第弐拾話
前哨戦


第一回戦は、アザトースVSヴァルキリーで始まった。
パンデモニウムVSオリンポス、エンジェルズVS崑崙、そして誰かの陰謀かトライデントVSトゥルーエヴァである。

競技場の両端に設置された疑似エントリーシステムに両者別れて準備を行う。
カヲルの開幕の挨拶は端的であり、早く試合を見たいと言う観客でさえ、呆気に取られた程だ。

シンジ達は見慣れているが、カヲルはアングロサクソン特有の高い鼻を持った端正な顔立ちである。
それに加え銀髪にレイと同じ紅い瞳は、妖精がその場に現れたような錯覚すら起こさせる。

公式の場であるために、カヲルは派手では無いが、シックなドレスを身に纏っていた。
それは、本来の淫魔の能力を引き立て、会場に居る老若男女問わずに溜息を零させる。

映像で見ている人間達はアップで見ているために、その影響は強く受けたであろう。
両者の疑似エントリーが完了を告げると、今まで見えていた競技場内が立体映像に切り替わり、仮想空間を映しだした。

「おぉ〜!」と言う感嘆の声が湧き上がる。

NERV発令所にあった地形を映し出す立体映像を、更に鮮明に且つ大規模にしたものだが、技術的には既にあった物の流用なのでコスト的には低く済んでいる。
問題は、両陣営が離れると全てを映すために縮尺が変わる事と、現在映されていない場所に移動すると映像がスライドする事だが、それも実際にやってみないと観客の反応は未知数であった。

何もかもが初の試みであったのだ。
経営的にも政治的にもである。



「一体、奴等は何だって言うのよ!」

控え室で、第一回戦を見ていたアスカが叫び声を上げる。
そこに映し出されるのは、正にSFチックな戦闘であった。

アザトースは5体其々が見た事もない防御方法と攻撃方法を用いている。
それに引き換えヴァルキリーは5体が一丸となり、一糸乱れぬ連携を行っている。

そして格の差とでも言うのだろうか、アザトース側は地に足を着け迎え撃つスタイルであるが、ヴァルキリー側は空から攻めては引くと言うヒットアンドウェイ戦法。

ヴァルキリー側は5体1で誰かを攻め崩そうと攻撃を行っているのだが、アザトース側は1対で5体を相手にするのも余裕な様子だ。
アスカとしてみれば、ヴァルキリーの1対でさえ自分と互角と伺える。
実は、それですら過大評価であり、ヴァルキリー1体でもアスカが適う相手では無かった。

「落ち着きなさいアスカ。これはラッキーなのよ」
「何がよ!」

「私達の対戦は一番最後。つまり全チームの戦略を見る事が出来る」
「それでも私達が対戦する相手は、戦略を練っている暇は無いじゃない!」

「ふふん。作戦課長さんをあんまり舐めないで欲しいわ。トライデントの事は既に調査済みよ」
「そ、そう。流石ミサトね」

一心不乱にモニターを覗き込んで話をする二人の遥か後ろに取り残されている3人は、お互いを見合わせ不敵な笑いを浮かべていた。

そう、本来ならその戦闘内容に青褪める事はあっても、笑いを浮かべる事などないはずの3人が。
しかし、ミサトとアスカはそんな事には気付かず、モニターを凝視していた。



「でも、これからエヴァを作るのは不可能に近いんじゃないの?こんな事して意味があるのかな?」
「エヴァは何れ無用の長物となるさ。だけどその前にこの思考操縦と言うオーバーテクノロジーがNERVのもので有る事を強調しないとね」

「成る程、これからの売り物はソフトと言う訳か」
「その通りだよ。今回のイベントを機に有る程度情報公開して、ハードを外部に作らせるのさ」

「これは仮想世界だけれど、実際に動いていたと言う証拠がエヴァ。それが有るうちにと言う事だね」
「何より、エヴァを動かしていた技術の利用だと言う振れ込みだからね」

カヲルとシンジが他愛も無い話をしている中、カヲルの隣にはヒカリが清楚な服装で座っている。
シンジには右に相変わらずのボンデージ系ファッションのレイと左にゴスロリ系ファッションのマユミが張り付いていた。

