から引き抜いた飛び出しナイフが持たれている。

見る見るうちに真っ赤に染められるマットレス。

「く、狂い姫・・・」

元少年兵達は、ここに来て漸く、マナの狂気を思い出し戦慄した。
足が震えて逃げる事もままならない。
少年兵時代を知らない男子生徒達も、リアルな死を目の前にして震えている。
夥しい血と、その臭いはどこか現実感を欠如させているが、身体が動かない。

「きゃはっはははぁ〜っ!」

男子生徒達が固まっている中、全裸のマナの身体が乱舞した。

帰りが遅いために探しに来たムサシとケイタが見た物は、ズタズタに切り裂かれた男子生徒と、その血溜まりの中でナイフでオナニーをしているマナであった。

ムサシとケイタは、マナに服を着せ、連れ出すと体育倉庫に火を放った。
ご丁寧に男子生徒のポケットから探し出した煙草とライターを使ってである。

調査も曖昧に終らされ、対外的には不良生徒による不審火となっていたが、彼らがマナを襲う計画を起てていた事を知っている者達も居た。
結局、マナはここでも「狂い姫」と言う字(あざな)で呼ばれる事となったのである。



「結構、収穫あったんじゃない?」
「あぁ、マナがATフィールドを張れたのは大きいな」
「きっと競技会へのメンバーに選ばれるよ」

楽しいそうに歩きながら話すマナ、ムサシ、ケイタ。
3人は既に家族以上の繋がりであった。
マナに恋心を持っているムサシとケイタであるが、それを前面に出すとマナが切れるのが怖くて今の関係に甘んじている。

「でも噂の赤い奴でも見たかったなぁ」
「競技会には出てくるさ」

「これは極秘情報なんだけどね。競技会の優勝者は元ファーストチルドレンとサードチルドレンのチームと対戦出来るらしいよ」
「どっからの情報なんだ?ケイタ」

「へっへぇ、こないだ競技会の資料みたいなのが、上官の机の上に乗ってたんだ」
「勝手に見たのか?懲罰もんだぞ」
「まぁまぁばれてないんだから良いじゃん。良くやったケイタ!」

マナに褒められて顔を赤くするケイタ。
当然、ムサシは面白くない。

「よぉし、今夜は焼き肉だぁ〜っ!」
「おっマナの奢りか?」

「もち、割り勘!」
「げっ!マナって割り勘負けしたことないだろ?!」

「そこは男の甲斐性!」
「そんな甲斐性要らないよ!」

夕日が辺りを赤く染める中、迷彩模様の服を着た高校生3人が仲良く走っていた。



運命とは斯くも不可思議に交差するものなのか?
今ではマユミかヒカリが食事の支度をしていたのだが、先般5人も増えてしまい、二人は頭を悩ませていた。
何せ育ち盛りの子供達であり、脂っこい物を好むのだ。
それに引き替えシンジ達は、レイが肉が嫌いな事もあり、かなりアッサリした物である事が多い。

それに加えて、かなりな大所帯である。
総勢10人の上に乱入する者が居る事もあるのだ。
そんなこんなで、最近では外食する事も多かったのである。

そして今日は、なんと焼き肉に10人で来ていたのだ。
レイは肉が嫌いなのだが、片時もシンジと離れる気が無い。
野菜を焼いて食べていれば良いと言うマユミの言葉に妥協した。

子供達は、はしゃいでいる。
密かにヒカリも肉を思いっきり食べられると期待していたらしい。

「お兄さん!こっちカルビ5人前追加!」
「兄ちゃん!こっちは塩タン10人前に骨付きカルビ10人前、後焼き野菜一つ追加や!」

「ほ、骨付きカルビィ〜っ!」
「ま、マナ。そんな隣と張り合ったって仕方ないだろ?ほら、このカルビやるから」

「う〜〜っ、マナちゃんも骨付きカルビ食べてみたいぃ〜っ」
「だって、高いじゃん、質より量だろ?」
「う〜〜〜っ」

そう、何の因果か、滅多に肉を食べない、焼き肉など来るはずもなかったシンジ達とマナ達が隣同士の席だったのだ。
マナを最初見付けたレイは、その紅い眼で睨みつけるように見ていた。
それが、またマナの競争心を煽ったらしい。