「その副産物が彼らの介入か。リスクなのかメリットなのか判断に迷うね」
「かと言って拒む訳にも行かない。彼らは使徒なんかより余程厄介だ」

「どうやら家の娘達の圧勝のようだね」
「当然です。ヴァルキリーとは名前ばかりのただのリリン達ですから」

「そうなの?それでもアスカより数段上に見えたけど?」
「それは、鍛錬の問題でしょう。彼女も無為な時を過ごしていなければあれくらいには成れたと言う事です」

シンジの言葉に、当然の事だとばかりにマユミが答える。
そんなやり取りなど、無いが如くレイはシンジの腕に頬擦りをしうっとりとしていた。



月明かりに照らし出される真っ白な肌を惜しげもなく晒しながら、レイは自分の身長よりも大きな窓から夜景を眺めていた。
部屋の中の明かりは消されているため、外から見える事は無いだろう。

そもそも、高層マンションの最上階に位置するこの部屋を覗き見るためには、色々な意味でリスクが高過ぎる。
見られたからと言って別段気にするレイでもないが、見られる心配も皆無であった。

競技会は1日1戦である。
予選を通過したチームが少なかったため、連戦にするとあっと言う間に終わってしまう事と、選手の疲労を考えた結果であった。

そして、初戦にて危なげなく勝利を収めたアザトース。
その娘達の祝勝祝いと言う名の宴が繰り広げられた後であった。
当然の事ながら最後は乱交で締め括り、今は全員全裸の状態でベッドで寝息を立てている。

マユミに導かれる形で造り上げた今の世界。
元は時を遡らせたと思っていたのだが、それは再構築であり、遣り直しであった。
その事を記憶している者が少ないのだから、これは大した事ではない。

狂おしいまでに求めたシンジは、かなり遠回りをした気がするが今は自分の傍に居る。
周りにかなりな数の雌が居るが、これもレイに取って大した事ではない。
それどころかレイも彼女達が気に入っている。
特にマユミには感謝さえしている程だ。

問題は、今が幸せと言うものなのであろう事。
この幸せを壊すかも知れない不確定要素が増えた事。

使徒など比べ物にならない程、厄介な存在である天使と魔族がこの世界に舞い戻って来ている。
元は同属であった天使と魔族。
天使は自分達とは相容れない。
魔族は友好的とは言え利害関係で結ばれていたに過ぎない。

俄かに天使達は交流を持とうとしているように伺える。
しかし、気は抜けない。
もし、魔族と天使達の利害関係が一致していたなら、リリンに対抗する手段は存在しない。

だが、そんな事は些細な事だ。
自分にはシンジ達が居ればそれで良いのだ。
マユミや娘達も今ではレイの大事な存在となっている。

幾度と無く自分と溶け合ったシンジや彼女達は、魂さえ回収出来れば何の問題もない。
その魂の回収さえ、今では容易であろう。
シンジや彼女達は肉体が崩壊すれば、自分の元へ還って来てくれる事に疑いはない。

危惧するのは、シンジや彼女達の肉体が傷付けられ苦痛を与えられる事。
それを想像しただけで胸が張り裂けそうになる。

「・・・碇君は私が護る」

嘗て第五使徒との決戦の時と同じようにレイは満月を見上げ新たに誓う。
その時フワリとレイの身体が包み込まれた。

「・・・碇君」

今では慣れ親しんだシンジの腕である。
それはどこまでも優しく、決して離れる事など有り得ないと思える程の安堵感。
背後から回された腕にレイは軽い頬擦りと共に全体重を背後の人物に委ねる。

「綾波は僕が護るよ」

泪が溢れる。
いつから自分はこんなに涙腺が緩んだのだろうか。
思わず振り返り、シンジの唇に自らの唇を重ね、貪るようにシンジの口内を蹂躙した。

シンジの胸に擦り付けられる乳首が疼き始める。
身体を這うシンジの手が触れたところに電気が走ったように旋律を感じる。
子宮が熱くなり、火照りが股間に降りてくる。

股間の穴がシンジを受け入れろと、まるでそこだけ別な生き物のようにその存在を主張する。
レイは堪らなく足をシンジに絡ませ、股間を押し付け両足で締め上げた。
脳髄まで走る快感。

軽い絶頂を迎え、漸くシンジの唇を解放するが、その吐息は熱くシンジとレイの唇は唾液で繋がっている。
月明かりに照らされたそれは、二人を紡ぐ糸のように光り輝く。
その糸を切らす事なく、二人の唇は再び重なりあった。



「やっぱり、競技会中はまずいんじゃないのか?」
「競技会中じゃないと私達には接点が無いじゃない!」

姦しい少女と、大柄の少年、それに追従するように線の細い少年が、NERV本部ビルの前で言い合っている。
かれこれ30分以上もこの堂々巡りを続けているのは、ムサシとマナであり、うんざりした顔でそれを眺めているのがケイタであった。

ケイタは自分だけは他人のふりをしていると思っているが、道行く人から見れば3人一組なのは疑いようがない。
本人達は否定するだろうが、ミリタリー調で統一されているためだ。

マナはシティパターンのフレアミニにカーキー色のタンクトップ。
ミニスカートを吊っているサスペンダーがアクセントになっている。
時折スカートが捲れあがって見えるのは、白ではなく迷彩柄だったりする。
ムサシは、生粋の迷彩色のズボンに黒いタンクトップ。
ケイタは、カーキー色のズボンに白いTシャツである。

「ん?トライデントか?」

突然掛けられた声の方を向いて3人は暫し時が止まる。
そこに居たのは、焼肉屋で見たちょっときつめの美少女と、金髪黒眉に何故か白衣を着ている美女。
ムサシとケイタは、その美少女を見て赤面してしまう。

「知り合い?」
「あぁ、この前、焼肉屋で一緒になった」

「そう、私はここでいいわ。ここから先はNERVの警備も居るしね」
「解った」

そう言って美女の方はNERV本部へと入っていく。
ムサシ達は進退極まった感じである。
予定外のアクシデント。
それぞれが思い描いていた作戦と言うものがガラガラと音を立てて崩れていく。

「で?自分達は何しとるんや?」

優しく微笑みながら少々硬質な関西弁で尋ねるヨグに、マナまでも赤面してしまった。



何故自分はここに居るのだろうか?
人は余りにも場違いなところに居ると感じた時、ついそう思ってしまう。

今、正にムサシとケイタはその心境であった。
見た事もないような、豪華な応接セットに3人は腰掛けている。
マナは、出された紅茶とケーキを美味しい美味しいと食べているが、ムサシとケイタは、その空間の豪華さに居心地が悪かった。

こう言う時に見知った顔が居ると救われるものだが、ここに案内してくれたヨグにしても、後から入ってきたナイ達にしてもよくよく見るとかなりな美少女達である。
微笑んで、飲み物の御代わりを注いでくれる仕草に、違う意味で居心地の悪さを感じてしまう。

ムサシとケイタの周りに居る女性と言えば、長らくマナ一人だったのだ。
マナは美女と言うよりは可愛いと言うタイプであり、髪の毛が若干茶色いと言っても純和風である。
ナイ達北欧人特有の色白さと鼻の高さ、足の長さには到底及ばない。
しかもナイ達はかなりスタイルも良いのだ。
マナより数段存在を主張している胸に括れた腰。
結局ムサシとケイタは、顔を赤くして俯いているだけだった。
そんな二人の挙動に首を傾げながらもマナは、ケーキの御代わりを頼んでいた。

ムサシとケイタの居心地の悪さは、所謂心の鬩ぎ合いであった。
淫魔である彼女達が5人も揃えば、その性衝動は計り知れない。
マナの存在が、なんとか二人の枷となっていたのだろう。

では、マナは何故平気なのか?
それは、マナ自体が淫魔リリムの性質を色濃く受け継いだリリンであったからだ。
マナの身に降り注いだエスカレートした性的虐待は、マナ自身が発するその波動の影響だったのである。

そんなマナに幼い時から一緒に居たムサシとケイタには、免疫が備わっていたのかも知れない。
悪戯心を出したナイ達の魔に耐えているのだから。

「あらあら、貴女達…」

扉を開けて入って来たマユミの言葉に、ナイ達はペロッと舌を出した。

(まぁ淫魔の本質ですからしかたありませんね。それにしても…)

マユミはこの空間で、何の影響も受けていないように見えるマナに眼を見張る。
マナの事については、特に考えていなかったため、注意もしていなかったのだ。
元々、マユミとマナには接点は無かった。
ならば、シンジとレイがどう判断するか。
マユミの判断基準は至ってシンプルであった。