「やれやれ、やっぱり何か縁があるんだろうね。でも生きてて良かった」
「そうで御座いますね。でもかなり過酷な人生を歩んでおられるようです」

「そっか、生きてて良かったなんて思うのは、僕の傲慢なんだね」
「そんな事は御座いません。シンジ様は、お優しく御座います」

シンジとマユミは、こっそりと話ながらマナ達を優しい眼で見詰めていた。
それが面白くないのかレイは、シンジの腕を掴む手に力を入れる。

嫉妬と言うような感情はレイには無いのだが、マナに関してはシンジを弄び元の男に走ったと言う思いがレイには有るのだ。
そんなレイの頭を撫でるシンジ。

ヒカリとカヲルは、子供達の質問に答えるので大変そうである。
日本語(漢字)がよく解らない彼女達は、写真を見てこれは何かと尋ねるのだ。

「お、お兄さん!こっちも骨付きカルビ一つ!」
「お、おいマナ」

「申し訳ありません、先程の注文で骨付きカルビは品切れになってしまいまして・・・」
「えぇ〜っ断腸の思いで頼んだのにぃ」

ムサシとケイタはホッと胸を撫で下ろしたのだが、マナは振り上げた拳を降ろす事が出来ずにグズグズ言っている。
それを微笑んで見ていたシンジは声を掛ける事にした。

「良かったらこっちで一緒に食べませんか?」
「えっ!良いのぉ?ラッキー」

その言葉にすかさず乗ろうとしたマナを羽交い締めにするムサシ。

「おまえらに奢って貰う言われは、無い」
「そうですか。子供達が頼み過ぎたみたいなので、宜しければと思ったのですが。余計なお世話だったようですね」

「ムサシ!折角の好意を無駄にしたら悪いよ!」
「マナは、骨付きカルビが食べたいだけだろ?」
「そうよ!早くしないと無くなっちゃうぅ〜っ」

「お兄ちゃん達もおいでよ」

言い争っていたムサシとマナだが、ナイの一言にムサシが撃沈した。
緩んでしまった拘束を振り解き、マナはそそくさと、空いている席に座る。

「へへ、それじゃぁ、お言葉に甘えさせて頂きます」
「遠慮無くどうぞ」

「ムサシってロリコンの気もあったの?」
「そ、そんな訳あるか!あんまり可愛かったから、つい見惚れただけだ!いや、その幼くて可愛いと言う意味だ」

ケイタに言われ墓穴を掘りまくるムサシ。
実際は、ナイの魔に当てられたのだが、そんな事は解らない。

「君達も座ったら?」
「あ、あぁ悪いな」

「お姉ちゃん、名前はなんて言うの?」
「霧島マナだよ。マナって呼んでね」

「うん、私はナイ」
「ヨグ」
「クトゥ」
「ツァトゥ」
「ハスター」

なにげに始まった自己紹介に、シンジ達も便乗する事にした。

「僕は、碇シンジ」
「・・・綾波レイ」
「山岸マユミと申します」
「洞木ヒカリです。宜しく」
「渚カヲルだよ。カヲルと呼んでおくれ」

そして眼を向けられたムサシとケイタも怖ず怖ずと自己紹介する羽目となった。

「お、俺はムサシ=リー=ストラスバーグだ」
「僕は、浅利ケイタです。って渚カヲル?!」

「どうしたのケイタ?」
「あっあっあっ!綾波レイに、碇シンジ。それに山岸マユミって元ファーストチルドレンにサードチルドレンとフォースチルドレン?!」

「「えぇ〜っ!」」

口に骨付きカルビをくわえて叫ぶマナ。
流石にムサシは、まだ箸を付けてはいなかった。

「あぁ〜っ!洞木ヒカリって、最初にチルドレン以外でシンクロしったって言う?!」

「あらあら、随分物知りですのねぇ」
「洞木さんも有名だったんだね」

シンジの言葉に頬を赤く染めるヒカリ。
ケイタもマユミに褒められ顔を赤くしていた。

「マナ!帰るぞ!」
「えぇ〜っ何で?!」

「敵に塩を送られる訳には行かん!」
「帰るなら一人で帰れば?私はもっとシンジ君とお話したいなっ!」

そう言ってシンジとマユミの間に入り込むマナ。
反対側ではレイが、マナの行動を止めなかったマユミとマナ自身を睨付けている。

「この5人と話したと言えばかなりな収穫だよ?」

ケイタが追い打ちを掛けるようにムサシに耳打ちした。

「し、仕方ない。マナを一人置いて帰る訳には行かないからな!」

そう言ってドスンと座り直すムサシ。
シンジはそんな遣り取りを微笑んで見ていた。



続きを読む
前を読む
戻る



新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
inserted by FC2 system