マユミの入室に気が付いたケイタとムサシは立ち上がりかけて、ソファーに落ちるように座り直す。
痛い程に勃起してしまい、立ち上がれなかったのだ。

ナイ達の魔に当てられているところにマユミの煽情的な肢体が眼に飛び込んできたのだから仕方ないだろう。
マユミはいつものゴスロリ風メイド服超ミニヴァージョンであり、黒いソックスとペチコートの間に見える太腿が眩しい。

胸元は、豊満な谷間が惜しげもなく覗いており、こちらも眩しすぎる程白い。
マユミは二人に軽く会釈すると、二人の向かいのソファーに腰掛ける。
その時、二人の眼にはマユミの股間が飛び込み、沫や鼻血を噴出してしまうところであった。

「本日は、どう言ったご用件で御座いましょうか?」

赤い縁取りの眼鏡を押し上げながら微笑む口元の黒子がなんとも艶っぽい。
濡れ光った唇にムサシとケイタの意識は吸い取られる。

「あ、あの…その…えっと…えへへ…簡単に言うとシンジ君に会いに来ただけって事かな?…アハハ」

来る前は色々と言い訳めいた理由を考えていたのだが、はっきり言ってその辺りはケイタがなんとかするだろうと言う目論見もあったマナは、美味しいケーキに夢中ですっかり忘れてしまっていたのだ。

「そうですか。それはシンジ様もきっとお喜びになられますわ」

しかし、マユミは微笑み、理由にもならない理由を許容する。
まぁマユミには全て解っていると言うのもあった。
マユミはそっと5人の少女に目配せをするとコックリと少女達は頷き、ケイタとムサシの後ろに回る。

「なぁ兄ちゃん、うちらとええ事せぇへんか?」
「「うふふ」」

ムサシにソファーの後ろから抱きつくナイ。
ケイタにはクトゥグアとツァトウグアが挟み込むように纏わり付く。

「い、いい事って何の事だ?!」

怒声でなんとか自分を落ち着かせようとするムサシであったが、耳元で囁かれるナイの声は、ムサシの理性を今にも吹き飛ばすところであった。

「しゃぁかて、兄ちゃんのここ、こんなんになってるで?」

か細い指先で股間の一物を撫でられたムサシは、思考が停止する。
それと同時にケイタの方は既に服を脱がしにかかっていた。

「ちょ、ちょっとムサシ!ケイタ!」
「まぁまぁマナさんも、落ち着いて下さいな」

混乱しているマナを嗜めるとマユミは、残りの二人ハスターとヨグ=ソトースに目配せをする。
頷いた二人は、マナを両脇からソファーに押さえつけた。

「な、何するつもりっ!」
「それは、こちらのセリフですわ。霧島マナさん」

「な、何の事!」
「何故、シンジ様に近づこうとするのか。その理由をお聞かせ頂きましょうか」

「そ、それは…」
「あんまり簡単に喋って頂かなくて結構ですよ。これから身体に尋ねさせて頂きますから」

「身体にって…拷問でもするつもり?」
「はい」

マナの言葉にマユミは、あまりにも朗らかな笑顔で答えた。



一本の線を一次元、平面を二次元、縦横高さのあるこの世界を三次元とする考え方がある。
線を平面で遮っても一次元に存在するものには点としか認識出来ない。
平面を球体が遮っても、二次元に存在するものには線としか認識出来ない。
だから三次元に四次元が遮っても、そこには球が忽然と現れ、忽然と消えると言う主張だ。

しかし、ここには大きなトリックが隠されている。
まず一次元や二次元を遮るものを感じるのは、その次元の一つ下のものである。
なのに、何故三次元を遮るものを感じるのがその次元の象徴である球体なのか?
四次元と言うものをこの三次元の空間に時間と言う軸を交わらせた物と言う説もあるが、残念ながら一次元だろうが二次元だろうが時間は均等に流れている。

そして線でも平面でも、線で遮れる。
我々が存在すると言われる三次元を平面で遮る事は容易だ。
つまり、我々の存在するこの空間こそが、多重次元なのだ。

「と言う推論はどうかしら?」

白板に図を描きながら説明していたリツコが、皆の方を向いて聞いた。

「あら?マユミは?」
「ちょっとお客がありまして」
「あら、それは残念ね」

振り向いたところに、最も話を聞いて欲しかった人物が居ない事にリツコは怪訝な表情を象った。
リツコとしては、マユミの意見が欲しいところであったのだ。
どうにも多層空間と言うものに行き詰っていたのである。
そこにあってそこに無い世界。
魂と言う曖昧なものもエヴァを通じて漸くその存在を確信出来たに過ぎないところなのに、まるでSFの世界のような多層空間と言う概念は、リツコを以ってしても未だその存在を証明するに至っていない。

全てを知るマユミであれば、ここから次のヒントを貰えるかも知れないと期待するのは、致し方ない事であろう。

「大丈夫ですよ。マユミには後で伝えてリツコさんのところに来るように言っておきます」
「そう、悪いわね」

そうは言っても、そこにタイムラグが生じる事に落胆するのも仕方の無い事だろう。
ましてや、リツコはシンジ達の営みを知らない。
人伝に聞いた話でどこまでマユミが理解するか、またどう省略され湾曲されて伝わるかと言う疑念もある。

「で、その三次元にプラスされている物を使って多層空間を行き来出来ると言うわけですね」
「え、えぇあくまで仮説でしかないけれどね」

以外と自分の話を理解しているシンジの回答に少し驚きを覚えたリツコ。
やはり蛙の子は蛙かと、シンジ達が聞いたら気分を害するであろう事を考えていた。

単純にシンジは嘗ての記憶を取り戻しているために感覚として知っているだけであった。
それを人間の理解する科学と言う物に置き換えて説明出来るかと言えば、やはりそれが出来るのはマユミぐらいであろう。

「でも、彼らは無闇やたらと現れるわけではないですね。どこかにその交差する位置、力場みたいな物が存在すると考えた方が自然ではないですか?」
「それが黒き月と言う事?」

リツコは歓喜した。
求めていたヒントとは違うものだが、盲点とも言えるべき別な切り口がシンジの口から語られたのだ。
傍目から見てもその時リツコの眼が輝いたのは、誰でも認識出来ただろう。



「これは、また壮絶な絵だねぇ」

リツコとの話を終えたシンジ達は、マナの待つ待合室へ入って来たのだが、そこには阿鼻叫喚の図が広がっていた。
流石にヒカリは眼を背けたが、他の者達は平然とその事実を受け入れている。
カヲルの背後にすかさず隠れたとは言え、ヒカリが悲鳴を上げなかった事は賞賛に値するだろう。

全裸で大の字に触手のような蔓のような物で吊り上げられ、穴と言う穴を埋め込まれて蠢いているマナ。
蔓はマナの乳房や臀部をも舐め回すように巻き付いている。
床には彼女の物であろう糞尿がばら撒かれ、異臭を放っていた。

美少女の股に顔を埋め一心不乱に舌を駆使しながら股間に跨る美少女に蹂躙されているムサシ。
その横でケイタも同じように二人の美少女に蹂躙されている。

男達の扱いの割りにマナの扱いは拷問のそれであるが、誰もその事を責める事はない。

「・・・また碇君を勾引しに来たのね」

レイの紅い瞳が細まる。

「全く強情で御座いました」

そんなレイに深々と頭を下げマユミが報告する。
マユミ曰く、マナが受けてきた性的虐待はマナの潜在的願望であり、そもそも淫乱且つ猟奇的な女であるとの事だった。
虐げられ、それが鬱積してある一定に達すると爆発し、殺戮を行う事によりエクスタシーを得る。
それがマナと言う女の本質らしい。
だから是ほどまでにヨガリ狂っているのだとマユミは言うとマナの勃起したクリトリスを指で弾いた。

背筋の力の限り仰け反るマナ。
股間から噴出する体液。
所謂潮吹きと呼ばれる現象だ。

ビクンビクンと痙攣しているマナに容赦無く蔓は責めを続けている。

「それで、どうするつもり?」
「そうですね。素材は悪くないので、あの娘達の玩具にでもしようかと」

そう言ったマユミの内股は自らの愛液でテカテカに光っている。
それをマユミは隠そうともしていない。
マユミは自分がそうされる事を想像しながら相手を責めるタイプだ。
従って激しい責めを行えば行う程、マユミ自身も興奮してくるのである。

「その前にマユミをなんとかしないとね」
「あっ」

シンジがマユミのスカートを捲り上げると、マユミの下着はベットリと素肌に張り付き、無毛の股間を露にしていた。
マユミは小さく声を上げるも、シンジの行動に抗う事はない。
切なげな視線でシンジを見上げる。

「・・・淫乱」

レイがマユミの後ろから声を掛け下着を擦り下げた。
下着と無毛の股間に透明な糸が繋がる。



マナは朦朧とした意識の中で眼の前の光景を見ていた。
先程まで、いけ好かない飄々とした態度で自分を陵辱していた女が全裸で犬のように扱われている。
胸や股間を玩具にされているのは一目瞭然であった。

いい気味だと思ったが違和感を感じる。
そう、マユミはとても幸せそうなのだ。

どうして?
マユミの言葉がリフレインする。
(貴女は自ら望んで陵辱されていたのですよ)

そうか、私は羨ましいんだ。
マナは違和感の正体を知った。
周りを見渡すとムサシとケイタが裸で寝ている。

マナは、何時の間にか自由になっている体を二人の下へと這わせた。
腰が立たないのである。

そして、ムサシの股間を頬張り、ケイタの物を手で扱いた。

「マ、マナ?!」

気が付いたムサシに跨り、マナは自らムサシの物を飲み込む。

「ケイタも」
「ぼ、僕も?」

マナはケイタの物を自らの肛門に誘う。
ムサシはマナの胸に手をやるとマナ自ら押し付けて来た。
口から漏れる声を隠すように、ムサシの唇を貪るマナ。

「私は…これを望んでいたの?」

ムサシとケイタに挿入されマナは狂ったように腰を振った。

それを見てシンジとマユミは微笑みあう。
レイは少し唇を尖らせ膨れているようだ。

シンジ達はマナ達と溶け合う気は全く無い。
マナ達は純粋では無いのだ。
色々な感情と欲望が混沌としている。

そんな者達が溶け合うと、自分を見失ってしまうだろう。
どこからが他人でどこまでが自分か解らない世界で自分と言う物が無くなってしまう。

「この後どうするつもり?」
「どうも致しません。彼女達は自らこちらに身を寄せるようになります。それが淫魔に魅入られた者達の性で御座います」

「今までそんな事無かったよね?」
「それは全てシンジ様に受け止められていたからです。一度その矛先をリリンに向ければ抗う事は不可能です」

「確かにそうなんだろうね」

シンジはマユミの言葉を聴きながら、カヲルに蹂躙されているヒカリを見て納得した。
あれ程潔癖症で、「不潔よぉ〜」が口癖であったヒカリが、今ではこれほど他人が居る中で涎を流して快楽を貪っているのだ。
そもそもが煩悩の塊のようなマナ達に抗う術などあろうはずもないと思える。

「そう言えばリツコさんが話しが聞きたいって言ってたよ」
「何の話でしょう?」

「取り敢えず一つになって理解して貰おうかな」
「それは、喜ばしい事です」

「あぁ〜っ!マユミお姉さま達だけずるいぃ〜っ!」
「貴女達は、そちらの始末をしてからおいでなさいな」

「「「はぁ〜い」」」

比較的物静かなナイとヨグは頷いただけ。
シンジはマユミとレイを伴い部屋を後にした。

「僕達も行こうか?」

カヲルの言葉にヒカリはただ頷くだけ。
息は荒く、服装も乱れている。
なんとかカヲルの首に腕を回し体を支えている状況だ。

「しっかし、この姉ちゃんが、こんなに淫乱やったとはな」
「そやな、うちらの事なんか眼中に無いって感じやな」

クトゥグアとツァトウグアの揶揄する言葉も聞こえず、マナは一心不乱にムサシとケイタに貪りついている。
ムサシとケイタもそんなマナを突き上げ舌を這わせ、周りの事など見えていないようだ。

5人は暫し、ソファーにゆったりと腰掛け、お茶を飲みながら3人が果てるのを待っている。
3人が正気に戻った時の事を思い浮かべながら、5人は微笑みあっていた。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。
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